教育費の無償化とは?学校別の制度内容やメリット・デメリットを解説!

教育費の無償化とは?学校別の制度内容やメリット・デメリットを解説!

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「子育てはお金がかかる」と言われることも多いですが、中でも大きなウエイトを占めるのが教育費です。

実際、厚生労働省「平成27年版厚生労働白書」によると、理想の子どもの数と現実が乖離している理由として「子育てや教育にお金がかかりすぎる」と回答した人が全体の6割以上に上っており、教育費の負担が少子化の原因のひとつであることがわかります。

その対策として、国では教育費の無償化を実施し、子育て家庭の負担軽減を図っています。

この記事では、子育て中のパパ・ママが知っておきたい教育費無償化の概要とメリット・デメリットを解説します。子どもの教育費の目安や無償化以外の負担軽減制度についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

教育費の無償化とは?

教育費の無償化とは、幼児教育・保育施設の利用料や各種学校の授業料などを無償にすることで、教育費の負担を軽減する制度です。

従来から無償となっていた小・中学校の授業料と教科書代(私立校の授業料は原則有償)、公立高校の授業料に加え、3つの教育費が無償化されました。
まず2019年10月には「幼児教育・保育の無償化」、続いて2020年4月には「私立高校の無償化」および「高等教育の無償化」が実現し、教育費無償化の範囲は大きく拡大しました。

経済的な理由で子どもを諦めることがないよう、また、子どもたちが進学を諦めず将来にわたって安心して学べるよう、国や自治体が主体となって支援を実施しています。

教育費無償化の内容とは?

教育費の無償化は、就学前教育(幼稚園・保育園)から高等教育(大学等)まで、各課程で実施されています。 ここでは、それぞれの課程における無償化の内容を確認しておきましょう

1.幼児教育・保育の無償化

幼児教育・保育の無償化は、国公立・私立を問わず、幼児教育・保育を行う施設の利用料を無償化する制度です。

対象となる施設は、幼稚園・保育所・認定こども園・地域型保育・企業主導型保育事業の5つで、3~5歳児クラスは原則として利用料が無償になります。

ただし、子ども・子育て支援新制度の対象とならない私立幼稚園は月額2.57万円まで無償、企業主導型保育事業については、これまでの利用料から年齢に応じた一定金額が減額されます。

なお、住民税非課税世帯に関しては、0~2歳児クラスの利用料も無償となります。[参考1]

参考1:こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化について

2.幼稚園の預かり保育や、認可外保育施設の利用料も一定額まで無償になる

幼稚園の利用だけでなく、幼稚園の預かり保育の利用料に関しても、3~5歳児クラスに限り、最大月額1.13万円までが無償になります。

また、一般的な認可外保育施設や、地方自治体独自の認証保育施設、ベビーシッター、認可外の事業所内保育といった認可外保育施設や、一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業の利用料についても、3~5歳児クラスは月額3.7万円まで無償になります。

住民税非課税世帯の場合は、0~2歳児クラスの利用も対象となり、月額4.2万円まで無償です。[参考2]

参考2:こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化について
    こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化概要

幼児教育・保育の無償化によって負担が減った分、教育資金をためやすくなったといえます。「幼児教育無償化でどう変わった?子どもの教育資金の貯め方」では、幼児教育・保育の無償化で浮いたお金を、将来のお子さまのために貯める方法を紹介していますので、あわせて読んでみてください。

3.小・中学校の無償化

小学校、中学校は義務教育であり、憲法や法律に基づいて国公立学校の授業料と教科書代は無償になっています。親の年収などの要件もありません。

私立学校の場合、授業料は原則自己負担ですが、教科書代は無償です。[参考3]

最近では、子育て支援の一環として公立学校の給食費を無償化する自治体も増えています(2023年9月時点で全国の約3割にあたる547自治体が小中学生全員を対象に無償化を実施)。[参考4]

とはいえ、給食費の無償化はあくまで各自治体の判断によるものであり、実施は一部の自治体に限られています。財源の問題や予算の制約による給食の品質低下などの懸念もあり、全国一律の無償化実現は不透明な状況です。

参考3:文部科学省「家庭の教育費負担や公財政による教育分野への支出等/小学校・中学校
参考4:文部科学省「学校給食に関する実態調査

4.高校の無償化

高校の無償化は、正式には「高等学校等就学支援金制度」といい、目安として年収約910万円未満の世帯の高校生(国公立・私立問わず)を対象に、11万8,800円~39万6,000円(世帯年収や学校種別によって異なる)の支援金を支給するものです。[参考5]

【高校に通う子どもがいる世帯への支給額イメージ】

支援の対象となるかどうか、いくら支援されるかは世帯年収によって異なり、以下の計算式で求めた額(両親2人分の合計額)が30万4,200円未満の場合に対象となります。[参考5]

計算式:(市町村民税の課税標準額×6%)-市町村民税の調整控除の額

世帯年収の目安は以下の通りです。

【支援対象になる世帯の年収目安(支給額は私立高校(全日制)の場合)】[参考5]

両親の働き方子の人数11万8,800円
の支給対象
39万6,000円
の支給対象
両親の一方が働いている子2人(高校生のみ)
※扶養控除対象者が2人の場合
~約950万円~約640万円
両親の一方が働いている子2人(大学生と高校生)
※扶養控除対象者が1人、特定扶養控除対象者が1人の場合
~約960万円~約650万円
両親共働き子2人(高校生と中学生以下)
※扶養控除対象者が1人の場合
~約1,030万円~約660万円
両親共働き子2人(高校生のみ)
※扶養控除対象者が2人の場合
~約1,070万円~約720万円
両親共働き子2人(大学生と高校生)
※扶養控除対象者が1人、特定扶養控除者が1人の場合
~約1,090万円~約740万円

※子について、中学生以下は15歳以下、高校生は16〜18歳、大学生は19〜22歳の場合
※給与所得以外の収入はないものとし、両親共働きの場合、両親の収入は同額として計算した場合

また、東京都のように独自で私立高校の授業料を支援している自治体もあります(東京都の支援制度では所得制限なし)[参考6]。所得制限によって国の支援制度の対象にならない方や、上記の支援金だけでは授業料がまかなえない方は、お住いの自治体に支援制度がないか確認してみましょう。

参考5:文部科学省「2020年4月からの『私立高等学校授業料の実質無償化』リーフレット
参考6:東京都「私立高等学校等の学費負担軽減に係る支援について

5.高等教育(大学等)の無償化

高等教育の無償化は、2020年4月にスタートした修学支援制度です。

正式には「高等教育の修学支援新制度」といい、高等教育にあたる要件を満たした大学・短大・高等専門学校、専門学校等に通う学生が、「授業料等減免(授業料・入学金の免除または減額)」と「給付型奨学金の支給」という2つの経済的支援を受けられます。

5.1.高等教育(大学等)の無償化の支援対象

高等教育無償化の対象となるのは、支援対象となる学校に通っており、世帯収入や資産の要件を満たし(※)、進学先で学ぶ意欲のある学生です。[参考7]

※住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯

支援対象となる学校は、法律により一定の要件を満たすことの確認を受けた大学・短期大学、高等専門学校(4年・5年)、専門学校(確認大学等)で、2023年12月1日時点で、大学・短大の98.1%、高専の100%、専門学校の78.5%が対象になっています。[参考8]

すべての学校が対象になっているわけではないため、制度を利用する場合は、あらかじめ通学する学校が支援の対象になっているかどうか確認しましょう。[参考9]

支援金額は受ける支援の種類や、通う学校の種類、自宅暮らしかひとり暮らしか、などの要件によって異なります。

参考7:文部科学省「学びたい気持ちを応援します 高等教育の就学支援新制度」どんな人が対象になる?(支援の対象者)
参考8:文部科学省「高等教育の修学支援新制度 機関要件の確認(更新)申請・審査の概要」(令和5年12月1日現在)
参考9:文部科学省「支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧

5.2.授業料等減免の上限額

授業料および入学金の減免(免除または減額)上限額は、昼間制・夜間制・通信課程の3つに分かれているほか、学校の種別や国公私立の別によって区分されています。

住民税非課税世帯の支援額の上限は、下表の通りです。

【昼間制】(年額)

 国公立私立
入学金授業料入学金授業料
大学約28万円約54万円約26万円約70万円
短期大学約17万円約39万円約25万円約62万円
高等専門学校約8万円約23万円約13万円約70万円
専門学校約7万円約17万円約16万円約59万円

【夜間制】(年額)

 国公立私立
入学金授業料入学金授業料
大学約14万円約27万円約14万円約36万円
短期大学約8万円約20万円約17万円約36万円
専門学校約4万円約8万円約14万円約39万円

【通信課程】(年額)

 私立
入学金授業料
大学/短期大学/専門学校約3万円約13万円

住民税非課税に準ずる世帯の場合、世帯年収に応じて、上記支援額の2/3または1/3の額が減免されます。

さらに、2024(令和6)年度からは、多子世帯や理工農系の中間所得層(世帯年収600万円程度まで)に支援対象が拡大しました。[参考10]

多子世帯支援は扶養する子どもの数が3人以上の世帯が対象になり、上記支援額の1/4の額が減免されます。理工農系支援は理学・工学・農学の学位が授与される私立学校の学部・学科が対象になり、文系学部・学科との授業料差額分(※)が減免されます。

※昼間制大学の場合、授業料減免額は年額23万3,400円、入学金減免額は8万6,700円

参考10:文部科学省「令和6年度からの奨学金制度の改正(授業料減免等の中間層への拡大)」p.1

給付型奨学金の給付額

高等教育無償化の対象となる学生には、日本学生支援機構(JASSO)から学生生活を送るための費用として、毎月一定額が支給されます。

住民税非課税世帯の学生に対する給付額は下表の通り。給付額は、学校の種別や国公私立の別、自宅通学・自宅外通学(下宿)の別により区分されています。

【昼間・夜間共通(月額)】

 国公立私立
自宅自宅外自宅自宅外
大学/短期大学/専門学校29,200円 
(33,300円)
66,700円38,300円
(42,500円)
75,800円
高等専門学校17,500円 
(25,800円)
34,200円26,700円
(35,000円)
43,300円

()内の金額は、生活保護世帯で自宅から通学する人および児童養護施設等から通学する人に対する給付額です。

【通信制(年額)】

 私立(自宅・自宅外)
大学/短期大学/専門学校51,000円

住民税非課税に準ずる世帯の場合、世帯年収に応じて、上記支援額の2/3または1/3の額が支給されます。

また、所得要件を満たし、扶養する子どもの数が3人以上の多子世帯の場合、上記支援額の1/4の額が支給されます(2024年度以降)。

給付型奨学金には返済義務がなく、高等教育にかかる費用の全部または一部が実質無償になります。

教育費無償化のメリット

教育費無償化は、社会や国民に対して以下のようなメリットをもたらします。

1.少子化対策

日本の総人口に対する年少(0~14歳)の人口割合は年々減少の一途を辿っており、内閣府の調査によると、2020年時点ではわずか12.0%となっています。[参考11]

少子化の原因はいろいろありますが、冒頭でも説明した通り、子育てや教育費にかかる経済的負担が大きいことが原因のひとつとなっています。

教育費無償化によって教育費の負担が軽減されれば、子どもを持つことに対する不安・悩みの解消につながります。

参考11:こども家庭庁「令和4年度 内閣府委託事業 我が国及び諸外国の少子化の状況等に関する調査 【全体版】

2.教育の機会の均等化

日本では、小・中学校が義務教育となっており、公立の学校であれば、授業料や教科書代の負担なく教育を受けることができます。

ただ、幼児教育や高等学校、大学や専門学校など高等教育は義務教育ではないため、世帯の経済状況によって、子どもが就学を諦めざるを得ないケースも少なくありませんでした。

義務教育以外の教育費が無償化されたことにより、世帯の経済状況によらず、すべての子どもが平等に教育を受けられる環境が整いつつあります。

3.家計負担の軽減

教育費が無償化されれば、家計における教育費の割合が縮小し、他の項目(住居費やその他の学習費など)に資金を回せるようになります。

ただし、高校の無償化と高等教育の無償化には所得制限があり、恩恵を受けられない家庭も出てくるでしょう。

幼児教育・保育の無償化には所得制限がなく全家庭が対象のため、この時期は高校や大学進学に向けて貯蓄をするチャンスといえます。

教育費無償化のデメリット

教育費無償化にはたくさんのメリットがありますが、一方で、無償化にともなう児童数・学生数の増加による教育の質の低下が懸念されています。

もともと教育の現場は人手不足が著しい状況にあるため、児童数や学生数が増えると、教員や保育士ひとりあたりにかかる負担がさらに増大し、教育の質が低下するおそれがあります。

また、教育費の無償化には莫大な財源が必要となるため、近い将来、穴埋めのために増税されるのではないかという不安も広がっています。
高校の無償化と高等教育の無償化は所得制限があり、特に高等教育の無償化は対象範囲が狭いのもデメリットです。

そもそも教育費ってどれくらいかかるもの?

ここまで教育費無償化について説明してきましたが、そもそも教育費はどのくらいかかるものなのでしょうか?

以下では、文部科学省「令和3年度子供の学習費調査結果」、「国公私立大学の授業料等の推移」、「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果」を参考に、幼児教育から大学までの年間の教育費の相場をまとめました。

【学習費総額(年額)】

 公立私立
幼稚園16万5,126円30万8,909円
小学校35万2,566円166万6,949円
中学校53万8,799円143万6,353円
高等学校(全日制)51万2,971円105万4,444円
大学(国立)53万5,800円112万4,476円

※幼稚園・小学校・中学校・高等学校は「令和3年子供の学習費調査結果」(表1学校種別の学習費総額)各学習費総額、国立大学は「国公私立大学の授業料等の推移」の年間授業料(標準額)、私立大学は「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果」の年間授業料と施設設備費の合計額(全学部平均)をもとに株式会社デジタルアイデンティティ作成

以上のデータを見ると、公立よりも私立のほうが負担は大きく、特に小学校では公立と私立で5倍近い開きがあります。

教育費無償化により、家計の負担が軽減されるのはもちろん、経済的な理由から高等教育への進学を断念せざるを得なかったり、進学先が限定されたりすることが減り、子どもが望む教育を受けさせやすくなります。

子育て世帯に必要な教育費と貯蓄について、よりくわしく知りたい方は「子育て世帯の貯蓄はいくら必要?子どもの教育費総額と貯蓄のコツとは」も参考にしてみてください。

教育費について知っておきたい制度・ポイント

教育費については、これまで紹介した無償化制度のほかにも、教育費の負担を軽減する支援制度が用意されています。ここでは、主な支援制度と教育費を準備するにあたって注意しておきたいポイントをまとめました。

1.無償化の対象とそうでないものを把握しておく

教育費無償化によって、幼児教育・保育施設の利用料や学校の授業料・入学金の負担が軽減されます。しかし、子どもの教育費がすべて無償になるわけではありません。

学用品の購入費や部活動費、給食費、塾や習い事など学校外でかかる費用などは、積み重なると大きな金額になります。修学旅行費や塾の夏期講習費など、一度にまとまったお金がかかるものもあり、金額によっては計画的な準備が必要です。

どこまで無償になり、何を自分で準備しなければならないのか、しっかり把握しておきましょう。

2.児童手当制度を活用する

所得要件を満たし、中学校卒業までの子どもを養育している方は、「児童手当」を受け取れます。

受給には、お住まいの市町村(公務員の場合は勤務先)に「認定請求書」を提出して認定を受ける必要があります。[参考12]

【児童手当の支給額(2024年9月まで)】

子どもの年齢児童手当の額(1人あたり月額)
第1子・第2子第3子以降
3歳未満15,000円
3歳以上 小学校修了前10,000円15,000円
中学生10,000円

※児童を養育している方の所得が所得制限限度額以上、所得上限限度額未満の場合は、「特例給付」として一律5,000円が支給されます。
※第3子以降とは、高校卒業まで(18歳の誕生日後最初の3月31日まで)の養育している児童のうち、3番目以降をいいます。

2024年10月からは所得制限が撤廃され、支給対象が高校生年代まで拡大、第3子以降は支給額が一律で月3万円に増額されます。[参考13]

【児童手当の支給額(2024年10月から)】

子どもの年齢児童手当の額(1人あたり月額)
第1子・第2子第3子以降
3歳未満15,000円30,000円
3歳〜高校生10,000円

※第3子以降の数え方は、22歳の誕生日後最初の3月31日までの子で親等に経済的負担がある場合は数に含めるよう見直されます。

参考12:こども家庭庁「児童手当制度のご案内
参考13:こども家庭庁「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の概要

3.就学援助制度を活用する

経済的な理由によって小学校・中学校への修学が困難な児童・生徒の保護者は、お住まいの市町村から学用品費、給食費、医療費などの援助を受けられます。

【就学援助制度の対象となる費用】
学用品費/体育実技用具費/新入学児童生徒学用品費等/通学用品費/通学費/修学旅行費/校外活動費/医療費/学校給食費/クラブ活動費/生徒会費/PTA会費/卒業アルバム代等/オンライン学習通信費

対象は生活保護世帯、または生活保護世帯に準ずる世帯※です(※認定基準は各市町村が規定)。[参考14]
援助を受けるには毎年度、通っている学校を通して申請が必要です。

参考14:文部科学省「就学援助制度について

4.高校生等奨学給付金を活用する

高校生等のいる低所得世帯(生活保護世帯または住民税所得割非課税世帯)は、申請により返還不要の「高校生等奨学給付金」を受け取れます。[参考15]

【高校生等奨学給付金の給付額(2024(令和6)年度)】

世帯状況給付額(年額)
国公立私立
生活保護受給世帯【全日制等・通信制】32,300円52,600円
住民税所得割非課税世帯
【全日制等】
第1子122,100円142,600円
第2子以降※1143,700円152,000円
住民税所得割非課税世帯【通信制・専攻科】50,500円52,100円

※高校生等本人が生業扶助(高等学校等就学費)を措置されている場合の給付額
※家計が急変して非課税相当になった世帯は申込月によって給付額が変わります
※1 15歳以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合

先に述べた授業料に対する支援である「高等学校等就学支援金」とは別の制度で、受給するには、学校またはお住まいの都道府県に別途申請が必要です。

参考15:文部科学省「高校生等奨学給付金

5.ひとり親向けの支援制度を活用する

ひとり親家庭に対する代表的な支援制度としては、「児童扶養手当」があります。

児童扶養手当は、生活の安定と自立の促進を目的として、18歳(障害児の場合は20歳)までの子どもを監護するひとり親に対し、前年の所得に応じて支給されます。[参考16]

【児童扶養手当の支給額(2024年4月から)】

 児童扶養手当の額(月額)
全部支給一部支給
基本額45,500円45,490円〜10,740円
加算額児童2人目10,750円10,740円〜5,380円
児童3人目以降
(1人につき)
6,250円6,240円〜3,130円
※2024年11月分からは児童2人目と同額

※所得制限限度額(収入ベース、2人世帯の場合):<全部支給>160万円(190万円)、一部支給365万円(385万円)、カッコ内は2024年11月分以降

受給するには、お住まいの市町村に申請が必要です。

このほかにも、ひとり親家庭にはさまざまな支援制度が用意されています。こども家庭庁やお住まいの市町村のホームページ・窓口などで確認し、利用できる制度はうまく活用しましょう。

参考16:こども家庭庁「児童扶養手当

6.教育費軽減制度についてアンテナを張っておく

教育費の軽減・支援制度は、新設や変更も多く、ご自身で申請しないと支援を受けられない制度も多いです。

知らずに損をすることがないよう常にアンテナを張り、最新の情報を把握するように努めましょう。

まとめ

教育費無償化によって家計の負担が軽減されれば、少子化対策や教育機会の均等化につながると期待されます。経済的な負担が原因で子どもを諦めていた家庭が、2人目、3人目を持つきっかけにもなるでしょう。

教育費の無償化やそのほかの負担軽減制度は、所得などの要件があったり、ご自身で申請しないと支援を受けられなかったりします。

現在子どもがいる、あるいは今後子どもが生まれる予定があるという方は、ご自身が対象となる制度を確認し、利用できる制度はうまく活用しましょう。

また教育費の無償化以外にも、国や各地方自治体が子育て世帯のために手当金や助成金を用意しています。くわしくは「子育て世帯のための手当金・助成金まるわかりコラム」で紹介していますので、あわせて読んでみてください。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

ライター:竹国弘城(たけくに ひろき)
独立系FP、RAPPORT Consulting Office代表。証券会社、生損保代理店での勤務を経て独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自分のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうためのサポートを行う。1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®、証券外務員一種、宅地建物取引士

記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ