結婚すると税金が安くなる?知っておきたい4つのポイント

結婚すると税金が安くなる?知っておきたい4つのポイント

結婚後は、どちらかの苗字が変わったり同居するようになったりと、独身時代から何かしらの変化が起こります。なかには夫婦どちらかが専業で家事を行い、もう一方が一家の大黒柱となる家庭もあるでしょう。そのような場合、一定の要件を満たしていれば、税金が安くなります。

この記事では、結婚すると税金が安くなるのはどんな人なのか、どのくらい安くなるのか、知っておきたい4つのポイントを解説します。

ポイント1:結婚すると所得税や住民税が安くなることがある

結婚すると、 所得税や住民税が安くなることがあります。

どんな人がどのくらい安くなるのかを理解するために、まずは所得税や住民税がどうやって計算されるのかを簡単に確認しましょう。

所得税や住民税は、「収入(年収)」ではなく「所得」に対して所定の税率をかけて計算します。

たとえば個人事業主の場合、仮に年収が500万円だったとしても、この500万円全てに税金がかかるわけではありません。この500万円のなかには、店舗を借りたときの家賃や、車を購入したときの車両費、消耗品や事務費などの「経費」が含まれているからです。

会社員や公務員の方は自身で税金を計算する機会が少ないため、イメージが湧かないかもしれませんが、実は同じような過程で担当部署が税金の計算をしてくれているのです。

所得税や住民税の対象となる「課税所得」は、「収入(年収)」から「経費」と「所得控除」を差し引いて計算します。
そのため、「経費」や「所得控除」が多いほど、納める税金は少なくなるのです。

会社員や公務員など給与所得者の場合、「経費」の金額は年収によって決まっています。
「所得控除」は、家族構成など一定の要件を満たすと差し引く(控除する)ことができるもので、その金額は種類により異なります。

■結婚すると使える3つの「所得控除」

所得控除」は全部で14種類ありますが、結婚に関連するのは以下の3つです。

・配偶者控除(配偶者の年収が103万円以下のとき)

・配偶者特別控除(配偶者の年収が103万円超201.6万円未満のとき)

・扶養控除(16歳以上の子どもや親を扶養しているとき)

3つの所得控除には他にも要件があり、その詳細は後述しますが、残念ながら フルタイムの共働き夫婦は「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を受けることができません

また、住民税にもこれらの所得控除がありますが、市区町村によって要件などが異なるため、ここから先は所得税について解説します。

ポイント2:夫婦の働き方によって税金のメリットは異なる

■配偶者控除の要件

配偶者控除を受けるためには、納税者と配偶者が以下の全ての要件を満たしている必要があります。(男女の区別はありません。)

【納税者の要件】

・納税者本人のその年の12月31日時点での合計所得金額(年収から経費だけを差し引いた金額)が1,000万円以下であること

【配偶者の要件】

・民法の規定による配偶者であること
(内縁関係では配偶者控除を受けることができません)

・納税者と生計を1つにしていること
(生計を1つにしているとは、夫婦が同じ財布、口座を利用しているという状況を意味します。同居している必要はなく、たとえば単身赴任先から家族に生活費や学費を送る行為も「生計を1つにすること」に含まれます。)

・年間の合計所得が48万円以下(給与所得者の場合、年収103万円以下)であること

・青色申告者の事業専従者として、その年に1度も給与を受けていないこと。また、白色申告者の事業専従者でないこと

■配偶者特別控除の要件

配偶者特別控除を受けるためには、納税者と配偶者が以下の全ての要件を満たしている必要があります。(男女の区別はありません。)

【納税者の要件】(配偶者控除と同じ)

・納税者本人のその年の12月31日時点での合計所得金額(年収から経費だけを差し引いた金額)が1,000万円以下であること

【配偶者の要件】

・民法の規定による配偶者であること
(内縁関係では配偶者特別所得控除を受けることができません)

・納税者と生計を1つにしていること
(生計を1つにしているとは、夫婦が同じ財布、口座を利用しているという状況を意味します。同居している必要はなく、たとえば単身赴任先から家族に生活費や学費を送る行為も「生計を1つにすること」に含まれます。)

・年間の合計所得が48万円超~133万円以下(給与所得者の場合、年収が103万円超201.6万円未満)であること

・青色申告者の事業専従者として、その年に1度も給与を受けていないこと。また、白色申告者の事業専従者でないこと

・配偶者特別控除を受けていないこと
(夫婦それぞれが配偶者特別控除を受けることはできません)

例)所得500万円の夫と結婚する場合に受けられる税金メリットをシミュレーション

実際に配偶者控除や配偶者特別控除を受けると、所得税はどのくらい安くなるのでしょうか。

以下の3つのケースを比較してみましょう。

ケース1:夫の所得が500万円、妻の所得が150万円

ケース2:夫の所得が500万円、妻の所得が48万円(配偶者控除が適用)

ケース3:夫の所得が500万円、妻の所得が115万円(配偶者特別控除が適用)

結婚による税金メリット(所得税)シミュレーション

※1)妻の所得要件が配偶者控除、配偶者特別控除の要件を満たさないため

※2)「配偶者控除」「配偶者特別控除」以外の控除は一切考慮していないため、実際の納税額とは異なります。

■控除を受ける方法

配偶者控除や配偶者特別控除は、何もしないと受けることができません。
会社員や公務員の方は、年末調整のとき「扶養控除等申告書」と「配偶者控除等申告書」、「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入し、経理などの担当部署に提出します。

自営業の方は、確定申告書に自身で記入します。配偶者控除の場合は「区分」にチェックは不要です。配偶者特別控除は「区分」に「1」と記入して控除額を記入、配偶者の合計所得も別欄に記入をします。配偶者のマイナンバーや源泉徴収票も用意しておきましょう。

ポイント3:子どもや親を扶養している場合も税金のメリットが

その年の12月31日時点で16歳以上の子どもや親を扶養している場合も、所得税や住民税が安くなることがあります。これを扶養控除と言います。
特に教育費がかかる高校生・大学生の子どもがいると扶養控除が大きいと覚えておきましょう。

■扶養控除の要件

扶養控除を受けるためには、扶養親族が以下の全ての要件を満たしている必要があります。(男女の区別はありません。)

【扶養親族の要件】

・配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)であること
(自身の子どもや親だけでなく、配偶者の連れ子や親も該当します。その年の12月31日時点での年齢が16歳以上23歳未満または70歳以上である必要があります)

・納税者と生計を1つにしていること
(生計を1つにしているとは、納税者と同じ財布、口座を利用しているという状況を意味します。同居している必要はなく、たとえば単身赴任先から家族に生活費や学費を送る行為も「生計を1つにすること」に含まれます。)

・扶養親族の年間の合計所得金額が48万円以下(給与所得者の場合、年収103万円以下)であること

・青色申告者の事業専従者として、その年に1度も給与を受けていないこと。また、白色申告者の事業専従者でないこと

例)所得700万円で16歳以上の子どもがふたりいる場合のシミュレーション

実際に扶養控除を受けると、所得税はどのくらい安くなるのでしょうか。

たとえば所得700万円で16歳以上の子どもがふたりいる場合の扶養控除額は76万円です。
その他の控除を一切考慮せず計算したとき、子どもがいない場合と比較すると、子どもがふたりいる場合のほうが15.3万円ほど所得税が安くなります。

ポイント4:社会保険料がお得になる場合も

結婚により会社員や公務員の配偶者となり、かつ年収130万円以下(勤め先によっては105.6万円未満)であれば、男女関わらず社会保険料(健康保険料・国民年金保険料)を支払う必要がなくなります。保険料の負担がなくなるだけで、健康保険や国民年金に加入している扱いになるため、病院で健康保険証が使えますし、老後に国民年金を受け取ることもできます。手続き方法は事前に経理などの部署に確認しておきましょう。

また、公務員や一部の会社員は「扶養手当」や「家族手当」、「配偶者手当」を受け取れる可能性もあります。要件や金額、手続き方法は会社によって異なるため、こちらも事前に経理などの部署に確認しておきましょう。

まとめ

結婚によって家庭の収入構成に変化が生まれると、所得税や住民税が安くなったり、国民年金保険料の負担がなくなったりというメリットを受けられることがあります。

結婚をきっかけに夫婦のどちらかが家事に専念する、またはパート勤務になる場合にはメリットが大きいといえます。要件を満たすのであれば、年末調整などの手続きを忘れないように注意しましょう。

また、要件を満たさないことがデメリットとは限りません。青色申告などの自営業者には専用の控除がありますし、夫婦共働きの方が家庭の手取りは多くなります。

夫婦でしっかり話し合い、自分たちのライフスタイルに合った働き方を選びましょう。

記事提供元:株式会社ぱむ