失業保険の受給条件は?手続きの流れや受給額のシミュレーションを紹介

失業保険の受給条件は?手続きの流れや受給額のシミュレーションを紹介
                 

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病気やケガ、会社の倒産などで失業するリスクは誰にでもあります。失業保険は、雇用保険に加入していた方の失業中の生活を守る公的な保障です。この記事では、失業保険の概要や受給要件、受給額の計算方法・シミュレーションなどについて詳しく解説します。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

失業保険とは

失業保険とは、雇用保険に加入していた方が離職した際に、失業中の生活の安定を守り、早期の再就職を支援する目的で支給されるお金のことです。「失業等給付」の中の「基本手当」がいわゆる「失業保険」に当たります。通称「失業保険」「失業手当」「失業給付」とも呼ばれています。

会社員や一定の要件を満たすパート・アルバイトの方が加入している雇用保険から支払われます。

失業保険を受け取れる人・受け取れない人

失業保険を受け取るためには、原則として離職前2年間のうち、雇用保険に加入していた期間が12ヵ月以上(倒産や解雇などやむを得ない理由で離職した場合は、離職前1年間に通算6ヵ月以上)必要です。

なお、離職前2年間(倒産・解雇などの場合は1年間)のうちに病気やケガ、出産・育児などで引き続き30日以上賃金が支払われなかった場合は、これらの理由により賃金が支払われなかった日数を加えた期間(最長4年間)により受給に必要な加入期間があるか判断されます。

上記の要件に加えて、次の雇用が決まっていない「失業の状態」にある方のみ失業保険が受け取れます。

失業の状態とは、下記すべての条件を満たす場合のことをいいます。[参考1]

  • 積極的に就職しようとする意思があること
  • いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること
  • 積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと

参考1:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~|Q 2 雇用保険(基本手当)の受給要件を教えてください。

そのため、妊娠・出産・育児や、病気・ケガですぐに就職できない方、就職するつもりがない方、家事や学業に専念する方などは、失業の状態に当てはまらないため、失業保険を受給できません。

※受給期間の延長申請により、就職できる状態になった後に受給できる場合があります。

また、パートやアルバイトで雇用保険の加入要件を満たさない方、会社の役員や自営業者などそもそも雇用保険に加入できない方も失業保険を受け取れません。

失業保険の受給要件

失業保険では離職理由によって次の3つの離職者に分類されます。この分類によって後述する失業保険の受給期間と受給額が変わってくるので、違いを理解しておきましょう

1.一般離職者

一般離職者は次の見出しで解説する「特定理由離職者」「特定受給資格者」に該当しない離職者のことです。例えば、自己都合による離職(病気やケガ、家族の介護など正当な理由がない場合)や定年退職などの方がこれに当てはまります。

2.特定理由離職者

特定理由離職者は以下のいずれかに該当する方をいいます。[参考2]

■特定理由離職者の範囲

  1. 有期契約で働いていた労働者の契約期間が満了し、その契約の更新がないことにより離職した方(労働者が契約の更新を希望したにもかかわらず、契約更新の合意が成立しなかった場合)。
  2. 自己都合による離職者のうち、正当な理由がある場合

■正当な理由の主な要件

  • 病気やケガなどで働くことが難しくなった
  • 妊娠、出産、育児などにより離職し、失業保険の受給期間延長措置を受けた
  • 家計の事情の急変(親や親族の介護、看病など)
  • 配偶者や扶養すべき親との別居が困難になった
  • やむを得ない事情で通勤不可能または困難になった

参考2:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

同じ特定理由離職者でも、1に該当する方と2に該当する方では、後述する失業保険の受給期間が変わってくるので、違いを理解しておきましょう。

3.特定受給資格者

特定受給資格者とは、倒産や解雇などの理由で再就職の準備をする時間がなく離職を余儀なくされた方のことです。特定受給資格者に該当する代表的な例は以下のとおりです。[参考3]

■特定受給資格者の範囲

  • 雇用先の倒産や事業所の廃止
  • 雇用先の従業員の大量退職に伴う離職
  • 事業所の移転で、通勤することが困難になったことによる離職
  • 会社都合による解雇
  • 労働契約と著しく異なる労働条件
  • 賃金の未払いや大幅な賃下げ
  • 労働時間や健康、職業生活の継続のために必要な配慮・措置がなされない
  • 雇用先の法令違反

参考3:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

特定受給資格者や特定理由離職者の範囲は要件が細かく定められているため、どの分類に当てはまるか知りたい場合は、ハローワークインターネットサービスで確認するか、最寄りのハローワークに問い合わせましょう。

失業保険を受け取るまでの手続きの流れ

ここからは、失業保険を受け取るまでの手続きの流れを5つのステップに分けて解説します。

1.STEP1:必要書類を集める

失業保険の申請はハローワークでおこないますが、まずはその前に必要書類を準備しましょう。ハローワークでの手続きに必要な書類は以下のとおりです。[参考4]

  • 雇用保険被保険者離職票(1、2)
  • 個人番号確認書類(いずれか1種類)
    (マイナンバーカード、通知カード、マイナンバーカード個人番号の記載のある住民票)
  • 身元(実在)確認書類
    (運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカードなど)
  • 写真(最近の写真、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)2枚
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

※詳細は下記サイトでご確認ください。
参考4:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き

雇用保険被保険者離職票(離職票)とは、離職したことを証明する公的な書類です。通常、退職日から10日~2週間くらいで手元に届きます。会社によっては、離職票を希望する退職者のみ、離職票の発行を申請するケースもあるので、失業保険の申請をおこなう可能性がある方は、退職時に会社に離職票が必要な旨を申し出ましょう。

なお離職票には以下の2種類があります。どちらもハローワークでの手続きに必要な書類なので、漏れなく提出しましょう。

  • 離職票-1:離職者の個人番号や、基本手当の振込先金融機関を指定する書類
  • 離職票-2:退職前の直近6ヵ月間の賃金や、離職理由が記載された書類

2.STEP2:ハローワークで失業保険の申請をおこなう

必要書類の準備ができたら、住所地を管轄するハローワークで失業保険の申請をしましょう。手続きの流れは以下のとおりです。

  1. 求職申込みをおこなう
    ハローワークに設置されているパソコン、または窓口で求職申込みの手続きをおこないましょう。
  2. 離職票を提出する
    STEP1で紹介した離職票-1、離職票-2 を提出します。
  3. 受給資格の決定
    通常は、書類の不備がなければ、離職票を提出した日が受給資格決定日となります。この時に離職理由も判定されます。
  4. 雇用保険受給者初回説明会の日時が決まる
    受給資格が決定したら、雇用保険受給者初回説明会の日時が案内されます。なお説明会の参加は待期期間(7日間)が終わったあとになります。待期期間とは、受給資格が決定したあとも失業保険が受給できない期間のことです。受給資格決定日から7日間が待期期間であり、退職理由にかかわらず一律です。

3.STEP3:雇用保険説明会に参加して失業認定を受ける

雇用保険受給者初回説明会では、雇用保険の受給について重要な事項が説明されます。受給資格決定日に渡される「雇用保険受給資格者のしおり」と筆記用具を持参して、必ず参加しましょう。

また説明会後は「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」が渡され、初回の「失業認定日(失業状態であることを確認する日)」が案内されます。

4.STEP4:求職活動をおこなう

失業認定日は初回以降、4週間に1度の頻度で設けられています。そのたびに失業の認定を受け、その後に基本手当が振り込まれる仕組みです。失業認定日には、「失業認定申告書」に求職活動の状況などを記入のうえ、「雇用保険受給資格者証」とともに提出しましょう。

なお各失業認定日の前に、原則として2回以上(初回の失業認定日の前は1回)の求職活動の実績が必要です。

求職活動の実績として認められる主なものは以下のとおりです。[参考5]

  1. 求人への応募
  2. ハローワークがおこなう職業相談職業紹介、各種講習、セミナーの受講など
  3. 許可・届出のある民間機関(就職・転職エージェントなど)がおこなう、職業相談、職業紹介、セミナーの受講など
  4. 公的機関が実施する職業相談、各種講習・セミナー、個別相談ができる企業説明会の受講など
  5. 再就職に資する各種国家試験や検定の受験

参考5:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き

ハローワーク、新聞、インターネットなどでの求人情報の閲覧や、知人への紹介依頼だけでは求職活動と認められないため注意しましょう。

5.STEP5:失業保険を受給する

失業保険を受給できるタイミングは一般離職者(自己都合)と特定受給資格者(会社都合)で異なります。

一般の離職者(自己都合)の場合、STEP2で解説した待期期間(7日間)を終えても、その翌日から原則2ヵ月間は「給付制限」が設けられているため、失業保険を受給できるのは受給資格決定日から2ヵ月以上先になります。

一方、特定受給資格者(会社都合)の場合、給付制限は設けられていないため、失業認定日に失業状態であることと求職活動の実績が認められれば、失業認定日から1週間程度で失業保険が振り込まれます。

失業保険はどれくらい受け取れる?

失業保険の受給額は、基本手当(失業保険)の日額と給付日数によって決まります。それぞれの計算方法や決まり方を見ていきましょう

1.基本手当日額と賃金日額の年齢別上限額

失業保険では、賃金日額に一定の給付率をかけて計算された「基本手当日額」が1日あたりの受給額となります。賃金日額は、原則として離職した日の直前の 6 ヵ月間に支払われた賃金(賞与は含まず)の合計を180で割った金額です。

賃金日額に基づく基本手当日額は、離職時の年齢区分によって以下のとおり定められています。なおそれぞれの年齢区分で賃金日額と基本手当日額の上限額が定められています。[参考6]

離職時の年齢賃金日額(w)給付率基本手当日額(y)
29歳以下※12,746 円以上 5,110 円未満80%2,196 円~4,087 円
5,110 円以上 12,580 円以下80%~50%4,088 円~6,290 円※2
12,580 円超 13,890 円以下50%6,290 円~6,945 円
13,890 円(上限額)超6,945 円(上限額)
30~44 歳2,746 円以上 5,110 円未満80%2,196 円~4,087 円
5,110 円以上 12,580 円以下80%~50%4,088 円~6,290円※2
12,580 円超 15,430 円以下50%6,290 円~7,715 円
15,430 円(上限額)超7,715 円(上限額)
45~59 歳2,746 円以上 5,110 円未満80%2,196 円~4,087 円
5,110 円以上 12,580 円以下80%~50%4,088 円~6,290 円※2
12,580 円超 16,980 円以下50%6,290 円~8,490 円
16,980 円(上限額)超8,490 円(上限額)
60~64 歳2,746 円以上 5,110 円未満80%2,196 円~4,087 円
5,110 円以上 11,300 円以下80%~45%4,088 円~5,085 円※3
11,300 円超 16,210 円以下45%5,085 円~7,294 円
16,210 円(上限額)超7,294 円(上限額)

※1 離職時の年齢が65歳以上の方が高年齢求職者給付金を受給する場合も、この表を適用します。
※2 y = 0.8w – 0.3{(w – 5,110)/ 7,470}w
※3 y = 0.8w – 0.35{(w – 5,110)/ 6,190}w,y = 0.05w + 4,520 のいずれか低い方の額

参考6:厚生労働省 都道府県労働局・ハローワーク「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和5年8 月1日から~

このように賃金日額が高くなるほど給付率は低くなる仕組みです。

2.受給期間

失業保険の受給期間は、年齢や雇用保険に加入していた期間、先に述べた離職者の分類(一般離職者・特定理由離職者・特定受給資格者)などによって、原則90日~360日の所定給付日数が決められています。

離職者の分類ごとの受給期間は下表のとおりです。[参考7]

1.特定受給資格者および一部の特定理由離職者

雇用保険の加入期間(被保険者であった期間)
1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上35歳未満120日180日210日240日
35歳以上45歳未満150日240日270日
45歳以上60歳未満180日240日270日330日
60歳以上65歳未満150日180日210日240日

※期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ当該労働契約の更新がないことにより離職した方(特定理由離職者の範囲1に該当する方)

2.一般離職者(自己都合による離職者、定年退職者など)、特定理由離職者の2(自己都合による離職者で正当な理由がある場合)

 雇用保険の加入期間(被保険者であった期間)
1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢90日※90日120日150日

※特定理由離職者は、離職以前1年間の加入期間が6ヵ月以上あれば基本手当(失業保険)の受給資格あり

3.就職困難者※

 雇用保険の加入期間(被保険者であった期間)
1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
45歳未満150日300日
45歳以上65歳未満360日

※身体障害者、知的障害者、精神障害者、刑法等の規定により保護観察に付された方、社会的事情により就職が著しく阻害されている方など

参考7:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数

このように特定受給資格者や就職困難者は、一般離職者などと比べて受給期間が長く設定されています。

失業保険の受給額をシミュレーション

「失業保険はどれくらい受け取れる?」で解説した基本手当日額に、所定給付日数をかけた金額が失業保険で受け取れる総額です。ここでは自己都合による離職(一般離職者)、会社都合による離職(特定受給資格者)の2つのケースに分けて、それぞれの失業保険の受給額(上限額)をシミュレーションしてみましょう。

なおシミュレーションにあたっての前提条件は以下のとおりとします。

【前提条件】
離職時の年齢:30歳
月給:30万円
雇用保険の加入期間:6年
受給期間:所定給付日数分をすべて受け取る(早期の再就職はなし)

1.自己都合による離職

賃金日額(w) =(30万円×6ヵ月分)/ 180 = 1万円

基本手当日額(y) =賃金日額(w)×給付率
= 0.8w-0.3{(w-5,110)/ 7,470}w
= 8,000円-0.3×{(1万円-5,110)/ 7,470}×1万円
= 約6,036円

受給額= 基本手当日額(y)×所定給付日数
= 6,036円×90日
= 54万3,240円

2.会社都合による離職

賃金日額(w) =(30万円×6ヵ月分)÷ 180 = 1万円

基本手当日額(y)=賃金日額(w)×給付率
= 0.8w-0.3{(w-5,110)/7,470}w
= 8,000円-0.3×{(1万円-5,110)÷7,470}×1万円
= 約6,036円

受給額= 基本手当日額(y)×所定給付日数
= 6,036円×180日
= 108万6,480円

今回のケースでは、賃金日額および基本手当日額は同じでしたが、所定給付日数は自己都合による離職では90日、会社都合による離職では180日と違いがあったため、受給額の総額(上限額)は2倍の差が出る結果となりました。

このように離職時の年齢や月給、雇用保険の加入期間が同じであっても、離職理由によって失業保険の受給額は大きく変わってくる場合があります。

再就職した際、再就職手当(祝い金)を受け取るには?

雇用保険の失業等給付には、再就職した際に「再就職手当」という祝い金が受け取れる制度があります。再就職手当は、失業保険の受給資格が決定した後、早期に安定した職業に就いた場合、または事業を開始した場合に受給できます。

1.受給要件

再就職手当を受け取るには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 失業保険の支給残日数が3分の1以上あること
    就職する前日までの失業保険の支給残日数が、所定給付日数(上限日数)の3分の1以上ないと、再就職手当は受け取れません。
  2. 1年を超えて勤務することが確実であること
    再就職先で1年を超えて勤務する見込みがある場合に限り、再就職手当が支給されます。例えばアルバイトやパートでの就職で雇用期間が1年以下の場合でも、契約更新により1年を超えて勤務することが確実だと認められれば、再就職手当が受け取れます。
  3. 待期期間が終わった後の就職または事業開始であること
    再就職手当を受け取るには、待期期間満了日以降の就職や事業開始であることが要件です。待期期間中に仕事や事業を始めると再就職手当は受け取れないので注意しましょう。
  4. ハローワークや職業紹介事業者の紹介による就職であること
    自己都合による退職などで給付制限を受けた場合、待期期間満了後の1ヵ月間については、ハローワークや許可・届出のある職業紹介事業者などの紹介による就職でないと再就職手当を受け取れません。
  5. 離職前の事業主や、その関連事業主への再就職ではないこと
    再就職手当を受け取るには、退職した会社と関わりのない就職先であることが求められます。そのため、退職した会社に再び就職する場合や、就職先が退職した会社と関連のある会社の場合は再就職手当の対象外です。
  6. 過去3年以内に再就職手当を受け取っていないこと
    過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していた場合も、再就職手当は受給できません。例えば、前回の就職日が次の就職日から3年以内で、その際に再就職手当をもらっていた場合などが該当します。
  7. 受給資格決定前から採用が内定していた就職ではないこと
    受給資格決定(求職申し込み)前から決まっていた就職の場合、再就職手当は受給できません。
  8. 雇用保険の加入要件を満たす条件での雇用であること
    再就職が決まっても、アルバイト・パートなどで雇用保険の加入要件を満たさない場合は、原則として再就職手当の対象外となります。

2.受給額

再就職手当の受給額は、失業保険の受給額がベースとなります。具体的には、失業保険の基本手当日額に給付率をかけて計算します。

失業保険の支給残日数に応じた給付率は以下のとおりです。[参考8]

支給残日数給付率
所定給付日数の3分の2以上失業保険の支給残日数の70%
所定給付日数の3分の1以上失業保険の支給算日数の60%

参考8:厚生労働省「再就職手当について

このように失業保険の支給残日数が多いほど(早期に再就職するほど)、給付率は多くなります。

例えば、失業保険の所定給付日数が90日、基本手当日額が1万円の方が、60日の支給日数を残して再就職した場合、再就職手当の受給額は42万円です。

再就職手当の受給額
=支給残日数×基本手当日額×給付率
=60日×1万円×70%
=42万円

3.手続きの流れ

再就職手当の手続きは、以下の流れでおこないます

  1. 再就職が決まったことをハローワークに報告
    再就職先が決まったら、まずはハローワークに報告し、再就職手当の手続きに必要な書類などを確認しましょう。
  2. 再就職先に「採用証明書」を記載してもらう
    再就職先に、ハローワークに提出するための「採用証明書」を発行してもらいます。採用証明書は各都道府県の労働局(ハローワーク)のウェブサイトなどからダウンロードできます。
  3. 就職日前日までの失業認定を受ける
    原則、就職日の前日にハローワークに行き、「失業認定申告書」と再就職先から発行してもらった「採用証明書」を提出します。
  4. 「再就職手当支給申請書」の記入
    再就職先に「再就職手当支給申請書」を記入してもらいます。また自身も本人記載欄に氏名・住所などの必要事項を記入します。
  5. ハローワークに「再就職手当支給申請書」を提出する
    「再就職手当支給申請書」の準備ができたら受給資格者証を添えてハローワークに提出しましょう。提出期間は就職した日の翌日から1ヵ月以内です。提出方法は、ハローワークに持参、または郵送する方法があります。
  6. 再就職手当が振り込まれる
    再就職手当は「再就職手当支給申請書」を提出後に、支給・不支給を決定するための調査期間が設けられています。そのため、支給される場合は申請書の提出から入金までに1ヵ月半~2ヵ月ほどかかります。

詳しい手続きの方法は受給資格が決定した際にもらう「受給資格者のしおり」でも確認できます。再就職に備えて流れを把握しておきましょう。

失業保険に関するよくある質問

ここからは失業保険に関するよくある質問について回答します。同じような疑問を持っている方は参考にしてみてください。

1.受給中のアルバイトやパートは可能?

失業保険の受給中や給付制限期間中にアルバイトやパートで働くことは、要件を満たせば可能です。原則として、1日の労働時間が4時間未満であれば失業保険を受給しながら働くことができます。ただし、失業認定日にアルバイトやパートで得た収入額の申告が必要です。収入額によっては、働いた日数分の受給額が減額または支給されないことがあります。

一方でアルバイトやパートなどの名称であったとしても、週20時間以上の継続的な仕事に就いた場合は「就職」とみなされ、失業保険は受け取れなくなるので注意しましょう。

なお、待期期間中にアルバイトやパートをすると、働いた日数分の受給の開始が遅れてしまう場合があるので、こちらも注意が必要です。

また近年は、アルバイト・パートなどの雇用契約ではなく、業務委託契約を結んで働くタイプの日雇いや短期のお仕事も増えてきました。業務委託契約は仕事の成果に対して報酬が発生するケースが一般的で、明確な労働時間が決まっていないことがあります。このような場合でも、業務の内容によっては「失業の状態ではない」とみなされ失業保険が受給できなくなる可能性があるので注意が必要です。業務委託契約の仕事をするために、開業届を提出して個人事業主となる場合も同様です。

失業保険の受給中や給付制限期間中に業務委託契約で働きたい場合は、事前にハローワークに相談するとよいでしょう。

2.受給中の健康保険料・年金保険料の支払いは?

失業保険の受給中でも、原則として健康保険料や年金保険料の支払いは必要です。ただし退職後は、会社勤めをしていた時のようにこれらの保険料は給与から天引きされないため、自ら納める必要があります。ここではそれぞれの支払いについて見ていきましょう

健康保険料の支払い

会社を退職するとこれまで加入していた健康保険の資格がなくなるため、すぐに再就職しない場合は以下のいずれかの方法で健康保険を切り替える必要があります。

  1. 任意継続健康保険に加入する
  2. 国民健康保険への加入
  3. 家族の健康保険の被扶養者になる

任意継続健康保険とは、退職などでこれまで加入していた健康保険の資格を喪失した際に、個人の希望によって同一の健康保険に継続して加入できる制度です。任意継続健康保険に加入できる期間は最長2年間です。保険料は主に退職時の標準報酬月額をもとに決まります。一定の要件を満たした扶養家族がいる場合、その方の保険料はかかりません。ただし任意継続健康保険では、これまで会社が半分負担していた保険料を全額ご自身で負担しなければならず、原則退職前の2倍程度の保険料を支払うことになります。(健康保険によって保険料の上限額が定められている場合あり。)

国民健康保険とは、会社などの健康保険に加入しない方が加入する公的医療保険です。保険料の算定方法は市区町村ごとに異なりますが、基本的には前年の所得や世帯の加入者数などに応じて決まります。国民健康保険には扶養という概念がないため、これまで健康保険の扶養に入っていた家族がいる方でも、退職されたご本人が国民健康保険に加入する場合は、国民健康保険に入って保険料を支払う必要があります。国民健康保険には減免制度があるので、保険料の支払いが苦しい場合はお住いの市区町村に相談してみましょう。

またご家族で会社の健康保険に入っている方がいる場合、その方の健康保険の被扶養者になる方法もあります。ご家族の被扶養者になれば、ご自身は保険料を支払う必要はありません。なお、ご家族の健康保険の扶養に入るには、収入など一定の要件を満たす必要があります。

ご自身の状況に合わせて、有利な方法に切り替えましょう。

年金保険料の支払い

会社を退職してすぐに再就職しない場合、国民年金の第1号被保険者に切り替えて、国民年金保険料を支払う必要があります。国民年金保険料は一律で、2023年度分は1ヵ月あたり1万6,520円です。ただし保険料の支払いが苦しい場合は、国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度を利用できる場合があります。

免除制度とは、本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年の所得)が一定以下の方や失業した方が保険料の免除を受けられる制度です。免除される保険料の割合は、「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4種類があります。免除された期間も老齢基礎年金の受給資格期間に反映されますが、年金額への反映は全額納付した場合の年金額の2分の1~8分の7に減額されます。なお、あとから保険料を納めて減額された分の年金額を増やせる「追納」という制度もあるので、余裕ができたら追納も検討しましょう。

納付猶予制度は、20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年の所得)が一定額以下の場合に保険料の支払いが猶予される制度です。免除制度と異なり、あくまで保険料の支払いが「猶予」されるだけなので、あとから追納しないとその期間分の年金額は増えません。

また20歳以上60歳未満の方で、配偶者が国民年金の第2号被保険者(会社員や公務員)の場合、社会保険上の扶養の要件を満たせば国民年金の第3号被保険者になります。第3号被保険者の保険料は配偶者(第2号被保険者)が負担するのでご自身で支払う必要はありません。

不正受給をしてしまうとどうなる?

失業保険を不正受給してしまうと、その後の失業保険などの手当てを受給できなくなるうえに、すでに受給した失業保険の返還を求められます。さらに返還する金額とは別に、不正受給した額の2倍以下の金額の支払いも求められ、経済的な負担が大きくなってしまうので注意が必要です。

不正受給となってしまう例には、以下のようなものがあります。

  • 実際にはおこなっていない求職活動を「失業認定申告書」に実績として記載した
  • 就職や就労(パートタイマー、アルバイトなど)をしたにもかかわらず、「失業認定申告書」にその記載をしなかった
  • 自営業や請負業により事業を始めているにもかかわらず、「失業認定申告書」にその事実を記載しなかった
  • 会社の役員に就任(名義だけの場合も含む)しているにもかかわらず、「失業認定申告書」に記載しなかった

失業認定申告書には漏れや偽りなく記載して、不正受給にならないよう十分気を付けましょう。

長期間働けなくなった場合の備えはどうする?

失業保険は失業した方の生活を守る公的な保障です。ただし、先に述べたとおり受給できる金額や期間には上限があるため、家族の生活を支えているなど、収入が減ると困る事情がある方は、長期間働けなくなった場合の保障としては十分ではない可能性があります。失業保険では足りない保障は、病気やケガなどで働けなくなった場合に給付金が受け取れる「就業不能保険」に加入しておくと安心です。

フコク生命の就業不能保障特約「はたらくささえプラス」なら、就業不能状態※1が30日間継続した場合に、就業不能給付金を12ヵ月にわたり毎月受け取れます。さらに就業不能状態※2が1年間継続した場合は、就業不能年金を70歳まで毎年受け取れます。
失業保険のように失業したらもらえる保険ではありませんが、病気やケガで長期間働けなくなった場合の備えとして有効な手段です※3

※1 病気(精神疾患、妊娠・出産等にかかわるものを除く)またはケガによる入院または在宅療養(注)、所定の精神疾患による入院
※2 病気(精神疾患、妊娠・出産等にかかわるものを除く)または、ケガによる入院または在宅療養(注)
※3 「はたらくささえプラス」〔就業不能保障特約(2022)〕は、さまざまなリスクに対応した特約を組み合わせて作れる複合型保険「未来のとびら」のひとつです

(注)「在宅療養」とは、医師による治療が必要であり、かつ、日本国内の自宅等で、計画的な訪問診療または医師の指示・診療にもとづく計画的な訪問介護・指導等を受けながら治療に専念することをいいます。

まとめ

失業保険は雇用保険に加入していた方が離職した際に、失業中の生活を守り、早期の再就職を支援するための公的保障です。離職理由や退職前の賃金額などによって受給できる金額が変わってくるので、仕組みを理解しておきましょう。失業保険には1日あたりの受給額と受給できる日数に上限があります。
家族の生活を支えているなど、収入が減ると困る事情がある方は、病気やケガで長期間働けなくなった場合の備えとして就業不能保険への加入も検討しましょう。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ