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赤ちゃんにとって大切な成長過程である離乳食。しかし、「いつから始めればいいの?」「どんな食材を選べばいいの?」など、初めての育児では不安なことがたくさんあるでしょう。
この記事では、離乳食を始める時期や進め方のポイント、注意すべきことについて、わかりやすく解説していきます。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
離乳食とは?なぜ必要?
離乳食とは、母乳や育児用ミルクなどの乳汁栄養から、固形食を含む幼児食へと段階的に移行させていく途中で与える食事のことをいいます。赤ちゃんが成長すると、母乳やミルクだけでは成長に必要な鉄分などの栄養素が不足してきます。そのため、離乳食を通じて不足する栄養を補うことが必要です。
また、離乳食は栄養補給だけでなく、決まった時間に食事を取り入れることで生活リズムを整える、食べる喜びを知る、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)など口の機能の発達を促すといった効果があります。離乳食は、赤ちゃんの健やかな成長をサポートする大切なステップといえるでしょう。
離乳食はいつから始めればいい?
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」によると、離乳食を始める時期は、一般的に生後5~6ヵ月頃を目安に始めることをすすめています。しかし、この時期に必ずしも開始しなければならないというわけではありません。
大切なのは、赤ちゃん一人一人の発達状況を見極めることです。例えば、首がしっかりと座っている、支えがあれば安定して座れるようになっている、食べ物に興味を示すようになった、といった成長のサインを確認しましょう。
また、スプーンなどを見て口を開けたり、家族の食事中によだれを出したりするなど、食べることへの関心を示すようになってきたことも、離乳食を始める目安となります。[参考1]
このように、開始時期は赤ちゃんによって個人差があるため、月齢だけにとらわれず、お子さんの様子をよく観察しながら始めていきましょう。
参考1:厚生労働省・こども家庭庁「授乳・離乳の支援ガイド(平成31(2019)年3月)」
離乳食の進め方

離乳食は、赤ちゃんの成長に合わせて、少しずつ固さや量を増やしていくことが大切です。ここでは、離乳食初期・中期・後期・完了期の4つの段階に分けて、進め方のポイントをご紹介します。焦らず、赤ちゃんのペースに合わせて、楽しい食事の時間をつくっていきましょう。
1.初期(目安:5ヵ月〜6ヵ月)
離乳食初期は、離乳食を飲み込む感覚とその舌ざわりや味に慣れることを目指します。生後5〜6ヵ月の時期は、まだ母乳やミルクからの栄養が中心。1日1回の食事から始め、赤ちゃんの様子を見ながら少しずつ進めましょう。
小さじ1杯程度のつぶしがゆからスタートし、豆腐や野菜ペーストなど、なめらかで消化しやすい食材をプラスしながら少しずつ量を増やしていきます。つぶしがゆとは、10倍がゆ(米1に対して水10の割合のおかゆ)程度のものをなめらかにつぶしたものです。味付けは必要ありません。食材本来の味を楽しむことで、味覚を育てていきます。
またこの時期の赤ちゃんは、口唇(こうしん)を閉じて食べ物を取り込み、舌で前から後ろへ送り込んで飲み込むことができるようになってきます。しかし、まだ上手に食べられないため、様子を見ながら焦らずゆっくりと進めることが大切です。[参考2]
2.中期(目安:7ヵ月〜8ヵ月)
生後7~8ヵ月頃になると、舌で食べ物をつぶせるようになってきます。離乳食中期では食事回数を1日2回に増やし、生活リズムを整えていくことを目指しましょう。
食材は舌でつぶせる程度の柔らかさが理想で、全がゆ(米1に対し水5の割合のおかゆ)やつぶした野菜や軟らかく調理した白身魚、豆腐などを取り入れていきます。薄味での調理も始められますが、調味料は控えめにしましょう。
この時期の赤ちゃんは、舌とあごの動きが前後運動から上下運動へと変化し、口唇も左右対称に動かせるようになってきます。食べさせ方は、平らな離乳食用スプーンを下唇にそっとのせ、上唇が閉じるのを待ってから与えるようにします。[参考2]
母乳やミルクは、離乳食の後に与えます。それ以外の時間帯では、母乳は赤ちゃんの欲するままに、ミルクは1日3回程度を目安に与えてください。この時期はまだ母乳やミルクも重要な栄養源となっています。[参考2]
3.後期(目安:9ヵ月〜11ヵ月)
生後9ヵ月頃になると、歯ぐきで食べ物をつぶせるようになります。離乳食後期では食事回数を朝・昼・晩の1日3回に増やします。そして、赤ちゃんの食欲に応じながら量を調整し、栄養の多くを離乳食からとるよう目指しましょう。
食材は、全がゆ~軟飯、柔らかく刻んだ野菜や魚、豆腐など、歯ぐきで潰せる固さのものを中心に与えます。軟飯とは全がゆよりも水分が少なく、米1に対して水2~3の割合で炊いたご飯のことです。味付けも少しずつ、つけることができますが、大人よりも薄味を心がけてください。
この時期の赤ちゃんは、舌で食べ物を歯ぐきの上にのせられるようになり、歯や歯ぐきでしっかりと潰すことができます。さらに、口唇の動きは左右非対称となり、噛んでいる方向に従って動くようになります。食べさせる際は、丸みのある離乳食用スプーンを下唇にのせ、上唇が閉じるのを待ちましょう。
また、この時期から積極的に取り入れたいのが「手づかみ食べ」です。食べ物を触ったり、握ったりすることで、その固さや触感を体験し、食べ物への関心を高め、自発的に食べようとする意欲を育てます。周りが汚れてしまったり、時間がかかったりすることもありますが、温かく見守ってあげることが大切です。
母乳やミルクは離乳食の後に与え、それ以外の時間帯では、母乳は赤ちゃんの欲するままに、ミルクは1日2回程度を目安に与えます。[参考2]
4.完了期(目安:12ヵ月〜18ヵ月)
生後12~18ヵ月頃は、離乳食完了期と呼ばれ、大人と同じ食事へと移行していく時期です。離乳食完了とは、形のある食物をかみつぶせるようになり、エネルギーや栄養素の大部分が母乳やミルク以外の食事から摂れるようになった状態のこと。必ずしも母乳やミルクを完全に終了する必要はありません。
食事は1日3回の規則正しい食事に加え、必要に応じて1~2回の補食(おやつ)を与えます。食材は、軟飯~ご飯で、次の項で説明する「食べさせてはいけない食材」以外のものを家族の食事から取り分け、子どもが食べやすい大きさにして与えましょう。味付けも家族と同じものを目安としますが、薄味を心がけます。
この時期の特徴は、手づかみ食べで前歯を使って噛み取る練習をして、適切な一口量を覚えていくことです。また、スプーンなどを使い始めることで、自分で食べられるようになる準備を進めていきます。焦らず、赤ちゃんのペースに合わせて、食事の時間を楽しみましょう。
母乳やミルクについては、子どもの離乳の進行状況に応じて与えます。子どもの成長に合わせて柔軟に対応していきましょう。[参考2]
参考2:厚生労働省・こども家庭庁「授乳・離乳の支援ガイド(平成31(2019)年3月)」
離乳食を始める際のポイントや注意点
離乳食を始めるにあたって、食材選びや調理方法、与え方など重要なポイントがいくつかあります。赤ちゃんが安全に楽しく食事ができるよう、離乳食をスタートする前に知っておきたい基本のポイントと注意点をご紹介します。
1.必要な栄養素を把握しておく
離乳食を始めるときには、赤ちゃんの成長に必要な栄養素を理解しておくことが重要。赤ちゃんの体づくりには、バランスの取れた食事が欠かせません。
特に押さえておきたい栄養素は、お米やいも類などの炭水化物(エネルギー源)、野菜や果物に含まれるビタミン・ミネラル(体調を整える)、魚や肉、大豆製品などのたんぱく質(体をつくる)の3つです。これらをバランスよく取り入れることで、赤ちゃんの成長を支えることができます。
また、生後6ヵ月以降は特に鉄欠乏性貧血になりやすい時期です。そのため、離乳食では鉄分を多く含む食材を意識的に取り入れることが大切です。鉄分が豊富な食材としては、大豆製品、ほうれん草、小松菜、牛肉、卵、まぐろなどの青魚、豚肉、レバーなどがあります。これらの食材を上手に取り入れながら、バランスの良い離乳食を心がけましょう。[参考3]
参考3:厚生労働省・こども家庭庁「生後5か月からの「離乳スタートガイド」」
2.食べさせてはいけない食材について知っておく
離乳食を始めるときには、「赤ちゃんに与えてはいけない食材」についても正しく理解しておくことが大切です。赤ちゃんを守るためにも、正しい知識を身につけておきましょう。
離乳食期に避けるべき食品として、以下のものがあります。[参考4]
- はちみつ(1歳まではNG):乳児ボツリヌス症を引き起こすリスクがある
- 牛乳(1歳までは飲用NG):消化吸収が未熟な赤ちゃんには負担が大きい
- 香辛料: 刺激が強すぎるため、下痢などを引き起こす
- 生の肉・魚・卵・魚卵:食中毒のリスクがある
- カフェイン(緑茶、紅茶、コーラ、エナジードリンク、コーヒーなど): 赤ちゃんの体に負担がかかる
- のどに詰まりやすいもの:もち、こんにゃく、ミニトマト、ぶどう、ナッツ類など、球状のものや固くて噛みにくいものは注意
参考4:厚生労働省・こども家庭庁「生後5か月からの「離乳スタートガイド」」
3.食中毒に注意する
赤ちゃんは大人と比べて細菌への抵抗力が弱く、食中毒にかかりやすい特徴があります。もし食中毒になると、嘔吐や下痢、腹痛、発熱などの症状が現れ、重症化してしまうケースもあります。
特に離乳食は水分が多く薄味で、つぶしたり刻んだりする工程があるため、細菌による汚染や傷みやすさに注意が必要です。安全な離乳食を提供するためにも、農林水産省が提唱する「食中毒予防の3原則」を意識しながら赤ちゃんを食中毒から守りましょう。[参考5]
- 細菌をつけない
調理前や生ものを触った後は石鹸での手洗いを徹底します。また食材はよく洗い、調理器具は清潔に保ちましょう。特に生もの用の調理器具は別にすると安心です。 - 細菌を増やさない
調理は手際よくおこない、作ったらなるべく早く食べさせ、残り物は与えないようにします。またほとんどの食中毒菌は10℃以下では増えないため、冷蔵庫は詰めすぎに注意して適切な温度管理を心がけましょう。 - 細菌をやっつける
食品の中心温度が85℃以上になるよう、十分な加熱を心がけましょう。
参考5:農林水産省「食中毒(しょくちゅうどく)の予防」
4.様子を見ながら少しずつ与える
離乳食を始めると、赤ちゃんが食べてくれない悩みや、すりおろしなどの調理の大変さに直面することがあります。離乳食は、親子ともに無理のない範囲で進めていくことが大切です。
離乳食を与える際は、赤ちゃんの食べる様子をよく観察します。その日の体調や機嫌によって食欲は変化するため、赤ちゃんの反応を見ながら無理せず進めることが重要です。もし、赤ちゃんが食べることを嫌がったり拒否したりする場合は、その日は中止して、別の日に再度挑戦するようにしましょう。
また、離乳食の準備が大変な場合は、ベビーフードなどを活用していくのもよいでしょう。親子ともにゆとりを持つことで、楽しい離乳食の時間を作ることができます。
離乳食に関する疑問

離乳食を始める際には、さまざまな疑問や不安が出てくるものです。ここでは、離乳食に関するよくある疑問に答えながら、スムーズに進めるためのヒントをお伝えします。
1.離乳食は全て手作りした方が良い?
離乳食を全て手作りにするか、市販のベビーフードを活用するかは、家庭の状況や考え方によって選択して問題ありません。食材や調理法にこだわりがある方は手作りで、特にこだわりがない方は市販品を上手に取り入れていくとよいでしょう。
毎日の離乳食づくりに負担を感じる方もいらっしゃいますが、市販のベビーフードを活用することは決して悪いことではありません。月齢に合わせた食材や硬さに調整されているため、育児の負担軽減のためにも上手に取り入れることをおすすめします。
ベビーフードを選ぶ際には必ず月齢に合ったものを選び、原材料や栄養成分表示も確認しましょう。また、赤ちゃんに与える前に、味や風味を確かめるためにも、試食してみるのもおすすめです。開封後は、記載されている保存方法を守り、早めに使い切るようにしましょう。
2.離乳食をあげる時間はいつがいい?
初めての食材を与える場合は、アレルギー反応が出た際にすぐに病院に行けるよう平日の午前や昼間の時間帯がおすすめです。何か異常が見られた場合でも、すぐに医療機関を受診できる安心感があります。
また、赤ちゃんが機嫌良く、落ち着いて食事できる時間帯を選ぶことも大切です。眠くて機嫌が悪い時や体調がすぐれない時は、食べる意欲も低下してしまいます。赤ちゃんが最も活発で機嫌の良い時間帯でかつ、お腹が空いている時間帯に与えましょう。
さらに、離乳食を与える時間帯は、できるだけ一定にすることをおすすめします。毎日同じような時間に食事をすることで、生活リズムが整い、食事への期待感も生まれやすくなります。
3.離乳食を食べてくれない場合はどうすればいい?
離乳食をなかなか食べてくれないときは、食べ方に変化を加えてみましょう。例えばスプーンを変える、温度を調整する、盛り付け方を工夫するだけでも、興味を示すことがあります。また、食べる前に少し散歩に行ったり、遊んだりして、お腹を空かせるのも効果的です。
それでも食べてくれない場合でも、無理強いは禁物です。無理に食べさせようとすると、赤ちゃんにとって食事がつらい経験となり、ますます食べなくなってしまう可能性があります。赤ちゃんのペースに合わせて、焦らず、気長に見守ることが大切です。
4.食物アレルギーが心配
食物アレルギーは心配ですが、離乳食を遅らせてもアレルギーを防ぐことはできません。また、心配だからと特定の食材を避けると、栄養が偏ってしまう可能性もあります。
アレルギー対策として大切なのは、新しい食材を与える際は少量から始め、しっかりと加熱調理をおこなうことです。また、調理器具や環境を清潔に保つことも重要です。食事の際は赤ちゃんの様子をよく観察し、皮膚の発疹やかゆみ、嘔吐、下痢などの症状が見られた場合は、直ちに医療機関を受診しましょう。
まとめ
離乳食は、赤ちゃんが「食べる」ことを学び、味覚を育むための大切な一歩です。いつから始めるか、どんな風に進めていくかは、赤ちゃん一人ひとりによって異なります。上手く食べられない日があっても、嫌がる食材があっても、それは自然なことです。無理強いせずに、赤ちゃんの反応を見ながら、焦らず少しずつ進めていきましょう。
大切なのは、離乳食の時間が赤ちゃんにとって楽しい思い出となることです。ゆったりとした雰囲気の中で、笑顔で向き合いながら食事をすることで、赤ちゃんは食べることの喜びを覚え、健やかな食習慣を身につけていくことができるでしょう。
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古市 菜緒(ふるいち なお)
バースコンサルタント代表 (助産師・看護師・保健師)
助産師として1万件以上の出産に携わり、8千人以上の方を対象に産前・産後のセミナー講師を務める。海外での生活を機にバースコンサルタントを起ち上げ、現在「妊娠・出産・育児」関連のサービスの提供、アドバイスを行う。関連記事の執筆・監修、商品・サービスの監修、産院のコンサルタント、国・自治体の母子保健関連施策などに従事。現在2児の母。
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ