「入籍」と「結婚」の違いはなに?意味やタイミング、報告マナーについても解説

「入籍」と「結婚」の違いはなに?意味やタイミング、報告マナーについても解説

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結婚するときに、「入籍する」と表現する人も多いでしょう。「入籍」と「結婚」は同じような意味で使われていますが、両者は違う意味の言葉です。本記事では「入籍」「結婚」それぞれの本来の意味や両者の違いについて説明し、入籍のタイミングや結婚報告のマナーについて解説します。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

「入籍」と「結婚」の違い

「入籍」と「結婚」は同じ意味で使われることが多くなっています。しかし、「入籍」と「結婚」は異なる概念です。まずは、「入籍」と「結婚」の違いについて説明します。

1. 入籍の意味

「入籍」とは、既存の戸籍に入るという意味です。婚姻や養子縁組などで、当事者の一人が、元の戸籍を抜けて別の戸籍に入ることを「入籍」と言います。新しく生まれた子が親の戸籍に入る場合も「入籍」です。

しかし、実は現在の戸籍制度では、ほとんどの婚姻で「入籍」はおこなわれません。初婚同士の場合、通常は双方が同時に親の戸籍を抜けて、二人で新しい戸籍を作るからです。どちらかが既存の戸籍に入るわけではありません。

ただし、再婚の場合などには、「入籍」となるケースがあります。過去に離婚歴がある人は、初婚の際に親の戸籍を出ており、自分の戸籍がある場合が多いからです。例えば、夫が再婚で初婚の際に作った戸籍がある場合、その戸籍に再婚する妻は入ることができます。このような場合には「入籍」となります。

結婚するときに入籍しないケースが圧倒的に多いにもかかわらず、結婚することは「入籍」と呼ばれています。これは、旧民法の「家制度」の名残です。昔は、結婚すると女性は夫の家の戸籍に入っていたため、「結婚」イコール「入籍」でした。そのため、今もなお結婚全般に「入籍」という言葉が使われているのです。

2. 結婚の意味

結婚とは夫婦になることで、婚姻と同じ意味です。男女が婚姻の意思を持って役所に婚姻届を提出すれば、結婚して夫婦となります。

夫婦には互いに協力して助け合いながら生活する義務が生じるほか、相続権などの権利も発生します。夫婦になると社会的にも一つの単位として認められ、配偶者がいることによる税制上の優遇なども受けられます。

なお、結婚するときには結婚式をするのが一般的ですが、例え結婚式をしても婚姻届を出していない限り、結婚は成立していません。法律上の結婚は、婚姻届を出さないと成立しないのです。

その他、入籍・結婚に関連する言葉も紹介!

結婚に際して使われる言葉の中には、紛らわしいものや意味がわかりにくいものもあります。入籍・結婚に関連するその他の言葉の意味を確認しておきましょう。

1. 婚約の意味

婚約とは、将来結婚して夫婦になることをお互いが約束することです。結婚するには婚姻届を出す必要がありますが、婚約のルールは特になく、口約束でも婚約は成立します。一般的には、婚約指輪などの記念品を贈って、婚約の証とすることが多くなっています。

婚約するために、法律上の手続きは必要ありませんが、婚約にも拘束力はあります。一方的に婚約を破棄した場合などには、損害賠償責任が生じる場合もあります。

2. 婚姻の意味

婚姻とは夫婦になることで、結婚と同じ意味です。結婚は法律用語では婚姻といいます。婚姻は、双方が婚姻の意思を持った上で、役所に婚姻届を出すことで成立します。婚姻すると、お互いが配偶者という関係になり、さまざまな権利・義務が発生します。

3. 結納の意味

結納とは、二人の婚約を両家の家族が確認する儀式で、日本で伝統的におこなわれているものです。結納の方式は地域によっても違いがありますが、一般的には男性の家から女性の家へ結納品を納め、女性の家が料理でもてなす形式になります。

婚約しても、必ずしも結納をする必要はありません。最近は、結納品を用意することなく、両家の顔合わせの食事会のみをおこなうケースが多くなっています。

入籍届と婚姻届の違いは?

入籍と結婚(婚姻)は厳密には違うことを説明しました。ところで、役所でおこなう届出にも、入籍届と婚姻届があります。入籍届と婚姻届は全く別のものです。両者を混同しないよう、違いを確認しておきましょう。

1. 入籍届

入籍届とは、子どもを親の戸籍に入れるための届出です。子どもは通常は親の戸籍に入っていますが、何らかの事情で親と別の戸籍に入っている場合、入籍届を出して子どもを親の戸籍に入れることができます。

例えば、夫婦とその子どもは同じ戸籍に入っていますが、夫婦が離婚すると多くの場合妻が戸籍を出ることになり、子どもは夫の戸籍に入ったままになります。この場合、妻は家庭裁判所の許可を得て、自分の新しい戸籍に子どもを入れることができます。手続きとしては、家庭裁判所の許可を得た後、役所に入籍届を出す必要があります。

また、離婚後に子連れ再婚する場合、自分は再婚相手の戸籍に入っても、子どもは自動的に再婚相手の戸籍に入りません。この場合にも、家庭裁判所の許可を得て役所に入籍届を出すことにより、子どもを再婚相手の戸籍に入籍させることができます。

なお、離婚や再婚の際、子どもを入籍させるかどうかは自由で、入籍届の期限もありません。ただし、子どもは戸籍の筆頭者と同じ苗字になるため、子どもの苗字を変えるには入籍届を出す必要があります。

2. 婚姻届

婚姻届は、男女が結婚するために提出する届出です。お互いが結婚に合意して役所に婚姻届を出せば、結婚できます。婚姻届を出すことで、それぞれが親の戸籍から抜け、二人の新しい戸籍を作ることになります。

婚姻届はそれ自体を提出することによって婚姻の効果が生じるものなので、提出期限はありません。ただし、婚姻届を提出しない限り法律上の夫婦とはならないため、同居開始時または結婚式の前後に提出するのがおすすめです。

婚姻届の用紙は役所でもらえます。婚姻届に必要事項を記入して双方が署名(※押印は任意)します。なお、婚姻届には証人2名(※18歳以上の人なら誰でも可)の署名も必要です。[参考1]

参考1:法務省「婚姻届

入籍と結婚のタイミングは人それぞれ

結婚するときには、婚姻届を出す「入籍」のほか、結婚式や披露宴もおこなう人が多いでしょう。入籍や挙式のタイミングについて、一般的にはどうなのかを説明します。

1. 入籍のタイミング

結婚する場合、いつ婚姻届を提出するかは自由です。結婚式当日には役所に行く時間がないことも多いため、結婚式の前か後に出すのが一般的です。結婚式よりも前に同居をスタートする場合には、同居開始時に出す人も多くなっています。

婚姻届は、夜間や土日に役所の時間外窓口に出してもかまいません。記載に誤りがなければその場で受理され、提出日が婚姻日となります。

なお、結婚記念日は入籍日または挙式日のどちらでもかまいません。入籍日を結婚記念日にする場合には、縁起の良い日や覚えやすい日を選んで婚姻届を提出します。

2. 結婚のタイミング

結婚を決めるタイミングも人それぞれです。交際期間のほか、年齢や性別によっても結婚を意識するタイミングは異なります。

男女別の結婚を考えるタイミングや結婚に踏み切れない理由については、「結婚を決めるタイミングはいつ?ゴールインが叶う最適な時期とは」で説明していますので、こちらを読んでみてください。

3. 両家の顔合わせの時期は?

両家顔合わせの時期は、両家のスケジュールを調整しながら決めます。一般的には両家顔合わせが終わってから結婚式の準備を始めるため、結婚したい時期の6ヵ月前くらいまでには終わらせておくとよいでしょう。

結婚した際に「入籍しました」と報告するのは間違い?

周りの人に結婚を報告するときに、「入籍しました」と伝える人は多いでしょう。上で説明したとおり、結婚は厳密には入籍ではありません。しかし、婚姻届の提出を「入籍する」というのは一般化しています。意味も通じるため、「入籍しました」と伝えることに問題はないでしょう。

結婚報告のマナーをきちんと学んでおこう

結婚を周りに報告する際には、言葉だけでなくいろいろなマナーに気を付けておかなければなりません。報告をする相手別に、結婚報告のマナーを説明します。

1. 両家への報告マナー

結婚を決めたら、お互いの両親に報告しなければなりません。両親からの印象が悪くなってしまうと、その後の結婚生活に影響が出ることもあります。身だしなみを整え、言葉遣いにも気を付けるようにしましょう。手土産も持参するのがおすすめです。

両親への結婚の挨拶の仕方については「両親への結婚の挨拶、失敗しないためにカップルで知っておきたいこと」で説明しています。手土産の選び方については、「結婚挨拶のカギは手土産!成功に導くチョイスとマナーを解説」を読んでみてください。

2. 会社への報告マナー

会社に結婚を報告するときには、まず直属の上司に報告しましょう。他の人に先に伝える場合には、上司の耳に入らないようにお願いしておきます。上司への報告のタイミングは結婚式の3ヵ月前くらいまでが目安です。会社の他の人への報告のタイミングは、上司と相談して決めましょう。

上司には、直接口頭で伝えるようにします。メールで報告するのはマナー違反なので、特別な事情がない限り避けましょう。事前に「少しお時間とっていただけないでしょうか?」とアポイントをとっておくのがおすすめです。

結婚式で休暇を取りたい場合や苗字を変更する場合には、結婚報告の際に相談して手続きなどを聞いておきます。結婚で退職もしくは働き方を変える場合には、引き継ぎなども必要になるため、できるだけ早めに報告しましょう。

3. 友達への報告マナー

友人への報告は、結婚式に招待するかどうかでも変わってきます。結婚式に呼ぶ友人には、招待状を出す前に、結婚する旨や結婚式の詳細を伝えておくと丁寧です。その他の友人には、事後報告とする方も多いでしょう。

結婚報告のマナーについては、「結婚報告は、いつ・誰に・どのように?スムーズに進めるポイント」で詳しく解説していますので、こちらをご参照ください。

結婚・入籍前後にやるべきことを把握しておくことが大事

結婚が決まったら、結婚式や新居の準備のほか、各種の手続きもしなければなりません。仕事をしながらだと時間もあまりないため、効率よく準備を進める必要があります。

結婚するときには、結婚式や新婚旅行、新居への引越しなどでお金もかかります。親からの援助やご祝儀である程度カバーできるかもしれませんが、自分たちで用意しなければならないお金もあるでしょう。必要な資金をどのようにして準備するかを二人で話し合っておく必要があります。

同居の開始時期や周りへの報告のタイミング、入籍の時期なども考えなければなりません。引越し後は住所変更の手続きが必要になるほか、苗字を変えた側は氏名変更の手続きも必要です。やるべき手続きをリストアップしておきましょう。

結婚する前には、結婚後のライフプランについても話し合っておくことが大切です。家族ができると、自分に万一のことがあったときに家族に影響を与えてしまいます。結婚を機に家族への責任を考えて、生命保険への加入も検討することをおすすめします。

今後、結婚の準備を始めると、わからないこともたくさん出てくるかもしれません。その際は、結婚のマナーについての記事一覧もぜひ参考にしてください。

まとめ

「入籍」という言葉は「結婚」と同義で使われていますが、厳密には結婚という意味ではないことを知っておきましょう。ただし、結婚することを「入籍する」と言っても、マナー違反ではありません。

結婚が決まると準備に忙しくなり、細かいことに気をまわしていられないこともあります。お祝いしてくれる人に失礼にならないよう、最低限のマナーは心得ておきましょう

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

森本 由紀(もりもと ゆき)
行政書士、FPライター。法律事務所で経験を積んだ後、独立。クライアントの生活設計や子育てについてのアドバイス、気持ちを整理するためのカウンセリングに力を入れている。FPとして、各種サイトで法律・マネー記事やコラムの執筆・監修も担当。AFP(日本FP協会認定)、2級FP技能士、行政書士

記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ