毎日を過ごすなかで、「自分にとっての生きがいは何だろう」と考えることはありませんか。生きがいは特別なものである必要はなく、日々の小さな喜びのなかからも見つけられます。生きがいを見つけるヒントを知って、自分らしく前向きに過ごすきっかけにしていきましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
生きがいとは?
ここでは、生きがいの意味や世代による変化、趣味との違いについて見ていきましょう。
1.言葉の意味と心理学的な定義
生きがいとは、人生の意味や価値、生きている意義などのことです。仕事、家族、趣味、学び、地域活動など、人によって生きがいの形は異なります。
心理学的な視点で見ると、生きがいは人生を前向きに生きるための原動力となるものと考えられています。自分の存在価値や目標を実感できることで、自己肯定感や幸福感が高まり、毎日の生活にも充実感や意欲が生まれやすくなります。
2.世代によって変わる「生きがい」の形
生きがいの形は、年齢やライフステージによって変わります。20代から30代では、仕事で成果を出すこと、子育てをすること、家族との暮らしを築くことなどが生きがいになりやすいでしょう。
一方で、50代以降になると、子育ての終了や役職定年などによって、これまで中心だった役割が変化します。その結果、仕事や家庭だけでなく、自己実現や社会貢献、地域とのつながりなどに生きがいを見いだす方も増えていきます。
3.趣味との違い
趣味は、自分が楽しむためにおこなう活動です。読書、旅行、料理、スポーツ、映画鑑賞など、好きなことに取り組む時間は日々の楽しみになります。
一方で、生きがいは趣味よりも広い意味を持ちます。自分が楽しいだけでなく、だれかとのつながりを感じたり、自分の成長や社会への貢献を実感したりすることも含まれます。
例えば、料理が趣味の場合、自分で作って楽しむだけなら趣味です。家族に喜んでもらう、地域の集まりで振る舞う、料理教室で人に教えるなど、他者との関わりや役割が生まれると、生きがいとしての意味が強くなります。
生きがいを感じるのはどんなとき?
生きがいは、特別なイベントや大きな成功のなかだけにあるものではありません。日常のなかで「楽しい」「うれしい」「だれかの役に立てた」と感じる瞬間にも、生きがいはあります。
内閣府の「令和7年度 高齢社会対策総合調査」によると、日本で生きがいを感じるときとして多かった回答は、以下の通りです。
| 生きがいを感じるとき | 割合 |
| 子どもや孫など家族との団らんのとき | 53.1% |
| おいしい物を食べているとき | 49.4% |
| 趣味やスポーツに熱中しているとき | 43.4% |
| 友人や知人と雑談しているとき | 42.4% |
| 旅行に行っているとき | 33.3% |
| 夫婦団らんのとき | 29.5% |
[参考1]
家族や友人との交流、食事、趣味、旅行など、身近な楽しみのなかで生きがいを感じている人が多いことがわかります。
この結果からも、生きがいは遠くに探しに行くものではなく、普段の生活のなかに見つけられるものだといえます。家族と話す時間、好きなものを味わう時間、趣味に取り組む時間、体を動かす時間など、自分が自然と笑顔になれる場面を振り返ってみると、生きがいのヒントが見つかるでしょう。
参考1:内閣府「令和7年度 高齢社会対策総合調査」112ページ目
生きがいを見失いがちな5つの理由
生きがいを見つけたいと思っても、すぐに見つからないことがあります。特に、生活環境や人間関係が変わる時期は、これまでやりがいを感じていた仕事や趣味、人とのつながりとの関わりが変化し、生きがいを見失いやすくなります。
ここでは、生きがいを見失いがちな理由について見ていきましょう。
1.ライフステージの変化によって役割が変化したから
子育ての終了や定年退職などによって、長年担ってきた役割が変わると、生きがいを見失いやすくなります。
特に、子どもの独立後に寂しさや喪失感を覚える状態は「空の巣症候群」と呼ばれます。これまで子育てに多くの時間を使ってきた方ほど、「親として必要とされている」という実感が日々の張り合いになっていることもあるでしょう。
また、定年退職によって仕事上の役割や人との関わりが減ると、「自分は何をすれば良いのか」「だれかの役に立てているのか」と感じやすくなります。長年続けてきた役割が変化することで、アイデンティティが揺らぎ、生きがいを見失ったように感じるのは自然なことです。
2.日々の忙しさに追われ、心に余白がないから
仕事や家事、親の介護などに追われていると、自分の楽しみについて考える余裕がなくなります。目の前の予定をこなすだけで一日が終わり、「自分は何をしたいのか」を後回しにしてしまうこともあるでしょう。
心に余白がない状態では、好きなことや興味のあることに気づきにくくなります。楽しみを探そうとしても、疲れが先に出てしまい、新しいことを始める気力が湧かなくなってしまいます。
3.他人の充実した生活と比べてしまうから
SNSや周囲の話を通じて、他人の充実した生活を目にすると、自分と比べて焦りを感じやすくなります。
退職後に旅行を楽しんでいる人、趣味に打ち込んでいる人、地域活動で活躍している人を見ると、「自分には何もない」「自分も何か見つけなければ」と感じてしまう方もいるでしょう。
しかし、生きがいは人と比べて見つけるものではありません。だれかにとって魅力的な活動が、自分にも合うとは限らないためです。周囲の過ごし方を参考にするのは良いことですが、比べすぎると自分の気持ちが見えにくくなります。
4.「何か特別なこと」を見つけなければとハードルを上げているから
生きがいと聞くと、「人生をかけて取り組むもの」「社会に大きく貢献するもの」をイメージする方もいます。その結果、何か特別なことを見つけなければならないと感じ、かえって動き出せなくなることがあります。生きがいのハードルを自分で高くしてしまうことで、かえって身近な喜びに気づきにくくなるでしょう。
また、「これくらいでは生きがいとはいえない」と無意識に判断してしまい、自分がすでに楽しめていることや充実感を覚えていることまで、生きがいの候補から外してしまうこともあります。このように、生きがいを大きく考えすぎることも、生きがいを見失う理由の一つです。
5.体力の低下や人間関係の変化で、少し疲れてしまったから

年齢を重ねると、体力の低下や人間関係の変化によって、生きがいを見つける意欲が下がりやすくなります。
以前は気軽に出かけられていた場所でも、移動や準備を負担に感じてしまうのです。趣味や旅行に興味があっても、「疲れそう」「続けられなさそう」と考えてしまい、行動に移しにくくなる方もいるでしょう。
また、定年退職をきっかけに仕事関係の付き合いが減ると、人と話す機会も少なくなります。職場での会話や役割が日々の張り合いになっていた方ほど、孤独感や物足りなさを覚えやすくなります。
こうした心身の変化は、年齢を重ねるなかで自然に起こるものです。以前と同じ体力や人間関係を前提にすると疲れてしまうこともあるでしょう。
生きがいを持つことで得られるメリット
生きがいは、毎日を楽しくするだけでなく、健康や心の安定にも関わります。自分にとって大切な目標や楽しみがあると、日々の行動に意味が生まれ、前向きな生活につながります。
ここでは、生きがいを持つことで得られる主なメリットを紹介します。
1.健康寿命に良い影響を与えてくれる
高齢化が進むなかでは、何歳まで生きるかという「平均寿命」だけでなく、健康で自立した生活を送れる「健康寿命」を延ばすことも重要視されています。
生きがいを持つことは、その健康寿命にも良い影響を与えると考えられています。趣味を楽しんだり、地域活動やボランティアなどで社会とのつながりを持ったりすることで、心や体に良い刺激を受け、活動的な毎日を送りやすくなるためです。また、こうした積み重ねは、要介護状態や認知症になるリスクを抑える効果も報告されています。
2.脳や心の健康を保ちやすくなる
生きがいを持つことは、脳や心の健康を保つ上でも役立ちます。生きがいがあると、「もっと知りたい」「もう一度やってみたい」「だれかと関わりたい」といった気持ちが生まれやすくなります。
例えば、資格取得や語学などの学び直しに取り組んだり、読書や楽器演奏、囲碁・将棋を楽しんだりすると、覚える・考える・工夫するといった、脳を使う機会が自然に増えます。
また、地域活動や友人との交流に参加すると、人と話したり、外出したりする時間も増えます。人とのつながりや自分の役割を感じられることは、孤独感をやわらげ、心の安定にもつながります。
このように、生きがいは単なる楽しみだけではありません。新しいことを学んで楽しんだり、人と交流して役割を持ったりすることが、認知機能の維持やストレス軽減にも関わります。
3.「毎日が楽しい」と感じられ、幸福感が高まる
生きがいがあると、「今日も楽しみがある」「また頑張ってみよう」と感じやすくなります。好きなことに取り組む、だれかの役に立つ、自分の成長を感じるといった経験は、「自分にもできることがある」「自分の毎日には意味がある」という感覚につながります。こうした実感は、自己肯定感を育むきっかけになります。
また、生きがいがあると、日々のなかに楽しみにできる時間が生まれます。趣味に取り組む時間、家族や友人と話す時間、地域活動に参加する時間などがあることで、「今日も楽しかった」と感じられる機会が増え、毎日をより充実して過ごせるようになります。
その結果、自己肯定感が高まり、毎日を楽しいと感じられることで、「今の自分も幸せだ」「毎日が充実している」と感じやすくなり、主観的な幸福感(ウェルビーング)も高まりやすくなります。
4.日々の生活に前向きなメリハリが生まれる
生きがいがあると、日々の生活に前向きなメリハリが生まれます。定年退職や子育ての終了などで生活の中心が変わると、予定のない日が増えやすくなります。何をして過ごすかが曖昧になると、生活のリズムも単調になりやすいでしょう。
一方で、楽しみにしている予定や小さな目標があると、朝起きる理由や外に出るきっかけができます。例えば、「今日は散歩に行く」「週末は友人と会う」といった予定があれば、日々の行動に目的が生まれ、人生を前向きに楽しむきっかけになります。
自分なりの「生きがい」を見つける5つのヒント
生きがいは、急に見つけようとしても難しいことがあります。まずは自分の興味や過去の経験、日々の小さな達成感に目を向けてみましょう。
ここでは、自分なりの生きがいを見つけるためのヒントを5つ紹介します。
1.昔好きだったことや諦めていた趣味を再開してみる
新しいことを探す前に、昔好きだったことを思い出してみましょう。若い頃に楽しんでいた音楽、スポーツ、手芸、写真、読書、旅行などは、今の自分にとっても生きがいになるかもしれません。
仕事や子育てで忙しかった時期には、時間がなくて諦めていた趣味もあるでしょう。時間に少し余裕ができたタイミングで再開すると、過去の経験を活かしながら無理なく楽しめます。
最初から本格的に取り組む必要はありません。昔買った道具を出してみる、関連する本を読む、近くの教室を調べるなど、無理なくできる小さな一歩から始めてみましょう。
2.地域の活動やボランティア、新しいコミュニティに参加する
人との関わりのなかで生きがいを見つけたい方は、地域の活動やボランティア、新しいコミュニティに参加してみるのも一つの方法です。
地域の清掃活動、子どもや高齢者を支えるボランティア、趣味のサークルなどに参加すると、家庭や職場以外のつながりが生まれます。人から感謝されたり、だれかの役に立っていると感じたりするだけでなく、共通の趣味を持つ仲間との交流も生きがいにつながります。
最初は少し緊張するかもしれませんが、無理に深く関わる必要はありません。月に一度だけ参加する、見学から始めるなど、自分に合った距離感で関わることが大切です。
3.「毎日歩く」「部屋を掃除する」など、小さな目標を立ててみる
大きな目標が思いつかない場合は、一人で達成できる小さな目標を立ててみましょう。「毎日〇〇歩以上歩く」「朝に部屋を掃除する」「1日1ページ本を読む」など、日常のなかで完結する目標で十分です。
小さな目標でも、達成できると充実感が生まれます。その積み重ねが、「今日もできた」という自信につながり、やがて大きな生きがいを育てるきっかけになります。
取り組む際に注意するポイントは、他人に左右されない目標にすることです。天候や相手の都合に左右されすぎない内容であれば、継続しやすくなります。
4.大人の学び直し(リスキリング)に挑戦する

学び直しも、生きがいを見つけるきっかけになります。資格取得や語学、パソコンスキルなど仕事や生活に役立つ実用的な学びに加えて、歴史や文学、哲学など物事の考え方を深める学びまで、内容は幅広くあります。
新しい知識を得ると、日々の生活に刺激が生まれます。理解できることが増えたり、できることが広がったりすると、自己肯定感も高まりやすくなります。特にお金に関する知識は、生活設計や老後の備えにも役立つでしょう。
一人暮らしの費用についてより詳しく知りたい方は「お金に関する知識が得られる資格を紹介!取得メリットや注意点について」もご覧ください。
5.健康づくりを兼ねた運動や旅行を計画する
健康づくりを兼ねた運動や旅行も、生きがいにつながります。一人でも気軽にできる毎日のウォーキング、軽い筋トレ、そして夫婦、友人などと一緒にする旅行や外出など、体を動かす目的があると生活に張り合いが生まれるでしょう。
外に出かける予定があると、体調を整えようという意識も高まりやすくなります。行きたい場所や会いたい人がいることは、日々の健康管理を続ける理由にもなります。
無理に遠出をする必要はありません。近所の公園まで歩く、季節の花を見に行く、日帰り旅行を計画するなど、自分の体力に合わせて楽しめる形を選びましょう。
生きがいを長く楽しむための「健康」と「お金」の備え方
生きがいを見つけても、健康やお金に不安があると、思いきり楽しみにくくなります。趣味や旅行、学び、地域活動を長く続けるためには、生活の土台を整えておくことも大切です。
ここでは、生きがいを長く楽しむために考えておきたい健康とお金の備え方を紹介します。
1.ゆとりあるセカンドライフに必要な資金の目安を知る
生きがいを長く楽しむためには、老後に必要なお金の目安を知っておくことも大切です。趣味や旅行、学び直し、友人との食事などを心おきなく楽しむには、日々の生活費に加えて、ある程度のゆとり資金も必要になります。
公益財団法人生命保険文化センターの2025年度「生活保障に関する調査」によると、夫婦2人の老後の最低日常生活費は平均で月額23.9万円、ゆとりある老後生活費は平均で月額39.1万円です。[参考2]
もちろん、必要な老後資金は、住まいの状況や家族構成、望む暮らし方によって異なります。そのため、まずは家計簿アプリなどを使い、現在の生活費を項目ごとに把握することが大切です。
その上で、家計調査などにある一般的な支出水準と自分の生活費を比較することで将来に必要な資金の目安が見えてくるでしょう。もし不安な場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しながら、老後資金の目安を考えるのもおすすめです。
漠然と「老後のお金が不安」と感じている状態でも、生活費や趣味に使いたい費用を具体的に整理すれば、ライフプランとして考えやすくなります。目安がわかると、貯蓄や資産形成、保険の見直しなど、今からできる備えも見えやすくなるでしょう。
参考2:公益財団法人生命保険文化センター「2025(令和7)年度「生活保障に関する調査」(2026(令和8)年1月発行)」
2.万一に備えて公的制度を勉強する
病気やケガで治療費がかかると、趣味や旅行、地域活動などを続けにくくなります。生きがいを長く楽しむためにも、万一のときに使える公的制度を知っておくことが大切です。
【高額療養費制度】
高額療養費制度は、1ヵ月に支払った医療費が年齢や所得に応じた自己負担限度額を超えた場合、その超えた金額が支給される制度です。高額な医療費が発生した場合の負担を軽減できます。
【介護保険制度】
介護保険制度は、介護が必要と認定された方が、介護サービスを原則1割(一定以上の所得のある65歳以上の方は2割又は3割負担)の自己負担で利用できる制度です。介護にかかる経済的な負担を抑えられます。
【傷病手当金・障害年金】
その他、病気やケガで働けなくなった場合は傷病手当金、病気やケガによって生活や仕事が制限される場合は障害年金といった公的制度を利用できます。高額療養費だけでなく、さまざまなリスクに備える制度として知っておきましょう。
まずは、公的制度でどこまで備えられるのかを把握することが大切です。その上で、公的制度だけでは補いきれない差額ベッド代、通院費、収入減少への備えなどは、今から民間保険で備えることも検討しましょう。
まとめ
生きがいとは、人生に張り合いや意味を感じられるものです。仕事や家族、趣味、学び、地域活動など、生きがいの形は人によって異なります。
ライフステージの変化や忙しさ、人間関係の変化によって生きがいを見失うことはあります。しかし、生きがいは特別なものだけではありません。昔好きだった趣味を再開する、小さな目標を立てる、地域活動に参加するなど、日常のなかから見つけられます。
また、生きがいを長く楽しむためには、健康とお金の備えも大切です。生活費やゆとり資金の目安を知り、公的制度について学んでおくことで、将来の不安を減らしやすくなります。まずは、自分が少しでも楽しいと感じること、またやってみたいと思えることに目を向けてみましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
宮崎 千聖(みやざき ちさと)
FPライター。神戸大学経済学部卒業後、銀行の融資課にてローンの相談・手続きを担当した。退職後はライターとして、メガバンクや司法書士法人のオウンドメディアなどで記事を執筆。カードローンやクレジットカード、資産運用、債務整理など幅広いジャンルで執筆している。2級FP技能士、証券外務員一種
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ
~47Life編集部からのコメント~
生きがいは、人と比べて見つけるものではなく、自分らしく過ごすなかで育まれていくものです。例えば、家族との会話を楽しむこと、趣味に没頭すること、季節の移ろいを感じることなど、日々の暮らしの中にも生きがいの種はたくさんあります。この記事を通して見つめ直すきっかけになれば幸いです。

