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介護費用は、公的介護保険の保障によって自己負担額を抑えることができます。しかし負担がなくなるわけではなく、1〜3割の自己負担額と利用限度額を超えた分の全額を負担する必要があります。そのため、貯蓄額や利用者の状況によっては、民間の介護保険への加入がおすすめです。
この記事では、介護にかかる費用はいくら必要なのか、公的介護保険だけでなく、民間の介護保険の必要性について解説します。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
介護保険とは?老後の介護費用はいくら必要?
日本では現在、40歳以上の人に介護保険への加入が義務付けられています。
介護保険制度とは、65歳以上または40歳〜64歳までの特定疾患患者を対象とし、介護にかかるサポートをする制度です。
たとえば、在宅介護に必要な支援や介護に必要な住宅改修、福祉用具のレンタル、施設入所におけるサービスなどが含まれます。所得によって自己負担額は1〜3割で設定されるほか、要介護度別に利用できる限度額が決められています。[参考1]
自宅で生活する人を対象とした介護サービス「居宅サービス」では、1カ月あたりの利用限度額が以下のとおりです。[参考2]
要介護度 | 利用限度額 |
要支援1 | 50,030円 |
要支援2 | 104,730円 |
要介護1 | 166,920円 |
要介護2 | 196,160円 |
要介護3 | 269,310円 |
要介護4 | 308,060円 |
要介護5 | 360,650円 |
上記の利用限度額内で介護サービスを利用した場合、1〜3割を自己負担します。ただし、利用限度額を超えた分は全額が自己負担となります。
日本年金機構によると厚生年金を受給する夫婦2人の場合、令和4年4月分からの年金額は約22万円です(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)。生活費と介護費用だけでなく、医療費や家の修繕費など必要になる費用を22万円でまかなうのは厳しくなる可能性もあります。
老後資金にいくら必要なのか、もらえる年金額について詳しくは「老後資金はいくら必要?年金だけだといくら足りない?老後のお金を考えよう」でもご紹介しています。
参考1:厚生労働省「介護保険制度について」
参考2:厚生労働省「サービスにかかる利用料」
介護が必要な状態になると、お金はいくらかかる?
生命保険文化センターの全国実態調査によると、介護に要する費用は1ヵ月あたり平均8.3万円です。1年分に換算すると99.6万円となり、ほぼ年間100万円の介護費用が必要になります。[参考3]
10年では約1,000万円、約20年だと2,000万円が必要になるため、貯蓄が十分ある人以外にとっては大きな負担となる可能性があります。
もちろん、ここに加えて普段の生活費や交際費、住居の修繕費用なども別途かかってきます。
参考3:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」
民間の介護保険とは?
介護保険と聞くと、公的に保障される制度であるため、介護費用の不安はないと誤解する人も少なくありません。しかし、公的介護保険は自己負担額の増額によって、利用者の負担になっているのが現状です。
前述のとおり、介護に要する費用は年間約100万円で、公的介護保険だけでは補えない部分も出てきます。
民間の介護保険はいつから、いくらもらえる?
民間の介護保険は、商品やご契約内容によって支払条件や支払金額などが異なります。
たとえば、フコク生命の特約組立型総合保険「未来のとびら」の特約の一つ、介護終身年金特約<認知症加算型>(あんしんケアダブル)では、要介護2以上と認定された場合や所定の認知症・寝たきりによる要介護状態が継続している場合などに「介護終身年金」を一生涯受け取れます。
特約年金額を100万円に設定した場合、生存している限り毎年100万円の介護終身年金を受け取れます。
さらに、所定の重度認知症と診断されれば、介護終身年金の年金年額を50%を上乗せした額が受け取れます。つまり、特約年金額が100万円の場合、合計150万円を毎年年金として受け取れる仕組みです。
詳しくは、あんしんケアダブルの特設ページをご確認ください。
※あんしんケアダブルは「未来のとびら」の特約の1つです。単独での加入はできません。
公的介護保険と民間の介護保険の違い
公的な介護保険と民間の介護保険は、給付額や給付対象者などが異なります。それぞれの違いを、以下にまとめました。
公的介護保険 | 民間の介護保険 | |
保険金額 | 要介護度や所得による | 自分で設定 |
給付方法 | 現物 | 現金 |
加入 | 強制 | 任意 |
加入対象者 | 40歳以上 | 何歳からでも(保険商品の加入年齢範囲による) |
給付対象者 | 65歳以上の要支援者・要介護者 40歳以上の特定疾病罹患者 | 被保険者および給付金受取人(保険商品、契約内容などによる) |
もっとも大きな違いは、公的介護保険は現物支給なのに対し、民間の介護保険は現金支給であることです。現物支給とは、介護サービスとして提供されることを指します。つまり、公的介護保険は介護に必要なサービスや物は支給されるものの、現金としての支給はありません。
一方、民間の介護保険は現金で支給されるため、保険金は自由に使うことが可能です。
要介護度によっては公的保険でまかなえないサービスがあります。例えば、要介護度によってはおむつが支給されません。介護をしている家族が働いている場合は、公的保険で支給されるサービスのほかにヘルパーさんの増員が必要かもしれません。民間の介護保険は現金支給のため、上記の補填として使えます。
介護を受ける人の状態や、介護をする人の状況などに合わせて自由に選べることも、現金支給の民間介護保険のメリットです。
民間の介護保険は必要?
ここからは、公的介護保険だけでなく、民間の介護保険が必要な人の特徴を解説します。
貯蓄が少ない人
公的介護保険や年金では足りない介護費用額を貯蓄から捻出できる人は民間の介護保険は必要ないでしょう。しかし貯蓄が少ない場合、年間100万円もの介護費用は家計への負担となってしまうため、民間の介護保険でまかなう必要があるのです。
配偶者や家族が近くにいない人
貯蓄が少ない人のほかに、配偶者や家族が自宅付近にいないという人も民間の介護保険に加入しておくと安心です。
いざというときに、介護してくれる人が近くにいない場合はより多くの介護サービスが必要になります。必然的に介護費用は多くなり、自己負担額も増えるため、貯蓄でまかなえないという人は民間の介護保険も検討しましょう。
現金で給付されるため、必要な介護サービスを自由に選べることも魅力です。
介護サービスを積極的に利用する可能性のある人
民間の介護保険が必要なのは、介護サービスを積極的に利用する可能性のある人も同様です。
たとえば持病や身体的事情などがあり、将来介護が必要になる可能性が高いと考えられる人などが該当します。より幅広い介護サービスが必要になる可能性もありますので、民間の介護保険を利用するのがおすすめです。
※保険会社によっては加入の条件が設けられている場合がありますのでご注意ください。
まとめ
介護保険制度では、要介護度や所得に応じて1〜3割の自己負担で介護サービスを受けられます。公的介護保険は基本的に現物支給のため、決められたサービスの中から自分に必要なものを組み合わせて利用することができます。利用限度額も定められており、それを超えた場合は全額自己負担となることもデメリットです。
一方、民間の介護保険は現金で支給されるため、使途は自由です。給付額も自分で設定できるため、足りなくなると予想できる金額を自由に決められます。とくに、貯蓄の少ない人や近くに家族がいない人、将来介護サービスを積極的に利用する可能性がある人は、民間の介護保険への加入を検討しましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
記事提供元:株式会社ぱむ