大学生になると、アルバイト代や仕送りを自分で管理する機会が増えます。一方で、友人との外出や学用品、就職活動などへの支出も増えるでしょう。
大学生のうちから貯蓄を始めたいと思っても、毎月いくら貯めるべきか分からず不安に感じる人も少なくありません。本記事では、大学生の収支から考える貯蓄の目安と、将来に備えて無理なく貯める方法を解説します。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
大学生の平均収入・支出はいくら?
ここでは、実家暮らし・学生寮・一人暮らしに分けて、大学生の平均収入・支出を紹介します。自分に近い居住形態の金額を参考に、毎月のお金の流れを確認してみましょう。
1.【実家暮らし・一人暮らし別】大学生の毎月の平均収入・支出
日本学生支援機構の「令和6年度学生生活調査結果」では、大学生の居住形態別に、年間収入と年間支出の平均額が公表されています。[参考1]
| 居住形態 | 年間収入 | 年間支出 | 月平均収入 | 月平均支出 |
| 実家暮らし (自宅生) | 1,862,800円 | 1,801,300円 | 約155,200円 | 約150,100円 |
| 学寮 | 2,175,900円 | 2,277,200円 | 約181,300円 | 約189,800円 |
| 下宿、アパート、 その他 | 2,287,800円 | 2,342,900円 | 約190,700円 | 約195,200円 |
※月平均収入・月平均支出は、それぞれ年間収入・年間支出を12ヵ月で割って算出しています。
居住形態別に見ると、自宅生よりも学寮生や下宿生の方が、平均収入・平均支出ともに高くなっています。学寮生や下宿生は、家庭からの仕送りなどを含む収入が多い一方、住居・光熱費や食費などの支出も大きくなるためです。
大学生の収入や支出は、居住形態によって異なります。自分に近い居住形態の平均額を参考にしながら、毎月どのくらいの収入があり、何にいくら使っているのかを把握しておきましょう。
参考1:日本学生支援機構「令和6年度学生生活調査結果」1ページ目をもとに富国生命保険相互会社が算出
2.大学生の預貯金額・預貯金の目的は?
大学生は、何のために、どうやってお金を貯めているのでしょうか。SMBCコンシューマーファイナンスの「10代の金銭感覚についての意識調査2024」から、預貯金の目的や日頃おこなっている節約行動を見てみましょう。
大学生等が預貯金をする理由の上位5つを「備え系」と「楽しみ系」に分けてみました。[参考2]
| 順位 | 理由 |
| 1位 | 将来のため |
| 2位 | 万が一のときのため |
| 3位 | 買いたいものがあるため |
| 4位 | 一人暮らしをするため |
| 5位 | 旅行に行くため |
「将来のため」「万が一のときのため」「一人暮らしをするため」は将来に向けた備えという意味で「備え系」に、「買いたいものがあるため」「旅行に行くため」は今を楽しむという意味で「楽しみ系」に分類しました。中身をみると備え系は楽しみ系より割合が高い傾向にあり、大学生等が目先の楽しみより将来への備えを重視して貯蓄をしている様子がうかがえます。
また、大学生等がおこなっている主な節約行動は以下の通りです。
| 順位 | 節約術 | 高校生 | 大学生等 |
| 1位 | 貯めたポイントを利用する | 41.20% | 48.50% |
| 2位 | 外食を控える | 39.00% | 47.80% |
| 3位 | 学割を利用する | 34.30% | 43.50% |
| 4位 | クーポンを利用する | 33.30% | 39.80% |
| 5位 | 徒歩や自転車で移動する | 22.70% | 29.50% |
こうした意識は、節約行動にも表れています。大学生は一人暮らしが増え始めることもあり、上表の通り節約行動の上位5項目すべてで高校生より約10%弱高くなっています。こうした意識と行動の積み重ねの結果、大学生等の57.5%が預貯金をしており、平均額は324,508円に達しています(SMBC調査)。これは、実家暮らしの学生の月収入(約155,200円、学生生活調査)のおよそ2ヵ月分に相当します。また、将来への備えの意識や節約行動の高まりからも、大学生が卒業に向けて、ますます貯蓄を増やしていくことも想定できます。
参考2:SMBCコンシューマーファイナンス「10代の金銭感覚についての意識調査2024」
大学生のうちから貯蓄をしておくことで得られるメリット
大学生のうちから貯蓄をしておくと、急な出費に備えられるだけでなく、学生生活の選択肢も広がります。お金に余裕があることで、アルバイトや支出に追われすぎず、学業や就職活動にも集中しやすくなるでしょう。ここでは、大学生のうちから貯蓄をしておく主なメリットを紹介します。
1.精神的なゆとりが生まれる
貯蓄があると、金欠による不安を減らしやすくなります。友人からの誘いを毎回お金の理由で断ったり、生活費のために無理にアルバイトのシフトを増やしたりする負担を抑えられるからです。
また、不安に振り回されにくくなることで、学業や就職活動、友人との時間など、学生生活で大切にしたいことにも向き合いやすくなります。
さらに、急な支払いが発生しても落ち着いて対応できます。毎月少しずつでも貯蓄をしておくことは、日々の安心感を支える備えになります。
2.自分への投資ができる
貯蓄は、将来の自分への投資にも使えます。資格取得の講座、語学学習、短期留学、プログラミング学習など、学生のうちに挑戦できることは少なくありません。
まとまったお金がないと、興味のある講座や経験を見つけても、費用を理由に諦めざるを得ないと思うことがあります。しかし、貯蓄があれば、成長につながる機会が来たときにすぐ動きやすくなるでしょう。
3.急なトラブルに備えられる
病気やケガ、パソコンの故障、スマートフォンの修理など、大学生活では急な出費が発生することがあります。授業や就職活動で使うものが壊れた場合、すぐに買い替えや修理が必要になることもあるでしょう。
貯蓄があれば、予期せぬトラブルが起きても慌てず対応しやすくなります。親に毎回頼らず自分で支払える範囲が広がるため、生活面の安心感にもつながります。
4.金融リテラシーを身につけられる
大学生のうちから貯蓄習慣を身につけると、将来の資産形成にもつなげやすくなります。若いうちから少額でも積み立てを続ければ、時間をかけてお金を育てる考え方を身につけられるからです。
将来的にはNISAなどを活用した資産形成に発展する土台が貯蓄です。さらにNISAなどで長期的に積み立てる場合、運用で得た利益がさらに利益を生む「複利」の効果も期待できます。
ただし、投資には元本割れのリスクがあります。生活費や直近で使うお金を確保した上で、余裕資金の範囲で検討しましょう。
5.就職活動に専念できる

大学生活の後半になると、就職活動に関する出費が増えやすくなります。リクルートスーツ代、証明写真代、交通費、遠方の選考に行く場合の宿泊費など、意外と費用がかかるためです。
就活中は面接や説明会の予定が入り、アルバイトのシフトを減らさなければならないかもしれません。早めに貯蓄をしておけば、お金の不安を抑えながら就職活動に集中しやすくなります。
6.卒業旅行や新生活の準備金になる
卒業旅行や新生活の準備にも、まとまったお金が必要です。旅行代金だけでなく、就職にともなう引っ越し費用、家具・家電の購入費、スーツや仕事用の持ち物などにもお金がかかります。
しかし、貯蓄があれば、卒業前後のイベントを前向きに計画しやすくなります。単に節約するためだけでなく、卒業までに楽しみたいことや新生活に必要な準備にお金を使えるのは大きなメリットでしょう。
大学を卒業するまでにいくら貯めれば安心?
卒業後の新生活をスムーズにスタートさせるには、親からの援助なども含めて、卒業までに100万円前後を目安に貯蓄しておくと安心です。データを踏まえてその内訳をみていきましょう。
総務省統計局の「家計調査」によると、2025年の単身世帯の消費支出は、1世帯当たり1ヵ月平均173,042円でした。初任給が入るまでの生活費として2ヵ月分を見込むと、346,084円が必要になる計算です。[参考3]
- 生活費2ヵ月分:173,042円×2ヵ月=346,084円
また、一人暮らしを始める際は、賃貸契約の初期費用もかかります。初期費用は物件によって異なりますが、敷金・礼金・仲介手数料・前家賃などを含めると、家賃の4.5〜5ヵ月分が目安です。
住居費を東京都の相場である約12万円として計算すると、賃貸契約の初期費用は54万円〜60万円程度になります。
- 賃貸契約の初期費用:12万円×4.5〜5ヵ月=54万円〜60万円
さらに、卒業前後の2〜4月は引っ越しの繁忙期にあたりやすく、単身でも引っ越し費用が高くなることがあります。単身の引っ越し費用として9万円前後を見込んでおくと良いでしょう。
- 卒業後の新生活に必要な資金の目安
- 生活費2ヵ月分:約35万円
- 賃貸契約の初期費用:約54万円〜60万円
- 引っ越し費用:約9万円
上記を合計すると、卒業後に一人暮らしを始めるために必要な金額は、約98万円〜104万円です。家具・家電を一からそろえる場合は、さらに費用がかかります。
ただし、これらの費用を全て自分の貯蓄だけで用意する必要はありません。親から新生活費の援助を受けられる場合は、必要な金額から援助額を差し引いた金額を、自分で貯める目標額として考えましょう。
例えば、新生活に100万円必要で、親から30万円の援助を受けられる場合、自分で準備する金額の目安は70万円です。まずは卒業後に必要になる費用と親から受けられる援助額を確認し、自分が卒業までにいくら貯める必要があるのかを把握しておくことが大切です。
参考3:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
貯蓄のために収入を増やすアプローチ
支出を減らすだけでは、貯蓄できる金額に限界があります。授業やサークル、就職活動とのバランスを取りながら、無理なく収入を増やす方法を考えることも大切です。
1.スキマ時間を活かして単発バイトをする

授業やサークル、試験期間などでスケジュールが変わりやすい大学生は、単発バイトを活用するのも方法の一つです。
単発バイトであれば、固定シフトのアルバイトのように毎週決まった時間を空ける必要がありません。イベントスタッフや試験監督、軽作業、販売補助など、1日単位で働ける仕事を選べば、予定が空いている日にだけ収入を増やせます。メインのアルバイトに加えて、長期休みや授業の少ない日に単発バイトを入れれば、月ごとの収入を底上げしやすくなります。
ただし、無理に予定を詰め込みすぎると、学業や体調に影響する恐れがあります。そのため、単発バイトは「毎月足りない分を補う手段」として、無理のない範囲で取り入れることが大切です。
2.有給インターンで稼ぎながら学ぶ
収入を得ながら将来に役立つ経験を積みたい場合は、有給インターンに参加してみてください。
有給インターンでは、企業の実務に関わりながら報酬を受け取れるため、アルバイトと同じように収入を得られます。職種や企業によっては、一般的なアルバイトと同等、またはそれ以上の時給で働けます。
さらに、営業、マーケティング、エンジニアなど、実務に近い経験を積める点もメリットです。お金を稼ぐだけでなく、ビジネスマナーや仕事の進め方を学べるため、就職活動でアピールできる材料にもなります。単に労働時間をお金に変えるだけでなく、将来への自己投資にもつながる働き方として、有給インターンを検討してみると良いでしょう。
3.不用品販売やポイ活で稼ぐ
アルバイトのシフトを増やすのが難しい場合は、不用品販売やポイ活を活用するのも方法の一つです。
不用品販売やポイ活は、新しく労働時間を増やさなくても、スキマ時間を使って手軽に収入を得やすい点がメリットです。例えば、着なくなった服や使わなくなった家電、読み終わった本、使い終わった教科書などは、フリマアプリや買取サービスで売却できます。
また、日常の買い物で還元率の高いキャッシュレス決済を使ったり、ポイントサイトを経由してサービスを利用したりすれば、普段の支出からポイントを貯めやすくなります。貯まったポイントを生活費に充てれば、その分だけ現金を手元に残しやすくなるでしょう。
不用品販売やポイ活だけで毎月大きな収入を得るのは難しいものの、スキマ時間に数千円〜数万円の資金を生み出せます。アルバイトやインターンと組み合わせれば、無理なく貯蓄に回せるお金を増やしやすくなります。
お金の稼ぎ方について知りたい方は「お金を稼ぐ方法を紹介!安全に始めるためのポイントや注意点について」もご覧ください。
大学に通いながら無理なく貯蓄をする方法
貯蓄を続けるには、気合いや我慢だけに頼らない仕組みづくりが重要です。大学生活は予定外の支出も多いため、収入が入った段階で貯蓄する金額を決め、残ったお金で生活する流れを作りましょう。
1.先取り貯蓄をする
貯蓄を習慣化したい場合は、収入が入ったタイミングで先取り貯蓄をするのがおすすめです。先取り貯蓄とは、アルバイト代や仕送りが入ったら、使う前に一定額を貯蓄用の口座へ移しておく方法です。先に貯蓄分を分けておけば、手元に残ったお金の範囲で生活する意識が生まれやすくなります。
毎月余ったお金を貯蓄しようとすると、外食や買い物、交際費などで使い切ってしまうこともあるでしょう。一方で、先取り貯蓄なら意思の強さに頼らず、収入が入るたびに自動的にお金を残しやすくなります。
最初から大きな金額を貯めようとする必要はありません。まずは月1,000円や3,000円など、無理なく続けられる金額から始めることが大切です。慣れてきたら、収入の増減に合わせて先取り貯蓄の金額を少しずつ増やしていきましょう。
2.サブスクリプションサービスなど固定費を見直す
貯蓄に回せるお金を増やしたい場合は、毎月支払っている固定費を見直すことも大切です。固定費とは、スマートフォン料金や動画・音楽のサブスクリプションサービス、アプリ課金、保険料など、毎月ほぼ決まって発生する支出のことです。一度見直せば節約効果が継続しやすいため、食費や交際費を我慢するよりも負担を抑えながら支出を減らせるでしょう。
例えば、あまり使っていない動画配信サービスを解約したり、スマートフォンを格安SIMへ乗り換えたりすれば、毎月の支出を下げられます。月1,000円の固定費を削減できれば、年間では12,000円を貯蓄に回せます。
固定費の見直しは、生活の満足度を大きく下げずにおこないやすい節約方法です。まずは、毎月自動で引き落とされているサービスを確認し、本当に必要なものだけを残すようにしましょう。
3.アプリなどで支出を見える化する
無意識の無駄遣いを減らしたい場合は、スマートフォンの家計簿アプリなどを活用して、日々の支出を見える化することが大切です。貯蓄がなかなか増えない人のなかには、自分が何にいくら使っているかを正確に把握できていないケースも多くあります。コンビニでの買い物やカフェ代、外食費、アプリ課金などは、1回あたりの金額が小さくても、積み重なると大きな支出になります。
まずは、食費・交際費・交通費・趣味・サブスクリプションサービスなど、何にお金を使っているのかを確認しましょう。支出の内訳が分かれば、「外食を少し減らす」「使っていないサブスクリプションサービスを解約する」など、見直すべき項目を判断しやすくなります。
また、家計簿を手書きで続けるのが苦手な人は、銀行口座やクレジットカード、キャッシュレス決済と連携できる家計簿アプリを使うのもおすすめです。自動で利用履歴が反映されるため、細かく入力する手間を減らしながら、お金の流れを管理できます。
4.学割をフル活用する
学生は、学割を活用することで生活費や趣味にかかる支出を抑えやすくなります。学割は交通機関だけでなく、映画館や美容室、カラオケ、動画配信サービス、ソフトウェア、パソコン関連サービスなど、さまざまな場面で利用できることもあるでしょう。
節約というと、外出や趣味を我慢するイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、学割を活用すれば、生活の満足度を大きく下げずに支出を減らすことができます。
学生証は常に携帯して、いつでも利用できるようにしつつ、ソフトウェアの契約や映画館・美容室などを利用する際は、学生料金が用意されていないか確認してみてください。浮いたお金をそのまま貯蓄に回せば、無理なく貯蓄額を増やしやすくなります。
まとめ
大学生の収入・支出は、実家暮らし・学生寮・一人暮らしなどの居住形態によって異なります。まずは、自分の収入と毎月の支出を把握し、無理なく貯蓄できる金額を考えることが大切です。
必要な貯蓄額は人によって異なるため、平均額だけを目標にする必要はありません。
卒業後に一人暮らしを始める場合は、新生活に100万円前後の資金が必要になることもあります。ただし、親から援助を受けられる場合は、その金額を差し引いて自分の貯蓄目標を設定しましょう。
先取り貯蓄や固定費の見直し、家計簿アプリによる支出の見える化などを取り入れれば、無理なく貯蓄を続けやすくなります。就職活動や卒業旅行、新生活など、将来使いたいお金を意識しながら、自分に合ったペースで貯蓄を続けていきましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
宮崎 千聖(みやざき ちさと)
FPライター。神戸大学経済学部卒業後、銀行の融資課にてローンの相談・手続きを担当した。退職後はライターとして、メガバンクや司法書士法人のオウンドメディアなどで記事を執筆。カードローンやクレジットカード、資産運用、債務整理など幅広いジャンルで執筆している。2級FP技能士、証券外務員一種
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ
~47Life編集部からのコメント~
大学生になったら、アルバイト代や保護者からの仕送りなど、自分でお金を管理する機会が増えることでしょう。一方で、友人との付き合いや趣味、就職活動など、さまざまな場面でお金が必要になるため、思うように貯蓄できないと感じることもあるかもしれません。
大切なのは、ご自身の収入や生活スタイルに合った無理のないペースで貯蓄を続けることです。学生時代に身につけたお金の管理習慣は、卒業後の新生活や将来の資産形成にも役立つはずです。将来に向けた備えやお金との付き合い方について、大学生のうちから考えてみてください。
