異年齢保育(縦割り保育)とは?同年齢保育との違いやメリット・デメリットを紹介

異年齢保育(縦割り保育)とは?同年齢保育との違いやメリット・デメリットを紹介

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少子化が進む現代において、異年齢保育は子どもの社会性や協調性、思いやりの心を育む保育形態として注目されています。しかし、異年齢保育がどのようなものかイメージが付きにくいかもしれません。

この記事では、異年齢保育の目的や同年齢保育の違い、メリット・デメリットについて、わかりやすく解説します。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

異年齢保育(縦割り保育)とは?

異年齢保育とは、年齢の異なる子どもたちが同じ空間で共に過ごす保育のことで、縦割り保育や混合保育とも呼ばれます。異年齢保育の形態にはいくつかのパターンがあります。

  • 施設全体でおこなう
  • 乳児クラスと幼児クラスを分けておこなう
  • 週1回・月1回など定期的にイベントとしておこなう

異年齢保育が注目されている背景には、少子化の進行によって子どもたちの交流機会が減っているという現状があります。1975年以降、出生数は減少傾向をたどっており、2023年には過去最少の約72万人となりました。[参考1]

少子化の影響で、家庭内における兄弟姉妹の数が減り、年上の子と年下の子が触れ合う機会が少なくなっているのです。また、子どもの数が減ることで、近所に遊び相手を見つけることも難しくなり、異なる年齢の子ども同士が交流する機会が減っています。

そこで、年齢の異なる子どもたちが共に過ごすことができる異年齢保育を導入し、子どもたちが自分らしく成長するために必要な環境を提供するという考え方が広まっているのです。

参考1:厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計月報年計数(概数)の概況」p.4

同年齢保育との違い

同年齢保育は、同じ学年の子どもたちでクラスを構成する方法です。子どもたちの発達段階が近いため、活動内容を調整しやすく、指導もスムーズにおこなえます。

一方、異年齢保育では、さまざまな年齢や発達段階の子どもたちが一緒に生活します。そのため、同年齢保育よりも幅広い活動やプログラムを実施することができます。異年齢保育では、子どもたちの年齢や能力に合わせて役割分担ができるからです。

また、子どもたちの関係性にも違いが見られます。同年齢保育では、子どもたちは比較的対等な関係を築きやすい傾向がありますが、異年齢保育では、年上の子が年下の子の面倒を見たり、自然に教え合ったりする様子が見られます。異年齢保育では、同年齢保育よりも多様な人間関係が生まれやすいという特徴があります。

異年齢保育の目的

異年齢保育は、年齢の枠を越えて子どもたちが共に学び合い、成長することを目指しています。子どもたちは、年上の子から影響を受けたり、年下の子を世話したりすることを通して、社会性や思いやりの心を育んでいきます。

年齢が異なる子どもたち同士がふれあうことで、互いに刺激を受け、コミュニケーション能力やチャレンジ精神を高められるのです。また、幼児期にこのような異年齢との関係を経験することで、将来の社会生活にも活かされる協調性や社会性を身につけることができます。

異年齢保育のメリット

異なった年齢の子どもたちが同じ空間で学ぶことは、年上の子にも年下の子にもメリットがあります。ここでは、異年齢教育の5つのメリットについて解説します。

社会性が身に付く

子どもたちの社会性を育めるのは異年齢保育の大きなメリットです。年下の子は、年上の子の行動を真似しながら、遊びのルールや社会のルールを自然と学んでいきます。

おままごと一つをとっても、年上の子が年下の子に優しく教えながら役割分担をしたり、おもちゃの貸し借りの仕方を伝えたりする中で、自然と社会性が育まれていくのです。一方、年下の子は年上の子をお手本として、さまざまな社会的スキルを学んでいきます。

異年齢保育は、子どもたちが日常生活の中で、年齢の異なる子どもたちと関わり合いながら、社会性を育む貴重な場といえるでしょう。

興味・関心が広がる

さまざまな年齢の子どもたちが共に過ごすことで、互いに刺激し合い、興味や関心が自然と広がります。

例えば、年下の子が年上の子の折り紙遊びを見て興味を持ち、挑戦してみるかもしれません。あるいは、複雑なルールのある「ごっこ遊び」を間近で見ることで、今まで知らなかった遊びの世界に触れ、意欲的に真似することもあります。

一方、年上の子は、年下の子に遊び方を教えたり、一緒に遊んだりする中で、相手に分かりやすく伝える力や思いやる心を育んでいきます。

このように、異年齢保育は年上の子・年下の子の双方にとって新たな発見をもたらし、彼らの世界を広げる作用があるのです。

自立心が育つ・責任感が芽生える

異年齢保育では、年上の子が年下の子の世話をする機会が多く生まれます。年上の子たちは、年下の子の面倒を見ることを通して、年上としての自覚や責任感が芽生えます。

年下の子を世話する経験を通じて、年上の子は自分が頼られる存在であることを実感し、自立心が育っていきます。同時に、年下の子の面倒を見るという責任を果たすことで、責任感を持つようになります。

一方、年下の子たちは、年上の子たちの行動や言動をよく観察し、憧れを抱きながら成長します。年上の子たちが優しく接してくれることで、自分も大きくなったらそうありたいと自然に思うようになるでしょう。

思考力や想像力が学べる

年齢の異なる子どもたちが同じ場所で過ごすことは、子どもたちの思考力や想像力を育む上で効果的です。遊具で年下の子がうまく遊べずに困っている時、年上の子は自然と「どうすれば一緒に楽しく遊べるだろう?」と考え始めます。

優しく言葉をかけてみたり、時には実際にやって見せてあげたりしながら、試行錯誤を重ねて自分なりの解決策を見つけようとします。年齢や発達段階の異なる子どもたちが共に生活することで、相手のことを考えつつ、これまでにない斬新なアイデアや対応策が生まれる可能性もあります。

異なる年齢の子どもたちが同じ場所にいるという環境の中で、子どもたちは日々さまざまな課題に直面します。しかし、その度に自ら考え、行動し、解決を目指そうとする経験を通して、問題解決能力を自然と身につけていくのです。

思いやりの心が育つ

年齢の異なる子どもたちが共に過ごす保育環境では、思いやりの心が育まれやすくなります。年上の子は年下の子の面倒を見る中で、相手の気持ちを察し、優しく接することの大切さを学ぶからです。

例えば、年下の子が高いタワーを作ろうとしてうまく積めないことに気づいた年上の子が、自分のタワーを崩して年下の子にタワーの積み方を教えてあげるといった行動が見られます。

年下の子は年上の子の行動を見て、まねをしながら自分の目標を達成すると同時に、年上の子の思いやりのある行動に感化され、自分も周りの人に優しくしようという気持ちが芽生えます。

異なる年齢の子どもたちが共に生活することで、お互いを思いやる気持ちが育まれ、温かい心の交流が生まれるでしょう。

異年齢保育のデメリット

異年齢保育には、社会性が身につくことや思いやりの心が育つことなど多くのメリットがあるとわかりました。しかし、デメリットもあります。ここでは、保育士や保育園が注意しなければならない3つのデメリットについて解説します。

ストレスになる場合がある

子どもたちが異なる年齢の仲間と生活することは、良い面ばかりではありません。場合によっては、子どもたちにとってストレスの原因となる可能性もあります。

年下の子どもが年上の子どもに「一緒に遊ぼう!」と誘った結果、年上の子どもの積み木を壊してしまうことがあるかもしれません。そのとき、年上の子どもは思わず年下の子どもに怒ってしまうでしょう。

年下の子どもはそれを「意地悪された」と感じてしまい、先生に訴えるかもしれません。すると、今度は年上の子どもが納得できずにつらい思いをすることになる可能性があります。

保育士は、子どもたちの様子を注意深く観察し、ストレスにすぐに気付いてあげられるように気を配らなければなりません。しかし、こうした細やかな対応は、保育士や保育園にとって少なからず負担となるでしょう。

遊び方に工夫が必要になる

年齢の異なる子どもたちが共に過ごす環境では、遊びの選択や進め方に工夫が必要になります。

年上の子どもが年下の子ども向けのパズル遊びに参加する場合、簡単過ぎてすぐに飽きてしまったり、物足りなさを感じてしまったりすることがあります。反対に、年下の子どもが年上の子ども向けの複雑なルールを持つゲームに参加すると、難し過ぎて理解できず、遊びに参加できないといった状況も考えられます。

保育士は、子どもたちの年齢や発達段階に合わせた遊びや活動内容を工夫し、全員が楽しみながら参加できる環境を作っていく必要があります。

力関係の差によるトラブルが発生することもある

複数の年齢の子どもが混在する状況では、発達段階の差からくる力関係がトラブルに発展する可能性があります。体格差のある年上の子が年下の子を押したり、おもちゃを奪ったりするといった行為が見られるかもしれません。

教室内で力関係が出来上がってしまうと、年下の子は恐怖心やストレスを感じ、保育園へ行くことをためらう可能性があります。

保育士は、こうした力関係のアンバランスが生じやすい環境において、子どもたち一人ひとりの安全を確保し、健やかな成長をサポートするために、よりきめ細やかな配慮と指導が求められます。

まとめ

異年齢保育は、子どもたちの社会性や思いやりの心を育む上で多くのメリットがある一方、ストレスや力関係の差によるトラブルなどのデメリットも存在します。

保育士や保育園は、これらのメリットを最大限に活かしつつ、デメリットに適切に対処することが求められます。子どもたち一人ひとりの個性や発達段階に配慮しながら、安全で楽しい保育環境を提供することが重要です。

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馬場正裕(ばば まさひろ)
FPライター。ファイナンシャル・プランナーとして、各種サイトでマネー記事やコラムの執筆を担当した。消費者金融や外貨預金、家計管理、不動産関連の記事を執筆。FPとしての知識を生かした記事執筆の活動を行っている。2級FP技能士

記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ