生前贈与とは?メリット・デメリットや保険での対策について解説

生前贈与とは?メリット・デメリットや保険での対策について解説
                 

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子どもや孫へ、どのように財産を残そうかと悩んでいませんか?

自分が亡くなった後の相続について遺言書に記載しておく方法もありますが、存命中、生前贈与という形で財産を家族に渡しておくのも選択肢のひとつです。
この記事では、生前贈与とは何か、そして生前贈与のメリットとデメリットを解説します。生前贈与を保険で対策する方法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
※ 本記事では、一般的な例を記載しています。本記事で言及している保険商品・保障内容等について、当社では取扱いの無い場合がございます。
詳細は取扱いのある金融機関にお問合わせください。

生前贈与とは?

生前贈与とは、存命中に個人から別の個人へと財産を無償で渡すことです。故人の財産を分配する相続とは異なり、生きているうちに個人を指名して財産を渡せます。
ただし、相続には相続税がかかるように、生前贈与には贈与税がかかります。生前贈与の課税制度は、「相続時精算課税制度」と「暦年課税」の2つの制度があることに注意しましょう。

ここでは、相続時精算課税制度と暦年課税の違いについて解説します。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、贈与時は軽減された贈与税を支払い、相続時に相続する財産額と精算する制度です。相続時は、すでに贈与された財産と残りの財産を合計した財産価額から計算される相続税額から、贈与税額を精算します。
この制度を利用できるのは、贈与する側が60歳以上の父母または祖父母、贈与される側は18歳(※)以上の推定相続人である子または孫です。(※「18歳」とあるのは、令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」となります。)
相続時精算課税制度には2,500万円の特別控除枠があり、この上限に達するまで何回でも控除できます。つまり、生前贈与額が2,500万円までは贈与税がかかりません。ただし、贈与額が2,500万円を超えると、一律20%の贈与税が課税されます。[参考1]
注意したいのは、一度相続時精算課税制度を選んでしまうと、暦年課税へ移行できない点です。

参考1:国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択

暦年課税

暦年課税とは、従来の贈与を指します。相続時精算課税制度とは異なり、贈与する側にもされる側にも条件はありません。
贈与税は、贈与された年の1月1日〜12月31日で計算して納税します。暦年課税の贈与税には、受贈者ごとに1年間につき110万円の基礎控除があり、毎年使えるのがメリットです。[参考2]
110万円までは非課税となるため、少額贈与を多人数にする際には、大きな金額を非課税で贈与できます。
また、暦年課税から相続時精算課税制度への移行は可能ですが、相続時精算課税制度から暦年課税への移行はできません。

参考2:公益財団法人 生命保険文化センター ホームページ「「相続時精算課税制度」とはどんな制度?

贈与税の非課税制度

生前贈与するときは、いくつかの非課税制度を活用できます。[参考3][参考4][参考5][参考6]

非課税制度 贈与税の配偶者控除 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合 教育資金の一括贈与に係る非課税措置 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
非課税枠2,000万円まで500万円〜1,500万円まで受贈者1人につき1,500万円まで受贈者1人につき1,000万円まで
主な条件・婚姻期間20年以上
・居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭
・贈与者が直系尊属
・受贈者が贈与を受けた年の1月1日において、満18歳以上で当年所得が2,000万円以下
・贈与者が直系尊属
・受贈者が平成25年4月1日から令和5年3月31日までの間に、教育資金管理契約を締結する日において30歳未満で前年の所得が1,000万円以下
・贈与者が直系尊属
・受贈者が平成27年4月1日から令和5年3月31日までの間に、結婚・子育て資金管理契約を締結する日において 18歳以上50歳未満で前年の所得が1,000万円以下
併用の有無暦年課税と併用可暦年課税または相続時精算課税制度どちらかとの併用可「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」と併用可「教育資金の一括贈与に係る非課税措置」と併用可

それぞれの制度と併用できるため、条件に当てはまらないかチェックして、活用していきましょう。

参考3:国税庁「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
参考4:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
参考5:国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
参考6:国税庁「No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

生前贈与のメリット

相続ではなく、わざわざ生前に財産を贈与するのには、いくつかのメリットがあるからです。まずは、生前贈与するメリットを3つ紹介します。

相続時の節税対策ができる

生前贈与すると、相続時の相続税を抑えられることがメリットです。相続税は相続財産の合計に対して課せられるため、相続財産が多ければ多いほど相続税は高くなります。
例えば、相続財産の合計が1億円で妻と2人の子どもの3人で財産を相続する場合、相続人が支払う相続税は合計630万円です。
一方、妻と2人の子どもに毎年100万円ずつ、10年間にわたって暦年贈与した場合、3,000万円は非課税で、残りの7,000万円が相続税の対象となります。この場合、相続税は3人合計で220万円です。
1億円の財産をすべて相続する場合と比較すると、生前贈与したほうが相続税を約3分の1に節税できます。

贈与する相手を選ぶことができる

また、贈与する相手を選ぶことができるのも生前贈与のメリットです。財産を相続する場合、基本的には親族で財産を分けることになります。
しかし暦年贈与を選べば、条件なく贈与する相手を選べます。親族以外に贈与したい相手がいる場合や、多く財産を渡したい相手がいる場合に有効な方法です。

相続トラブルを防げる

相続トラブルを防げることも、生前贈与のメリットです。相続は故人がいないため、相続人同士で誰がいくらもらうのか揉める可能性があります。
遺言書で指示していたとしても、解釈の仕方や本当に故人の意思で書かれたものか分からなくなるなど、トラブルにつながりかねません。
生前贈与なら、贈与する側の意思のもとで贈与が行われるため、家族間のトラブルが起こりにくいとされています。

生前贈与をするときのデメリットや注意点

生前贈与はメリットの大きい制度ですが、一方でデメリットや注意点もあります

贈与を否認される可能性がある

贈与はあくまで、贈与する側とされる側の合意がなくてはいけません。
そのため、贈与される側に「贈与された」との認識がなければ、税務署に生前贈与と認められない可能性があります。
例えば、贈与される側に知らせず一方的にお金を振り込んだ場合などは、生前贈与と認められず控除を受けられないこともあるため注意しましょう。

税金がかかるため、贈与側の生活に負担がかかる可能性がある

生前贈与で大きな金額を贈与してしまうと、贈与側に負担がかかる可能性があります。贈与側は自分の生活を続ける分を残しながら、贈与しなければならないため、贈与する金額はしっかり検討して行いましょう。
相続税より贈与税のほうが控除額は大きく、節税にはなりますが、生活の負担になる程の金額を贈与することはおすすめできません。

「生前贈与の3年内加算」に注意しなければならない

国税庁の「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」によると、暦年贈与によって取得した財産のうち、相続開始前3年以内に贈与されたものには相続税が加算されます。[参考7]
つまり、故人から3年以内に生前贈与を受けた財産がある場合、贈与税を支払っていたとしても相続税が課せられます。亡くなる3年前までの生前贈与は税金が多くかかる可能性があるため、注意しましょう。

参考7:国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)

生前贈与にかかる贈与税とは

繰り返しになりますが、生前贈与には贈与税が課せられます。ただし、暦年課税も相続時精算課税制度も控除枠が用意されているため、一定金額までは非課税です。

贈与税の計算方法

贈与税を計算する方法は、以下のとおりです。

  • 相続時精算課税制度:(贈与額-2,500万円)×20%
  • 暦年課税:(贈与額-110万円)×累進税率

暦年課税にかかる累進税率は、贈与額によって変化する税率です。一般税率は、以下のとおりです。[参考8]

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

参考8:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

保険で生前贈与の対策はできる?

実は、生前贈与を想定して保険に加入することで、相続税対策ができます。

生命保険で生前贈与対策をするメリット

生命保険を生前贈与代わりにする場合、相続税を節税できる点がメリットです。
生前贈与対策として生命保険を活用する場合、贈与する側が契約者、贈与される側が受取人となり、生存給付金を毎年受け取れる保険契約にする必要があります。契約者が存命している限り、受取人は毎年一定の金額を受け取ることができます。
万が一、贈与側の契約者が亡くなった場合も、受取人は生前贈与として財産を受け取っているため、相続税を節税できます。

生命保険で生前贈与対策をするデメリット

生命保険で生前贈与対策をするデメリットとしては、元本割れする可能性があることです。
契約期間や保険の種類にもよりますが、生命保険を解約するタイミングによっては、元本割れしてしまうリスクがあることを理解しておきましょう。

まとめ

生前贈与とは、存命中の個人から別の個人へと財産を無償で譲ることです。相続税対策として利用されており、控除によって節税効果が見込まれます。
ただし、生前贈与の仕方によっては税務署に贈与を否認されたり、贈与側の生活に負担をかけたりする可能性もあるため、注意が必要です。
生前贈与は、保険を使って対策することもできることを覚えておきましょう。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
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【FP紹介文】
大木千夏(おおき ちなつ)
独立系FP、金融ライター。もともとは臨床検査技師として病院に勤務、その後フリーランスライターとして独立した。ライターとして活動するうち、金融業界に興味を持ちAFP取得後、独立して横浜に事務所開設。2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP。