奨学金の残りの返済額・回数を確認するには?手順や返還が苦しいときの対処法

奨学金の残りの返済額・回数を確認するには?手順や返還が苦しいときの対処法

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奨学金の「残り」が気になっても、何を確認すれば良いのか分かりにくいものです。借入残高、残りの返済回数、在学中の貸与残額は似ているようで意味が異なります。

この記事では、奨学金の残りとして確認すべき項目を整理した上で、具体的な確認方法や繰上返還の手続き、さらに返済が難しくなった場合の対処法まで解説します

なお、本記事では利用者がもっとも多い「独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)」を例に解説します。詳細は、利用している奨学金の機関(JASSO、自治体、企業など)へ問い合わせください。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

奨学金の「残り」とは?確認できる3つの項目

奨学金の「残り」を確認するといっても、借入者の状況によって、意味が異なります。
具体的には、すでに奨学金の利用を終えて返済中の方(社会人)であれば「残りの元金がいくらなのか」もしくは、「残りの返済回数は何回なのか」でしょう。

また、現在奨学金を利用している学生であれば「利用できる奨学金の残りがいくらあるのか」といった場合も考えられます。

以下では、それぞれの「残り」についての定義を紹介します

1.借入残高(社会人向け①これから返済すべき金額)

借入残高とは、貸与が終わり、返還が始まった奨学金について、現時点でまだ返済していない金額を指します。

返還中の人が「あといくら返せば完済になるのか」を把握するための基本的な数字です。
なお、実際の負担感をつかむには元金だけでなく、利子も含めて確認することが重要です。

2.残りの返済回数(社会人向け② いつまで返すのか)

残りの返済回数とは、返還中の奨学金について、あと何回の支払いが残っているかを示すものです。
金額だけでは見えにくい「返済がいつ終わるのか」という時間の感覚を、回数という形で具体的に示す指標といえます。

3. 奨学金をあといくら受け取れるのか(学生向け 今後貸与される予定額)

在学中の場合、「残りの金額」は「まだ返していない額」ではなく、「これから貸与される予定額」のことを指します。

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)を利用している方なら、スカラネット・パーソナルで「貸与総額(予定)」から「貸与済額」を差し引いて算出できます。
スカラネット・パーソナルとは、現在、奨学金を貸与・給付・返還中の方が、ご自身の奨学金に関する情報を閲覧および各種手続ができるシステムです。

奨学金の残りを確認する前に準備しておきたいもの

奨学金の残りを確認するために準備しておくものとして、どのようなものがあるのかについて以下では紹介します

主に手元に用意しておくべき情報として、以下のものがあります。

  • 奨学金の利用者番号(あれば)
  • 氏名・生年月日などの本人確認情報
  • 過去の関連書類(通知・明細など)

JASSOを利用している方なら、以下の2点が重要です。

  • 奨学生番号
    JASSOでは、電話で問い合わせをする際に奨学生番号がわかるものが必須です。また、スカラネット・パーソナルの登録やログインにも必要になります。
    もし、奨学生番号を忘れてしまった場合は、奨学金相談センターに問い合わせてください。電話番号は、0570-666-301(ナビダイヤル)です。
  • ユーザID・パスワード
    スカラネット・パーソナルのユーザID・パスワードも必要です。

奨学金は残りいくらなのか確認する方法

ここからは、実際に奨学金が残りいくらなのかを確認する方法について紹介します
残りがいくらあるのかを確認する方法は次の3通りです。[参考1]

  • Webサイト(JASSOならスカラネット・パーソナル)で確認する
  • 電話(JASSOなら奨学金相談センター)で問い合わせて確認する
  • 奨学金返還証明書を発行して確認する

この章では、JASSOを利用している方に向けて、手順を紹介します。

参考1:奨学金相談センター「現在の返還残額を確認したい

1.Webサイト(スカラネット・パーソナル)で確認する

スマートフォンやパソコンから手軽に確認できるメインの方法として、JASSOのWebサイト(スカラネット・パーソナル)で確認します。

あらかじめ登録している「ユーザID」「パスワード」「奨学生番号」を入力することで奨学生番号ごとの返済情報にて残りの金額が確認できます。

スカラネット・パーソナルで確認するためには、スカラネット・パーソナルにご自身の情報(氏名、生年月日、振込口座番号、奨学生番号など)登録しておくことが必要です。[参考2]

参考2:独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「登録方法

2.電話(奨学金相談センター)で問い合わせて確認する

Web操作が苦手な方や、すぐ情報が欲しい方向けに電話で問い合わせる方法があります。
JASSOの返還に関する問い合わせ先は、奨学金相談センターです。

電話番号は0570-666-301(ナビダイヤル)、海外からの電話や一部IP電話などは03-6743-6100です。
受付曜日・時間は、月曜~金曜の9時00分~20時00分です。
なお、土日祝日・年末年始(12月29日~1月3日)は受け付けていないので注意しましょう。[参考3]

また問い合わせの際には、奨学生番号がわかるものを用意してください。

参考3:独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「お問い合わせ先

3.奨学金返還証明書を発行して確認する

奨学金は残りいくらなのか確認する方法として、奨学金返還証明書の発行があります。借りている(借りていた)機関に発行を依頼します。

主に記載されている項目は以下の通りです。[参考4]

  • 貸与総額
  • 返還総額
  • 割賦方法
  • 年利率
  • 割賦金
  • 最終回割賦
  • 返還回数
  • 残回数
  • 現在の残額(内訳:元金、利息)
  • 返還残期間
  • 備考

奨学金返還証明書は、返還残額を第三者に示す必要がある場合に取得するのが一般的です。特に住宅ローンの申込時には、返還状況を確認する書類として提出を求められることがあります。

住宅ローンの審査で奨学金の証明書が求められるのは、金融機関が申込者の返済能力を正確に確認するためです。

住宅ローンの審査では、年収に対して年間借入返済額がどの程度の割合であるのか、つまり返済比率がどのくらいかをチェックします。奨学金と住宅ローンの年間返済金額の割合が、金融機関の審査基準に合致しているのかを審査します。

奨学金返還証明書の発行方法は、奨学金を借りた機関に問い合わせてみてください。

参考4:独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「奨学金返還証明書 見本

奨学金を早く返す「繰上返還」のやり方・メリット

奨学金の「繰上返還」を検討している人もいるでしょう。
ここでは、「繰上返還」のやり方やメリットについて解説します

1.繰上返還のやり方

奨学金を予定より早く返したい場合は、繰上返還を利用できます。
繰上返還とは、返還期日がまだ来ていない割賦金を前倒しで返済することです。

ここからは、JASSOを利用している方へ向けて説明します。
JASSOの繰上返還には2つの種類があります。

  • 一括返還:奨学金の残債を一度に完済する方法
  • 一部繰上返済:残債の一部を返済する方法

繰上返還の方法は、インターネット(スカラネット・パーソナル)からおこない、利用できない場合は郵送で申し込む流れになります。

スカラネット・パーソナルでの手続き

スカラネット・パーソナルでの手続きは以下の通りです。[参考5]

  1. スカラネット・パーソナルにログイン
  2. 各種手続タブを選択
  3. ワンタイムパスワードを取得
  4. 「各種手続」にログインし、「6.減額返還願」を選択
  5. 「奨学金減額返還願 誓約」で「奨学生番号」「氏名」を確認
  6. 「奨学金減額返還願 同意確認」で同意事項を確認
  7. 「インターネット提出可否判定」で「インターネット提出」を選択
  8. 「願出事由」を選択し、「奨学金減額返還願 内容入力」で減額返還方法・減額返還期間・願出事由を確認し、送信
  9. おおむね願出から2週間後に願出審査の可否判定がスカラネット・パーソナルの「内容詳細画面」に表示

郵送での手続き

郵送での手続きは以下の通りです。[参考5]

  1. 「繰上返還申込書」に必要事項を記入し、郵送します。なお、「繰上返還申込書」は、JASSOの公式サイトからダウンロードします。
  2. 口座振替(リレー口座)加入が済んでいる場合は、口座振替での返還です。繰上返還希望月の中旬頃に「繰上返還通知」を送付します。
    口座振替加入が済んでいない場合は、払込取扱票での返還となります。繰上返還希望月の中旬頃に、「払込取扱票」が送付され、ゆうちょ銀行またはコンビニエンスストアで払込みをおこないます。

参考5:独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「繰上返還申込み

2.繰上返還のメリット

ボーナス時などにお金に余裕ができた場合、少しでも返済して今後の返済を楽にしたいと考える方もいるかもしれません。
繰上返還をすることで、得られるメリットは次の4点です。

  • 返還期間を短縮できる
    完済までの期間を短くすることが可能な点が繰上返還のメリットです。今後のライフイベントを考えるときにも見通しが立てやすくなります。
    JASSOの繰上返還は返済期間短縮型のため、毎月の返還額は基本的に変わりませんが、前倒しで返した分だけ将来の返還回数が減ります。
  • 利子負担を抑えられる
    有利子の奨学金を利用している場合、繰上返還には総返還額を抑えられるメリットがあります。
    全額または一部を繰上返還した場合、繰上返還した分の期間にかかる利子がかかりません。つまり、予定どおり返済するよりも、早めに元本を減らしたほうが、その先に発生するはずだった利子を支払わずに済みます。
    JASSOの奨学金には、利子の付かない第一種奨学金と、利子の付く第二種奨学金があります。利息は元本に対して付くので、繰上返還をすることで利息が軽減できます。
  • 将来の家計に余裕を持たせやすい
    繰上返還をすると、奨学金の返還が終わる時期を前倒しできます。結果として、将来の家計から毎月固定で出ていくお金を抑えられ、今後の貯蓄や投資、教育費や住居費などほかの資金計画を立てやすくなります。
  • 機関保証を利用している場合は保証料の一部が戻る可能性がある
    機関保証(保証人の代わりに機関が保証する制度)で奨学金を借りている人は、繰上返還で返還期間が短くなると、条件に応じて保証料の一部が戻る場合があります。

奨学金を滞納・返済困難な場合の対処法

奨学金の返済をおこなっている方のなかには、さまざまな理由により今後の返済が厳しいと不安に思われている方がいるかもしれません。

返済が困難となったら、まずは奨学金を貸与した機関に相談をしてみてください。黙って長期間滞納してしまうと、信用情報に影響がおよぶかもしれません。住宅ローンが組めない、クレジットカードを作れないといった困ったことが起きる可能性があります。
そうなる前に、減額や猶予の制度があるかどうか、利用している機関へ早めに相談することが大切です。

JASSOでは、このような方のために、返済の負担を軽減できる制度として、月々の負担を減らす「減額返還制度」および、一時的に返済を止める「返還期限猶予」が設けられています。
なお、どちらの制度もあくまで「待ってもらう」制度であって、元金および第二種奨学金の利子が免除されるわけではない点に注意が必要です。

以下、JASSOを例に解説します

1.月々の負担を減らす「減額返還制度」

当初契約で定めた毎月の返還金額を減額し、その分返済期間を延ばすことが可能な「減額返還制度」があります。

減額返還制度は、災害や傷病あるいは経済的事情などにより、当初約束した返還月額では厳しいものの、金額を下げれば返還を続けられる方が対象です。

JASSOでは、1回あたりの返還月額を「3分の2」「2分の1」「3分の1」または「4分の1」のいずれかに減額でき、その分だけ返還期間を延長する仕組みとなっています。

1回の願出で適用される期間は12ヵ月までで、再度願い出れば延長でき、通算では15年(180ヵ月)が上限となっています。

減額返還制度が利用できる方は以下の通り、所得において制限があります。[参考6]

 扶養している子どもの人数
2人3人以上
給与所得の方 (年間収入金額)400万円以下500万円以下600万円以下
給与所得以外の所得のある方 (年間所得金額)300万円以下400万円以下500万円以下

参考6:独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「月々の返還額を少なくする(減額返還制度)

2.一時的に返済を止める「返還期限猶予」

減額返還の継続も困難で、一定期間返還期限の延期を希望する方には「返還期限猶予制度」が利用できます。

返還期限猶予は、災害・傷病・経済困難・失業などにより返還が難しくなったときに、一定期間返還そのものを待ってもらう制度です。

返還期限猶予を利用できる方も、減額返還制度と同様、以下のように所得において制限があります。[参考6]

給与所得の方 (年間収入金額)300万円以下
給与所得以外の 所得のある方 (年間所得金額)200万円以下

JASSOでは、審査により承認された期間中は返還の必要がなくなり、その後に返還が再開されるため、返還終了時期も先送りされます。

まとめ

奨学金の「残り」を把握する際は、借入残高、残り返済回数、貸与残額の違いを正しく理解することが大切です。その上で、Web照会や電話、返還証明書の発行などによって残りの金額を確認すれば、今後の返済や生活設計を立てやすくなります。

ボーナスなどの余裕資金がある場合は、繰上返還も可能です。繰上返還をすることにより、返済期間の短縮や利子負担の軽減が見込まれます。

一方で災害や傷病あるいは経済的事情により返済が厳しいときには、滞納してしまう前に、減額返還制度や返還期限猶予などの制度の活用を検討しましょう。黙って滞納すると、将来クレジットカードが作れなくなる恐れや、住宅ローンの審査に影響がおよぶ可能性があります。そうなる前に早めに貸与機関に相談をしてください。
いずれの場合も、現状に見合った選択が大切です。

奨学金の返済は長期にわたります。経済状況やライフスタイルを踏まえて、無理のない返済を心がけましょう

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

宮本 建一(みやもと けんいち)
マネーライター。銀行・消費者金融・信用組合の勤務を経て独立。融資経験・FPの知見を生かし、各種サイトで主に資金調達、不動産関連記事の執筆を行う。金融専門誌への寄稿、金融機関行職員向けの通信講座教材執筆経験あり。2級ファイナンシャルプランニング技能士、AFP。

記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ

~47Life編集部より~
進学のために奨学金を利用している方は、決して少なくありません。
社会人になると返済が始まりますが、その返済は、これから進学する学生の奨学金として活用されています。
「自分が返したお金が、次の誰かの学びにつながっている」
そんな仕組みになっていることも、あわせて知っておきたいポイントです。