「老後に漠然とした不安がある」という場合、まずはもらえる年金と老後に必要な生活費の総額を比べてみると良いでしょう。
必要な資金がわかれば、目標を設定できるので安心感にもつながります。
この記事では、老後にもらえる年金はいくらなのか、老後にかかる生活費はいくらなのか、そして生活費以外に必要な老後資金などの金額の目安や備える方法について解説します。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
老後に必要な資金はいくら?
老後に必要な資金は、毎月の生活費や受け取れる年金額、老後の生活期間などによって異なります。
まずは65歳以降に必要な生活費と年金額の目安を確認し、その上で単身・夫婦・二人以上世帯ごとに老後の生活資金をシミュレーションしてみましょう。
1.65歳以降に必要な生活費の目安
総務省の「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)」によると、老後に必要な生活費(65歳以上の無職世帯の消費支出)は夫婦ふたりの世帯で月額263,979円、単身世帯は月額148,445円です。[参考1] 実際の生活費は、世帯ごとの生活スタイルや年齢、住居費などによって異なりますが、老後の生活費の目安としてください。
参考1:総務省「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)」
2.老後にもらえる年金の目安
日本年金機構の「令和8年4月分からの年金額等について」によると、令和8年4月からの標準的な夫婦2人分の年金額は月額237,279円です。これは、平均標準報酬45.5万円で40年間就業した場合の老齢厚生年金と、夫婦2人分の老齢基礎年金を合わせたモデルケースです。一方で、国民年金のみの単身世帯は、月額70,608円を受け取れます。[参考2]
上記の金額は公的年金のみの金額で、私的年金の受給額は含みません。なお、上記は令和8年度の年金額です。実際に受け取れる年金額は、現役時代の収入や年金の加入期間などによって異なります。
モデルケースだけでなく、実際の高齢者世帯が受け取っている収入も確認してみましょう。総務省の「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)」によると、公的年金などを含む社会保障給付が、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では月額228,614円、65歳以上の単身無職世帯では月額120,212円となっており、モデルケースより少し少なくなっています。[参考1]
老後にもらえる年金について詳しくは「老後にもらえる年金はいくら?受給額や計算方法を解説!」でも紹介しています。
また、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」も参考にすると良いでしょう。
参考2:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
3.老後の生活資金をシミュレーションしてみよう

ここでは、実際のデータを使いながら、老後の生活資金のシミュレーションをしてみましょう。
厚生労働省「令和6(2024)年簡易生命表」では、日本人男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.13歳です。また、同資料によると、65歳時点の平均余命は男性19.47年、女性24.38年です。[参考3]
ここでは、65歳に平均余命を加えた年齢まで生活すると仮定し、老後の生活資金をシミュレーションします。
参考3:厚生労働省「令和6(2024)年簡易生命表」
3.1.単身の場合
単身世帯の場合、総務省の「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)」によると、1ヵ月の消費支出は148,445円です。前述の通り、65歳以上の単身無職世帯の公的年金などを含む社会保障給付は月額120,212円です。[参考1]
不足額
148,445円-120,212円=28,233円/月
男性:28,233円×12ヵ月×19.47年=約660万円
女性:28,233円×12ヵ月×24.38年=約826万円
この結果から、単身世帯では男女ともに生活費が社会保障給付を上回っており、特に平均余命が長い女性はより多くの老後資金を準備する必要があることがわかります。
3.2.夫婦の場合
総務省の「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)」によれば、夫婦ふたりの世帯の消費支出は1ヵ月で263,979円でした。前述の通り、同調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の公的年金などを含む社会保障給付は月額228,614円です。[参考1]
前提
男性と女性の65歳時点の平均余命の平均:約21.93年{(19.47年+24.38年)÷2}
月の不足額
263,979円-228,614円=35,365円/月
老後の不足額
35,365円×12ヵ月×21.93年=約930万円
この結果から、夫婦世帯でも社会保障給付だけでは生活費をまかないきれず、65歳以降の生活に備えて不足分を補う資金を準備しておく必要があることがわかります。
3.3.二人以上世帯の場合
二人以上の無職世帯では、世帯主の年齢によって消費支出と公的年金などを含む社会保障給付の金額が異なります。総務省の「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)」をもとに、65~69歳、70~74歳、75歳以上に分けて不足額を計算します。[参考1]
| 世帯主の年齢 | 消費支出 | 社会保障給付 | 1ヵ月の不足額 | 計算期間 | 不足額 |
| 65~69歳 | 296,997円 | 206,222円 | 90,775円 | 5年 | 約545万円 |
| 70~74歳 | 285,844円 | 224,980円 | 60,864円 | 5年 | 約365万円 |
| 75歳以上 | 248,460円 | 211,289円 | 37,171円 | 約11.93年 | 約532万円 |
※75歳以上は、男性と女性の65歳時点の平均余命を平均した約21.93年から、65~74歳までの10年間を差し引いて計算しています。
65~69歳、70~74歳、75歳以上の不足額を合計すると、65歳以降に不足する生活資金は約1,442万円となります。年齢別に見ると65~69歳の不足額がもっとも大きいため、退職後の早い時期ほど生活費を補うための資金を多めに確保しておく必要があることがわかります。
介護費用も考慮するとより安全

老後資金を考える際は、毎月の生活費だけでなく、介護にかかる費用も考慮しておく必要があります。
生命保険文化センターの「2024(令和6)年度生命保険に関する全国実態調査」によると、介護にかかった一時費用の平均は47万円、月額費用の平均は9万円です。また、介護期間の平均は55ヵ月(4年7ヵ月)となっています。[参考4]
介護費用の目安
47万円+9万円×55ヵ月=約542万円
平均値をもとに計算すると、介護にかかる費用の合計は約542万円が目安となります。老後の生活費とは別に、介護費用についても備えておくと安心です。
参考4:生命保険文化センター「2024(令和6)年度生命保険に関する全国実態調査」
老後の資金を用意する方法
ここまでの内容で、「必要な老後資金を用意できないかも」と不安になってしまうかもしれませんが、今からできる対策もあります。ここからは、老後資金を用意する方法を紹介します。
1.銀行口座への預金
老後資金を準備する方法として、銀行口座への預金があります。銀行預金は、必要なときに引き出しやすく、預けた元本が値動きによって減ることもありません。老後の生活費や医療費・介護費など、必要になったときにすぐ使える資金を準備する方法として活用できます。
また、利息の付く普通預金や定期預金などは、預金保険制度により1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1,000万円までと破綻日までのその利息等が保護されます。
2.個人年金保険
老後資金に備えたいなら、個人年金保険への加入も検討しましょう。 個人年金保険とは、毎月支払う保険料を保険会社が積み立て、一定の年齢に達したときに積み立てたお金を年金としてもらえる仕組みの保険です。 公的年金だけでは老後資金を準備できない場合、個人年金保険を活用して準備する方法があります。
フコク生命では、個人年金保険「みらいプラス」をご用意しています。
みらいプラスは、セカンドライフのための老後資金準備を目的とした個人年金保険です。手続きは簡単で、通常の保険のような医師の診査は必要ありません。 個人年金保険「みらいプラス」の詳細については、以下のページよりご確認ください。
個人年金保険「みらいプラス」の詳細はこちら
https://www.fukoku-life.co.jp/ad/miraiplus
3.養老保険
養老保険は、死亡保障を確保しながら老後資金を準備できる保険です。一定の保険期間中に死亡した場合には死亡保険金を受け取り、満期まで生存した場合には満期保険金を受け取れます。
満期時にまとまった資金を受け取れるため、満期保険金を老後の生活費などに充てることができます。死亡保障に備えながら、将来必要になる老後資金も準備できる点が養老保険の特徴です。
ただし、満期保険金や途中解約時の解約返戻金が、払い込んだ保険料の総額を下回る場合もあります。老後資金の準備を目的に加入する際は、受け取れる満期保険金や保険料の総額などを確認しておきましょう。
4.終身保険
医療費や介護費、夫婦どちらかが先に亡くなった場合の負担に備えて終身保険に加入しておくのも、一つの方法です。 終身保険とは一生涯保障が続き、加入から保険料の変わらないタイプの保険です。
特約を付けると、がんや急性心筋梗塞、脳卒中などになった場合に、以後の保険料の支払いが不要になるタイプのものもあります。
老後の保険や医療費については「老後生活に備える保険は?不安の少ないセカンドライフにするために」「老後に不安があるなら必見!将来に向けた備えをFPが解説」も参考にしてください。
5.iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、現役時代から掛金を積み立て、老後資金を準備するための私的年金制度です。公的年金だけでは不足する老後の生活費に備える方法の一つとして活用できます。 自分で掛金を積み立て、投資信託や定期預金などから運用商品を選び、その運用成果を原則60歳以降に受け取ります。長期間にわたって積み立てることで、退職後に使う老後資金を計画的に準備できます。
掛金が全額所得控除の対象になるほか、運用益が非課税となり、受取時にも税制上の控除を受けられる点が特徴です。
一方、積み立てた資産は基本的に60歳まで引き出せません。また、選択する運用商品によっては元本割れするため、老後まで使う予定のない資金で無理なく積み立てることが大切です。
6.新NISA
新NISAは、老後資金を準備する際に活用できる制度の一つです。NISAでは、株式や投資信託などへの投資で得た利益が非課税になります。2024年からの新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、併用できます。
つみたて投資枠では、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託が対象です。一方、成長投資枠では、上場株式や投資信託など、より幅広い商品に投資できます。
老後に向けて長期的に資産形成したい場合は、投資目的やリスク許容度に合わせて2つの枠を使い分けると良いでしょう。ただし、NISAはあくまで運用益の非課税制度。NISAを利用しても元本が保証されるわけではなく、運用する商品によっては通常の株式同様に、元本割れする点に注意が必要です。
7.個人向け国債
個人向け国債は、国が個人向けに発行する債券で、老後資金の運用先の一つとして活用できます。「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類があり、1万円から購入できます。
満期まで保有すれば額面金額で償還されるほか、発行から1年が経過すれば中途換金も可能です。株式や投資信託のような価格変動をできるだけ避けながら、一定の利子を受け取りたい場合に検討しやすい金融商品です。
また、老後資金の準備方法について詳しくは「老後に必要な貯蓄額はいくら?足りない場合はどうすればいい?」「老後の一人暮らしに必要な資金や対策とは?老後のための備えについても紹介」でも紹介しています。
老後に必要な資金は、生活費だけでなく医療費や介護費も考えなくてはならないので、今からできる対策を取ると良いでしょう。
退職してから生活費を捻出する方法
退職後も再就職・再雇用で働けば、給与収入を得ながら生活費をまかなえます。 働く期間を延ばすことで、年金の受給開始時期を繰り下げ、将来の年金額を増やすこともできます。
年金の繰下げ受給とは、65歳から受給できる公的年金の受給開始時期を遅らせることで、受給額を増額できる制度です。繰り下げた月数に応じて、1ヵ月あたり0.7%ずつ年金額が増額されます。例えば、67歳まで2年間繰り下げた場合は、0.7%×24ヵ月=16.8%増額されます。繰下げによる増額率は、最大84%です。[参考5]
再就職・再雇用で生活費を確保しながら年金を繰り下げれば、退職後の収入を確保しつつ、その後に受け取る年金額を増やせます。自分の働き方や年金の受給開始時期によって受取額がどの程度変わるか確認したい場合は、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」を活用すると良いでしょう。
老後の再就職・再雇用に役立つ資格については「理想の老後・定年後を叶えるための資格15選!取得のメリットや見るべきポイントを紹介」でご紹介しています。
参考5:日本年金機構「老齢年金の繰下げ制度」
健康面でも備えておくと安心
老後にかかる医療費や介護費の負担を抑えるためには、日頃から健康維持に取り組むことも大切です。
病気や要介護状態になることを完全に防ぐことはできませんが、食生活や運動などの生活習慣を整えることで、健康な状態をできるだけ長く維持することにつながります。以下では、老後の健康増進に役立つ具体的な取り組みを紹介します。
1.適度な運動
日頃から適度な運動を行う習慣をつけていると、血流の改善や食欲の増進、腸の活発化など、さまざまな効果を期待できます。[参考6]
ウォーキングや適度な筋トレ、ストレッチといった軽めの運動を毎日の生活に取り入れるようにしましょう。
プールのなかで歩いたり、泳いだりすると、水の抵抗によって体に適度な負荷がかかり、より効率よく運動することができます。
2.暴飲暴食を控える
暴飲暴食をすると、胃や腸などの消化器系に大きな負担がかかってしまいます。
食べ過ぎ、飲み過ぎを繰り返すと栄養バランスが崩れたり、肥満リスクが上昇したりする原因にもなりますので、腹八分目の食事を意識するようにしましょう。
3.外出する
定年退職すると、毎日決まった時間に出かけたり、人と会ったりする機会がぐっと減り、生活リズムが乱れやすくなります。
また、一日中自宅で過ごすと孤独感が強くなり、心の健康が損なわれる可能性があります。
特に用事がなくても、毎日決まった時間に近くの公園まで散歩したり、近所のお店を巡ったりして外出する習慣をつけると、生活リズムが整うと同時に、心と身体のリフレッシュにもつながって一石二鳥です。
4.会話を楽しむ
認知症の発症リスクと対人的な接触頻度には密接な関係があることが明らかになっています。[参考7]
子どもが巣立ち、仕事も定年退職を迎えると、どうしても人との対面や会話が減ってしまいがちですが、まずはパートナーや身近な人と積極的に関わり合い、会話を楽しむ意識を持つことが大切です。
具体的には、共通の趣味を作ったり、地域のサークルなどに参加して交流を深めたりすると、日々の生活に程良い刺激が加わり、脳の衰えの予防につながります。
老後の趣味づくりについて、詳しくは「定年後におすすめの過ごし方をランキングでご紹介!メリットや見つけ方についても解説」でご紹介しています。
参考6:公益財団法人長寿科学振興財団健康長寿ネット「高齢者の身体活動と運動」
参考7:厚生労働省「認知症予防・支援マニュアル(改訂版)」p.2
セカンドライフを楽しむために保険を見直そう
ここまで老後に必要な費用や老後資金を備える方法についてご紹介してきましたが、老後資金を準備するためには、現在加入している保険も見直しておくと良いでしょう。 保険には、主に「万一の保障」や「将来に備える」という役割があります。
保険の種類と目的を簡単にまとめた表が以下になりますので、保険の見直しをする際に参考にしてみてください。
| 保険の種類 | 目的 |
| 定期保険 | 一定期間の死亡保障がある |
| 養老保険 | 保障期間を終えた時点で満期保険金を受け取れる |
| 終身保険 | 保障が一生涯続き、途中解約で解約払戻金を受け取れる |
| 個人年金保険 | 老後資金として積み立てたお金を年金形式で受け取れる |
まとめ
総務省の「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)」によると、65歳以上の無職世帯では、公的年金などを含む社会保障給付に対して生活費が毎月、夫婦のみの世帯で約3.5万円、単身世帯で約2.8万円不足しています。65歳時点の平均余命をもとに計算すると、不足する老後資金は夫婦で約930万円、単身では男性で約660万円、女性で約826万円です。
また、老後には生活費だけでなく、医療費や介護費への備えも必要です。介護が必要になった場合には、一時費用や月々の費用を合わせて平均約542万円かかる計算となります。日頃から健康維持に取り組んでこれらにかかる費用の削減を目指すとともに生活費とは別に準備しておくと安心です。
老後資金を準備する方法は、大きく「お金を蓄える・増やす」「保険で備える」「働いて稼ぐ」の3つに分けられます。
お金を蓄える・増やす方法には、安定して蓄えやすい銀行口座への預金や個人向け国債のほか、税制上のメリットを受けながら資産形成を目指せるiDeCo・新NISAがあります。
保険で備える方法としては、将来への備えや万一の保障に役立つ個人年金保険・養老保険・終身保険が選択肢です。現在加入している保険も、セカンドライフに合わせて見直しておきましょう。
働いて稼ぐ方法は、退職後も再就職・再雇用で働けば、収入を得ながら生活費を補えます。さらに、年金の受給開始を繰り下げることで、将来受け取る年金額を増やすこともできます。
必要な老後資金を把握した上で、自分に合った方法を組み合わせて準備を進めましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ
~47Life編集部からのコメント~
老後のお金は、漠然と考えていると不安になりがち。まずは「もらえるお金」と「使うお金」をざっくり把握するだけでも、必要な備えが見えてきます。今できることから、自分に合った老後資金づくりを始めてみましょう。

