産休や育休中の給料はどうなるの?制度の概要や受けられるサポートについて詳しく解説

産休や育休中の給料はどうなるの?制度の概要や受けられるサポートについて詳しく解説

期間限定キャンペーン中!

この記事を読んでいる人におすすめ!

女性も産休や育休を取得し、子育てと両立しながら働くのが当たり前の時代になりました。近年は育休を取得する男性も増えつつあります。

産休・育休を取ると、収入が減ってしまうのが心配な人も多いでしょう。本記事では産休・育休中の給料はどうなるのか、具体的にどのようなサポートがあるのかを解説します。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

産休・育休中は給与がもらえない?

出産や出産後の育児のために、会社などで働いている人は産休や育休を取得できます。産休や育休は、労働者に認められた法律上の権利です。ただし、産休・育休中には給与が支払われません。

給与はあくまで労働の対価として支払われるものです。産休・育休中は労働をしていないため、会社に給与を支払う義務はありません。まれに産休・育休中の給与が出る会社もありますが、ほとんどの会社は無給の扱いになります。ただし、公務員の場合には、産休中のみ給与が支払われることになっています。[参考1]

産休・育休中には給与はもらえませんが、公的な支援があります。給与の代わりになるものとして、産休中には出産手当金、育休中には育児休業給付金を受け取れます。そのほかにも、妊娠・出産・育児の際の経済的負担を軽くする制度が設けられています。詳しくは後述します。

参考1:人事院「両立支援ハンドブック

産休・育休はどんな制度?

そもそも、産休・育休とはどんな制度なのか、それぞれの概要や期間について解説します。

1. 産休(産前産後休業)とは

産休とは「産前産後休業」のことで、労働基準法に定められている制度です。労働基準法第65条は、産前産後休業について、次のように定めています。[参考2]

(産前産後)
第65条

  1. 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあつては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
  2. 使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。

    (以降略)

産前休業については出産予定日の6週間前から(双子などの多胎妊娠の場合には14週間前から)、労働者が任意で請求できます。産後については原則として出産の翌日から8週間になりますが、この期間、会社は必ず労働者を休ませないといけません。ただし、産後6週間経過していれば、労働者本人が希望した場合のみ勤務させることも可能とされています。

労働基準法は労働契約の最低基準を定めたもので、すべての労働契約に強制的に適用されるものです。会社の就業規則に産休の定めがなくても、出産するときには当然に産休を取得できます。なお、産休を取得できるのは出産する本人なので、基本的に女性のみになります。

参考2:e-Gov法令検索「労働基準法

2. 育休(育児休業)とは

育休とは育児休業のことで、育児・介護休業法で定められている休業制度です。育休を取得できるのは、原則として1歳未満の子どもを養育する労働者で、男性、女性は関係ありません。また、子どもが実子でなく養子であっても育休を取得できます。[参考3]

育休は、労働者が任意に請求できます。要件を満たしていれば必ず取得できるものであり、会社は従業員からの育休の申し出を拒否できないとされています(育児・介護休業法第6条第1項)。[参考4]

女性の場合には産後休業(子どもの出生後8週間)があるので、育休を取得できるのは産後休業が明けてからです。男性は産後休業が取れない代わりに、産後休業と同じ期間に4週間までの育休(産後パパ育休)を2回までに分割して取得できます。

産休・育休については、「産休の基本。期間や申請方法は?男性も取得できる?」で詳しく説明していますので、こちらもご参照ください。

参考3:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし
参考4:e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」第6条

産休もしくは育休中にもらえるお金や受けられるサポート

出産費用がどれくらいかかるかについては、「出産にかかる費用はどれくらい?平均額や自己負担額、足りないときの対処法について紹介」で詳しく解説しています。

産休中や育休中には会社から給与はもらえませんし、出産前後には費用がかかりますが、さまざまな支援があるため、実質的な負担は少なくなっています。妊娠中や出産前後に受けられる支援には次のようなものがあります。

1. 妊婦健康診査費用助成金

妊娠したら、定期的に妊婦健診を受ける必要があります。妊婦健診には公的医療保険が適用されず、健診費用は自己負担になります。ただし、市区町村が「妊婦健康診査費用助成金」などと呼ばれる助成制度を設けており、検査費用の一部または全額が公費から支払われます。

妊婦健診費用の具体的な助成内容は、市区町村によって異なります。一般的には、母子手帳交付時に受診券が配布され、産院の窓口で受診券を提示して健診を受ける仕組みになっています。[参考5]

参考5:八潮市「妊婦健康診査

2. 出産育児一時金

出産育児一時金は、出産の際にかかる費用をカバーするための一時金です。加入している公的医療保険(健康保険、国民健康保険など)から支払われます。

出産は病気ではないため、正常分娩は公的医療保険の適用外です。しかし、出産育児一時金を受け取れるため、出産費用の実質的な負担は小さくなっています。

出産育児一時金の金額は、子ども一人につき原則として50万円(産科医療補償制度未加入の医療機関などで出産した場合には48.8万円)です。直接支払制度が利用できる場合には、自分で立て替えることなく、健康保険組合から産院に直接出産費用を払ってもらうこともできます。[参考6]

参考6:全国健康保険協会「子どもが生まれたとき

3. 出産手当金

産休中に会社から給料をもらえなかった期間については、健康保険組合から出産手当金を受け取れます。出産日(出産が予定日より後になった場合は、出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日の翌日以降56日までのうち、会社を休み給与の支払いが無かった期間が対象で、給与の約3分の2が支払われます。

出産手当金は会社などの健康保険組合に加入している人(被保険者)のみが受け取れるものです。国民健康保険には出産手当金の制度はありません。また、配偶者の健康保険の扶養に入っている人も、出産手当金の対象外です。[参考7]

参考7:全国健康保険協会「出産手当金について

4. 傷病手当金

国民健康保険以外の健康保険に加入して働いている人が病気やケガにより3日以上連続して仕事を休んだ場合には、4日目から傷病手当金を受け取れます。傷病手当金の額は給与の約3分の2で、最長1年6ヵ月支給されます。傷病手当金の制度は国民健康保険にはなく、健康保険独自の制度になります。[参考8]

出産は病気ではないため、正常な経過の妊娠や正常分娩の場合には傷病手当金の対象にはなりません。しかし、切迫早産・切迫流産・重度の「つわり(妊娠悪阻・にんしんおそ)」などで休業した場合には、傷病手当金を受け取れます。なお、傷病手当金と出産手当金の両方を受け取れる期間については、出産手当金が優先されます。 [参考9]

参考8:全国健康保険協会「傷病手当金
参考9:全国健康保険協会「傷病手当金について」Q4

5. 育児休業給付金

育休中には給与が支給されませんが、代わりに雇用保険から育児休業給付金を受け取れます。育児休業給付金は原則として子どもが1歳になるまで支給されます。受け取れる額は、育休開始から180日目までが給与の67%、181日目以降が給与の50%です。[参考10]

育児休業給付金については、「育休手当(育児休業給付金)とは?給付金額や期間、申請方法について徹底解説」で詳しく説明していますので、こちらも読んでみてください。

参考10:厚生労働省「Q&A~育児休業給付~」Q23

6. 児童手当

児童手当は、子どもを養育している人に支給される手当です。子どもが生まれたら、偶数月に2ヵ月分の児童手当を受け取れます。これまで児童手当が受け取れるのは中学3年生まででしたが、2024年10月より高校3年生までに延長されました。

児童手当の金額は、3歳未満が1人につき月1万5,000円、3歳以上が1人につき月1万円です。なお、第3子以降については、1人につき3万円が支給されます。[参考11]

参考11:政府広報オンライン「2024年10月分から児童手当が大幅拡充!対象となるかたは必ず申請を

7. 出産・子育て応援交付金

妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施のため、国は出産・子育て応援交付金事業をおこなっています。これにより、子ども1人につき10万円程度の出産・子育て支援が受けられます。

具体的な支援の内容は自治体が独自に決める仕組みになっているため、住んでいる市区町村によって異なります。主に、出産・育児関連商品の購入に使える商品券の支給などがおこなわれています。[参考12]

参考12:こども家庭庁「妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(出産・子育て応援交付金)

産休・育休に入る前の伝え方やマナー

産休・育休について会社に相談する前に、妊娠を報告しなければなりません。妊娠中はつわりによる体調不良で周囲のサポートが必要な場合があります。妊娠がわかった段階で、直属の上司に報告しておくのがおすすめです。出産予定日とともに、産休・育休や産後の働き方について希望も伝えておきます。

同僚や取引先に伝える時期については、上司と相談しましょう。妊娠初期は流産のリスクも高くなっています。同僚には、安定期に入ってから伝えた方がよいでしょう。取引先には産休に入る前に、後任の紹介と合わせて報告します。

妊娠・出産は喜ばしいことですし、産休・育休は労働者の権利です。とはいえ、お互いに気持ちよく働くためには、周りの理解や協力が不可欠です。休むのは当然という態度ではなく、感謝の気持ちを忘れずに周りに配慮をしながら話をしましょう。

また、「両親や親戚」「仕事関係者」「友人」などに出産報告をすることで、相手への感謝を伝えてみてはいかがでしょうか。一般的な出産報告の方法やマナーについては「出産報告ははがきで書く?文例や書き方、伝えるタイミングについて詳しく紹介」を参考にしてみてください。

まとめ

出産・子育てしながら働くために、産休・育休を取ることができます。産休・育休中には給与は支払われませんが、さまざまな経済的な支援が受けられます。

産休中の給与に代わるものとして、健康保険から出産手当金が支給されます。育休中の給与代わりには、雇用保険から育児休業給付金が受けられます。その他にも、妊娠・出産・育児を支援するさまざまな手当や助成金があります

産休・育休は労働者の当然の権利ですが、産休・育休に入る前には、周りに配慮しながら伝えることも大切です。

産休・育休中は出産・育児に専念することになるとはいえ、初めての出産・育児はわからないことだらけです。フコク生命では、子育てを支援するサービスを運営しています。

フコク赤ちゃん&キッズクラブは「出産や育児に対する不安を少しでもやわらげてもらいたい」「お子さまには大きな夢をもって健やかに育ってもらいたい」という思いから誕生した、入会費・年会費無料のサービスです。当社保険への加入に関わらずご入会いただけます。
0歳~12歳のお子さまがいらっしゃる方、または妊娠中の方が対象です。
入会特典はこちらからご確認ください。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

森本 由紀(もりもと ゆき)
行政書士、FPライター。法律事務所で経験を積んだ後、独立。クライアントの生活設計や子育てについてのアドバイス、気持ちを整理するためのカウンセリングに力を入れている。FPとして、各種サイトで法律・マネー記事やコラムの執筆・監修も担当。AFP(日本FP協会認定)、2級FP技能士、行政書士

記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ