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夫婦で子育てをするのが当たり前となりつつありますが、幼い子どもを育てている人の中には、さまざまな事情で「ワンオペ育児」をしている人がたくさんいるのが現実です。
本記事ではワンオペ育児について説明します。一人で子育てする際に抱えやすい悩みや、不安を解消するためにできることを知っておき、安心して育児ができるような対策を考えておきましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
ワンオペ育児とは?
「ワンオペ」とは「ワンオペレーション」の略です。飲食店などで、作業を一人でこなしている状態を「ワンオペ」と言うことがあります。そこから派生した「ワンオペ育児」という言葉は、子育てを一人の親だけでこなしている状態を意味します。
現代の日本では、ワンオペ育児をしているのは母親の傾向があります。女性の社会進出が進み、共働きが増えたとはいえ、父親の育児時間は母親よりもかなり少ない状況が続いています。
父親と母親の育児時間について、総務省が5年に1回おこなっている「社会生活基本調査」からみてみましょう。2021年(令和3年)の調査では、6歳未満の子どもを持つ夫、妻の1日の育児時間は、夫が1.05時間であるのに対し、妻は3.54時間となっています。その差は2.49時間です。[参考1]
近年の夫、妻の育児時間の推移は次の表のようになっています。
【夫と妻の育児時間の推移】
夫の育児時間 | 妻の育児時間 | 夫・妻の差(妻-夫) | |
2001年 | 0.25時間 | 3.03時間 | 2.78時間 |
2006年 | 0.33時間 | 3.09時間 | 2.76時間 |
2011年 | 0.39時間 | 3.22時間 | 2.83時間 |
2016年 | 0.49時間 | 3.45時間 | 2.96時間 |
2021年 | 1.05時間 | 3.54時間 | 2.49時間 |
参考1:令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果
過去20年間で夫の育児時間は徐々に増えてきてはいます。しかし、妻との差が大きく縮まっているわけではなく、依然として2時間半近い差があります。今も育児に関しては、どちらかというと女性の負担が大きい傾向が続いているのです。
ワンオペ育児になる状況は?
子育ては夫婦で協力しながらおこなうものですが、ワンオペ育児になっている家庭は少なくありません。専業主婦(夫)に限らず、共働きであっても、子育てはワンオペということが多くなっています。ワンオペ育児になってしまう原因について考えてみましょう。
1. パートナーが単身赴任や別居などでいない
仕事の都合で夫婦の一方が単身赴任になり、日常的に子どもの世話ができなくなってしまうことがあります。仕事以外でも、病気や親の介護など、何らかの事情で夫婦が別居することはあるでしょう。
パートナーと一緒に暮らせない場合には、子どもと同居する親が一人で日常的な育児をおこなわなければなりません。ワンオペ育児になってしまうのも仕方ないでしょう。
2. パートナーが仕事で忙しい
パートナーの仕事が忙しく、平日は残業で毎日帰りが遅い、土日も休日出勤が多いようなケースです。専業主婦(夫)なら、一人で子育てをせざるを得ないでしょう。共働きでも、勤務時間の少ない方が、一人で子育てを引き受けなければならないことがあります。
子育て中の女性は、比較的職場の理解を得やすく、時短勤務もしやすくなってきています。一方、男性の場合には、子育てを理由に勤務時間を調整するのはいまだ難しい風潮があります。育児に関しては、結局女性がメインでやらざるを得ないケースが多くなっています。
3. パートナーが育児に非協力的である
育児は女性の仕事と考え自分は子育てに参加しない男性や、子どもにあまり関心がないパートナーもいるでしょう。パートナーがそもそも育児に協力的でない場合にも、ワンオペ育児になってしまいます。
たとえば、夫もその気になれば時間調整はできるのに、妻がいつも保育園の送り迎えをしている家庭も多いでしょう。休日も夫は仕事の付き合いなどを優先して出かけてしまうケースもあります。夫婦で一緒に暮らしていても、協力し合って育児ができるとは限りません。
4. パートナーが病気である
パートナーがうつ病や障害、ケガや病気で入院している場合なども、ワンオペ育児になってしまうでしょう。普段は協力し合っていても、パートナーがインフルエンザで寝込んでいる場合などに、一時的にワンオペ育児になることもあります。
5. シングルマザーもしくはシングルファザーである
離婚してひとり親になっている場合には、日常的に一人で子どもの面倒を見なければなりません。実家の親や兄弟姉妹など協力してくれる人がいなければ、ワンオペ育児となってしまいます。
ひとり親の場合には、仕事もしなければならず、子育てに専念することもできないでしょう。仕事と育児の両立に悩んでしまうことも多くなってしまいます。
5. 実家が遠く、周囲に頼れる人が少ない
パートナーの協力が得られなくても、実家の親などサポートしてくれる人が近くにいれば、子育てはしやすくなります。普段は一人で子どもの面倒を見ていても、たまに実家に預けることができれば、リフレッシュできるでしょう。
しかし、周囲に頼れる人が少なければ、息抜きする時間もありません。一人で家事や育児をおこなう時間が増え、ワンオペ育児となってしまいます。
ワンオペ育児で抱えやすい悩み
ワンオペ育児に陥ると、さまざまな悩みが起こります。ワンオペ育児で抱えやすい悩みについて、不安を感じてしまう原因を知っておきましょう。
1. 孤独を感じてしまう
今は昔と比べ、一人の女性が産む子どもの数は減っています。核家族化により、子育てのお手本を見る機会もあまりなくなりました。子どもが生まれてもわからないことだらけで、誰もが戸惑ってしまって当たり前です。
子育て中、困ったらすぐに相談できる相手がそばにいると心強いでしょう。しかし、ワンオペ育児の場合には、自分だけで対処しなければなりません。慣れない育児を一人でこなさなければならないことで、孤独感が強くなってしまいがちです。
2. ストレスや疲れを感じてしまう
ワンオペ育児の場合、子どもが起きている間は常に相手をし、子どもが寝たら溜まった家事を片付けるというパターンになってしまうでしょう。そうなると、自分は全く休む時間がありません。ストレスや疲れが溜まり、気持ちの余裕もなくなることがあります。
幼い子どもは大人の思うようにいかない場面が多く、手もかかります。気持ちの余裕がなくなれば、つい子どもに当たってしまうこともあるでしょう。そんな自分を責めてしまい、ますますつらくなるという悪循環に陥ってしまう人もいるはずです。
3. 責任の重さや不安を感じてしまう
子どもを育てることには、大きな責任がともないます。「ケガをさせてしまわないか?」「病気にさせてしまったらどうしよう」などと、心配になることも多いでしょう。もし子どもがよそで迷惑をかけてしまったら、親の責任といわれることにもなってしまいます。
子育て中は、親としての責任が果たせるのか、自信が無くなることもあるでしょう。育児のプレッシャーが大きすぎると、育児ノイローゼになり、心身に不調をきたす可能性もあります。不安にさいなまれないよう、気持ちを楽にして育児をすることも大切です。
育児ノイローゼを予防する方法については、以下の記事も参考にしてみてください。
これって育児ノイローゼ?重くなる前に試したい3つの方法
ワンオペ育児から脱出する方法
ワンオペ育児になると、慣れない子育ての不安がますます大きくなって悩むことになります。ワンオペ育児の不安を解消する方法を知っておきましょう。
1. 家事育児を完璧にこなそうとしない
真面目で責任感の強い人は、家事も育児も完璧にしようとがんばってしまいがちです。それはもちろん立派なことですが、つらいのを我慢して無理しないようにしましょう。親ががんばり過ぎて笑顔が減ってしまうと、子どもは不安で落ち着かない気持ちになってしまいます。
そばにいる親がニコニコと穏やかな気持ちでいれば、子どもは安心します。自分と子どものために、気持ちを楽にして、手抜きや息抜きもしましょう。たまには夜ご飯もスーパーの総菜で時短するなど、程よく力を抜いてみるのがおすすめです。
2. 子育てに合わせた働き方に変える
共働きでワンオペ育児になると、仕事との両立が難しくなってしまいます。時短勤務を選んだり、負担が少ない仕事に異動・転職したりすると、育児との両立もしやすくなります。
通勤時間がかかる場合には、通勤に便利な仕事を選ぶのも1つの方法です。子育てに合わせた働き方に変えられないかを考えてみましょう。
3. パートナーと話し合う時間を作る
パートナーとは、協力し合って暮らしていかなければなりません。家事や育児の分担について、パートナーと話し合う時間を作ることが大切です。
赤ちゃんや子どもが起きている時間にパートナーが育児を行えない場合には、ゴミ出しや風呂・トイレ掃除、買い物など育児以外の家事をお願いしましょう。平日育児をしてもらうのが難しいなら、休日に子どもを連れて出かけてもらう方法もあります。
「つらい気持ちや状況を察してほしい」「言う前に気づいてほしい」と思っていても、口で言わなければわかってもらえないことも多いはずです。パートナーとは積極的にコミュニケーションをとり、やってほしいことは言葉で具体的に伝えるようにしましょう。
4. 家事支援サービスなどを利用する
家事の時間を減らすために、家事支援サービスなども活用しましょう。民間の家事代行サービスもありますが、自治体でも子育て世帯やひとり親世帯に対し、家事や育児の訪問支援などをおこなっているところがあります。
家事をサポートしてもらえれば、空いた時間に休憩をとることができます。ストレスを溜めないよう、子育て中も自分の時間を確保しましょう。
なお、経済産業省では、中小企業が従業員の福利厚生として家事支援サービスを導入する場合、補助金を出す事業を実施しています。自分やパートナーの勤務先で家事支援サービスの福利厚生がないか確認し、利用できる場合には活用しましょう。
5. 家族や友達に相談する
相談できる家族や友達がいる場合には、話を聞いてもらうことも大切です。周囲の人が協力してくれれば、自分の負担を減らせるでしょう。
また、同じように子育てをがんばっている仲間が近くにいれば、子育ての悩みを相談でき、不安の解消にもつながります。子育てサークルに参加したり、公園で同じくらいの歳の子の親に話しかけてみたりして友達を作りましょう。
6. 子育てボランティアを活用する
ファミリー・サポート・センターなどの子育てボランティアを活用する方法もあります。ファミリー・サポート・センターとは、子どもを預かりたい人、子育て中で子どもを預かってほしい人のそれぞれが登録し、地域で相互援助をおこなうための組織です。
ファミリー・サポート・センターに登録し会員とマッチングできれば、子どもの預け先に困ったときに、近所の会員宅で預かってもらえます。保育所の一時保育とは違い、保育所・幼稚園や習い事などへの送迎なども頼めるのもメリットです。子育てを部分的に支援してもらえれば、ワンオペ育児の負担を減らせるでしょう。
7.子育て会員制度を利用する
「フコク赤ちゃん&キッズクラブ」は、0歳~12歳までのお子さまがいらっしゃる方、または妊娠中の方を対象とし、育児に関する情報提供を目的としたフコク生命の会員制度です。
『入会費・年会費』無料で、子育てや家族の健康に関して専門スタッフによる電話無料相談ができる サービス、サンリオショップやサンリオピューロランドの施設割引など、さまざまな会員特典もございます。お気軽に入会をご検討ください。
まとめ
パートナーと協力して育児ができず、一人で子どもをみなければならない場合には、ワンオペ育児となってしまいます。パートナーの仕事が忙しすぎる場合など、共働きであってもワンオペ育児になることはあります。
ワンオペ育児をしていると、ストレスや疲れを感じるだけでなく、子育ての悩みや不安も大きくなってしまいがちです。一人で抱え込まないよう、周囲の協力や子育て支援制度、便利なサービスをフル活用して乗り切りましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ