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「周りと比べて自分は取り残されている気がする」「本当にやりたいことが分からない」。20代後半から30代前半にかけて、多くの人が感じるこの不安は「クォーターライフクライシス」と呼ばれる自然な心のサインです。
この記事では、クォーターライフクライシスになりやすい人の特徴から具体的な乗り越え方まで詳しく解説します。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
クォーターライフクライシスとは
ここでは、「クォーターライフクライシス」という言葉の基本的な意味や、似た言葉の「ミッドライフクライシス」との違いについて解説します。
1.クォーターライフクライシスの意味
「クォーターライフクライシス」とは、20代後半から30代前半、つまり人生の4分の1(クォーター)を過ぎた頃に多くの人が経験する、心理的な危機や漠然とした不安感のことです。
社会人になって数年が経ち、理想と現実との間にギャップを感じ始めるのがこの時期です。周りの友人たちのキャリアアップや結婚などをきっかけに、「自分はこのままでいいのだろうか?」と焦りが生まれたり、特に不満はないのにやる気が起きなくなったりします。もし、あなたがこのようなモヤモヤとした感情を抱えているなら、それはクォーターライフクライシスのサインかもしれません。
2.ミッドライフクライシスとの違い
クォーターライフクライシスと似た言葉に「ミッドライフクライシス」があります。一番大きな違いは、その危機が訪れる「年代」です。
クォーターライフクライシスが20代後半から30代に訪れるのに対し、ミッドライフクライシスは主に40代以降に経験します。そして、この年代の違いから、悩みの性質も大きく異なります。
クォーターライフクライシスは、「今の仕事から転職すべきか」といった、これからの未来に向けた人生の土台作りに関する不安が中心です。一方、ミッドライフクライシスは、「これまでのキャリアや生き方は正しかったのか」といった、これまでの過去を振り返る後悔や喪失感が中心となります。
ミッドライフクライシスについてより詳しく知りたい方は「中年期に起こる『ミッドライフクライシス』とは?起こる原因や対処法について解説」もご覧ください。
クォーターライフクライシスになると現れる症状
クォーターライフクライシスになると、キャリアや人間関係、そしてご自身の生き方について、漠然とした不安や焦りを感じて全体的に幸福感が下がってしまうことがあります。
これは、理想と現実のギャップや他人との比較によって、自信を失い精神的に不安定になるためと考えられます。
具体的には、以下のような症状が現れることがあります。
- 周囲の人と自分の状況を比べて落ち込み、プレッシャーを感じる(焦りや劣等感)
- 「このままでいいのか」と今の選択に自信が持てず、本当にやりたいことが分からなくなる(キャリアへの迷い)
- 何をしても心から楽しめず、成長実感がないまま時間だけが過ぎるように感じる(無気力・停滞感)
これらの症状に心当たりがあり、不安に感じている方もいるかもしれません。実は、こうした気持ちになるのには、多くの人に共通するいくつかの理由が考えられます。
クォーターライフクライシスになる原因
ここでは、なぜクォーターライフクライシスが起こるのか、その背景にある主な4つの原因をみていきましょう。
1.同世代との比較
クォーターライフクライシスの大きな原因の一つに、同世代との比較が挙げられます。
SNSの普及により、いつでも友人の海外旅行や結婚の写真など、充実した生活ぶりが目に入ってくるようになりました。SNSに投稿されるのは、その人の輝いている瞬間だけが切り取られたものです。しかし、無意識のうちに自分の日常生活と比べてしまい「自分だけが取り残されている」という焦りや劣等感が生まれやすくなります。
2.選択肢の多様化
現代では、転職や副業、フリーランス、起業など、働き方や生き方の選択肢が非常に多様化しています。このような環境は自由である一方、「どの道が自分にとって正解なのか分からない」という、迷いや不安を生み出しています。
今の会社で働き続けることにも、「もっと自分に合う仕事があるのではないか」と考えてしまい、確信が持てなくなります。周りの友人たちがそれぞれ違う道で頑張っている姿を見ると、自分の選択が本当に正しかったのか、漠然とした焦りを感じてしまうのです。
3.理想の自分と現実のギャップ

多くの人が、学生時代に思い描いた理想の自分と、実際に社会に出て数年経った現実の間に大きなギャップがあることに気づきます。
例えば、「日々の仕事に追われ、成長している実感がない」「平日は疲れきって、休日は寝て過ごすだけ」「給料が上がらず経済的な余裕がない」といったものです。
このような「こんなはずではなかった」という思いは、失望感や無力感につながることがあります。
4.将来への漠然とした不安
20代後半から30代前半は、将来のキャリアやライフプランを本格的に考え始める時期です。しかし、奨学金の返済、上がらない賃金、物価の上昇といった経済的な現実が、人々の生活に影響を与えています。さらに「安定した生活が送れるのか」「年金はもらえるのか」といった、社会全体への漠然とした不安も抱え、個人の努力だけではどうにもならない状況といえるでしょう。
そのため目標や計画を立てることが難しく、「自分はどこに向かっているのだろう」という焦りだけが募っていきます。
クォーターライフクライシスの心理的な4つのフェーズ
「このような不安が、いつまで続くのだろう」と、終わりが見えないように感じるかもしれません。しかし、クォーターライフクライシスはやみくもに続くわけではなく、一般的に4つの段階を経て回復に向かうとされています。[参考1]
参考1:ACADEMIA「リバー・ロビンソン博士による、クォーターライフクライシスと早期成人期に関する論文」
1.現状への違和感と身動きが取れないもどかしさ
今の仕事や生活が「誤った選択だったかもしれない」と感じ始める時期です。しかし、「責任を放棄できない」「周りをがっかりさせたくない」といった思いから身動きが取れず、もどかしさを感じます。
2. 一度立ち止まり、新しい可能性を模索
「このままではダメだ」という気持ちがはっきりとし、現状から一度距離を置いて、新しい可能性を探し始めるのがこの段階です。例えば転職サイトを眺めてみたり、新しいスキル習得のために情報収集したりと、ご自身の可能性について模索する時期といえるでしょう。
3.新しい生き方の試行錯誤
新しい自分の価値観に基づいて、少しずつ新しい行動を試していく時期です。興味を持った分野の勉強を本格的に始めたり、新しいコミュニティに参加したりしながら、新しい自分や生き方を少しずつ再構築していきます。
4.自分らしい道への確信と再出発
新しい自分の生き方や進むべき道に確信を持てるようになり、精神的に安定を取り戻す時期です。自分の選択に納得し、再び人生に対して前向きな気持ちで情熱を注げるようになります。
クォーターライフクライシスになりやすい人の特徴
どのようなタイプがクォーターライフクライシスになりやすいのでしょうか。ここでは、考えられる4つの傾向を紹介します。
1.理想が高い人
向上心が高く真面目なことは、クォーターライフクライシスになるきっかけの一つになります。ご自身や自分の人生に対して高い理想を持っている場合、現実との間にギャップが生まれたときに苦しんでしまう傾向があるのです。
真面目であるがゆえに「こうあるべきだ」「こうでなければならない」という思いが強く、計画通りに物事が進まないときや、小さな失敗でも大きな失望感や自己嫌悪につながってしまいます。
2.自己肯定感が低い人・マイナス思考な人
自分に自信がなく、物事をネガティブに捉えがちな場合も、クォーターライフクライシスに陥りやすい傾向があります。
自己肯定感が低いと、SNSなどで友人の成功や幸せそうな様子を見るたびに自分と比べて落ち込んでしまい、「自分だけが取り残されている」という劣等感を抱きやすくなります。
また、何か問題が起きたときも、「きっと自分のせいだ」とマイナスに考えてしまい、悩みを深刻化させてしまいがちです。
3.自分で決断するのが苦手な人
これまで親や先生など、周りの期待に応えることを優先して人生の選択をしてきた方も、この問題に直面しやすいです。
例えば、就職活動の際に「安定しているから」「周りが薦めるから」といった理由で会社を選んでいないでしょうか。自分の心の声に従って決断する機会が少ないと、社会に出て数年経ったときに、自分が本当にやりたいことは何か分からなくなってしまうことがあります。
4.気持ちの切り替えが苦手な人
過去の失敗や後悔を引きずりやすい方も、悩みを深刻化させてしまう傾向があります。
例えば、「あのとき、別の会社を選んでいれば」「もし、あの決断をしていなかったら」と、終わったことを繰り返し考えてしまうのです。
このように変えられない過去にとらわれることで、現状への不満や将来への不安がさらに増幅され、前に進むエネルギーが湧きにくくなります。
クォーターライフクライシスを乗り越える方法
最後に、このモヤモヤとした時期を乗り越えるための具体的な方法を6つ紹介します。無理のない範囲で、できそうなことから試してみてください。
1.悩みや不安を書き出してみる

漠然とした不安で頭がいっぱいになっているときは、まずその感情を書き出してみましょう。だれかに見せるものではないので、頭に浮かんだモヤモヤとした気持ちを、そのままの言葉で書くのがポイントです。
「何に不安を感じているのか」「本当はどうなりたいのか」「なぜそう思うのか」といったことを文字にすることで、自分の感情を客観的に見ることができます。頭のなかだけで考えるのではなく、書き出すことで問題点が整理され、漠然とした不安が対処可能な「課題」として見えてきます。
これはジャーナリングとも呼ばれる方法で、自分の心を整理するための有効な方法の一つです。
2.SNSから離れる
他人との比較が不安や焦りを大きくしていると感じる場合は、意識的にSNSから距離を置いてみましょう。他人と自分を比べる習慣から抜け出すことで、自分の心の声にじっくりと耳を傾けることができます。
例えば「3日間だけアプリを消してみる」など、自分に合ったルールで実践してみてください。そうして生まれた時間は、「自分は本当にどうしたいのか」を考えるための貴重な時間になるでしょう。
3.気分転換をしてみる
悩みで頭がいっぱいなときは、一度その問題から意図的に離れて、気分転換することも大切です。考えるのをいったんやめて、自分が心から楽しめる、全く関係のないことに没頭する時間を作りましょう。
好きなスポーツで汗を流す、自然の多い場所へ出かける、趣味の音楽や創作活動に打ち込むなど、気分転換の時間をとってみてください。
そうすることで、頭と心がリフレッシュされ、問題を新しい視点で見つめ直す良いきっかけになるでしょう。
気分転換に興味のある方は「気分転換したいときはどうすればいい?リフレッシュできる方法や注意点を紹介」もご覧ください。
4.小さな達成感を積み重ねる
なんだかうまくいかないと感じるときや、自信が持てないときは、簡単な目標を毎日クリアする方法がおすすめです。
例えば、「自分の部屋を毎日掃除する」「1日に1ページだけ本を読む」など、本当に些細なことで十分です。この「今日もできた」という小さな成功体験の積み重ねが、「自分もまだやれる」という自信につながります。できた自分をしっかり褒めてあげましょう。
5.キャリアの棚卸しをする
仕事の不安が大きいときは、一度「キャリアの棚卸し」をしてみましょう。これまでの成功や失敗、やりがいを感じた瞬間などを書き出すことで、「自分ができること」と「本当にやりたいこと」が整理できます。
「できること(強み)」は業務経験やスキルだけでなく、周囲から頼られたことや自然とこなしていた小さな行動も含めて振り返ると、意外な強みが見つかります。また、「やりたいこと(興味)」は「計画を立てるのが好き」「人と話すのが好き」といった行動(動詞)で考えると、本質が見えてきやすいです。
自分の強みと興味の方向性が分かれば、漠然とした不安が、具体的な選択肢へと変わり、次に「やるべきこと」が明確になります。
6.信頼できる人に相談してみる
一人で悩んでいると、どんどん視野が狭くなり、ネガティブな思考に陥りがちです。もし可能であれば、信頼できる人に勇気を出して、今の気持ちを打ち明けてみてください。
相手は、家族や親しい友人、あるいは少し年上で同じような経験をしていそうな会社の先輩などが良いでしょう。人に話すだけでも、自分の考えが整理されて気持ちが楽になります。
また、「自分も同じようなことで悩んだよ」という共感の言葉をもらえると、「自分だけじゃないんだ」と安心感を得られるはずです。さらに、自分にはなかった視点からのアドバイスが、思わぬ解決の糸口になることもあります。
まとめ
ここまで、20代・30代に訪れるクォーターライフクライシスについて解説しました。将来への不安から、キャリアや生き方に悩むのは、決してあなただけではありません。多くの人が同じように、一度立ち止まって考える時期を経験します。
まずは、自分の気持ちを書き出してみるなど、できそうなことから試してみてください。焦らずに考えを整理していくことが、現状を変えるきっかけになるでしょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
佐藤 静香(さとう しずか)
FPライター。損害保険会社に20年勤務後、Webライターとして活動中。保険会社での経験とFPとしての専門知識、また子育て中の母である目線を活かし、難しいお金の話を分かりやすく解説することを得意としている。金融系メディアを中心に、保険、資産形成、家計管理などの記事執筆を担当。2級FP技能士
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ

