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実家暮らしの場合、生活費があまりかからないことから、貯金がしやすい環境だといえます。しかしなかには、さまざまな理由でうまく貯金ができないケースもあるようです。
今回は、実家暮らしにおける貯金の目安、実家への生活費の必要性、実家暮らしで貯金ができない理由やおすすめの効果的な貯金方法を詳しく解説します。実家暮らしは「効率よく貯蓄するチャンス」なので、是非参考にしてみてください。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
実家暮らしでの貯金の目安は?
実家暮らしの方がどのくらいの金額を貯金に回せるのかを知るために、まずは平均年収から見た平均手取り月収と、実家暮らしでかかる平均支出を見てみましょう。
1. 20代~40代の平均年収から見た平均手取り月収の目安
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、20代~40代の平均年収(ボーナスを含む)は次の通りです。一般的にこの年収を12ヵ月で割った額から社会保険や税金などを差し引いて約8割が手取り月収の目安となります。
20代~40代の平均年収、手取り月収の目安[参考1]
年齢 | 平均年収※ | 手取り月収の目安※ |
20~24歳 | 335.1万円 | 22.3万円 |
25~29歳 | 414.1万円 | 27.6万円 |
30~34歳 | 463.5万円 | 30.9万円 |
35~39歳 | 513.0万円 | 34.2万円 |
40~44歳 | 547.6万円 | 36.5万円 |
45~49歳 | 574.8万円 | 38.3万円 |
※ 平均年収…(きまって支給する現金給与額×12ヵ月)+年間賞与など
※ 手取り月収の目安…(平均年収÷12ヵ月)×0.8
20代前半は新卒入社などの方も含まれていますので、他の年代に比べるとまだ年収や手取り月収額は低い傾向にあります。20代後半にはぐっとアップし、40代後半には平均年収は570万円超、手取り月収額は約38.3万円になっていることがわかります。
参考1:厚生労働省 「令和5年賃金構造基本統計調査」
2. 実家暮らしの場合にかかる支出
次に、実家暮らしの場合にかかる支出を見てみましょう。総務省統計局の「家計調査(2023年)」によると、34歳以下の単身世帯における平均消費支出月額は次の通りです。
単身世帯における平均消費支出(34歳以下、月額)[参考2]
項目 | 支出額 |
食費 | 約3.9万円 |
住居 | 約3.7万円 |
光熱・水道 | 約1.0万円 |
家具・家事用品 | 約0.4万円 |
被服及び履物 | 約0.7万円 |
保健医療 | 約0.5万円 |
交通・通信 | 約2.1万円 |
教養娯楽 | 約2.2万円 |
その他の消費支出 | 約2.5万円 |
支出合計 | 約17.0万円 |
実家暮らしでかからないと思われる支出項目としては「住居」「光熱・水道」「家具・家事用品」などが挙げられます。これらの合計が約5.1万円ですので、単身世帯における平均支出から差し引くと、実家暮らしでかかる平均支出月額は約11.9万円となります。
3. 実家暮らしで1ヵ月にできる貯金目安
前述の年代別手取り月収の目安からこの金額を差し引いた「実家暮らしでの貯金の目安」は次の通りです。
実家暮らしで貯金に回せる金額の目安
年齢 | 貯金金額の目安 |
20~24歳 | 約10.4万円 |
25~29歳 | 約15.7万円 |
30~34歳 | 約19.0万円 |
例えば20代前半で考えてみると、貯金に回せる金額は一人暮らしの場合で約5万円ですが、実家暮らしの場合にはさらに約5万円も多くなります。
いずれにせよ、実家暮らしではより多くのお金を貯金に回すことができますので、その点では有利だといえるでしょう。
参考2:総務省統計局「家計調査(家計収支編-単身世帯)2023年」
実家に生活費は入れるべき?
就職してからも実家暮らしをする場合、親から家に生活費を入れて欲しいといわれるケースも多いかもしれません。実家暮らしで家に生活費を入れる場合、例えば、新卒の20代前半であれば、前述の貯金に回せる目安である「約10.4万円」のなかからいくらかを入れることになるでしょう。
しかし、生活費を実家に入れるべきかは人それぞれの生活状況によるといえます。多くの方が、実家の家計に負担を掛けないために生活費を入れているようですが、家族でお互いの事情や気持ちを伝えあい、十分に話し合って決めることが大切です。親の経済状況や自身の収入、将来の計画なども考慮して、お互いに納得できる形を見つけましょう。
実家暮らしだけど貯金ができない理由
「実家暮らしで生活費に余裕があるはずなのになかなか貯金ができない」という方も、なかにはいるかもしれません。その理由として考えられるものは主に次の4つです。ぜひ自身に当てはまるかどうか確認してみましょう。
実家暮らしで貯金ができない主な理由
- 毎月の収支を把握できていない
- 欲しいと思ったらすぐに買ってしまう
- 貯金するための目標や目的がない
- そもそも手取りが少ない
1. 毎月の収支を把握できていない
実家暮らしでは生活費の負担が少ないため、収支の管理が疎かになりがちです。自分が毎月何にどれだけお金を使っているかが見えていないと、気づかぬうちに浪費してしまうことがあります。このように毎月の収支を把握できていない場合、無駄遣いに気づきにくく、貯金の機会を逃してしまう可能性が高いです。
2. 欲しいと思ったらすぐに買ってしまう
実家暮らしで生活費の負担が少なく、自由に使えるお金が多くなると、衝動買いをしやすくなる傾向があります。衝動買いをすることが多くなると、お金はいくらあっても足りません。欲しいものをすぐに購入することを続けていると、いつまで経っても貯金に回せるお金は発生しないままになってしまうのです。
3. 貯金するための目標や目的がない
なかには「貯金の目的はないけれど、毎月お金が余ったら何となく貯金に回している」という方もいるかもしれません。このように明確な貯金の目標や目的を設定していないと、貯金を続けていくモチベーションを維持するのは難しくなることが多いでしょう。貯金をする目標や目的がないと動機が薄れ、貯金をすることが、我慢の連続となり、続かなくなってしまうからです。
4. そもそも手取りが少ない
実家暮らしで生活費の負担が少なくても、手取り収入が少ない場合は貯金が難しくなるでしょう。日常で必要な生活費をまかなうだけで精一杯になるため、貯金に回せるお金が限られてしまったり、捻出できなかったりする可能性が高くなるからです。
実家暮らしだけれど貯金がうまくできないという方は「お金が貯まらない人ってどんな特徴があるの?貯めるためのポイントや注意点についても紹介」もぜひ参考にしてください。
実家暮らしで貯金する方法
実家暮らしでうまく貯金をしていく方法としておすすめなのは、次の7つです。
実家暮らしでおすすめの貯金方法
- 収支を把握する
- 目標金額と期間を決める
- 貯金の仕方を工夫する
- 銀行をわける
- 分割払いやリボ払いは避ける
- 投資を検討してみる
- 個人年金保険への加入を検討してみる
では、1つずつ詳しく見ていきましょう。
1. 収支を把握する
まずは、毎月の収入と支出を記録することから始めましょう。エクセルやスマートフォンのアプリなどを使って家計簿を付けて、どこにお金が使われているかを明確にします。無駄な出費を見直すことで、貯金に回せるお金が増やせる可能性があります。無理をせずに継続可能な貯金計画を立てるためにも、収支の把握は貯金の第一歩だといえるでしょう。
2. 目標金額と期間を決める
貯金の具体的な目標や期間を決めることで、貯金へのモチベーションがアップします。例えば「5年で100万円貯める」など、少しずつで構いませんので明確な目標を立ててみましょう。目標期間を細分化して、月ごとや半年ごとの中間目標も設定すると、貯金の進み具合を確認しやすくなり、達成感も得やすくなりますのでおすすめです。
3. 貯金の仕方を工夫する
貯金を習慣づけるために、貯金の仕方を工夫しましょう。例えば、実家暮らしのメリットを活かして、平均家賃分を毎月貯金するという方法があります。最初からその金額を使えないものとして扱えば、貯金に回すのも苦になりにくいものです。自動積立を利用すれば、年間にして数十万円~百数十万円程度の貯金が確実にできるでしょう。
もう少し手軽な方法としては、ランチを毎日お弁当にすることで、食費を節約して貯金に回すこともできます。仮に1食500円節約できれば、1ヵ月で10,000円の貯金になります。さらに、スマートフォンの通信料を格安SIMに乗り換えることで、通信費を抑えて貯金に回すことも可能です。月額5,000円の節約ができれば、年間で60,000円もの貯金になります。このように生活費を見直して、さまざまな貯金の仕方を組み合わせることで、年間にして数万円~30万円程度無理なく貯金に回すことができるのです。
工夫した貯金の仕方について詳しく知りたい方は「小銭貯金で上手にお金を貯めるには?小銭貯金をやる際の注意点やポイントについて紹介」や「ボーナス貯金は何割が理想?貯金のメリットや方法について詳しく解説」、「500円玉貯金はどうやればいい?メリットや貯めるコツ・ポイントについて詳しく紹介」もチェックしてみてください。
4. 銀行をわける
日常的に使う生活費用の口座と貯金用の口座を分けて管理すると、使えるお金と貯金額のそれぞれを明確に把握できるようになります。貯金口座へのアクセスもある程度制限されますので、衝動的なお金の引き出しを防ぐことにもつながるでしょう。貯蓄目的の口座に自動積立を設定すれば、貯金が自動化されますので、よりスムーズに貯金する習慣が身に付きます。
5. 分割払いやリボ払いは避ける
分割払いやリボ払いは、一見魅力的に思えるかもしれませんが、利子がかかり、最終的に支払う額が増える可能性があります。実際の支出額が見えにくくなり、お金の使い過ぎを招くリスクもあるため、できるだけ避けたいものです。なるべく一括払いを心掛けて、必要最小限の支出に抑えるようにしましょう。
6. 投資を検討してみる
貯金だけでなく、お金を増やす手段として投資を検討してみるのも1つの方法です。長期的な資産形成として、NISAやiDeCoから始めてみてはいかがでしょうか。共に税制優遇があり、長期的な資産形成に向いています。特にNISAは非課税枠が大きく、iDeCoは所得控除が受けられるため、節税効果も期待できます。投資なのでリスクはともないますが、どちらも少額から始められますので、実家暮らしで余裕資金を作りやすい方におすすめです。
投資についてさらに詳しく知りたいという方は「【新NISA】いよいよ新NISA開始!47都道府県、新NISAにいくら投資する?」や「【iDeCo】47都道府県、iDeCoを活用しているのはどこ?月々の掛金は?」もぜひ参考にしてみてください。
7. 個人年金保険への加入を検討してみる
将来の生活設計を考える上で、個人年金保険への加入も選択肢の1つとなります。毎月一定額を支払い、あとで年金として受け取れるというものですが、節税効果があるのもメリットです。公的年金に加えて老後資金を準備することができ、老後の安心感を高めてくれます。
フコク生命の個人年金保険「みらいプラス」は柔軟な商品設計ができるため、老後資金としての使い道以外にも、車の買い替えやマイホームの資金などといった大きな買い物への備えという使い方も可能です。
個人年金保険について詳しく知りたい方は「個人年金保険 みらいプラス」もぜひご覧ください。
まとめ
実家暮らしの場合、平均的な支出から計算すると、毎月貯蓄に回せる金額の目安は新卒の20代前半であれば約10.4万円です。このなかから家に生活費を入れる必要があるかどうかについては、親との話し合いで決めましょう。
実家暮らしは、一人暮らしに比べて最大で5万円程度多く貯金に回せるのがメリットですが、一方で衝動買いや支出管理の甘さ、低収入などの理由で貯金ができないというケースもあります。実家暮らしで貯金を習慣化する方法として、効果的な貯金方法としては、収支の把握や貯金の具体的な目標設定、先取り貯金、銀行口座の使い分け、分割払いを避ける、投資の検討、個人年金保険の活用などがおすすめです。
これらの方法を組み合わせて、実家暮らしのメリットを活かした効率的な貯金を目指しましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
是枝花名子(これえだ かなこ)
FPライター。大学卒業後、大手生命保険会社にて法人営業を担当。住宅ローンの繰り上げ返済、子どもの教育資金や老後資金作りを極めるため、改めてFP技能士を取得。専門知識と主婦目線を活かした記事執筆が好評を呼び、現在は主にメガバンク、大手不動産サイト等にて保険・不動産・翻訳ライターとして活動中。2級FP技能士
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ