国民年金への加入は義務?加入意義や未納の場合の対処法について

国民年金への加入は義務?加入意義や未納の場合の対処法について

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「年金は払わない」と主張されている方を聞いたことがあるかもしれませんが、国民年金への加入は国民の義務です。

この記事では、国民年金への加入意義や、支払わない場合はどうなるのかを解説します。
未納や支払いできない場合の対処法も紹介しますので、参考にしてください。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

国民年金の加入は義務なの?

日本では国民年金は「国民皆年金」であり、加入が義務化されています。
国民年金を含む公的年金制度が実現されたのは、1942年の労働者年金保険制度が始まりです。国民皆年金が実現されたのは1961年で、国民全員が公的年金制度の対象となりました。[参考1]

加入対象となるのは、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人です。[参考2]
国民年金の被保険者は3つの区分に分けられています。[参考3]

被保険者の区分第1号被保険者第2号被保険者第3号被保険者
対象者20歳以上60歳未満の農業者、
自営業者、学生、無職の人など
会社員、
公務員など
第2号被保険者に
扶養されている20歳以上
60歳未満の配偶者
加入者数
(令和3年度末)
約1,431万人約4,531万人約763万人

※第2~4号厚生年金被保険者数を令和2年度末の実績とした場合の暫定値です。
さらに、第2号被保険者は2階建て部分として、厚生年金にも加入しています。

参考1:厚生労働省「第5 公的年金制度の歴史
参考2:厚生労働省「国民年金はどのような人が加入するのですか。
参考3:厚生労働省「令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況(令和4年6月)

国民年金の目的や役割とは

国民年金は「社会全体で備える仕組み」です。日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入することにより、老後はもちろん、事故やなんらかの理由で働けなくなったときに生活を支える仕組みになっています。

国民年金の目的や役割として、主に「老後の安心」「世代と世代の支え合い」「3つの安心」があります。
国民年金ができる前は、家族や親族間で老後の助け合いをしてきました。しかし現代では、核社会となり、家族が離れて過ごす家庭も多いため、お互いを助け合って生活することが困難になっています。

そこで、国民年金制度により若い世代が保険料を支払い、その保険料を年金として高齢者に支給する仕組みを作り、「老後の安心」と「世代と世代の支え合い」が実現しました。
この国民年金制度により受給できるのは65歳以降に受給できる老齢年金だけではなく、障害を負って働けなくなった場合に受け取れる障害年金、働き手が亡くなった場合に受給できる遺族年金の「3つの安心」が用意されています。

国民年金に加入する意義

老夫婦がリビングで話す

前項でも少し説明しましたが、国民年金には目的や役割があり運用されています。ここでは、国民年金に加入する意義を3つ解説します。

1.不測の事態に備えられる

国民年金の1つ目の意義は、不測の事態に備えられることです。
先に述べたとおり、国民年金には以下の3つの種類があります。

  • 老齢年金
  • 障害年金
  • 遺族年金

国民年金と聞くと、65歳以上で受け取れる老齢年金をイメージする方が多いのではないでしょうか。しかし、65歳未満でも病気やケガで障害を負った場合や一家の働き手がなくなった場合には、障害年金や遺族年金を受け取ることができます。

そのため、国民年金には万一に備えるための保険としての役割もあるのです。

2.一生涯受け取れる

2つ目の加入意義は、老齢年金は一生涯受け取れる仕組みであることです。老齢年金の受給条件を満たす場合、65歳以降は亡くなるまで年金を受給し続けられます。

厚生労働省の令和3年の調査によると、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、24.9%は生活費のすべてを公的年金や恩給でまかなっています。[参考4]
また、1世帯あたり平均年間総所得は332.9万円で、所得の約6割が公的年金・恩給であることがわかっています。

参考4:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況

3.納めた分は社会保険料控除の対象になる

国民年金への加入意義の3つ目は、納めた国民年金の金額分が社会保険料控除の対象となることです。社会保険料控除とは、支払った社会保険料の金額について所得控除を受けられることを指します。
所得控除により、節税となるのがメリットです。

国民年金の保険料を支払わないとどうなる?

社会全体で備える仕組みの国民年金ですが、保険料を支払わないとどうなってしまうのでしょうか。
ここでは、国民年金の保険料を支払わなかった場合のリスクを紹介します。

受け取れる年金が減ってしまう

令和4年4月分からの国民年金(老齢年金)は、月額64,816円です。[参考5]
厚生年金の受給対象者は、ここに2階建て部分になる老齢厚生年も受給できます。
ただし、上記は満額であり、国民年金の保険料を支払っていない期間があると、受け取れる年金額が減ってしまいます。国民年金を満額受け取るには、20歳から60歳までの40年間の保険料納付が必要です。[参考6]

国民年金の受給資格は、保険料を納付した期間や免除された期間などを含めて合計10年(120ヵ月)の資格期間がある人です。
つまり、資格期間が10年未満の人は、国民年金をまったく受給できなくなります。

参考5:日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について
参考6:厚生労働省「年金を受けとるために必要な期間が10年になりました

障害基礎年金・遺族基礎年金が受け取れない

国民年金に加入していない状態で障害を負ったり、家計の担い手が亡くなったりした場合、障害基礎年金や遺族基礎年金は受け取れない可能性があります。
保険料の支払い状況が以下の条件に当てはまる場合は、障害基礎年金や遺族基礎年金の対象となります。

  • 障害基礎年金:初診日がある月の前々月までの被保険者期間で国民年金納付済期間と免除期間の合計期間が3分の2以上あること[参考7]
  • 遺族基礎年金:死亡日の前日において保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上あること[参考8]

参考7:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
参考8:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)

差し押さえになる可能性もある

厚生労働省の調査によると、令和3年度末における国民年金の未納者(加入しているけれど保険料を支払っていない人)は106万人にのぼります。[参考3]

平成30年の発表では、平成29年11月までに督促を行なった強制徴収対象者のうち、控除後所得額300万円以上かつ未納月数13月以上の方(控除後所得350万円以上である場合は、未納月数7月以上の方)等で保険料が未納付の方37,780人のうち、差し押さえが実施されたのは3,810人でした。19,103人に対しては、継続して財政調査中となっています。[参考9]

つまり、所得が十分にあり、国民年金の保険料を支払える状況にあるのに支払わない場合、財産を差し押さえられる可能性も十分にあるということです。

ただし、いきなり財産が差し押さえられるわけではありません。
まず国民年金の保険料納付の督促状が届き、それに従い納付すれば問題ありません。しかし、その督促を無視して、保険料を納付しないと対象者に財政調査が入り、必要に応じ差し押さえが行われます。

参考9:日本年金機構「「国民年金保険料強制徴収集中取組期間」の結果について

未納や支払いが難しい場合の対処方法

万一、国民年金の保険料が未納の場合や支払いが難しい場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。

納付督促状が届いたらすぐに納付を

国民年金には加入しているが、保険料が未納となっている場合は日本年金機構から納付督促状が届きます。この納付督促状が届いたら、すぐに保険料を納付しましょう。
納付督促状を無視した場合、被保険者の財政状況によっては財産が差し押さえられる可能性があります。

場合によっては免除・猶予申請ができる

どうしても保険料を支払えない場合は、免除や納付猶予の申請が可能です。[参考10]

所得が一定額以下の場合、保険料が全額免除または一部免除となります。学生なら保険料の支払が猶予される「学生納付特例制度」があります。[参考11]
ただ、一部免除されても減額された保険料を納めなかったり、学生納付特例を受けてもその後年金を支払わなかったりすると未納期間となって、最悪国民年金がもらえない可能性がありますので注意しましょう。

50歳未満で、本人と配偶者それぞれの前年所得が一定額以下の場合、保険料納付を猶予してもらうことも可能です。免除期間は全額納めた場合の2分の1に減額された国民年金を受け取れます。
また、国民年金には追納制度もあります。追納とは、未払いになっている期間を遡って保険料を納付することです。追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除等期間となっています。[参考12]

参考10:日本年金機構「20歳になった皆様と世帯主の方へ 国民年金の加入と保険料のご案内
参考11:日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度
参考12:日本年金機構「国民年金保険料の追納制度

国民年金以外の将来の資産を確保する方法

通帳を開く手と電卓

先に述べたとおり、老齢基礎年金の受給額は令和4年4月実績で月額64,816円と、生活するには決して十分な金額ではありません。
そこで、最後に国民年金以外で将来の資産を確保する方法を紹介します。

iDeCo・つみたてNISA

将来の資産を確保する方法として、iDeCoやつみたてNISAがおすすめです。
iDeCoとは、国民年金や厚生年金とは別に、給付を受けられる私的年金制度です。掛金額や投資先の選択など運用指図は加入者本人が行います。
つみたてNISAとは、少額から長期積立できる非課税制度です。通常20.315%かかる税金が、つみたてNISAを利用すると非課税になります。

iDeCoについて詳しくは「【iDeCo】47都道府県、iDeCoを活用しているのはどこ?月々の掛金は?」にて紹介しています。
つみたてNISAについては「【NISA】47都道府県、NISAを活用しているのはどこ?月々の掛金は?」を参考にしてください。

保険の見直しをする

iDeCoやつみたてNISAのほかに、保険の見直しも国民年金以外で将来に備える方法です。
国民年金には障害基礎年金や遺族基礎年金といった保険的要素もありますが、これらは年金形式で支給される仕組みで、一時金として受け取ることはできません。

万一、病気やケガで入院したとき、手術や入院にはまとまったお金が必要になります。公的年金制度にはケースごとに対応できる柔軟性がないため、必要に応じて給付金を受け取れる仕組みとして民間の医療保険や死亡保険を見直すのがおすすめです。

保険の見直しについて詳しくは、「老後生活に備える保険は?不安の少ないセカンドライフにするために」を参考にしてください。

まとめ

国民年金への加入は義務であること、そして加入する意義や未納の場合にどうなるのかを解説しました。
国民年金は制度として確立されており、老齢年金のほかにも障害年金や遺族年金といった年金を受けられます。しかし、国民年金だけではカバーしきれない現状があるのも事実です。

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※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
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【FP紹介文】
大木千夏(おおき ちなつ)
独立系FP、金融ライター。もともとは臨床検査技師として病院に勤務、その後フリーランスライターとして独立した。ライターとして活動するうち、金融業界に興味を持ちAFP取得後、独立して横浜に事務所開設。2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP。