自営業を始めるにはどうすればいい?必要な準備やメリット・デメリットについて

自営業を始めるにはどうすればいい?必要な準備やメリット・デメリットについて

日本で長らく続けられてきた終身雇用制度が崩れつつある昨今、独立して自営業を始めたい!と考える方もいるでしょう。

一方で、自営業の始め方が分からない、難しそう、手続きが面倒と、二の足を踏んでいる方がいるのも事実です。

夢を夢のままで終わらせないよう、自営業の正しい始め方について学んでおきましょう。

この記事では、自営業の始め方や、手続方法、自営業になるメリット・デメリット、令和で自営業を始めるおすすめの職種について解説します。

会社員やフリーランスとの違いは「「自営業」とは?個人事業主やフリーランス、会社員との違いを解説!」で紹介していますので、あわせて確認してみてください。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

自営業は誰でもなれる!最初にやることは?

自営業の始め方は意外と簡単で、後述する手続きを行えば、誰でも自営業者になることが可能です。

ただし、無計画でスタートすると失敗するリスクが高くなります。

自営業は固定給が支給される会社員とは異なり、事業収入を得ないと経営を続けていくことができなくなってしまいます。仕入れたものが売れなかったり店舗設営にお金がかかったりなどで借金だけが残ってしまうことや、時間とお金をかけて取得した資格が活かせなくなることのないよう、きちんと下準備を整えることが大切です。

そこで、自営業の始め方として、最初にやるべきことを紹介します。

1. 自営業を始める目的・目標を決める

自営業に限らず、新しく何かを始めるときには、目的や目標を決めるところからスタートするのが基本です。

明確な目的・目標を定めないまま自営業を始めると、今後どういう方針で経営していくのか、どんな事業を行っていきたいのか、はっきりとしたビジョンが見えず、行き当たりばったりの経営になってしまいます。

イメージが漠然としている方は、「何のために自営業を始めるのか」「どのくらい稼ぐ必要があるのか(家計の維持のためなのか、事業として成り立たせるためなのか)」といった目的・目標を立てるところから始めましょう。

2. 事業計画書を作成する

事業計画書とは、どのように事業を運営していくか、具体的な指針や行動を示す計画書のことです。

自営業を始めたいと考えている方は、頭の中で経営のイメージやビジョンを描きますが、それを計画書という形にすることで、実現可能な計画かどうか、どこかに穴や課題はないか、などを客観的に判断できるようになります。

事業計画書のフォーマットや内容に決まりはありませんが、企業や事業の概要、事業コンセプト、従業員の情報、自社の強み・弱み、財務計画、ビジネスモデルなどの項目を盛り込むことが多いようです。

3. 必要に応じて資金を調達する

事業計画書を作成すると、経営に必要な資金や物品が明確になります。

手持ちの資金が不足する可能性がある場合は、銀行などの金融機関に融資を申し込む必要があります。

なお、「2. 事業計画書を作成する」で作成した事業計画書は、金融機関に融資を申し込む際に必要書類のひとつとして提出します。

無事融資を受けられたら、開業に必要な物品を買いそろえましょう。

自営業を始めるために必要な書類と手続き

自営業を始めるためには、まずお住まいの管轄の税務署にて、「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。

届出書には、氏名や生年月日、マイナンバーなどのほか、開業日や屋号、事業の概要などの情報を記載します。

「開業日」の項目があることからもわかる通り、「個人事業の開業・廃業等届出書」(以後「開業届」と言います)は基本的に事業を開始した後に提出するものですが、届出の期限は開業から1ヵ月以内と決まっています。

事業を本格的にスタートすると、多忙でなかなか手続きに訪れる時間が取れなくなる可能性もありますので、開業したら速やかに届出を提出することをおすすめします。

なお、事業所得の確定申告には、青色申告と白色申告がありますが、青色申告事業者になると、節税に有効な取扱いが多く受けられます。確定申告を青色申告で行う場合は、開業届で「青色申告承認申請書」にチェックを入れるとともに、青色申告承認申請書を別途提出する必要があります。

青色申告を行うには、複式簿記や簡易簿記によって作成した帳簿をもとに、賃借対照表と損益計算書を作成・提出する必要がありますが、最高65万円の所得控除を受けられる、家族に支払う給与を経費にできる、3年間赤字を繰り越せるなど、さまざまなメリットがあります。

新規開業する場合、事業を開始した日から2ヵ月以内に青色申告承認申請書を提出しなければならないため、開業届と一緒に提出するのが一般的です。

青色申告を行うかどうかは任意ですが、節税効果を狙うのなら開業届と一緒に手続きを済ませることをおすすめします。

自営業のメリット・デメリットは?

自営業には、メリットがある反面、いくつかのデメリットもあります。メリットだけでなく、デメリットも理解したうえで自営業を始めるようにしましょう。

ここでは、自営業のメリット・デメリットをそれぞれ紹介します。

メリット1. 自由に仕事ができる

自営業者は、特定の組織に属さないため、働き方や業務内容は原則自由です。

自分のやりたいことを仕事にできるのはもちろん、働く場所や働く時間も自分で決められるため、子育てや介護など家庭との両立も比較的しやすく、自分に合ったペースで働けるのは大きなメリットでしょう。

メリット2. 経営がうまくいけば大きな収入を得られる

会社員の場合は固定給が基本なので、各種手当てがプラスされたとしても、収入が大幅に増えることはほぼありません。

しかし自営業なら、経営が軌道に乗れば大きな収入を得られるため、会社員時代よりも収入を増やせる可能性があります。本業をしながら、副業で自営業を始めることもでき、給与プラスアルファの収入を狙うこともできます。

メリット3. 自分のスキル・能力を活かせる

人には得手・不得手がありますが、会社員の場合は適材適所で働けるとは限らず、配属部署によっては自分のスキル・能力を活かせない可能性があります。

自営業なら、自分のスキル・能力に合わせて事業内容を選べるので、やりがいも得やすいでしょう。本領を発揮して、収入を増やすこともできるかもしれません。

デメリット1. 安定した収入を得られる保証がない

会社員の場合、大幅な収入増を見込めない一方、毎月安定した収入を得ることができます。

自営業者は経営がうまくいかなかった場合、収入が得られないのはもちろん、場合によっては借金を背負ってしまうリスクがあります。

また、会社員では当たり前だった福利厚生やボーナスがない点や社会保障が薄い点にも注意が必要です。そのため、自営業者は会社員よりも、働けなくなったときの備えを用意しておかねければなりません。どんな備えが必要かは「独立・起業した自営業者や個人事業主が考えるべき、経済リスクと就業不能保険のすすめ」で詳しく解説していますので、あわせて確認してみてください。

デメリット2. 確定申告などの手続きが必要

自営業者になると、1月1日~12月31日の事業所得について、翌年の2月~3月に確定申告を行う必要があります。

特に青色申告では、損益計算書と貸借対照表を作成・提出しなければならないため、節税効果がある一方で手間と時間がかかる点はデメリットとなるでしょう。

税理士に依頼して確定申告を代行してもらうという方法もありますが、その場合、別途報酬を支払われなければならないため、相応のコストが発生します。

他にも社会保険の加入手続や保険料の支払いなど、自分でやらなければならない手続きが多くあります。自営業の社会保険や健康保険について詳しく知りたい方は「自営業の社会保険は何がある?リスクと対策をおさえよう」や「自営業が加入できる健康保険は?手続方法もあわせて解説!」もあわせて確認してみてください。

デメリット3. ローンやクレジットカードの審査に通りにくくなる

住宅ローンを組んだり、クレジットカードを作成したりするときは、必ず金融機関やカード会社によって審査を受けることになります。

審査基準は金融機関やカード会社によって異なりますが、安定した収入があるかどうかが重要なポイントになります。

毎月一定の収入がある会社員に比べると、月々の収入に波のある自営業者はローンやクレジットカードの審査に通りにくい傾向にあるようです。

もちろん、一定期間において安定した事業収入を得ていると判断された場合は審査に通ることができますが、事業を立ち上げたばかりの頃は審査に通るのは難しいと考えておいた方がよいでしょう。

令和時代の自営業におすすめの職種

自営業でどんな職種を選ぶかは人それぞれですが、インターネットが広く普及し、スマホやタブレットなどのモバイル端末が多く流通している令和時代では、場所や時間を選ばず自由に働ける職種、ほぼ経費がかからず仕入れ0でも始められる仕事が人気です。

会社員を辞めて新たに起業する方はもちろん、副業として自営業を始める方も、自分のペースで働ける職種を選ぶのがおすすめです。

ここでは、令和時代に自営業を始める方におすすめの職種を3つ紹介します。

1. ファイナンシャルプランナー(FP)

将来の夢や目標を実現するために、お金の面でサポートやアドバイスを提供する仕事です。

資産運用をはじめ、年金や保険、税金、住宅ローンなど、お金に関することなら何でも相談できるため、一般家庭から企業まで、幅広い顧客がつきます。

資格なしでも起業できますが、FP資格を取得しておくと、専門的な知識を有していることをアピールできるため、業務上で有利になります。

FP資格は3級から1級までありますが、個人事業主として活動するのであれば、日本FP協会にも登録できるようになる2級以上の取得をおすすめします。

資格については「主婦におすすめの資格は?おすすめ6選を紹介」でも解説していますので、あわせて確認してみてください。

2. ライター

クライアントからの依頼内容に沿った文章を作成する仕事です。

作成した文章は雑誌や書籍、フリーペーパーなど多岐にわたりますが、近年はWebサイトに掲載するパターンが多く、Web媒体専門のWebライターを生業にする方も増えています。

報酬は1記事あたり、または1文字あたりいくらで決まる場合が多く、単価が高い仕事をたくさん受ければ、高収入を狙うことも可能です。

文章を書くのが好きな方や、情報を調べたり取材したりして自分の言葉でまとめるのが得意な方におすすめの職種です。専門家による執筆が求められることもあるため、先述したFPなどの専門知識を生かしてライターとして活躍している方もいます。

ライターについては「主婦(主夫)におすすめの副業10選!イマドキはどうやってお金を増やす?」でも解説していますので、あわせて確認してみてください。

3. フードデリバリー

新型コロナウイルス感染症の流行にともない、電話やネットで注文を受けて食事を配達するフードデリバリーが注目を集めています。

フードデリバリーは、注文が入ったら店舗まで料理を受け取りに行き、お客さまのところへ配達する仕事です。

料金体系は業務委託契約を締結した会社によって異なりますが、お店から料理を受け取ったときと、お客さまに配達したときに発生する報酬に、配達距離や配達時間による報酬が加算される仕組みになっているところが多いようです。

好きなときに好きなだけ働けますし、自転車で配達することも可能なので、自動車免許を持っていない方でも始められるところが利点です。

その他、自営業におすすめの職種を知りたい方は、「【未経験でもできる!】主婦(主夫)におすすめの在宅ワークは?」も参考にしてください。

まとめ

自営業になるための手続きは、税務署で書類を提出すれば、誰でも始めることができます。

ただし、無計画に自営業をスタートすると失敗するリスクが高くなりますので、目的や目標を明確にし、事業計画書を作成するなど、しっかりと準備を整えてから始める必要があります。

自営業の始め方やメリット・デメリットをよく理解したうえで、自由な働き方やスキルを活かした働き方など自分に合った職種を選ぶと良いでしょう。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

記事提供元:株式会社ぱむ