独身女性の老後に必要な資金はどれくらい?目安や備えておくべきことを紹介

独身女性の老後に必要な資金はどれくらい?目安や備えておくべきことを紹介

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社会の変化にともない、男女問わず未婚の人が増えています。独身女性が安定して老後を過ごすには、どの程度の資金が必要なのでしょうか。この記事では必要な資金の目安や老後の費用、老後資金を準備するためにできることなどについて解説しています。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

女性の未婚率・単身世帯の割合はどれくらい?

2020年の女性の未婚率(50歳までに独身でいる女性の割合)は17.81%で、2000年の5.82%と比べて大幅に増加しています。[参考1]その背景として以下のような傾向が伺えます。

  • 価値観の多様化
    かつての「結婚=女性の幸せ」から、女性の社会進出により結婚による経済的依存を望まず自身のライフプランやキャリアを重視する人が増えています。そのため結婚は人生の選択肢の一つと考え、従来型の結婚だけでなく、何事にも縛られずに自由な生活を楽しみたい、キャリアを活かしたいなど生き方が多様化したことが、女性の未婚率増加の一因といえるでしょう。[参考2]
  • 社会環境の変化
    キャリアアップしている女性だけでなく、非正規雇用の女性も増加しており長時間労働により、プライベートな時間が少ない女性が増加しました。そのため出会いの機会の減少や経済的な不安が生じ、仕事と結婚・出産に踏み切るのが困難な状況になっています。さらに結婚後の育児・親の介護にかかる負担の大きさも、結婚・出産を躊躇する一因となっているでしょう。[参考2,3]

また単身世帯の割合も増加しています。1985(昭和60)年には全体で20.8%であった単独世帯は2020(令和2)年には2倍弱の38.0%に上昇しています。[参考4]

女性の単身世帯増加の理由としては、前述の未婚率の上昇はもちろん、高齢になってからの配偶者との離死別や核家族化の進行により子どもの独立で女性が一人で住むケースが増加しているからだと考えられます。[参考2、5]

このように、女性の未婚率上昇や単身世帯の増加は、単一の要因ではなく、個人の価値観の変化や社会環境の変化などが複雑に絡み合って起こっている現象といえるでしょう。

参考1:国立社会保障・人口問題研究所「性別50歳時の未婚割合、有配偶者割合。死別割合および離別割合1920~2020年
参考2:内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和4年版」特集編 人生100年時代における結婚と家族~家族の姿の変化と課題にどう向き合うか~」p.17
参考3:内閣府男女共同参画局「令和4年版 男女共同参画白書」特-41図 積極的に結婚したいと思わない理由
参考4:内閣府男女共同参画局「令和5年版 男女共同参画白書」p.16
参考5:内閣府男女共同参画局「令和5年版 男女共同参画白書」p.17

女性が独身を選択する理由

女性が独身を選んだ理由には、どのようなものがあるのでしょうか。年代別に見てみましょう。

【調査・年齢別にみた、各「独身でいる理由」を選択した未婚者の割合】[参考6]

18~24歳の女性今は、仕事(または学業)に打ち込みたいから42.1%
結婚するにはまだ若すぎるから41.2%
結婚する必要をまだ感じないから40.4%
25~34歳の女性適当な相手にまだめぐり会わないから48.1%
独身の自由さや気楽さを失いたくないから31.0%
結婚する必要性をまだ感じないから29.3%

18~24歳の女性の場合は、まだ若く、結婚の必要性がないと考えているのに対し、25~34歳の女性は、適当な相手との出会いがないことや独身の自由さを手放したくないといった気持ちがあることがわかります。

参考6:国立社会保障・人口問題研究所「第16回(2021年)結果の概要

若いうちから貯めておくべき老後資金の目安はいくら?

老後に安心して暮らすには、どのくらいの資金を用意する必要があるのでしょうか。2023年(令和5年)の家計調査報告によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の毎月の実収入は、126,905円で、支出は消費支出145,430円と非消費支出12,243円を合算して合計157,673円でした。[参考7]そのため、毎月30,768円、年間で369,216円不足します。

65歳定年まで勤務すると仮定し、女性の平均寿命である87.09歳(87歳で計算)[参考8]すると、22年分で合計8,122,752円不足します。[参考6]

老後資金について詳しく知りたい方は、「老後資金はいくら必要?年金だけでは足りない?金額の目安や備える方法について」もご覧ください。

参考7:総務省統計局「家計調査報告 2023年(令和5年)平均結果の概要
参考8:厚生労働省「令和4年 簡易生命表の概況

独身女性の老後にかかる費用を把握しておこう

独身女性が老後にかかる費用をより詳しく見てみましょう。

【高齢単身無職世帯の消費支出の内訳】[参考9]

項目月平均額(円)構成比(%)
食料40,10327.6
住居12,5648.6
光熱・水道14,4369.9
家具・家事用品5,9234.1
被服及び履物3,2412.2
保健医療7,9815.5
交通・通信15,08610.4
教養・娯楽15,27710.5
その他30,82121.2
合計145,430100.0

参考9:総務省統計局「家計調査報告 2023年(令和5年)平均結果の概要

住居費を除くと、最も多い割合を占めているのが食費で教養・娯楽費、交通・通信費などが続きます。

今後に備えておくべき費用

ここまで紹介してきたのは、通常の生活費です。生活費以外でどのような出費に備えるべきなのでしょうか

1.入院費や治療費

年齢が高くなるごとに、入院費や治療費について備える必要があります。女性が一生涯に使う医療費は約2,900万円とされていますが、そのうち51%が70歳以上にかたよっています。医療費のピークは80~84歳で1人あたり322万円かかっています。40~44歳の92万円と比べると3倍近く医療費がかかる計算です。[参考10]

また、独身の人でも家族、特に親と同居している場合は親の入院費や治療費についても考慮しなければなりません。自分自身の医療費だけでなく、親の資産で不足分が出る場合は、親の医療費を合わせて考える必要が出てくるので、かなり余裕をもって費用を準備する必要があるでしょう。

参考10:厚生労働省「参考2 生涯医療費(令和3年度)

2.介護費用

高齢になると、介護についても備えなければなりません。

【年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合】[参考11]

年代要介護認定者の割合
65~69歳2.8%
70~74歳5.5%
75~79歳12.4%
80~84歳26.4%
85歳以上57.8%

75歳を超えると10人に1人、80歳を超えると5人に1人、85歳を超えると2人に1人の割合で介護が必要となります。

では、どのくらい費用がかかるのでしょうか。月々の費用平均は約8.3万円です。年間で計算すると、約100万円の出費が見込まれます。医療費と同様、親の介護についても同程度の費用が必要となります。そのため親の資産で不足分が出る場合は親の介護費も考える必要が出てくるでしょう。

参考11:厚生労働省『令和4年版 厚生労働白書―社会保障を支える人材の確保―
参考12:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査

3.住宅や車にかかる費用

住宅ローンが残っている場合や、車のローンが残っている場合はその支払いをする必要があります。住宅ローンは安定した収入が見込める退職前に完済するのが理想ですが、支払いきれなかった場合は老後の費用として計算しなければならないでしょう。

また、地方に住んでいる場合は新たな自家用車の購入費用も考えなければなりません。都市部と異なり、公共交通機関が不便であるため車に頼らざるを得ないからです。特に、退職後に車を買い替える場合は要注意です。自身の返済能力を見極め、無理のない自動車ローンを組みましょう。

老後資金を貯金する・備えておくためにできること

老後に必要な資金はどうやって蓄えるとよいのでしょうか。ここからは、老後資金の貯金方法や備えるためにやるべきことについて解説します。

1.収支の把握・家計簿をつける

真っ先に手を付けるべきことは、家計の収支を把握することです。そのためには、家計簿をつける必要があります。家計簿をつけることで、お金の流れが把握でき無駄な出費を洗い出すことができるからです。

家計簿をつけると、固定費や変動費の詳細が把握できます。

【固定費と変動費の主な内訳】

固定費住居費(家賃・住宅ローンなど)
通信費(スマートフォンの料金やインターネット、サブスクリプションの利用料など)
水道光熱費
保険料
車両費(駐車場代、車検費用なども含む)
教育費(塾や習い事の費用)
変動費食費
娯楽費・交際費
被服費
日用・雑貨費
美容費
医療費
特別費(旅行、引越し、冠婚葬祭、家族のイベントなど)

例えば、スマホを格安キャリアに変更したり、住宅ローンを低金利のものに借り換えたりすることで固定費を削減でき、利用していないサブスクを解約することでも固定費削減ができます。その分を貯蓄に回すことで効率よく資金をためられるでしょう。

家計簿の付け方やポイント・注意点について詳しく知りたい方は、「家計簿に必要な項目とは?家計簿をつける際のポイントなども徹底解説!」もご覧ください。

2.資産運用を活用する

家計簿を使って資金を確保したら、資産運用を検討してみましょう。

iDeCo

1つ目に紹介するのはiDeCoです。iDeCoは個人型確定拠出年金のことで、国民年金や厚生年金といった公的年金に上乗せされる私的年金のことです。毎月一定額を積み立てて、投資信託や保険といった金融商品で運用し、60歳以降に一時金で受け取れます。

運用益がすべて非課税になる点や積立てた金額の全てを所得控除できるため、所得税や住民税を軽減できるというメリットがありますが、原則60歳まで解約できないというデメリットもあります。

掛金の金額は個人で決められるため、金額を迷う方がいるかもしれません。iDeCoの掛け金の平均金額について詳しく知りたい方は、「【iDeCo】47都道府県、iDeCoを活用しているのはどこ?月々の掛金は?」もご覧ください。

NISA(少額投資非課税制度)

2つ目に紹介するのはNISA(少額投資非課税制度)です。NISAは2024年から新しい制度に移行したため、年間最大で360万円(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)まで非課税で投資できます。

通常、金融商品(株式や投資信託など)に投資した際、売却益や配当などには20.315%の税金が課せられていますが、NISAで購入した金融商品の場合は売却益・配当ともに非課税となります。

NISAの平均投資額などについて詳しく知りたい方は「【新NISA】いよいよ新NISA開始!47都道府県、新NISAにいくら投資する?」もご覧ください。

個人年金保険

3つ目に紹介するのは個人年金保険です。個人年金保険とは、各保険会社で販売されている商品の一つで、一定の年齢まで保険料を積み立て、その後は積立金をもとに年金をもらう仕組みの私的年金のことです。上記の投資と比べ、確実に資産を増やすことができ、生命保険料控除の活用によって税制面での優遇もあります。一方途中で解約した場合、払い込んだ保険料より戻ってくる金額が少なくなる場合もあります。

iDeCoやNISAは税制面で大変優れた仕組みです。これまで貯蓄に回していた資金の一部をiDeCoやNISAにまわすことで、効率が良い資産形成を目指しましょう。しかし、どちらも投資である以上、元本割れのリスクもあります。老後資金を準備するという目的を踏まえると、すべてを投資でまかなうことはリスクが大きいでしょう。
リスクがある投資のみで老後資金を用意するのではなく、確実に資金を準備できる個人年金保険も入れて、バランス良くポートフォリオを組むのがおすすめです。

個人年金保険は、投資よりリスクが小さく、貯蓄より利回りが高いことが特徴です。税制面では生命保険料控除のメリットもあるため、老後資金の一部の準備方法として検討してはいかがでしょうか。フコク生命では個人年金保険「みらいプラス」をご用意しております。受取額のシミュレーションはこちらから行えます。

3.老後の住まいを考えておく

老後の住まいについて、あらかじめ考えておくことも必要です。現在独身の方も、高齢になった際に戸建てやマンションを購入するか、賃貸を選択するか迷われるかもしれません。

持ち家の場合、メリットとして家が自分の資産となる点や賃貸住宅を借りられない心配がなくなる点などが挙げられます。デメリットとしては、ローンの支払い負担が重い点や住宅修繕費用が必要となる点に注意しなければなりません。

賃貸の場合、メリットとして初期費用があまりかからず、家賃費用の負担が比較的軽いという点が挙げられます。デメリットとしては、高齢になると借りにくい点や自分の資産ではないので、高齢になっても家賃を支払い続けなければならない点などに注意しなければなりません。

持ち家も賃貸も、どちらも一長一短あるため自分のライフスタイルに合わせて選択することで、自身の老後へ備えておきましょう。

4.今後のライフプランの見直しをする

老後資金のつみたて状況や老後の住まいの選択、万が一への備えの考え方次第で、今後のライフプランを見直す必要があります。独身であれば、子どものための資産形成を考える必要はありませんが、自身の医療や介護に備える必要性が高まります。

ライフプランを見直したら、合わせて保険も見直しておきましょう。独身の方は結婚や家族が増えるといった出来事が無いので、若い頃に加入した保険に入りっぱなしという方も多いのですが、若い頃に思い描いていたライフプラン、すなわち必要保障額は変化していることでしょう。
現在のライフプランに合わせて、保険を見直すのがおすすめです。

例えば、フコク生命の「未来のとびら」は、多様なライフスタイルに対応した保険です。「未来のとびら」は、必要な保障を必要な分だけ自由に組み合わせられるフレキシブルな保険となっています。詳しい内容を知りたい方は「未来のとびら」をご覧ください。

また、フコク生命の「お客さまアドバイザー」は、お客さまからのご相談に気配りと豊富な知識でお応えし、一人ひとりに最適な商品をご提案するコンサルティングセールスを提供しています。必要保障額の計算やおすすめの保険など、お気軽にご相談ください。

まとめ

社会やライフスタイルが大きく変化する中、生涯独身を選択する女性が増えています。子どもや他の親族に頼ることなく経済的に自立するには、最低でも800万円以上の老後資金が必要です。入院や介護のことを考えると、もっと多く必要かもしれません。

必要な資金を準備するには、家計簿をつけて資産運用に必要な資金をねん出し、中長期的な資産形成を目指すことが重要です。その際は、税制面を考慮し、iDeCoや新NISAを利用することや、確実に資金を準備できる個人年金保険を活用し、ポートフォリオを組むことがおすすめです。

また、ライフプランの見直しにより保険についても整理し、本当に必要なものに絞り込むことも必要です。万が一のリスクに備えつつ、自分のための老後資金をしっかりと準備しましょう。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

ライター:森本 由紀(もりもと ゆき)
行政書士、FPライター。法律事務所で経験を積んだ後、独立。クライアントの生活設計や子育てについてのアドバイス、気持ちを整理するためのカウンセリングに力を入れている。FPとして、各種サイトで法律・マネー記事やコラムの執筆・監修も担当。AFP(日本FP協会認定)、2級FP技能士、行政書士

記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ