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マイホームを購入するとき、多くの人は住宅ローンを利用しますが、そこで活用できるのが「住宅ローン控除」です。
住宅ローン控除を利用すれば所得税や住民税の納税額を軽減できますが、制度を利用するには一定の条件を満たす必要があるほか、会社員でも初年度は確定申告を行わなければならないなど、いくつか注意する点があります。
マイホームを手に入れたときにスムーズに手続きできるよう、あらかじめ住宅ローン控除の概要についてしっかり学んでおきましょう。
この記事では、住宅ローン控除の概要や、減税のシミュレーション、確定申告のやり方などについて解説します。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
住宅ローン控除とはどんな制度?
住宅ローン控除は、 住宅ローンを使ってマイホームを購入した人の金利負担を軽減するために設けられた制度です。
住宅ローン控除を利用すると、「毎年末時点の住宅ローン残高」または「住宅の取得対価」のいずれか少ないほうの金額の1%を、最長13年間、所得税の額から控除することができます。
所得税から控除しきれない場合は、住民税からも一部控除される仕組みになっているため、無駄なく節税できるところが大きな特徴です。
住宅ローンを利用すると、住宅ローンの借入額に対して年に数%の金利負担が発生しますが、住宅ローン控除を利用すれば、所得税や住民税の節約という形で、金利負担を軽減することができます。
参考:国土交通省 すまい給付金「住宅ローン減税制度の概要」
住宅ローン控除が適用される主な要件
住宅ローン控除は、住宅ローンを組んだ人すべてが利用できる制度ではなく、一定の要件を満たした場合のみ適用対象となります。
条件は大きく分けて以下6つに分類され、原則としてすべての要件を満たす必要があります。
①自ら居住する物件であること
②床面積が50㎡以上(一部、40㎡以上)であること
③耐震性能を有していること(中古住宅の場合)
④借入金の償還期間が10年以上であること
⑤合計所得金額が3,000万円以下であること
⑥工事費が100万円以上であること(増改築等の場合)
①については、住宅の引渡しあるいは工事完了から6ヵ月以内に自らが居住する新築住宅、中古住宅、あるいは増築リフォームが対象になるということです。
居住の実態は住民票によって確認されるため、セカンドハウスや賃貸用物件などは対象外となります。
②については一部例外として、令和3年1月1日~令和4年12月31日までの間に入居した場合は、40㎡以上が要件となります。
また、40㎡以上50㎡未満の住宅については、合計所得金額が1,000万円以下の年のみ、控除が適用されます。
③は、築年数が一定年数以下であること、または耐震基準適合証明書や既存住宅性能評価書などにより、現行の耐震基準に適合していることが確認された住宅であることが条件となります。
⑤に関しては、合計所得金額が3,000万円を超えた年は同制度を利用して控除を受けることができないので注意が必要です。
参考:国土交通省 すまい給付金「住宅ローン減税制度利用の要件」
住宅ローン控除の適用期間と最大控除額
住宅ローン控除が適用される期間は原則として10年間ですが、取得時に消費税率10%が適用され、かつ令和元年10月1日~令和4年12月31日までに入居した家、または一定の期間内に契約し、令和3年1月1日~令和4年12月31日までの間に入居した場合は、13年間にわたって住宅ローン控除が適用されます。
その場合、1~10年目までの控除額の計算方法は通常の場合と同じですが、11~13年目の3年間は、通常の条件と建物の取得価格の2%÷3のうち、いずれか少ないほうの金額をもとに算出します。
また、住宅ローン控除の利用によって控除できる額には上限が設けられており、平成26年3月までに取得した住宅(①)に関しては200万円、平成26年4月~令和4年12月までに取得した住宅(②)に関しては400万円、13年間の控除期間が適用される住宅(③)の11~13年目に関しては80万円がそれぞれの最大控除額となります。
ただし、新築・未使用の長期優良住宅や低炭素住宅の場合、①は300万円、②は500万円、③は100万円と、それぞれ控除上限額が上がります。
一方、住民税からの控除上限額は、①は9.75万円/年(前年度課税所得×5%)、②・③は13.65万円/年(前年度課税所得×7%)となっています。
参考:国土交通省 すまい給付金「住宅ローン減税制度の概要」
※国土交通省 すまい給付金「住宅ローン減税制度の概要」より引用
※1 平成26年4月以降でも経過措置により5%の消費税率が適用される場合や消費税が非課税とされている中古住宅の個人間売買などは平成26年3月までの措置を適用。
※2 消費税率10%が適用される住宅の取得をした場合。
※3 令和3年1月1日から令和4年12月31日の場合、一定の期間内(注文住宅の新築の場合は令和2年10月1日から令和3年9月30日まで、分譲住宅の取得等の場合は令和2年12月1日から令和3年11月30日まで)に契約していることが要件。一定の期間内の契約ではなく、居住開始が令和4年1月1日以降の場合は、住宅ローン減税は適用されません。
※4 新築・未使用の長期優良住宅、低炭素住宅の場合はそれぞれ3,000万円(※4-1)、5,000万円(※4-2)、100万円(※4-3)。
※5 11年目~13年目は、以下の①②のうちいずれか少ない方の金額が3年間に渡り所得税の額等から控除される。
①住宅ローン残高又は住宅の取得対価(上限4,000万円※4-2)のうちいずれか少ない方の金額の1%
②建物の取得価格(上限4,000万円※4-2)の2%÷3
※6 一定の期間内(注文住宅の新築の場合は令和2年10月1日から令和3年9月30日まで、分譲住宅の取得等の場合は令和2年12月1日から令和3年11月30日まで)に契約した場合は、40㎡以上。
ただし、40㎡以上50㎡未満については、合計所得金額が1,000万円以下の年のみ適用。
いくら減税されるかシミュレーション!
実際に住宅ローン控除を利用するとどのくらい減税されるのか、以下の条件をもとにシミュレーションしてみましょう。
【前提条件】
借入額:3,000万円
借入金利:1%(全期間固定)
返済期間:元利均等返済35年
住宅種別:一般住宅
入居年月:2021年12月
ローン返済開始時期:2022年1月
夫・妻・子2人(5歳、3歳)の4人世帯
夫の年収:500万円
※年収が変わらない前提で計算しています。
妻の年収:なし(専業主婦)
【所得税+住民税の控除額】
年間の控除額 | 控除額合計 (13年間) |
172,800円 | 2,246,400円 |
上記の前提条件の場合、 年間で約17万円、13年間で約225万円の所得税と住民税負担が軽減されることがわかります。
それでは、他の条件が同じで年収だけが異なる場合、控除額はいくらになるのでしょうか。
【年収別:所得税+住民税の控除額】
年収 | 初年度の控除額 | 控除額合計 (13年間) |
300万円 | 12,000円 | 156,000円 |
400万円 | 88,000円 | 1,154,400円 |
500万円 | 172,800円 | 2,246,400円 |
600万円 | 253,000円 | 3,063,500円 |
700万円 | 253,000円 | 3,191,500円 |
800万円 | 292,800円 | 3,191,500円 |
900万円 | 292,800円 | 3,191,500円 |
1,000万円 | 292,800円 | 3,191,500円 |
年収による控除額の違いは上記の通りです。
年収700万円以上では、もともとの所得税や住民税の額が控除額の上限を上回るため、初年度控除額や控除額合計が同じ金額となります。
出典:国土交通省 すまい給付金「すまい給付金シミュレーション」
住宅ローン控除を受けるための確定申告はどうやればいい?
会社員の方は勤め先で年末調整が行われるため、本来であれば確定申告を行う必要はありません。
ただし、住宅ローン控除を受ける場合は、初年度のみ、自分で確定申告を行う必要があります。
確定申告は住宅を取得した翌年の2月16日~3月15日の間に行わなければなりませんので、それまでに必要な書類などをしっかり準備しておきましょう。
ここでは、住宅ローン控除を受けるための手順や、必要な書類、確定申告の書き方について解説します。
確定申告に必要な書類
住宅ローン控除を受けるための確定申告に必要な書類には、以下のようなものがあります。(一例)
①確定申告書
②源泉徴収票
③マイナンバーが記載されている書類の写し
④住宅借入金等特別控除額の計算明細書
⑤住宅取得資金にかかる借入金の年末残高等証明書
⑥建物・土地の登記事項証明書
⑦建物・土地の売買契約書、請負契約書の写し
⑧特例要件を証明する書類
①には会社員の方が使用するAと、自営業の方が使用するBがあります。
自分の職業に合った書類を税務署で手に入れるか、国税庁のHPなどからダウンロード&プリントアウトして作成しましょう。
②は会社員の方が勤務先から発行される書類で、給与や源泉徴収額などが記載されています。
③はマイナンバーカード、または通知カードのコピーを提出します。
④は住宅ローン控除を受けるための申込書のようなものです。
住宅の取得価格や面積、住宅ローンの年末残高などを記載します。
⑤は年末時点の住宅ローン残高を記載した書類のことで、通常は住宅ローンを利用している金融機関から送付されます。
⑥は取得した土地・建物の契約内容を記した書類のことで、土地を管理している法務局の窓口か、あるいはオンライン申請で交付してもらいます。
⑦は住宅を取得したことを証明する契約書のことで、土地の売買契約書や建物の工事請負契約書などをコピーして提出します。
⑧は耐震改修や認定長期優良住宅などを証明するための書類で、該当する住宅を取得した場合は耐震基準適合証明書や、住宅性能評価書などのコピーを提出します。
住宅ローン控除を受けるための確定申告の手順と、確定申告書の書き方
確定申告の手順はシンプルで、上記で紹介した必要書類を管轄の税務署に提出または郵送するだけです。
会社員の場合、すでに給与から所得税が差し引かれていますので、住宅ローン控除の利用で所得控除を受けられた場合、確定申告書に記載した口座あてに還付金が振り込まれます。
一方、自営業やフリーランスの方は、確定申告によって納めるべき所得税が決まりますので、事業所得から住宅ローン控除額を差し引いて、課税所得および所得税を算出することになります。
確定申告書の書き方については、上で紹介した②~⑧の書類をもとに、必要事項を埋めていくだけでOKです。
わからないことがあったら管轄の税務署に問い合わせれば詳しい書き方を教えてもらえますし、国税庁の確定申告書作成コーナーを利用すれば、あらかじめ記入すべき項目が表示されますので、迷わずに作成できるでしょう。
会社員で確定申告を行う方は「会社員でも自分で確定申告をする必要がある場合・したほうがトクする場合を解説!」も合わせて参考にしてみてください。
ローン控除のポイントと注意点を知っておこう
住宅ローン控除を利用するにあたり、知っておきたい知識と注意点を5つのポイントにわけて説明します。
1.住宅ローン借り換えでも控除が受けられる
住宅ローン控除は、 途中で借り入れする金融機関を変更した場合でも、継続して受けることが可能です。
ただ、前提条件として「新しい住宅ローンの返済期間が10年以上であること」「借り換えの目的が当初の住宅ローンの返済のためなのが明らかであること」を満たす必要がありますので、借り換えにあたって条件を逸脱することがないかどうか注意しましょう。
参考:国税庁「No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき」
2.初年度は必ず確定申告が必要
住宅ローン控除を受ける場合、普段会社で年末調整をするサラリーマンであっても、初年度は必ず確定申告を行うことになります。
2年目以降は会社の年末調整で控除できますが、1年目は確定申告が行われている期間中に、必ず手続きを済ませるようにしましょう。
3.ふるさと納税との併用について
生まれ故郷や応援したい自治体に任意の金額を寄付できる「ふるさと納税」は、寄付金のうち2,000円を超える部分について、所得税の還付および住民税の控除を受けられる制度です。
所得税や住民税の節税につながる魅力的な制度であり、住宅ローン控除との併用も可能ですが、うまく併用しないと、それぞれの節税効果が減ってしまいます。
例えば会社員の場合、「その年の給与+賞与」から「一定額の給与所得控除」と「所得控除額」が差し引かれたあとの「課税所得金額」に所定の所得税率を掛け、そこからさらに「税額控除」を差し引いた額が所得税額となります。
ふるさと納税は「所得控除」の一種である寄附金控除、住宅ローン控除は「税額控除」に該当します。
住宅ローン控除を適用させるために確定申告をする場合、ふるさと納税による寄附金控除の申告も同時に必要となります。順番として先にふるさと納税による所得控除が適用されてから、住宅ローン控除の適用となるため、住宅ローン控除が満額適用されなくなる可能性があることが注意点です。
住宅ローン控除適用2年目以降は確定申告が不要となり、ふるさと納税においても簡単な手続きのみで確定申告なしに翌年の住民税の負担が軽減される「ワンストップ特例」を使用することができます。
4.繰上げ返済すると損?
住宅ローン控除によって控除できる金額は、基本的に年末のローン残高×1%ですので、繰上げ返済によってローン残高が減ってしまうと、必然的に控除額も減少してしまいます。
そのため、住宅ローン控除を受けられる期間中に繰上げ返済するのは損では?と思われがちですが、繰上げ返済によってローン残高が減ると、住宅ローンの金利負担そのものの減少につながります。
住宅ローンの金利が高ければ高いほど、繰上げ返済してローン残高を減らした方がトータルの負担を軽減できる可能性があります。
また、住宅ローン控除には上限が設けられていますので、控除を使ってもなお納税すべき所得税や住民税が残る場合は、繰上げ返済して金利負担を軽減したほうが良いでしょう。
5.共働き世帯は、夫婦それぞれ控除を受けられる
住宅ローン控除は、ローン契約者が単独で利用できる制度ですので、共働きの夫婦がペアローンで住宅を購入した場合、夫と妻それぞれが住宅ローン控除を受けることができます。
住宅ローン控除の利用条件もまったく同じなので、夫または妻のいずれか一方だけでローンを組むよりも、控除額が大きくなることもあります。
ただ、夫婦それぞれでローンを組むと、ローン2本分の事務手数料や印紙税、保証料などの諸費用も発生します。
もし節税目的でペアローンを検討する場合は、諸費用と今後10年間(または13年間)で受けられる住宅ローン控除額を比較し、どちらの金額が大きくなるか下調べしておくことが大切です。
まとめ
住宅ローン控除を利用すると、年末のローン残高×1%にあたる金額を所得税や住民税から控除することができます。
住宅ローン控除は新築、中古住宅、増改築等のいずれでも利用可能ですが、所定の要件を満たしている必要がありますので、住宅の取得やリフォームにともなって住宅ローンを組んだ場合は、控除を利用できるかどうかしっかり確かめてみましょう。
なお、住宅ローン控除を利用するには、会社員の方でも初年度は確定申告が必要です。
確定申告そのものの手続きはシンプルですが、いろいろな書類を用意しなければなりませんので、住宅ローン控除の適用対象であることがわかったら、早めに書類を用意しておくことをおすすめします。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
記事提供元:株式会社ぱむ