期間限定キャンペーン中!
生活習慣病は、その名の通り生活習慣が原因で発症する病気です。予防するには、身体を動かしたり、食事内容を見直したり、禁煙や適正な飲酒、十分な睡眠を心がけたりする必要があります。この記事では、こうした重要な予防法5つや健康診断の受け方について詳しく解説しています。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
生活習慣病とは
生活習慣病とは、私たちの日常の生活習慣、例えば食事の内容や運動の有無、休息の取り方、喫煙や飲酒といった行動が大きく影響し、これらが原因で起こる病気のことを指します[参考1]。
主な生活習慣病は、以下のとおりです。
- 糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症(動脈硬化の原因)
- 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞など)
- 脳血管障害・脳卒中(脳出血・くも膜下出血など)
- 高尿酸血症(痛風・尿路結石など)
これらの病気の発症には、生活習慣が深く関与しているとされます[参考2]。
生活習慣病の種類や原因などについて詳しく知りたい方は、「生活習慣病ってどんな病気?種類や原因、備えておくべきことを紹介」をご覧ください。
参考1:e-ヘルスネット「生活習慣病とは」
参考2:e-ヘルスネット「主な生活習慣病」
生活習慣病の予防方法5つ!
健康で長生きするうえで、生活習慣病は大きな障害となっており、医療費の増大にも大きな影響を与えています。ここでは、生活習慣病を予防する5つの方法を紹介します。
1.健康づくりのための身体活動・運動をおこなう
健康を維持するためには、身体活動や運動が非常に重要です。身体活動や運動の基準、身体を動かす際の効果的なポイントについて紹介します。
身体活動・運動時間の基準
「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、身体活動や運動時間の基準を公表しています。[参考3]
対象者 | 身体活動(生活活動+運動) | 運動 |
高齢者 | ・歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日40分以上 ・1日約6,000歩以上 | ・多様な運動を週3日以上 ・筋力トレーニングを週2~3日 |
成人 | ・歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上 ・1日約8,000歩以上 | ・息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上 ・筋力トレーニングを週2~3日 |
この基準はあくまで目安であるため、無理のない範囲でできることから取り組んでみましょう。
参考3:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」p.7
体を動かすためのポイントや注意点
体を動かすことはとても大切ですが、重要なのは「今より少しでも多く」体を動かすことです。長時間じっと座っている状態を避け、こまめに体を動かすように心がけましょう[参考4]。
ただし、無理は禁物です。紹介した運動の基準は、多くの科学的根拠や日本人の現状を参考に作られています。しかし、すべての人に当てはまるわけではありません。自分の健康状態や体力レベルに合わせて、運動の強度や量を調整するようにしましょう[参考4]。
参考4:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」p.7
2.栄養・食生活を改善する
生活習慣病を予防するには、バランスの取れた食生活が重要です。栄養や食生活の現状や、バランスよく栄養を摂るためのポイント・注意点をみていきましょう。
栄養・食生活に関する現状
食塩の摂取量や野菜の摂取量は、生活習慣病と深い関係を持っています。
日本人の食塩の平均摂取量は1日あたり10.1グラムです。詳しく見ると、男性は平均10.9グラム、女性は平均9.3グラム摂取しています。この10年間(平成21年から令和元年まで)の変化を見ると、男性の摂取量は少しずつ減っています。一方、女性の場合、平成21年から27年まで減少しましたが、その後の令和元年まではほとんど変わっていません。厚生労働省が発表する食事摂取基準では、食塩摂取量の目安として、男性で約7.5g、女性で約6.5g程度を示しています。さらに理想は6g程度と、実態との乖離が非常に大きいです。
また、日本人の野菜の平均摂取量は280.5gです。男性が288.3g、女性が273.6gです。10年間の推移を見ても、大きな変化は見られません。摂取量の目安は350gと、こちらも大きく乖離があります。[参考5][参考6][参考7]。
参考5:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」p.23・24
参考6:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」p.270
参考7:e-ヘルスネット「野菜、食べていますか?」
バランスよく栄養を摂るためのポイントや注意点
バランスよく栄養を摂るためには、以下の点に注意する必要があります。
- 多様な食品を組み合わせる
食品に含まれる栄養素の種類やその量は、それぞれの食品によって異なります。そのため、特定の食品に偏るのではなく、ご飯やパンなどの主食、肉や魚などの主菜、野菜などの副菜といった異なる栄養特性を持つ料理を組み合わせた食事をするのが理想です[参考8]。 - 調理方法に変化をつける
調理方法も重要です。炒め物や揚げ物は油を多く使いますし、煮物や汁物は塩分が多くなりがちです[参考8]。調理の油を減らしたり、だしのうまみを活用したりするなど調理法に変化をつけて油や塩分を控えるようにしましょう。 - 手作りと外食、加工食品・調理食品を上手に組み合わせる
近年は、外食や加工食品、調理済み食品に頼ることが増えています。毎日全てを手作りするのは大変です。市販品をうまく活用しながら、主食・主菜・副食を組み合わせることが、無理なくバランスの良い食事を続けるポイントとなります。
参考8:厚生労働省「食生活指針の解説要領」p.12
3.たばこ(喫煙)を控える・禁煙する
たばこは、がんや心筋梗塞、脳梗塞、慢性閉塞性肺疾患などといった生活習慣病のリスクを高めることが知られています[参考9]。ここでは、たばこが体に与える影響や禁煙のためのポイントなどについて紹介します。
参考9:e-ヘルスネット「喫煙による健康影響」
たばこが体に与える影響
たばこが体に与える主な影響は、以下のとおりです。
- がんのリスクが高まる
たばこの煙には、がんの原因となる有害物質が60種類以上も含まれており、肺がんや喉頭がん、口腔がんになる危険性が非常に高くなります。有害物質は血液によって全身に運ばれるため、煙が直接触れる部分以外の臓器のがんリスクも高まります[参考10]。 - 動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞が起こりやすくなる
たばこを吸うと、血液中の悪玉コレステロールが増えて善玉コレステロールが減少し、さらに血圧が上がります。これらの変化が原因で動脈が硬くなる動脈硬化が進行し、その結果、心筋梗塞や脳梗塞などといった病気が起こりやすくなります[参考10]。 - 慢性閉塞性肺疾患になる
喫煙は、肺を蝕み、呼吸を困難にする慢性閉塞性肺疾患(COPD)の主な原因です。「たばこ病」とも呼ばれるCOPDは、気道や肺胞にダメージを与え、咳や痰を慢性化させます。進行すると、少し動いただけで息切れが激しくなり、日常生活にも支障をきたします。最悪の場合、命を落とす危険性もあります[参考10]。
また、アメリカでは電子たばこによる健康被害の事例も報告されています。具体的には呼吸困難や息切れ、胸痛といった呼吸器症状や嘔吐、下痢、発熱、疲労などが報告されています。現時点で、電子たばこと健康被害の関連は明らかではありませんが、具合が悪くなった場合は製品の使用を中止し、医療機関を受診しましょう[参考11]。
参考10:全国健康保険協会「たばこは周りの人の健康にも影響を及ぼします」
参考11:厚生労働省「電子たばこの注意喚起」
たばこを控える・禁煙するためのポイントや注意点
たばこをやめるには、完全にストップすることが最も効果的です。本数を減らしたり、軽いたばこに変えたりしても、健康への悪影響をなくすことはできません[参考10]。
禁煙で注意が必要なのはニコチン依存症です。ニコチン依存症が進んでいると、自分だけで禁煙するのが難しい場合があります。その場合は、ニコチンガムやニコチンパッチなどの禁煙補助剤を使ったり、禁煙外来で医師の指導を受けたりすることで、禁煙を成功させる可能性が高まるでしょう。[参考10]。
参考10:全国健康保険協会「たばこは周りの人の健康にも影響を及ぼします」
4.アルコールを控え・禁酒する
アルコールは昔から私たちにとって身近な存在ですが、飲み方によっては生活習慣病のリスクを高めます。アルコールが健康に与える影響や、禁酒する際のポイントについて紹介します。
アルコールの健康への影響
アルコールが健康に与える影響は、以下のとおりです。
- 急性アルコール中毒の原因となる
急性アルコール中毒は、過度の飲酒により引き起こされる危険な状態です。血中アルコール濃度が高くなると、意識レベルが低下し、嘔吐や血圧低下、呼吸数の減少などの症状が現れ、重症の場合は死亡する可能性があります[参考12]。 - 慢性的な臓器障害を引き起こす
お酒の飲み過ぎは、肝臓病をはじめ、膵炎や糖尿病、がん(口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、肝臓がん、大腸がん、乳がん)など、さまざまな臓器に深刻な病気を引き起こす可能性があります[参考13]。 - アルコール依存症を引き起こす
長期間にわたって多量の飲酒を続けるうちにアルコール依存症になることがあります。依存症になると、精神的にも身体的にも健康が損なわれ、社会生活にうまく適応できなくなることがあります[参考14]。 - 未成年者や胎児に悪影響を与える
特に未成年者はアルコールの影響を受けやすいため、飲酒は法律によって禁止されています。また、妊娠中の女性がアルコールを摂取すると、胎児に影響が及び、胎児性アルコール症候群などを引き起こす可能性があるため注意が必要です。[参考14]
参考12:e-ヘルスネット「急性アルコール中毒」
参考13:e-ヘルスネット「アルコールによる健康障害」
参考14:厚生労働省「アルコール」
お酒の量を控える・禁酒するためのポイントや注意点
お酒の量をコントロールするには、まず自分がどれくらい飲んでいるのかを把握することが重要です。その上で、お酒以外の楽しみを見つけていきましょう。例えば、趣味に没頭したり、友人と食事を楽しんだりするのも良いでしょう。
外食や飲み会の回数を減らし、自宅で過ごす時間を増やすのも効果的です。晩酌する際は、缶ビールを小さいサイズに変えたり、ノンアルコールビールに置き換えたりするなど、工夫しながら徐々に摂取量を減らしていくのがおすすめです。
ただし、無理にお酒をやめてしまうとストレスがたまってしまうため、無理のない範囲で適正な飲酒量にするよう注意しましょう。
5.質の高い睡眠がとれるようにする
質の高い睡眠をとることも、生活習慣病を予防するために必要なことです。ここでは、睡眠と健康の関係や睡眠の質を高めるポイントなどについて紹介します。
睡眠と健康の関係
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると睡眠時間が極端に短いと、以下の病気の発症リスクが高まることがわかっています。
- 肥満
- 高血圧
- 糖尿病
- 心疾患
- 脳血管疾患
- 認知症
- うつ病
日本人の男性労働者2,282人を14年間追跡調査した研究によると、睡眠時間が6時間未満の人は、7~8時間の人と比べて心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患の発症リスクが4.95倍に達することがわかっています[参考15]。
しかし、睡眠時間は人それぞれで、一律に決まるものではありません。年齢によって必要な睡眠時間が異なりますし、生活環境も影響を与えます。また、個人の体質や生活リズムによっても適切な睡眠時間は変わってきます。
また、必要な睡眠時間は年齢とともに変化します。一般的に、年を重ねるにつれて夜間の睡眠時間は徐々に短くなります。また、加齢にともない、特に男性は早寝早起きの傾向が強まります[参考16]。
さらに季節も睡眠時間に影響を与えます。冬は夏に比べて睡眠時間が長くなる傾向があり、これは日照時間の変化が主な要因と考えられています。一方、夏は高温多湿な環境も影響して、睡眠の質が低下しやすくなります[参考17]。
睡眠には個人差があることも重要です。持病や体質によって最適な睡眠時間や睡眠パターンは異なる場合があります。一般的なガイドラインを参考にしつつも、自身の体調や生活リズムに合わせて適切な睡眠習慣を見つけることが大切です[参考17]。
参考15:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」p.11
参考16:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」p.8
参考17:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」p.9
睡眠の質を高めるためのポイントや注意点
睡眠の質を高めるには、環境を整える必要があります。
- 日中にできるだけ日光を浴びる
朝起きてから朝日を浴びると、体内の時計が整い、脳が活性化します。昼間に明るい光をたくさん浴びると、夜のメラトニン分泌が増え、寝つきが良くなります。これには1,000ルクス以上の光が必要です[参考18]。 - 寝室をできるだけ暗くする
寝室の明るさは睡眠の質に大きく影響します。夜間の光、特に低照度でも睡眠を妨げる可能性があります。LEDやスマートフォンから発せられるブルーライトは特に体内時計に影響を与えるため、電子機器の使用を控えたほうがよいでしょう[参考18]。 - 寝室の温度を適切に保つ
快適な睡眠のためには、寝室の温度調整も大切です。夏の暑い時期は、エアコンを適切に使用して涼しい環境を作りましょう。反対に、冬は急激な温度変化で体に負担がかからないよう、室温を18℃以上に保つことが推奨されています[参考19]。 - 就寝1~2時間前に入浴して体を温める
入浴して体を温めることで、眠りにつくまでの時間を短縮できることが知られています。これらの要素に注意を払うことで、より良い睡眠を得られる可能性が高まります[参考19]。 - 嗜好品の摂り方に注意する
嗜好品の中には睡眠に悪影響を及ぼすものもあります。カフェインの摂りすぎ(特に夕方以降の摂取)や晩酌での深酒、喫煙は睡眠の質を悪化させる可能性があるため注意が必要です[参考20]。
参考18:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」p.23
参考19:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」p.24
参考20:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」p.30
健康診断を受ける際のポイント
生活習慣病は初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な健康診断で体の変化を把握し、必要に応じて早めに対処することが大切です。ここでは、健康診断を受ける際の3つのポイントを解説します。
1.注意事項をしっかりと確認しておく
検査を受ける際には、事前に注意事項をよく確認しておきましょう。検査によっては、前日の食事時間の注意や飲食の制限、飲酒や喫煙が禁止されるといったことがあるかもしれません。
また、検査を受ける際の服装や持ち物、事前に健康状態などを伝える必要がある場合もあります。これらの注意事項はとても重要であるため事前に確認しておきましょう。
2.十分な睡眠をとっておく
健康診断の前日には、十分な睡眠を確保することが重要です。睡眠不足は、検査の結果に影響を与える可能性があります。そのため、診断を受ける前日には、できるだけ質の良い睡眠を取り、体をしっかりと休めるよう心がけましょう。
3.薬を服用している場合は相談をしておく
現在服用中の薬がある方は、必ずかかりつけの医師に相談しておきます。薬によっては検査結果に影響を与える可能性があるため、自己判断で薬の服用を中止したり、継続したりするのは避けましょう。医師に相談することで、健康診断の前日や当日の薬の服用については、医師の指示に従うようにします。
まとめ
この記事では、生活習慣病を予防するための5つの方法や、健康診断を受ける際の3つのポイントを解説しました。
生活習慣病の予防には、身体活動や運動、食生活、喫煙、飲酒、睡眠などさまざまな生活習慣を改善する必要があります。改善が進むことで、生活習慣病にかかるリスクを低減でき、健康寿命を延ばすことにつながるでしょう。
予防のために重要なのが、定期的に健康診断を受けることです。現在の健康状態をチェックすることで、重点的におこなうべき予防対策が見えてくるからです。健康診断の内容をもとに、適切な生活習慣病の予防対策をおこなっていきましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
馬場正裕(ばば まさひろ)
FPライター。ファイナンシャル・プランナーとして、各種サイトでマネー記事やコラムの執筆を担当した。消費者金融や外貨預金、家計管理、不動産関連の記事を執筆。FPとしての知識を生かした記事執筆の活動を行っている。2級FP技能士
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ