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税金を滞納してしまい、「このままだと差し押さえになるのでは?」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。差し押さえは突然おこなわれるものではなく、一定の流れを経て進みます。また、早い段階で自治体に相談すれば、差し押さえを回避できる可能性もあります。
この記事では、差し押さえに至るまでの流れや生活への影響、具体的な対処法までを整理して解説します。まずはご自身の状況と照らし合わせながら、今取るべき対応を確認していきましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
税金滞納による差し押さえの流れ
所得税や住民税、固定資産税、自動車税などの税金を滞納した場合、一定の手続きを経て段階的に差し押さえに進んでいきます。納付期限を過ぎたからといって、すぐに差し押さえられるわけではありませんが、速やかに納付するか、自治体の窓口へ相談しましょう。
ここでは、差し押さえに至るまでの流れを解説します。
1.督促状の送付

税金の納付期限を過ぎると、最初に自治体や税務署から「督促状」が送付されます。督促状は、納付が確認できていないことを正式に通知し、支払いを求める書面です。
法律上、督促状が発せられてから10日を経過しても完納されない場合、差し押さえを実行できます。つまり、督促状が届いた段階で、すでに差し押さえに進むための期限が迫っているということです。
督促状が届いてしまった場合は、速やかに納付をしましょう。やむを得ない事情で払えない場合でもこの段階で相談などの対応をおこなえば差し押さえを回避できる可能性があります。放置してしまうと、次の催告や差し押さえの手続きへと進むリスクが高まります。
2.催告状・最終催告
督促状を放置した場合、「催告状」や「最終催告」「差押予告通知」といった書面が送付されることがあります。
これらの書面は、督促状のように法律で送付が義務付けられているものではなく、自治体ごとに運用が異なるのが特徴です。そのため、「催告書」「最終催告」「差押予告通知」など名称や内容にも違いがあります。
もっとも、これらは単なる任意の通知というわけではなく、総務省も「納税者に納付を促すための手段」として位置づけており、実務上は広く用いられています。
いずれの書類も、督促状のあとも未納が続いている場合に、納付を促すために送られるものであり、差し押さえの可能性があることを事前に知らせる通知となります。
3.財産・人物調査
催告を経ても税金の納付が確認できない場合、自治体や税務署は、国税徴収法に基づき、財産・人物調査を実施します。財産・人物調査とは、滞納者の財産や収入状況を調べる手続きです。調査対象となるのは、銀行口座の残高や入出金履歴、勤務先や給与の状況、不動産の保有状況などです。
本人の申告だけでなく、金融機関や勤務先に対して照会をおこなうことも可能なため、客観的な情報に基づいて財産の把握が進められます。
4.差し押さえの実行・資産の換価
財産調査の結果、差し押さえ可能な財産が確認されると、実際に差し押さえが実行されるかもしれません。例えば、銀行口座は取引停止となって預金が引き出せなくなるほか、給与であれば一定額が差し引かれる形で徴収されます。
また、不動産や自動車などの資産については、公売などの手続きを通じて売却されることがあります。公売とは、差し押さえた財産を公開し、入札によって購入希望者を募る仕組みです。
公売には、会場でおこなわれる入札形式のほか、インターネット上で実施されるインターネット公売など、さまざまな方法があります。インターネット公売では、専用サイトを通じて誰でも入札に参加でき、最も高い価格を提示した人が落札者となります。このようにして、差し押さえられた財産は売却され、現金化されます。
5.滞納した税金への充当
差し押さえや公売によって得られた金銭は、滞納している税金や延滞税に充てられる仕組みです。差し押さえの手続きは、滞納分が解消されるまで続きます。また、差し押さえや公売によって得られた金額が滞納額を上回った場合には、その差額は返還されます。
一方で、不足がある場合には、引き続き徴収がおこなわれることになります。このように、差し押さえは一度おこなわれれば終わりではなく、滞納が解消されるまで手続きが継続する点にも注意が必要です。
差し押さえの対象になるものとならないもの
税金を滞納した場合、すべての財産が差し押さえの対象になるわけではありません。法律により差し押さえできる財産と、生活を守るために差し押さえが制限されている財産が定められています。
1.対象になるものの一例
差し押さえの対象となるのは、換金性が高く、金銭に変えやすい財産です。主に以下のようなものが対象となります。
- 現金の一部
- 預貯金
- 給与
- 不動産(土地・建物)
- 自動車
- 生命保険(解約返戻金)
2.対象にならないものの一例
差し押さえは無制限におこなわれるものではなく、生活に最低限必要な財産については「差押禁止財産」として法律で保護されています。主に以下のようなものが対象外です。
- 少額の現金
- 給与の一部
- 衣類・生活必需品
- 生活に必要な家電製品
このように、差し押さえは最低限の生活を維持できるよう配慮された制度となっています。
差し押さえられた場合、どのような影響が出る?
税金の滞納により差し押さえが実行されると、生活や社会的な面にさまざまな影響が生じます。ここでは、具体的にどのような影響があるのか見ていきましょう。
1.生活への影響
差し押さえによる影響は、日常生活に直接及びます。例えば、預貯金が差し押さえられると口座から滞納分が引き落とされるため、公共料金や家賃の支払いができなくなる可能性があります。
また、給与の差し押さえは勤務先を通じて手続きがおこなわれるため、税金を滞納している事実が会社に知られてしまう場合もあるでしょう。さらに、差し押さえによって手元に残るお金が減ることで、生活費の確保が難しくなり、家計のやりくりが厳しくなる点にも注意が必要です。
2.信用情報への影響

税金の滞納そのものは、信用情報機関に登録されません。そのため、税金を滞納した事実のみで直ちにクレジットカードが使えなくなったり、新たな借入ができなくなったりする可能性は低いでしょう。
ただし、クレジットカードで税金を支払っている場合に、その支払いを延滞すると信用情報に異動情報が記録されます。また、差し押さえにより口座残高が不足し、カードの引き落としができなかった場合にも、信用情報に影響が及ぶ場合があります。
税金を滞納してしまった場合にやってはいけないこと
税金を滞納してしまった場合、一番NGなのは督促や催告を放置してしまうことです。支払い能力があれば、速やかに納付しましょう。
督促状や催告状を無視し続けると、「支払う意思がない」と判断され、差し押さえの手続きが進みやすくなります。支払いができない場合は、猶予制度や支援制度につながる可能性があるため、自治体へなるべく早めに相談してください。
また、滞納した税金を支払うために安易に借入をおこなうことも避けるべきです。一時的に支払いができたとしても、別の借金が増えることで家計がさらに圧迫され、状況が悪化する可能性があります。
さらに、財産を隠したり、虚偽の申告をしたりする行為も適切ではありません。意図的に隠そうとすると、かえって不利な扱いを受ける可能性もあるでしょう。
差し押さえに至る前の適切な対応方法
滞納してしまったら、速やかに支払うのが前提ですが、払えない場合でも早い段階で適切に対応してください。ここでは、滞納してしまったときの対処法について見ていきましょう。
1.速やかに役所の窓口へ相談する
やむを得ない事情で税金の支払いが難しいと判明した時点で、できるだけ早く役所の窓口に相談することが重要です。電話や窓口で事情を説明し、「支払う意思がある」ことを伝えるだけでも、柔軟に対応してもらえる可能性があります。放置せずに自ら行動することで、差し押さえを回避できる可能性が高まるでしょう。
2.猶予制度の適用を申し出る
一定の条件を満たす場合、「納税の猶予」や「換価の猶予」といった制度を利用できることがあります。
納税の猶予とは、災害や病気、事業不振などにより一時的に納税が困難な場合に、一定期間、納付を待ってもらえる制度です。一方、換価の猶予とは、すでに差し押さえの対象となっている財産について、すぐに売却(換価)されるのを一定期間猶予してもらえる制度を指します。
猶予期間や条件などは自治体によって異なる場合があるため、利用する前に窓口やホームページなどで確認しましょう。
3.現在の収支状況がわかる資料を準備する
役所に相談する際には、自身の収支状況を説明できる資料を用意しておくと、交渉がスムーズに進みます。例えば、給与明細や家計簿などです。これらの資料によって、支払いが困難である理由や生活状況を客観的に示すことができれば、猶予や分割納付が認められやすくなるでしょう。
差し押さえられてしまった後の対処法
すでに差し押さえが実行されてしまった場合でも、状況によっては対処することが可能です。ここでは、差し押さえられた後の対処法を解説します。
1.滞納した金額を全額一括で納める
差し押さえを解除するための大原則は、滞納している税金を全額納付することです。滞納分と延滞税を含めて完納すれば、差し押さえは解除されるでしょう。ただし、税金の納付期限を過ぎると延滞税も加算されてしまうため、当初よりも支払う金額が増えている可能性がある点には注意が必要です。
2.生活が成り立たない窮状を訴えてみる
全額納付が難しい場合には、現在の差し押さえによって生活が成り立たない状況であることを役所に説明しましょう。状況によっては、差し押さえの解除や緩和を求める交渉に応じてもらえます。例えば、給与や預金が差し押さえられたことで生活費が確保できない場合などは、分割納付への切り替えや一部解除が認められるケースもあります。
3.生活保護の受給を検討する
生活が著しく困難で、最低限の生活を維持することが難しい場合には、生活保護の受給を検討することも選択肢の一つです。生活保護が開始されると、原則として新たな差し押さえはおこなわれなくなります。また、差し押さえによって生活が維持できない場合には、制度の利用によって状況を立て直せる可能性があります。
お金がなくて苦しい状況の打開方法についてより詳しく知りたい方は、「お金がなくて生活が苦しい」と感じたらできることは?対処法や注意点を紹介もご覧ください。
まとめ
税金を滞納すると、督促状が送付されてきます。滞納したまま放置してしまえば、最終的には預金や給与、不動産などの財産が差し押さえられる可能性があります。
一方で、早い段階で相談すれば、猶予制度の利用や分割納付によって差し押さえを回避できる可能性があるでしょう。また、すでに差し押さえられてしまった場合でも、全額納付や生活状況に応じた交渉によって、状況が改善するケースもあります。税金の滞納に気づいた時点で放置せず、できるだけ早く行動することが重要です。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
宮崎 千聖(みやざき ちさと)
FPライター。神戸大学経済学部卒業後、銀行の融資課にてローンの相談・手続きを担当した。退職後はライターとして、メガバンクや司法書士法人のオウンドメディアなどで記事を執筆。カードローンやクレジットカード、資産運用、債務整理など幅広いジャンルで執筆している。2級FP技能士、証券外務員一種
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ

