結婚退職するときに必要な手続きは?失業保険や扶養申請の方法を解説

結婚退職するときに必要な手続きは?失業保険や扶養申請の方法を解説

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結婚を機に退職することになった場合、失業保険や扶養申請など、さまざまな手続きが必要です。申請すればもらえるはずのお金がもらえなかったり、税金面で控除を受けられない可能性がありますので、忘れずに手続きを行いましょう。

この記事では、結婚退職するときに必要な失業保険や扶養申請の手続きについて解説します。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。 法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

結婚退職で気を付けたいポイント

結婚退職するとき、特に気を付けたいポイントを2つご紹介します。

1.結婚退職の意思を早めに伝えておく

結婚退職に限らず、自己都合で会社を退職することを申し出るタイミングは「就業規則」によって決められています。

一般的には仕事の引継ぎ期間などを考慮し、退職する1ヵ月前までに申し出るよう規定されていますが、就業規則は会社によって異なります。

結婚退職が決まったら、あらかじめ勤め先の就業規則を確認したうえで、早めに退職の意思を伝えましょう。

2.パートナーとお金の管理について話し合っておく

結婚退職すると、収入が大きく変わる可能性があります。

これまでと同じ金銭感覚で生活していると、将来のための貯蓄がはかどらなくなってしまいますので、結婚前にパートナーと家計管理についてじっくり話し合って計画を立てておくことが大切です。

具体的には、パートナーの給与や、結婚前のお互いの貯蓄額、家計の管理方法について話し合い、いつまでにどのくらいお金を貯めたいか、はっきりとした目標を定めておくことをおすすめします。

失業保険(雇用保険)の手続き方法

雇用保険は「労働者の生活や雇用の安定、就職の促進など」を目的に定められたものです。

厚生労働省の資料によると、以下2つの条件にあてはまれば、パートやアルバイトであっても雇用保険に加入できます。

①31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること

②1週間の所定労働時間が20時間以上であること

雇用保険に加入していなければ、失業したことによる手当て(いわゆる失業保険)を受け取ることはできません。

失業保険の受給条件

失業保険は、「雇用保険に加入していること」以外にも条件があります。

特に結婚退職は自己都合による一般退職者に分類されますので、会社都合の退職に比べると受給条件が厳しくなります。

厚生労働省の資料によると、具体的には、以下2つの条件を満たしている場合のみ、結婚退職による失業保険の受給が認められます。

①離職前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12ヵ月以上あること

②結婚後も働く意思があること

したがって結婚を機に専業主婦(主夫)になろうと思っている場合は、②の条件を満たさないため、失業保険を受け取ることができません。

なお、自己都合の退職であっても、離職せざるを得ない正当な理由があると認められた場合は、「特定理由離職者」として①の条件が緩和されます。

たとえばパートナーの転勤についていくため、やむなく勤め先を退職しなければならない…といった例では、①について「離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヵ月以上あること」という条件を満たせば、失業保険を受給することが可能です。

失業保険の手続き方法

失業保険を受け取るための手続き方法と、大まかな流れをまとめました。

1.必要書類を準備する

失業保険の受給手続には、以下の書類が必要です。

①雇用保険被保険者離職票1、2

②マイナンバーカード

③証明写真2枚

④印鑑

⑤本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

①は退職する際、勤め先から交付されます。

②がない場合は、マイナンバーが確認できる書類(通知カードや個人番号が記載されている住民票)と、運転免許証をはじめとした本人確認書類の2つを用意する必要があります。

2.ハローワークで手続きをする

失業保険の手続きは、現住所を管轄するハローワークで行います。

必要書類を提出し、求職申込書に必要事項を記入して手続きしましょう。

このとき、雇用保険説明会の参加日時が決まります。

3.雇用保険説明会に参加する

2で決められた日時に、指定の会場へ赴き、雇用保険説明会に参加します。

4.ハローワークで失業認定を受ける

3の説明会で決まった「失業認定日」に、ハローワークへ行って失業認定申告書を提出します。

失業認定を受けた後も、月2回以上の求職活動を行い、失業認定申告書に実績を記載する必要があります。

5.失業手当の受給

失業手当は失業認定日から5営業日後を目処に、指定の口座に入金されます。

退職後にパートナーの扶養に入る場合

結婚退職後、専業主婦(主夫)になる場合は、扶養家族としてパートナーの社会保険に加入することになります。

扶養家族の保険料に関しては個人負担がないため、新たな出費をせずに社会保険に加入できるのはうれしいポイントです。

ただ、全国健康保険協会によると、社会保険の扶養に入るためには、年収130万円未満であり、かつ被保険者(パートナー)の年収の2分の1以下であることが前提条件となります。

結婚退職後、パートやアルバイトとして働き、年収が130万円を超えた場合は夫の扶養から抜け、自身で国民健康保険や国民年金などに加入しなければならないので注意が必要です。

また、平成28年10月1日より、社会保険加入の対象が、所定労働時間「週30時間以上」に加え、以下にまで広がりました。

①所定労働時間が「週20時間以上」

②月額賃金8.8万円以上

③勤務期間1年以上見込み

④学生は除外

⑤従業員規模501人以上の企業

この5つの条件、すべてを満たしてれば社会保険に加入できます。また、⑤については、従業員規模が500人以下の企業であっても労使合意があれば社会保険に加入することが可能です。

労使合意とは、従業員と事業主の間で取り決められる労働条件や福利厚生について、従業員の2分の1以上が合意したことを意味します。

自身で社会保険に加入すると、厚生年金が上乗せされるので将来もらえるお金は増えますが、毎月の保険料が発生します。

このように、社会保険の加入条件が広がっているため、扶養範囲内で働くかどうか、パートナーとよく話し合って決めるようにしましょう。

扶養申請の方法

パートナーの扶養に入りたいときは、被扶養者になることが発生した日から5日以内に、日本年金機構宛に「被扶養者(異動)届」や「扶養認定対象者現況届」を提出します。

多くの場合、会社が窓口になっており、自分達で日本年金機構に提出する必要はありません。パートナーの会社の担当部署と書類のやり取りを行いましょう。

上記2つの書類のほかにも、続柄を記載した世帯全員の住民票と、健康保険資格喪失証明書の提出が必要です。

健康保険資格喪失証明書は、退職前に働いていた勤め先に発行してもらいます。

結婚後の税制優遇を知っておこう

結婚すると、条件に応じて3つの「所得控除」が適用されます。

税金は所得額に応じて決まるので、所得から一定額を差し引く控除を受けられれば、税金を節約することができます。

ここでは結婚後に適用される所得控除と、それぞれの条件をまとめました。

配偶者控除

配偶者の年収が103万円以下の場合に適用される所得控除です。

控除を受ける納税者本人の合計所得額によって、13万円~38万円の所得控除を受けることができます。

なお、納税者の合計所得金額が1,000万円を超えている場合は適用対象外です。

※出典:国税庁「配偶者控除

配偶者特別控除

配偶者の年収が103万円超~201.6万円未満の場合に適用される所得控除です。

控除を受ける納税者本人の合計所得金額と、配偶者の合計所得金額に応じて、1万円~38万円の所得控除を受けられます。

配偶者控除同様、納税者の合計所得金額が1,000万円を超えている場合は適用対象外となります。

※出典:国税庁「配偶者特別控除

扶養控除

配偶者以外の扶養家族がいる場合に適用される所得控除です。

扶養親族の年収が103万円以下の場合、年齢に応じて38万円~63万円の所得控除を受けられます。

納税者から見て6親等内の血族および3親等内の姻族が扶養家族の対象となりますので、結婚を機に配偶者の親などと同居することになった場合は、扶養控除が適用されるかどうか確かめてみましょう。

※出典:国税庁「扶養控除

結婚後に使える所得控除について詳しくは「結婚すると税金が安くなる?知っておきたい4つのポイント」で解説していますので、ぜひこちらも参考にしてください。

まとめ

結婚退職するとき、まずは夫婦二人で話し合い、しっかりと計画を立てるようにしましょう。もちろん、勤め先に迷惑がかからないよう早めに申請・報告することも大切です。

結婚後の働き方によっては、失業保険の受給手続きや、扶養申請が必要ですので、忘れずに手続きを済ませましょう。ただし、失業保険を受け取るためには結婚後も働く意思のあることが大前提となりますので注意してください。

結婚後、どちらかが退職すると、夫婦のお金の使い方は大きく変わります。各種保険や控除制度を利用しながら、お金についても健康な生活を送れるといいですね。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。 法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

記事提供元:株式会社ぱむ