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「イクメン」という言葉が世間に広く浸透していることからもわかる通り、現代では男性も積極的に育児に関わろうという意識がますます強くなってきています。
政府も、日本の男性が家事・育児をする時間が他の先進国に比べて最低水準であること、そのことが子どもを持つことや妻の就業継続に悪影響を及ぼしていることなどを鑑み、2025年には男性の育児休業取得率を30%に上げることを目標に掲げています。
その取り組みの一環として、従来の育児休業制度の改正なども行われていますが、そもそも育児休業制度とはどんな制度なのか、休業期間やその間の給与はどうなるのかなど、疑問に思っている方も多いようです。
この記事では、育児休業の取得を考えている男性向けに、育児休業の概要や、今後予定されている法改正の内容、男性が育児休暇を取得する場合のポイントについて解説します。
参考:厚生労働省「イクメンプロジェクト趣旨」
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
男性の育児休業、給与や期間など制度を知ろう!
育児休業とは、育児・介護休業法によって定められた、仕事と育児の両立を支援するための制度のことです。
子どもが1歳(最長で2歳)に達するまで、任意の申し出によって子どもを養育するための休暇を取得することができます。
育児休業が「育児休業法」という単独の法律として制定されたのは1992年のことで、その3年後の1995年には介護休業制度と合わせた「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)」が施行されました。
同法第6条では、事業主に対して労働者からの申し出があった場合に育児休業を取得させることが義務づけられています。
参考:厚生労働省「改正育児・介護休業法について」、e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
育児休業制度の対象者
育児休業は、1歳に満たない子どもを養育している労働者が、事業主に申し出ることによって取得することができます。
ただし、有期雇用の場合は以下2つの要件を満たしている必要があります。
①同じ会社に1年以上雇用されている
②育児休業の対象となる子どもが1歳6ヵ月に達する日までに、労働契約が満了しない
一方で、期限の定めがない無期雇用の場合でも、以下の要件に該当する場合は、育児休業を取得できないので注意が必要です。
①勤続年数が1年に満たない
②申し出の日から1年以内に雇用が終了する予定である
③週の所定労働日が2日以下である
参考:e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
育児休業の期間
育児休業は、原則として子どもが1歳に達する日まで取得することが可能です。
女性の場合は、出産予定日の6週間前+出産の翌日から8週間まで取得できる産前産後休業から続けて育児休業を取得できますが、男性の場合は配偶者の出産日翌日から、子どもが1歳になる誕生日の前日の1年間が育児休業期間となります。
ただし、保育所に入所できないなどの事情がある場合は、最長で子どもが2歳になるまで休業期間を延長することができます。
参考:e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」、「労働基準法」
育児休業中の給与
事業者は、労働者の申し出に応じて育児休業を取得させることが義務づけられていますが、育児休業中における給与の支払いは法律で義務化されていません。
そのため、原則として育児休業中は会社から給与は支払われませんが、雇用保険の育児休業給付金制度を利用すれば、休業開始時賃金日額×支給日数(原則として30日間)×67%(育児休業開始から6ヵ月以降は50%)に相当する給付金を受け取れます。
なお、育児休業給付金を受給するには、以下の要件を満たす必要があります。
①支給対象期間のすべてにおいて、雇用保険の一般被保険者であること
②育児休業を開始した日より前2年間で、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月以上あること
③育児休業の対象要件に該当すること
参考:e-Gov法令検索「雇用保険法」
パパ休暇、パパ・ママ育休プラス
男性の育児休業取得を推進するための施策として、2010年の法改正により、パパ休暇およびパパ・ママ育休プラスが創設されました。
パパ休暇とは、ママの出産後8週間の期間内に、パパが育児休業を取得できる制度のことです。
パパ休暇が終了した後も、特別な事情の有無に関係なく、子どもが1歳になるまでの間にパパは再び育児休業を取得することができます。
一方のパパ・ママ育休プラスとは、両親がともに育児休業を取得する場合、子どもが1歳2ヵ月になるまで育児休業を延長できる制度のことです。
パパ・ママ1人あたりの育児休業期間が最大1年間であることに変わりはありませんが、育児休業の取得期間をずらすことによって、本来なら子どもが1歳に達した時点で終了する育児休業期間を、1歳2ヵ月まで延長できる仕組みになっています。
【パパ・ママ育休プラスの取得例】
パパ・ママ育休プラスを活用することにより、保育園の入園時期を4月以外に設定することや、通園開始直後の慣らし保育にも備えることができます。
参考:厚生労働省「両親で育児休業を取得しましょう!」
育児休業を取る男性はどれくらい?
厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」によると、令和2年度の男性の育児休業取得率はわずか12.65%に留まっています。
平成17年度までは1%以下で推移していたため飛躍的な伸び率ではありますが、女性の育休取得率が平成19年度から80%以上で推移していることを考えると、低水準と言わざるを得ません。
厚生労働省「男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について」によると、育児休暇を取得しなかった理由の上位3つは以下の通りです。
・業務が繁忙で職場の人手が不足していた:27.8%
・会社で育児休業制度が整備されていなかった:27.5%
・職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった:25.4%
育児休業は法によって義務化された制度ですが、「会社で育児休業制度が整備されていなかった」と回答した人が3割近くに上っていることから、育児休業制度の内容が広く認知されていないことがわかります。また、育児休業を取得できることを知っていても、労働環境などから断念せざるを得ない方も多いのかもしれません。
男性の育児休業は義務化する!?法改正について
育児・介護休業法は何度か見直しが行われていますが、厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」によると、直近では2021年6月に改正され、2022年4月1日から3段階に分けて施行されることが決まっています。
ここでは、2021年6月改正の育児・介護休業法によって、男性の育児休業にどんな変化が生じるのか、4つのポイントに分けて解説します。
雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化(2022年4月1日より)
事業者は、育児休業を取得しやすい雇用環境を整備するため、育児休業および産後パパ育休に関する研修の実施や、相談体制の整備、事例の収集・提供、各種制度に関する方針の周知などの措置を講じる必要があります。
また、本人または配偶者から妊娠・出産の申し出があった場合、事業者は個別に育児休業制度等に関する内容の周知に努め、かつ取得意向を確認することが義務づけられます。
有期雇用労働者の育児休業取得要件の緩和(2022年4月1日より)
これまで、有期雇用労働者が育児休業を取得するには、同じ会社に1年以上勤務していることが必須要件でしたが、2022年4月1日からは当該要件が撤廃され、無期雇用労働者と同様の扱いになります。
産後パパ育休(出生時育児休業)の創設(2022年10月1日より)
もともとの育児休業とは別に、子どもの出生後8週間以内に、4週間まで「産後パパ育休」を取得することができます。
この4週間はまとめて取得することも、分割して2回取得することも可能です。
また、育休中は原則として就業はできない決まりになっていますが、産後パパ育休中は、労使協定を締結していることを条件に、労働者が合意した範囲で休業中の就業が認められます。
育児休業取得状況の公表の義務化(2023年4月1日より)
従業員数が1,000人を超える大企業は、育児休業等の取得の状況を年に1回公表することが義務づけられます。
公表内容は、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」と省令で定める予定となっており、育休を取得しやすい風潮を作るための施策として注目されています。
男性が育児休業を取る場合のポイント
男性が育児休業を取得する場合に留意したいポイントを4つご紹介します。
1.夫婦で育休の取得時期・期間を決める
パパ・ママ育休プラスを利用した育児休暇の取得パターンは複数あり、例えばママの育休が明けたと同時にパパが2ヵ月の育休を取ることもできますし、ママの育休がスタートしてから2ヵ月後にパパが育休を取得し、10ヵ月間一緒に育休期間を過ごすことも可能です。
どのようなパターンで育休を取るかは、家庭のニーズやライフスタイルによって異なりますので、夫婦でよく話し合って取得時期・期間を決めましょう。
2.育休を取得するための準備を行う
育児休暇は1年間(場合によってはそれ以上)にわたりますので、会社側は育児休業取得者の不在をカバーするために、人員配置などを行わなければなりません。
育児休業は、休業開始日の1ヵ月前までに申し出を行えば、希望通りの日から休業することが可能ですが、会社側の都合も考慮し、なるべく早めに育児休業を取得する意向がある旨を相談しましょう。
早めに育休の予定を伝えておけば、取得予定日に合わせて現在抱えている業務の整理もスムーズに行うことができます。
参考:厚生労働省「育児休業制度について」
3.育休中にやりたいことを考えておく
育児休業は子どもを養育する目的で取得するものですので、休業中は育児に関して自分は何をすべきか、どんなことをやりたいかを明確にしておくと良いでしょう。
夫婦で同時に育休を取得、あるいは妻が専業主婦の場合は、お互いの役割をどう分担するかなども話し合っておきましょう。
出産直後には出生届の提出や赤ちゃんの健康保険加入など必要な手続きが多く、期限も決まっているため、ママだけでは産後の身体に大きな負担がかかってしまいます。そこでパパ休暇などを利用して、必要な手続きをパパが行うというのも良いでしょう。
必要な手続きや期限は「リストでわかる!出産前後に必要な手続き。いつまでに誰がやる?」で紹介していますので、あわせて読んでみてください。
また、育休が終わった後、夫婦で育児と仕事を両立するにはどうしたら良いかを考える時間を確保するのもおすすめです。「子育てと仕事を両立させたい!現役ワーママに聞いた 2つのテクニック」では、現役ワーママの両立体験談も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
4.復帰後は職場へのフォローを忘れずに
育児休業を取得するのは労働者の権利ですが、自分がいない間、職場の方がフォローしてくれたことに対する感謝の気持ちを忘れてはいけません。
復帰後は、きちんと感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
まとめ
女性の社会進出が著しく、共働き世帯も増えている現代において、「育児休業は女性が取得するもので、男性が育休を取ると仕事に支障が出てしまう」などという古い考えは淘汰されつつあります。
もともと育児はどちらか片方が担うものではなく、夫婦2人で協力して行うものですので、男性も積極的に育児休業を取得し、子育てに参加するのが理想です。
国も男性の育児休暇取得を推進しており、そのための法改正も行われていますので、現在妻が妊娠中、または今後子どもが欲しいと考えている男性は、自身の育児休業取得を検討してみましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
記事提供元:株式会社ぱむ