老後に移住するならどこがいい?人気の地域や物価を紹介!

老後に移住するならどこがいい?人気の地域や物価を紹介!

人生100年時代と言われる現代では、老後生活を送る期間が長く、地方や海外でのんびり過ごしたいと考える方も多いのではないでしょうか。

この記事では、日本国内で老後移住に人気の場所とその特徴を、利便性とお金という側面から紹介していきます。また、移住するときに気を付けたいポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

国内で人気の移住先は「地方都市」

平成27年度に内閣府が発表した「国土形成計画の推進に関する世論調査」によると、老後に移住を希望している60歳~69歳が回答した「移住してみたい場所」の上位は、地方都市が60.0%、農山漁村地域が27.5%、海外移住が7.5%、大都市部が5.0%となっており、地方都市の人気が高いことがわかります。

ここでは、移住人気の高い都市とその理由を紹介していきます。

沖縄県

沖縄県への移住を希望する理由の圧倒的1位は、「気候や自然環境に恵まれたところに住みたいから」です。

沖縄県は1年中比較的暖かく、海に囲まれ、国内トップレベルの水質を誇るビーチも多数存在し、のんびりした雰囲気が人気です。

北海道

北海道には広大な自然や海や山の景色が身近にあり、沖縄県に勝るとも劣らない自然環境です。しかし気候という点では、寒さが厳しい、雪が多いなど、老後に生活するには少し厳しい環境というイメージがあります。

沖縄県や北海道の人気が高い理由として、気候や自然環境が挙げられますが、それだけではありません。「自然環境に魅力を感じるが、利便性も欲しい」という方には、那覇市や札幌市といった大きな都市もおすすめです。

東京都

東京都は公共交通機関が発達しており、目的地間の移動は車を使わなくても比較的容易です。医療施設や介護施設、商業施設なども隣接しており、物価や地価は高水準ですが、生活していくうえで不自由することはない場所です。

移住先を決めるときに気を付けたいポイント4つ

旅行で一時的に滞在することと、移住してその場所で生活することでは、注意するポイントが異なります。

ここでは、長期的に過ごす移住だからこそ注意すべきポイントを紹介します。

物価

移住は、旅行と違って日常生活を送ることになるため、食料品や水道光熱費など生活費の相場にも気を付けて移住先を検討する必要があります。

総務省の「平成28年度小売物価統計調査」によると、食料品の物価水準が最も高いのは沖縄県です。

食料支出の全国平均を100.0とすると、沖縄県は103.5。東京都の103.1を上回る数値です。そこには、県外からの輸送コストがかかるなど離島ならではの要因があります。

また、北海道でも特有の事情があり、冬場の寒さから、光熱費の支出が全国平均を上回ります。

このように、物価には各都道府県特有の事情があります。

移住してから気が付くことのないよう、事前に詳しく調べておくことをおすすめします。

不動産価格

生活必需品の物価だけでなく、不動産価格にも注意が必要です。

交通機関が発達しているなど利便性が高い土地は住みやすいですが、地価も高い傾向にあります。

もし不動産の購入を検討しているのであれば、住みたい場所によっては大きなお金が必要になるので、早めに準備をする必要があります。

交通機関

内閣府の「国土形成計画の推進に関する世論調査(平成27年度)」によると、「自宅と生活サービス施設が集まった場所を行き来する際に利用する交通手段等」のアンケート結果の第1位は自家用車です。

しかし、第2位はバス、第3位は鉄道(地下鉄、路面電車を含む)となっており、公共交通機関も重視していることがわかります。

将来的な免許返納などの可能性も含めて、充実した公共交通機関も移住先の条件として検討していく必要があるでしょう。

利便性

同調査において、居住する地域を選ぶ上で重視する条件の第1位が「治安のよいところ」です。第2位は「病院や介護施設などが整っていること」で、将来的に体力が衰え移動範囲が狭くなることも考えて、近隣に便利な商業施設や医療機関、介護施設があることを重視する傾向があるようです。

70歳を過ぎると特にその傾向は強くなり、地方都市部と海外への移住希望は激減して、大都市部のニーズが急激に高まります。

地方移住でのんびり過ごしていたものの、年を重ねるにつれ都心の便利な環境の必要性を考え始めることが多いことがわかります。

地方都市でおすすめの移住先は?

加齢に伴って利便性の重要度が高まることを考えると、長期的には大都市部がいいことがわかります。

しかし、大都市部は物価、家賃、地価いずれも高い傾向があり、特に東京都や大阪府、神奈川県などは顕著です。

生活費が年金収入を上回り、貯蓄を取り崩す生活をしているような場合は、これらの大都市部での生活が毎月の家計の赤字に拍車をかけてしまうかもしれません。

そこでおすすめしたいのは、関東・関西の大都市を除く地方都市への移住です。利便性を考えると、人口が100万人を超える規模の都市が良いでしょう。

各自治体の人口統計によると、人口が100万人を超える代表的な都市は札幌市や福岡市、仙台市などです。

例えば北海道は雪が多く、光熱費は全国からみても高いというデメリットがあるのは前述しました。しかし、札幌市内は交通機関が充実しており、医療機関や介護施設も多く存在します。光熱費以外の物価は安く、高速バスなども活用すれば、帯広や函館、富良野、知床、稚内などの有名な観光地の大自然を楽しむことができます。

自然環境と利便性を兼ね備えており、人口100万人を超える規模の地方都市が、移住先としておすすめです。

移住は計画的に!

自身がもらえる年金の受給額を見据えて、「物価の安いところに引っ越すのか」、「どんな家に住みたいのか」などの希望も踏まえ、早いうちにお金の計画を立てるようにしましょう。いずれは大都市部に住むということであれば、老後に必要な金額は多めに用意する必要があります。

移住先として、60代には地方移住が人気で、海外への移住という選択肢を検討している方もいます。

しかし年を重ねるとともに、都市部の充実した交通機関や、医療施設・介護施設が近いことの重要度が高まってきます。将来的に大都市圏に住む必要性が出てくることも視野に余裕を持ったライフプランを考え、資金を用意するために、私的年金の準備も早めにスタートしましょう。

私的年金については、「わたしが老後にもらえる年金はいくら?平均は?」で紹介していますので、ぜひこちらも参考にしてください。

まとめ

60代以降の方が老後に住みたいと思う移住先の条件として、自然に恵まれた環境や、発達した交通機関、医療機関や介護施設、商業施設などが近いといった利便性の高さが重視されます。

70歳を過ぎると、大都市部への移住のニーズがさらに高まる傾向があります。しかし、利便性が高い大都市部は物価や不動産価格が高い傾向があるため、将来的に大都市部への移住を検討する場合は、大きな資金の準備が必要です。

大きな資金を準備するためには、早い段階から将来受け取れる年金額を把握し、足りない場合は私的年金も取り入れていくことをおすすめします。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

【執筆者】
ファイナンシャルプランナー
金子 賢司(かねこ けんじ)

個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務めるファイナンシャルプランナー。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。CFP、日本FP協会幹事。