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ボーナスは、一般的に年に2回、会社から支給される報酬ですが、いつごろどれくらい支給されているのかについて詳しくわかっている人は案外少ないかもしれません。
本記事では、ボーナスはいつもらえるのかや、ボーナスの平均金額、決定方法、手取り額の計算方法についても紹介します。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
ボーナス(賞与)とは
ボーナスとは、基本給とは別に企業から支給される特別な報酬のことを指します。夏と冬の年2回支給されることが一般的で、企業の業績や、個人の評価に応じて金額が決まります。給与と違い、ボーナスは必ず支給されるものではありません。ボーナスは、社員のモチベーション向上や成果への報酬としての側面を持っています。また、ボーナスと似た言葉として、「賞与」があります。
国税庁によると、賞与を以下のように定義しています。[参考1]
所得税法第183条第2項に規定する賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するものをいう。
すなわち、ボーナスは賞与と同じ意味で使われています。
参考1:国税庁「法第183条《源泉徴収義務》関係」
ボーナスが支給されるタイミングはいつ?
ボーナスが支給されるタイミングとしては、夏と冬の年2回あるのが一般的です。
民間企業・国家公務員、それぞれ何月ごろに支給されるのかについて紹介します。
1.民間企業の場合は企業によってさまざま
民間企業におけるボーナスの支給時期は、会社ごとの就業規則などによって異なります。一般的には、夏(6月~7月)と冬(12月)が多いとされています。ただし、支給月が8月や1月などのケースもあるため、必ずしも一律ではありません。また、年1回のみの支給や、業績に応じて不定期に支給される企業もあります。
さらに、正社員だけでなく契約社員やパートにも支給されることがあります。ボーナス支給の可否や金額は、雇用契約によって決まるのが一般的です。支給の有無や時期を確認するには、雇用契約書や就業規則をチェックしておくことが重要です。
2.国家公務員の場合は支給時期が定められている
民間企業と異なり、国家公務員の場合、人事院規則により、6月30日と12月10日の年2回、法律により定められています。 [参考2]
国家公務員の場合、在職期間に応じて一律支給されるものを「期末手当」、勤務成績に応じて支給される報酬を「勤勉手当」とよびます。期末手当・勤勉手当を合算したものがボーナスで、人事院勧告を通じて金額が決定されます。
参考2:e-Gov 法令検索「人事院規則九―四〇(期末手当及び勤勉手当)」
ボーナスの平均支給額
厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等」によると、民間企業を中心とした2024年の冬のボーナス(年末賞与)の平均支給額は413,277円で、前年同期比で2.5%の増加となりました。
主な産業では、製造業が5.6%、卸売業・小売業は2.2%のそれぞれ増加となっています。また、医療・福祉においては、8.8%の大幅増加となっています。 [参考3]
参考3:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等」
ボーナスの支給額はどのように決められているのか
ボーナスの支給額を決める方法として、次の3つの種類があります。
- 基本給連動型
- 業績連動型
- 決算賞与
それぞれ算出方法が異なるので、順を追って紹介します。
1.基本給連動型の場合
基本給連動型とは、基本給の2ヵ月分など、基本給に連動して支給額が計算されるボーナスのことです。例えば、基本給が30万円で、ボーナスが基本給の2ヵ月分と設定されている場合、支給額は60万円となります。
基本給連動型では、基本給が上がると、ボーナスも比例して増加するシステムです。多くの企業が採用しており、より長く勤めた従業員が高額になりやすい傾向があります。
2.業績連動型の場合
業績連動型とは、企業や部門、あるいは個人の業績に応じて支給額が変動するボーナスのことをいいます。業績が上がれば、ボーナスも増え、逆に業績が芳しくない場合にはボーナスは微増や横ばい、あるいは減額といったケースが発生します。
従業員にとっては、より高い業績を目指すモチベーションの向上につながりやすい一方、目標が高すぎたり、評価が不透明であったりすると、不満や不信感を招く恐れもあります。
3.決算賞与の場合
決算賞与とは、企業の会計年度末の業績が良好だった場合に、通常の賞与とは別に、従業員へ支給される特別なボーナスです。決算賞与は、業績に応じた利益の還元を目的としており、支給の有無や金額は、通常会社の経営判断によって決定されます。
決算賞与には法的な支給義務はなく、毎年必ず支給されるものではないため、就業規則には明記されないことが多いです。また、税務上の取り扱いも通常の賞与と異なり、一定の条件を満たすことで経費として処理できます。業績好調時のインセンティブとして活用される制度といえます。
ボーナスは必ずしも支給されるものではない?
労働基準法では、給与の支払いが義務付けられています。一方でボーナスは、企業が従業員に必ず支給する義務はありません。そのため、ボーナスの支給の有無や金額、時期などは就業規則や雇用契約に基づいて、会社が判断します。
民間企業では、業績や経営状況に応じて支給額が増減したり、支給されなかったりする年もあるのが現実です。ボーナスを支給するかどうかは任意であり、定期的に支給されている場合でも、それが将来も続く保証はありません。
年俸制の企業の場合、ボーナスの扱いは会社ごとに異なります。一般的に年俸制では、1年間の報酬総額があらかじめ決まっており、その中にボーナス分が含まれているケースが多いです。年俸を16分割(12ヵ月の給与+年2回のボーナス)などして支給され、形式上「ボーナス」として受け取ることもあります。
一方、公務員のボーナスは、国家公務員の場合は「人事院勧告」に、地方公務員の場合は各自治体の「人事委員会勧告」に基づいて法律または条例で規定され、その額は民間企業の支給状況を参考に定められます。支給時期や回数も法律や条例で明確に規定されているため、民間企業とは異なり確実に支給される仕組みとなっています。
ボーナスは所得税や社会保険料などが引かれた金額が支給される

ボーナスの手取り金額は、支給金額から、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の合算)および所得税が差し引かれた金額です。ここでは、ボーナス支給額から差し引かれるものについて、ボーナス手取り額の例とあわせて解説します。
1.健康保険料
健康保険料も、ボーナスから差し引かれます。健康保険の運営主体として、全国健康保険協会(協会けんぽ)と健康保険組合(健保組合)があります。協会けんぽでは、都道府県ごとに保険料率が異なるので注意しましょう。
例えば、協会けんぽ東京支部の場合、介護保険第2号被保険者に該当しない場合は9.91%、該当する場合は11.5%です。
健康保険料は会社と従業員が折半するので、以下の計算式で算出します。
健康保険料=標準賞与額×健康保険料率÷2
標準賞与額とは、社会保険料などが控除される前のボーナス支給額の1,000円未満を切り捨てた金額です。
2.厚生年金保険料
厚生年金保険料もボーナスから控除されます。厚生年金保険料の算出式は以下の通りです。
厚生年金保険料=標準賞与額×厚生年金保険料率÷2
2025年4月現在、厚生年金保険料率は18.3%です。健康保険と同様、会社と従業員が折半するので、従業員が控除されるのは9.15%です。[参考4 ]
例えば、標準賞与額が50万円の場合、控除される厚生年金保険料は次の通りです。
50万円×18.3%÷2=45,750円(従業員負担分)
つまりボーナスが50万円の場合、厚生年金保険料が約4.6万円差し引かれます。
参考4:協会けんぽ「令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)」
3.雇用保険料
雇用保険料も、ボーナスから差し引かれます。雇用保険料率は業種によって異なり、2025年度は、一般の事業で0.55%、農林水産・清酒製造事業・建設業で0.65%です。 [参考5]
雇用保険料は、以下の計算式で算出されます。
雇用保険料=標準賞与額×雇用保険料率
例えば、標準賞与額が50万円の場合、差し引かれる雇用保険料は以下のようになります。
50万円×0.55%=2,750円(一般事業の場合)
つまりボーナスが50万円の場合、雇用保険料が約3千円差し引かれます。
参考5:厚生労働省「事業主・被保険者の皆さまへ令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内」
4.所得税
所得税は給与同様、ボーナスにもかかり、控除されます。所得税額は、以下の計算式によって算出されます。
所得税額=(標準賞与額-社会保険料等)×所得税率
所得税率は、扶養家族および前月の給与に応じて、0%から45.945% まで幅広く、給与が高いほど税率も上がっていく仕組みです。 [参考6]
具体的には、ボーナス支給月の前月の給与が30万円で、扶養家族がいない場合は8.168%、扶養家族が1人では6.126%、2人の場合は4.084%となります。
標準賞与額50万円、前月給与が30万円である独身の場合、差し引かれる金額は以下のようになります。
- 健康保険料(東京都・協会けんぽ加入):標準賞与額50万円×9.91%÷2=24,775円
- 厚生年金保険料:標準賞与額50万円×18.3%÷2=45,750円
- 雇用保険料(一般事業の場合):標準賞与額50万円×0.55%=2,750円
- 社会保険料:24,775円+45,750円+2,750円=73,275円
所得税額は、以下のように計算されます。
所得税額(前月給与30万円、扶養家族0人):(50万円-73,275円)×8.168%=34,854.8円
円未満切り捨て、34,854円
参考6:国税庁「No.2523 賞与に対する源泉徴収」
5. ボーナス手取り額の例
以上の控除額をまとめると、標準賞与額50万円、前月給与が30万円である独身の場合ボーナス手取り額は以下のようになります。
社会保険料(健康保険料+厚生年金保険料+雇用保険料)+所得税額
24,775円+45,750円+2,750円+34,854円=108,129円
・ボーナス差し引き金額 108,129円 ※ボーナス手取り額 391,871円
つまり標準賞与額50万円の場合、社会保険料と所得税で約2割が差し引かれるのです。
※標準賞与額や諸条件により差し引かれる金額は異なるのでご注意ください。
ボーナスに関するQ&A
ボーナスについて、どのような疑問があるのかをQ&A方式でまとめました。
1.ボーナスがあるか確認する方法は?
今、在籍中の企業でボーナスの有無を確認する場合、就業規則や給与規定を確認するのが一般的です。これらの文書には、支給条件や計算方法が記載されているので確認してみましょう。具体的な情報が必要であれば、人事部署に直接問い合わせることで確かな回答が得られます。また、これまでの源泉徴収票やボーナス明細など、過去の支給実績を確認するのも有効です。
一方、これから転職する企業でボーナスの有無を確認する場合、まず手軽にWEBなどで調べられる方法として、求人票や転職先の採用ページをチェックすることで確認することが可能です。通常これらには、ボーナスの有無や支給条件が記されています。またそれらに記載がない場合でも、企業の評判や、社員の口コミが掲載されている就職活動サイトで、ボーナスの有無が確認できる場合があります。
さらにボーナスの有無を調べる方法として、面接時に直接確認したり、転職エージェントを利用している場合は、エージェントを通じて確認したりすることも有効でしょう。
2.社会人1年目でもボーナスはもらえる?

ボーナス制度がある会社の場合、社会人1年目であってもボーナスはもらえます。ただし夏のボーナスの場合、入社して間もなく、査定期間の対象となっていないことが多いため、寸志として7~9万円程度支給される場合が多いです。
冬のボーナスでは、査定期間に在籍しているため、支給されることが多いです。金額は会社の規定や業績によりさまざまですが、一般的には、基本給の1~2ヵ月が相場とされています。
3.契約社員やアルバイトでもボーナスはもらえる?
ボーナスに関しては、法律で定められているものではないため、会社の判断に委ねられています。そのためボーナスは正社員だけでなく、契約社員やアルバイト、パートの従業員にも支給される場合があります。また、本来ボーナスの対象ではない契約社員やアルバイトなどの従業員のモチベーションアップのために、ボーナスより比較的少額の寸志を支給する会社もあります。
まとめ
ボーナスは、給与以外に会社から通常年に2回支給される報酬です。ボーナスの支給額は、会社によりさまざまで、基本給連動型を採用しているところが多いです。業績連動型を取り入れている会社では、従業員自身、業績がよいとボーナスが増えることが期待できます。
ボーナスは、会社から支給された金額がそのまま手元に入るわけではありません。
保険料や税金が差し引かれた金額が手取り額となる点に注意しましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
宮本 建一(みやもと けんいち)
マネーライター。銀行・消費者金融・信用組合の勤務を経て独立。融資経験・FPの知見を生かし、各種サイトで主に資金調達、不動産関連記事の執筆を行う。金融専門誌への寄稿、金融機関行職員向けの通信講座教材執筆経験あり。2級ファイナンシャルプランニング技能士、AFP、金融内部監査士