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「住民税非課税世帯ってよく聞くけれど、自分が当てはまるの?」「非課税になると、どんな支援が受けられるの?」など気になることはありませんか。この記事では、住民税が非課税になる方の年収の目安から住民税非課税世帯の具体的な支援内容や勘違いしやすいポイントまでわかりやすく解説します。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
住民税非課税世帯とは
住民税非課税世帯とは、特定の条件を満たし、同一世帯全員が住民税非課税である世帯のことです。
住民税は、地域社会の活動を支えるための大切な地方税であり、学校や上下水道、ごみ処理などの行政サービスに使われています。通常は、その年の1月1日に住所がある市区町村で課税されますが、収入が少ない世帯には負担軽減のため、一定の条件に当てはまると非課税となります。
住民税が非課税になる条件
住民税の税額は、大きく分けて次の2つの合計で決まります。
- 所得割:前年の所得金額に応じて決まるもの
- 均等割:所得にかかわらず、一律で定額を負担するもの
一般的に「住民税非課税世帯」と呼ばれるのは、この「所得割」と「均等割」の両方が世帯全員に課されていない世帯を指します。
ただし厳密には、住民税の非課税措置には「所得割のみ免除される場合」と「両方が免除される場合」の2種類があり、それぞれ適用条件が異なります。
ここからは東京23区にお住まいの場合を例に挙げ、これら2種類の具体的な適用条件の違いを見てきましょう。
1. 所得割が非課税になる場合
東京23区では、所得割は都民税4%と区市町村民税6%を合わせた10%で、「所得割が非課税」とは都民税と区民税がゼロになることです。
所得割が非課税となるのは前年の「総所得金額」が特定の基準を下回る場合です。総所得金額とは、給与収入のみの場合は年収から給与所得控除(65万円~)を差し引いた金額、事業収入などの場合は年収から必要経費を差し引いた金額になります。
ただし、基準となる所得金額は以下のように変わります。
所得割が非課税になる総所得金額等の基準(東京23区の場合)[参考1]
| 世帯構成 | 総所得基準 |
| 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合 | (35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+ 42万円)以下 |
| 同一生計配偶者又は扶養親族がいない場合 | 45万円以下 |
2. 所得割・均等割どちらも非課税になる場合
東京23区では、均等割は一律で個人都民税1,000円と区市町村民税3,000円、さらに令和6年度からは森林環境税1,000円が加わり、合計5,000円が基本です。
この均等割と所得割の両方が免除となる主なケースには、まず生活保護を受けている方が含まれます。この場合、所得の有無を問わず住民税が全額免除されます。さらに、障害者・未成年者・寡婦(ひとり親)で前年所得が135万円以下の場合や、世帯の合計所得が各自治体の基準額以下のときも両方の免除対象となります。
所得割・均等割が非課税になる総所得金額等の基準(東京23区の場合)[参考2]
| 世帯構成 | 総所得基準 |
| 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合 | (35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+ 31万円)以下 |
| 同一生計配偶者又は扶養親族がいない場合 | 45万円以下 |
参考1、2:東京都主税局「個人住民税」
住民税非課税の対象となる年収の目安
では、「総所得金額」を年収ベースに換算すると、どのくらいになるのでしょうか。住民税が非課税となる年収の目安について、世帯の構成別にご紹介します。
1. 所得割が非課税になる年収の目安
東京23区の場合、所得割のみが非課税となる年収の目安は以下のとおりです。
所得割が非課税になる年収の目安(給与収入のみの場合)[参考3、4]
| 世帯構成 | 年収の目安 (給与収入のみの場合) |
| 扶養人数0人 | 110万円以下 |
| 扶養人数1人 | 177万円以下 |
| 扶養人数2人 | 221万5,999円以下 |
| 扶養人数3人 | 271万5,999円以下 |
扶養人数が1人の方は給与年収のみで110万円以下の場合に所得割が非課税になります。扶養親族(配偶者や子どもなど)がいる場合は、その人数によって計算方法が変わります。一般的に、扶養する人数が多いほど生活費がかかると考えられるため、非課税となる範囲も広く設定されています。
2. 所得割・均等割が非課税になる年収の目安
こちらも東京23区の場合、所得割・均等割の両方が非課税となり、一般的に「住民税非課税世帯」と見なされる年収の目安は以下のとおりです。
所得割・均等割が非課税になる年収の目安(給与収入のみの場合)[参考3、4]
| 世帯構成 | 年収の目安 (給与収入のみの場合) |
| 扶養人数0人 | 110万円以下 |
| 扶養人数1人 | 166万円以下 |
| 扶養人数2人 | 205万9,999円以下 |
| 扶養人数3人 | 255万9,999円以下 |
| 扶養親族がいない高齢者(65歳以上で年金収入のみの場合) | 155万円以下 |
扶養親族がいない人は、所得割のみ非課税となる年収の基準と同額です。扶養親族がいる方は、その人数が増えるほど、所得割のみ非課税世帯よりも年収の基準が下がります。
参考3:東京都練馬区「住民税が課税されない場合」
参考4:東京都港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」
住民税非課税世帯が利用できる支援
住民税非課税世帯には、生活にかかわるさまざまな負担が軽くなる支援があります。まずは支援の内容を押さえておきましょう。
1. 国民健康保険料・国民年金保険料の軽減
住民税非課税世帯の場合、国民健康保険料(介護保険料を含む)と国民年金保険料の負担が軽減される制度があります。
国民健康保険料には、所得が一定以下の世帯向けに、7割、5割、2割の軽減措置があります。[参考5]
また、国民年金保険料についても、全額免除や一部免除の申請が可能です。特に国民年金保険料においては、こうした制度を使うことで当面の負担を減らしつつ、将来の年金を受け取るための資格期間をできるだけ確保しやすくなります。[参考6]
参考5:厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」
参考6:日本年金機構「知っていますか?国民年金保険料の免除制度」
2. 医療費の負担軽減
医療費についても、住民税非課税世帯に対して負担を小さくする仕組みがあります。代表的なのが「高額療養費制度」です。1ヵ月に同じ世帯で払う医療費が高額になった場合、一定額を超えた分が後で払い戻されます。
住民税がかからない世帯は、この「自己負担の上限額」が一般的な世帯より低く設定されています。例えば現役世代の方の場合、窓口負担は3割であるものの、ひと月の負担額の上限(世帯合算)は3万5,400円(令和8年7月まで)に抑えられます。令和8年8月からは3万6,900円となります。[参考7]
なお、差額ベッド代などは制度の対象外となりますが、入院時の食事代については別途、非課税世帯向けの減額制度が適用されます。
参考7:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)」
3. 教育費の支援

子どもの成長に合わせてかかる教育費は、家計への影響が大きい支出の1つです。住民税非課税世帯には、各段階で学びを続けやすくする仕組みがあります。
乳幼児期は、全国どこでも0歳から2歳児までの保育料が無料です。高校生には、高校等授業料の実質無料化となる「高等学校等就学支援金」のほか、教科書代など授業料以外の教育費を支援する「高校生等奨学給付金」があります。
大学や専門学校等でも、授業料の減免と返済不要の給付型奨学金がセットで提供される「修学支援新制度」が利用可能です。
これらに加え、住んでいる地域によっては独自支援がある場合もあります。例えば東京都では、受験生を対象とした塾代の貸付免除といった支援を受けることが可能です。
子どもの教育費の支援について詳しく知りたい方は「保育園の費用はどれくらい?認可と認可外の違いや無償化についても詳しく解説」や「公立小学校の6年間の学費はいくら?私立の違い・無償化・月々の費用について」「高校・大学等の教育費・授業料の無償化とは?学校別の制度内容やメリット・デメリットを解説!」なども参考にしてください。
4. 各種料金・公共サービスの減免・利用支援
日々の暮らしでかかる固定的な支出にも、住民税非課税世帯向けの支援があります。
例えば、NHK受信料が全額免除される可能性があります。また、自治体が運営するプールや美術館など公共施設の利用料や入館料が割引される自治体も多いです。
さらに自治体によっては、水道料金の基本料や下水道料金を減額したり、ごみ袋の無料配布・粗大ごみ収集手数料の減免を導入したりしているケースもあります。
5. 給付金・生活支援
住民税非課税世帯は、物価上昇や収入減の影響を受けやすいため、国や自治体からの臨時的な給付金の対象となる機会が、非課税ではない世帯より多くあります(物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金など)。
さらに一部の自治体では、低所得世帯向けに独自の家賃補助プログラムや福祉サービスの利用料減免、生活支援事業などを実施しているケースもあります。
以上のように、住民税非課税世帯が利用できる支援はさまざまあります。ただし、同じ「住民税非課税世帯」でも市区町村によって内容がかなり違い、所得基準も異なるため、役所の窓口や公式サイトで自分の地域の支援内容を確認することが大切です。
住民税非課税世帯の注意点とよくある勘違い
住民税非課税世帯については、仕組みを誤解しやすいポイントや勘違いしやすい点もあります。こちらでは、住民税非課税世帯の注意点を4つご紹介します。
1. 収入ゼロでも「すぐ非課税」にはならない
住民税は「今年の収入」ではなく「前年の所得」をもとに計算されます。いわば、1年おくれて支払う後払い方式です。そのため、今年仕事を辞めて今は収入ゼロでも、昨年の収入が基準を超えていれば、今年の住民税は課税されます。
「仕事を辞めたから、すぐに住民税がなくなる」のではなく、所得の変化が住民税に反映されるまでには1年ほどのタイムラグがあることを押さえておきましょう。
2. 「自分だけ非課税」=非課税世帯ではない
「住民税非課税世帯」として各種支援の対象になるには、「同じ世帯にいる家族全員」が住民税非課税である必要があります。例えば、自分のパート収入だけを非課税の範囲内に抑えても、同居する家族の1人でも住民税が課税されている場合には、世帯としては非課税の対象外となります。
住民税非課税世帯に当てはまるかどうかの判断は、自分だけではなく家族全体の所得状況を確認することが重要です。
3. 扶養親族のみの世帯は給付金の対象外になりやすい
一人暮らしの学生などで、本人の住民税は非課税でも、親などの扶養に入っているケースでは給付金や支援の対象外となることが多いです。
例えば、一人暮らしの学生のほか、親の扶養に入っている一人暮らしの学生世帯や無職の子どもの単身世帯、また配偶者の扶養に入っている別居中の人の単身世帯などがこれにあたります。
見た目は「住民税非課税世帯」でも、親や配偶者の所得が高く、支援が必要ないとみなされるためです。給付金などを希望する際は、世帯の課税状況だけでなく、扶養の有無にも注意しましょう。
4. 収入がなくても住民税の申告は必要

給与や事業収入があり確定申告をした方は、その情報が税務署から市区町村に送られるため、別途の住民税申告は不要です。一方で、無収入だったり、確定申告が不要な少額の収入しかなかったりする方は、自分で役所に出向き「住民税の申告」をする必要があります。申告をしないと自治体が住民の所得を把握できず、保険料の軽減や各種支援の認定を出すことができなくなってしまうためです。
収入ゼロの場合でも、お住まいの区市町村の役所で「無収入申告」を忘れずにおこないましょう。
まとめ
住民税非課税世帯とは、世帯全員に住民税が課税されていない世帯です。収入などの条件を満たせば国民健康保険料や国民年金保険料、医療費、教育費、公共サービスの料金が軽減されたり、特別給付金などの支援を受けられたりする場合があります。
ただし、「収入がない=すぐ非課税」ではなく、前年の所得が基準となること、世帯全員が非課税でも、扶養の状況によっては対象外となること、収入がなくても住民税の申告が必要なことなどの注意点もあります。
自分や家族があてはまりそうだと感じたら、自治体の窓口で早めに相談し、必要な手続きや利用できる制度を確認しておきましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
是枝花名子(これえだ かなこ)
FPライター。大学卒業後、大手生命保険会社にて法人営業を担当。住宅ローンの繰り上げ返済、子どもの教育資金や老後資金作りを極めるため、改めてFP技能士を取得。専門知識と主婦目線を活かした記事執筆が好評を呼び、現在は主にメガバンク、大手不動産サイト等にて保険・不動産・翻訳ライターとして活動中。2級FP技能士、年金アドバイザー3級
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ

