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家計の収支は把握しているけれど、エンゲル係数まで把握できている方はあまり多くはないのではないでしょうか。
エンゲル係数の計算方法を把握しておけば、家計における食費の割合をチェックし、平均値と比較することができます。
この記事では、エンゲル係数の基礎知識と計算方法、エンゲル係数の平均、エンゲル係数が高くなる原因や食費の節約方法について解説します。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。 法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
エンゲル係数とは?
エンゲル係数とは、家計の消費支出に占める食費の比率のことです。[参考1]
ここでいう家計の消費支出とは、暮らしにかかる支出のことで、住居費や水道光熱費、食費、日用品費などがこれに該当します。
この消費支出のうち、食費がどのくらいの割合を占めているのかを把握できれば、家計の消費支出に対して食費をかけすぎていないかどうかを図る目安となります。
また、エンゲル係数は現在の生活水準がどのくらいなのかを測る際にも用いられます。
一般的に、所得が増えると家計の消費支出に占める食費の割合は低下する傾向にありますが、所得が減ると、食費は生きていくのに必要な費用であるため、食費以外の費用(消費支出)が削られる傾向があり、エンゲル係数は高くなります。
つまり、エンゲル係数が高くなるほど生活水準は低くなるといえます。
(ただし、所得がある額を下回ると、固定費に圧迫されて食費が削られ、所得が低いにもかかわらずエンゲル係数が小さくなる逆転現象が生じることがあります。)
参考1:知るぽると「エンゲル係数とは」
エンゲル係数の計算式
エンゲル係数は以下の計算式によって求められます。
例えば、食費が6万円、消費支出が25万円だった場合は、
エンゲル係数=(6万円÷25万円)×100=24%となります。
参考2:埼玉県「エンゲル係数とは何ですか」
【データ別】エンゲル係数の平均を紹介
日本では、総務省が毎月実施している「家計調査」でエンゲル係数を算出・公開しています。
ここでは、全体(年数別)、地域別、年代別、年収別にエンゲル係数の平均を2021年の調査結果を中心に紹介していきます。
1.【全体】
2017年から2021年の平均エンゲル係数は以下のとおりです。[参考3]
2017〜2019年まで25.7%と一定だったエンゲル係数が、2020年には27.5%と1.8%も上昇しており、前年に消費税が引き上げられたことや新型コロナウイルス感染症による影響によるものが大きいと考えられます。
年数 | エンゲル係数(%) | 消費支出(円) |
2017 | 25.7 | 245,626 |
2018 | 25.7 | 249,546 |
2019 | 25.7 | 255,430 |
2020 | 27.5 | 241,482 |
2021 | 27.2 | 214,812 |
次に、2021年月別の平均をみてみると、4月に24.3%だったエンゲル係数が8月には29.1%と4ヵ月の間に4.8%も上昇しています。
同月の消費者物価指数をチェックすると、4月は99.1、8月は99.7と0.6ポイント増加しており、物価高がエンゲル係数の上昇につながったと推測されます。
【2021年月別】
月 | エンゲル係数(%) |
1月 | 26.8 |
2月 | 27.7 |
3月 | 24.4 |
4月 | 24.3 |
5月 | 27.2 |
6月 | 28.0 |
7月 | 28.3 |
8月 | 29.1 |
9月 | 27.8 |
10月 | 27.1 |
11月 | 26.7 |
12月 | 28.9 |
参考3:e-Stat政府統計の総合窓口「家計調査報告」
2.【地域別】
地域別エンゲル係数の平均は以下のとおりです。
北陸の27.0%に対し、沖縄は30.4%と地域によっても大きく差があることがわかります。
同じ日本でも、場所によって物価が大きく異なることが地域差を生む要因となっていることが考えられます。
地域 | 食費(円) | 消費支出(円) | エンゲル係数(%) |
北海道 | 862,925 | 3,110,008 | 27.7 |
東北 | 899,191 | 3,057,204 | 29.4 |
関東 | 1,022,632 | 3,565,803 | 28.7 |
北陸 | 953,267 | 3,530,505 | 27.0 |
東海 | 954,715 | 3,401,664 | 28.1 |
近畿 | 949,225 | 3,234,473 | 29.3 |
中国 | 878,645 | 3,219,624 | 27.3 |
四国 | 841,155 | 3,031,428 | 27.7 |
九州 | 862,150 | 3,128,825 | 27.6 |
沖縄 | 814,540 | 2,683,634 | 30.4 |
3.【年代別】
年代別の平均データをみてみると、エンゲル係数がもっとも高いのは70歳以上で30.6%です。逆にエンゲル係数がもっとも低い年代は29歳以下の22.5%となっており、差は8.1%も開いています。
20代のうちは給与がそれほど高くない方が多いため、食費を節約するケースが多く、家計に対する食費の割合が低くなりやすいようです。
一方、70歳以上は健康増進のために食にこだわるケースが多いことから、エンゲル係数が高くなりやすいと推測されます。
年代 | 食費(円) | 消費支出(円) | エンゲル係数(%) |
~29歳 | 53,374 | 237,235 | 22.5 |
30~39歳 | 70,626 | 264,452 | 26.7 |
40~49歳 | 81,751 | 313,691 | 26.1 |
50~59歳 | 82,491 | 341,916 | 24.1 |
60~69歳 | 78,972 | 288,312 | 27.4 |
70歳~ | 69,287 | 226,383 | 30.6 |
4.【年収別】
年収別エンゲル係数の平均は、年収が高くなっていくのに比例して、エンゲル係数が低下しています。
エンゲル係数は一般的に生活水準と反比例するといわれているため、年収が増えることでエンゲル係数が低くなっている実態がうかがえます。
適正なエンゲル係数を保つためにも食費の節約が重要です。
年収(万円) | 食費(円) | 消費支出(円) | エンゲル係数(%) |
~331 | 59,133 | 187,630 | 31.5 |
331~454 | 69,031 | 235,634 | 29.3 |
454~613 | 73,266 | 261,766 | 28.0 |
613~851 | 80,418 | 301,705 | 26.7 |
851~ | 96,955 | 408,384 | 23.7 |
エンゲル係数が高くなる原因
エンゲル係数が高くなる原因は大きく分けて2つあります。
1. 物価の高騰
総務省統計局によると、2021年の消費者物価指数は99.8、2022年は102.3となっており、前年比2.5%の上昇となっています。[参考4]
エンゲル係数は消費支出における食費の割合で求めますので、食料品の物価が高くなれば、エンゲル係数も比例して高くなります。
物価はさまざまな影響によって上下しますが、昨今の物価高騰の原因は世界的な需要増や、世界情勢による原材料価格の高騰、原油価格の上昇による物流費や包装資材の値上がりが主な原因です。
さらに、海外からさまざまなものを輸入している日本では、円安による輸入コストも大きくなっており、今後その負担が商品価格に上乗せされることが予想されています。
企業は顧客離れを防ぐために、値上げ幅をできるだけ抑えたり、価格を据え置いたりする努力を行っていますが、上記の原因でコストがかさみ続けると、値上げせざるを得ない状況となります。
むしろ、値上げのピークはこれから訪れるとも予測されるため、エンゲル係数の上昇が懸念されます。
参考4:総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)平均 (2023年1月20日公表)」
2. 外食が多い
一般的に、自炊するよりも、外食をしたほうが1食あたりのコストは高くなります。
たまに外食する程度であればさほどエンゲル係数に影響を及ぼしませんが、日常的に外食をする習慣があると、食費が消費支出を圧迫し、エンゲル係数が上がる原因となります。
近年は新型コロナウイルスの影響により、外食の頻度が減った家庭も少なくありませんが、総菜や弁当などを買って帰ったり、デリバリーを頼んだりする場合(中食)も自炊よりもコストがかさんでしまうため、要注意です。
エンゲル係数が高い場合の節約方法
家庭のエンゲル係数が高いと思ったら、以下の方法を実践して節約に励みましょう。
1. 収支を見直す
まずは1ヵ月の収入と支出を正確に割り出すところからスタートしましょう。
もっとも手っ取り早い方法は、家計簿をつけることです。
毎月の収入は給与明細などを見れば簡単にチェックできますが、「いつ」「何に」「どのくらいの金額を使ったか」は家計簿をつけてみないと正しく把握できません。
エンゲル係数に関わる食費はもちろん、日用品費や住居費、水道光熱費、医療費、被服費、通信費などの項目もきちんと記録し、全体の収支を見直せば、エンゲル係数を下げることができます。
家計簿のつけ方は「家計簿に必要な項目とは?家計簿をつける際のポイントなども徹底解説!」で紹介しています。
2. 外食を減らす・自炊する
エンゲル係数が高くなる原因のひとつである外食や中食が多いと、食費がかさんでしまいがちです。
エンゲル係数が高いときは外食、中食はなるべく減らし、家庭で自炊することを心がけましょう。
3. 買う物のリストを作成する
買い物に行く際は、あらかじめ冷蔵庫や自宅にある食料などを確認して、購入するものをリストアップしていくのがおすすめです。
そうすることで自宅にあるものを二重に購入したり、余計な物を衝動買いしたりするリスクを減らせるため、食費の節約につながります。
近年では、買い物リストを簡単に作成したり、すでに買ってあるものをチェックしたりできる買い物アプリもたくさんリリースされていますので、上手に活用してみましょう。
4. 1ヵ月の使用金額を決めておく
1ヵ月の収入やその他の支出などをもとに、その月に使う金額を先に決めておくと、使いすぎの予防になります。
より細かく管理したい場合は、週ごとに食費の予算を決めて封筒などに小分けにしておくと、予算オーバーを予防できます。
5. 毎週の献立を立てる
1週間ごとに食事の献立を立てておくと、今買うべきもの、必要なものを可視化することができます。
献立が決まっていないと、何となく購入した食品を余らせて無駄にしてしまう可能性もあるので注意しましょう。
将来のお金について今から考えることが大事
平均よりもエンゲル係数が高いときは、まず家計簿をつけて収支を見直すことが大切です。
収支の見直しによって節約できたら、将来の子育てやマイホーム、老後の資金づくりなどに向けて、毎月少しずつでも計画的に貯蓄を行いましょう。
新婚夫婦の生活費の平均については、「新婚夫婦の生活費、どれくらいが理想?平均は?」を参考にしてみてください。
また、子育て世帯がどのくらい貯蓄するかの目安は「子育て世帯の貯蓄はいくら必要?子どもの教育費総額と貯蓄のコツとは」で詳しく説明しています。
主な貯蓄の方法としては、先取り貯蓄や目的別口座の活用、資産運用などがありますが、家族構成やライフスタイルに合った保険を選ぶことも重要なポイントのひとつです。
必要な保障を備えておけば、万一のことがあっても家族の生活に必要なお金を確保することが可能です。
現在保険に加入している方も、保障内容を見直すことで無駄を省いたり、逆に足りない保障をプラスしたりすることもできますので、一度保険を見直すことをおすすめします。
フコク生命の「かんたん検索」を使えば、年代や性別、家族構成、重視するポイントなどから最適な保険を検索できます。
保険の内容を見直したい方はぜひご活用ください。
まとめ
エンゲル係数の計算式を使えば、消費支出に対する食費の割合を調べることができます。
エンゲル係数が高いと思ったら、家計簿をつけて収支を把握したうえで、外食を減らす、買い物リストを作る、1ヵ月の予算を決めるなどの工夫を取り入れて、食費の節約に努めましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。 法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。