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子どもの将来を考える上で「教育方針」は重要なテーマです。しかし、いざ考えようとすると、漠然としていて困る方もいるかもしれません。この記事では、教育方針とは何か、決定するメリットや決め方、注意点、願書への書き方まで、わかりやすく解説していきます。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
教育方針とは
家庭の教育方針は、子どもの成長と発達に関する各家庭独自の指針です。保護者が子どもに「どのような人間になってほしいか」という期待する人間像をはっきりさせるためのものであり、家庭での子育ての指針となります。
方針を決めずにいた場合、子どもへの対応が場当たり的になるかもしれません。しかし、方針が明確であれば、さまざまな場面で迷いが生じたときでも、一貫した姿勢で子どもと向き合い、より効果的な教育を実践することが可能になるでしょう。
教育方針を決めるメリット
子育ては長期的な視点が重要です。教育方針を決めることで、保護者の目標が明確になり、子どもの成長に合わせた適切なサポートができるからです。ここでは、教育方針を決めることの4つのメリットを紹介します。
1.子育ての考え方のすれ違いを防げる
子育て中の夫婦にとって、育ってきた環境や価値観の違いから意見がぶつかるのはよくあることです。例えば、「勉強重視」で育った保護者と「のびのび育つこと」を重視する保護者の間で違いが生じるかもしれません。
夫婦でじっくりと話し合い、教育方針に対する共通理解を深めることが大切です。事前に話し合いを重ねることで、共有認識を持てるため、一貫した子育てを実現できるでしょう。
2.今後なにが必要になるのか明確になる
教育方針を定めることには、将来的に何が必要かを明確にするというメリットがあります。しつけやマナー、勉強・進学、健康・発達、教育費など子育てに関して悩みや不安を持っている人は少なくありません[参考1]。
方針が定まれば、子どもに必要なスキルや環境が明確になり、成長段階に応じたサポートを提供しやすくなります。さらに、決めた方向性に基づいて将来像を描くことで、必要な教育費やライフスタイルも見えてきます。
方針が定まった後は準備の段階です。折角教育方針を決めたのに準備を先延ばしにすると、とれる選択肢の幅が狭くなってしまいます。準備には受験の計画や塾・習い事の検討などさまざまありますが、共通して関わってくるのが教育費の問題です。
「教育資金シミュレーション」では公立・私立などを選択するだけで、教育資金の目安が分かります。お子さまの将来をイメージしながら、教育資金の総額をシミュレーションしてみましょう!
また、子どもの教育資金を準備する方法の一つに学資保険があります。毎月保険料を支払うことで、万が一のことがあっても、子どもの進学に必要な資金が準備できます。学資保険について詳しく知りたい方は、フコク生命の学資保険「みらいのつばさ」をご覧ください。
参考1:文部科学省「子どもたちの未来をはぐくむ家庭教育」p.4
3.習い事をする際の判断材料になる
家庭の教育方針は、習い事選びの際に重要な指針となります。明確な教育方針は、習い事を選ぶ上での指針となり、迷いを減らして最適な選択を導きます。
例えば、国際的な視野を持つ人材育成を目指すなら、英語や異文化理解を重視した習い事を検討するでしょう。集中力を養いたいと考えるなら、武道や書道などが候補に挙がるかもしれません。
一定の基準にもとづいて習い事を選ぶことで、子どもにとって本当に必要な学びの機会を提供できます。
4.受験対策ができる
子どもの教育方針は、受験対策としても非常に重要です。特に幼稚園や小学校の受験では、面接や書類で教育方針を問われることが多く、明確な方針があると、説得力のある回答ができます。
「どのような教育を受けさせたいか」という質問にも、具体的な内容や目標、その根拠となる価値観について自信を持って伝えられます。家庭の教育方針が明確であることで、面接などの場で学校側にアピールすることができるでしょう。
教育方針を決める際のポイント
教育方針は、子育てにおいて道しるべとなる重要な指針です。しかし、いざ方針を決めようとしても、初めてのことで何から考えれば良いか迷ってしまう方もいるかもしれません。ここでは教育方針をスムーズに決めるための6つのポイントを紹介します。
1.パートナーと共通する方針・異なる方針を洗い出す
教育方針は、子どもの未来を大きく左右する重要な選択です。だからこそ、パートナーとじっくり話し合うことが大切です。
「思いやりを持ってほしい」「正直であってほしい」といった性格面の希望や、「幼いころから習い事に通わせたい」「私立受験の勉強をさせたい」といった習い事や勉強面の希望について、共通認識を持っていた方がよいでしょう。
一方で、当然、パートナーと異なる意見もあるでしょう。そこで重要なのは、違いを認め合い、なぜそう考えるのかを互いに深く理解しようと努めることです。互いの価値観を尊重しながら、夫婦で納得できる教育方針を決められるように話し合いを重ねましょう。
2.方針を決める目的や目標を明確にする
教育方針を決める際には、曖昧にならないようにその目的や目標をはっきりさせることが非常に重要です。「どのような人になってほしいか」を具体的に考えることで、それを実現するための教育方法が見えてくるでしょう。
そして、目標が明確になると、現状との違いや課題がはっきりして必要なサポートもはっきりします。教育方針は、保護者と子が共有する目標として、未来に向かって進むための指針となります。
3.普段の子どもへの接し方を改めて考えてみる
日々の親子の関わり方を見つめ直すことは、教育方針を決める上でとても重要です。子どもが良いことをした時のほめ方や、困った行動をとった時の対処法といった日常のやり取りの中に、ヒントが隠されているかもしれません。
特に休日の過ごし方は、保護者の価値観や子どもの個性が色濃く反映されるため、家族のコミュニケーションをよく観察してみましょう。そこにも、教育方針を決めるうえで重要なヒントが含まれているはずです。
4.子どもの得意・不得意を洗い出す
教育方針を決める際に、子どもの得意・不得意を把握することが重要です。例えば得意分野は、ほめて伸ばすことが重要で、子どもの自信が高まり、さらなる成長が期待できます。一方、不得意分野は無理強いを避けつつ、努力を重ねさせることで、子どもの成長を支えることができます。
つまり子どもの個性に合わせて、得意分野を伸ばすことと、不得意分野を努力で克服させることのバランスを考えた教育方針を決めることを心掛けましょう。
5.子どもが現時点で興味を持っているものは何か把握する
子どもの現在の興味を理解することも大切です。子どもが熱中するアニメや絵本、遊びなどには、その子の才能や可能性が隠されているからです。例えば、アニメキャラクターの真似をする姿からは想像力や表現力が、ブロック遊びからは空間認識能力や創造力が育っていることが推測できます。
子どもの興味は、その子の内面や成長の方向性を映し出す鏡のようなものです。これらを考慮して教育方針を決めれば、子どもの興味・関心とのミスマッチを防げるでしょう。
6.子どもの意見をしっかりと聞く
教育方針は、子どもの意見を聞きながら一緒に決めることが大切です。自分の意見を聞いてもらうことで、子どもは「自分は大切な存在だ」と感じ、やる気を持つからです。
反対に、保護者の意見ばかりを押し付けると、学習効果が下がったり、自分に自信が持てなくなったりする可能性があります。
子どもが自ら学び、成長していくためには、保護者の視点だけでなく、子どもの声にも耳を傾け、尊重する姿勢を示しましょう。
教育方針を決める際の注意点
教育方針は子どもの将来を左右する重要な要素です。そのため、その決定には慎重さが求められます。ここでは、教育方針を決める際に陥りがちな注意点や、避けるべき考え方について解説します。
1.保護者側の意見だけで決めない
教育方針を決める際のポイントでも記載した通り、保護者の「こうあって欲しい」という一方的な意見だけで決めるのではなく、子どもの気持ちを尊重することが大切です。「やってみたい」「楽しい」というお子さん自身の気持ちを大切にしましょう。
そのためには、日頃からお子さんとのコミュニケーションを大切にし、じっくりと耳を傾けることが重要です。家族みんなで話し合い、子どもも納得して自ら進んで取り組めるような教育方針を築き上げていきましょう。
2.決め事で固めすぎない
子どもを育てる上で、過度にルールで縛り付けてしまうのは得策ではありません。例えば、子どもに対して勉強や遊びの時間を分単位での管理や過度な勉強の要求をして、達成できない場合に厳しく叱るといったことはできるだけ避けます。
大切なのは、例え決めたことから少し外れてしまっても、頭ごなしに叱るのではなく、なぜそうしたのかを一緒に考え、寄り添うことです。失敗は誰にでもあることと考え、決め事に反してしまったとしても、必要以上に責め過ぎないようにしましょう。
3.通っている学校の方針とは別物だと認識する
家庭での方針と学校の方針を区別することも重要です。保護者の中には、つい通っている学校の方針と混同してしまう方がいます。しかし、学校の方針はあくまでも、さまざまな個性を持つ子どもたちを教育するための基準です。
一方、家庭での教育方針は、子ども一人ひとりの個性や、家庭の価値観に基づいた個人向けのものです。学校と家庭、それぞれの良さをお互いに補完し合いながら、連携していくことが大切です。
4.子どもの個性を否定しない
子どもの個性を否定せず、個性を尊重することにも注意しなければなりません。他の家庭で厳しく叱って成功したとしても、自分の子どもに必ずしも適しているとは限りません。
むしろ、子どもの個性を理解し、それに合わせて考えることが大切です。子どもの個性を見極め、自分の子どもにあった教育方針にするよう心がけましょう。
幼稚園受験・小学校受験の願書にある「家庭の教育方針」とは
幼稚園や小学校の受験では、願書に「家庭の教育方針」を書く欄があります。これは、園や学校が、自分たちの教育方針と合っている家庭の子どもに入園・入学してほしいと考えているからです。
例えば、園や学校が「のびのびと育てる」ことを大切にしているのに、保護者が「高い学力や英語力を身につけてほしい」と望む場合、入学後にミスマッチが起こる可能性があります。このような事態を防ぐために、園や学校は願書を通して家庭の教育方針を事前に理解しようとしているのです。
そのため、願書を作成する際には、志望する園や学校の教育方針をしっかりと理解し、家庭の方針と合致しているか、子どもにとって本当に望ましい環境なのかをじっくり検討することが大切です。
願書提出と合わせ、親子そろって面談がある場合は、面談で教育方針についても質問があるかもしれません。しっかり答えられるよう準備しておきましょう。
願書の「家庭の教育方針」記載例
幼稚園や保育園の願書に「家庭の教育方針」を書く際、どのような内容を記載すればよいのでしょうか。よく見られる記載例をいくつか紹介します。
1.自主性のある子に育ってほしい
私たちは、子どもには、自ら考え、行動できる人間に成長してほしいと願っています。子どもが、大人になってから戸惑うことなく、自身の選択に責任と自信を持って進んでいけるように、幼い頃からの自主性を育むことが大切だと考えているからです。
そのためにも、親である私たちが先回りをするのではなく、子ども自身の意思を尊重し、じっくりと見守りながら、温かく支えていきたいと思っています。
2.思いやりがある子に育ってほしい
思いやりのある子に成長してほしいと願っています。そのため、日頃から家族とのコミュニケーションを大切にし、互いに気持ちを尊重し合えるような温かい家庭環境を築くことを心がけています。
例えば、子どもが友達と喧嘩をした時にも、頭ごなしに叱るのではなく、相手の気持ちを考える大事さを伝えています。日々の積み重ねを通して、子どもが周りの人の気持ちを理解し、優しく接することのできる人間に成長してくれることを願っています。
3.明るく元気な子に育ってほしい
私たちは、子どもたちが明るく思いやりのある人に育ってほしいと願っています。持ち前の明るさで誰にでも優しく接する我が子を見守りながら、例え相手に受け入れてもらえなくても、その気持ちを尊重し、自分らしさを失わずに周囲を笑顔にできる人に成長していくことを願っています。
相手の気持ちを尊重しながらも、持ち前の明るさで周囲を笑顔にする、そんな風に成長してくれることを願っています。
4.感謝の気持ちを素直に伝えられる子に育ってほしい
私たちの子どもには、感謝の気持ちを素直に伝えられる人に育ってほしいと願っております。周囲の人々から注がれる愛情や支えに気づき、そのことに対して「ありがとう」と素直に言える温かな心を育みたいと考えているからです。
例えば、家族で食事を囲む際には、料理を作ってくれた人に「ありがとう」と伝えることを習慣化しています。「ありがとう」の言葉を自然と伝えられる、温かい心の持ち主へと成長してくれることを願っています。
5.挨拶ができる子に育ってほしい
私たち家族は、子どもが挨拶を大切にする人に育ってほしいと願っています。挨拶は、人と人との心の距離を縮め、温かい関係を築くために重要なものだと考えているからです。そのため、家の中では「おはよう」「ただいま」などの挨拶を欠かさず、子どもができたらほめています。
子どもも最近は家族に対してハキハキと挨拶ができるようになりました。今後は、近所の人や友達にも自分から挨拶ができるように、優しく見守りながら、社会の一員として成長していくことを期待しています。
まとめ
家庭の教育方針を決めることは、受験対策だけでなく、長期的な子育ての指針としても重要です。この過程で、保護者同士が子育ての考えを共有し、話し合う機会にもなります。
また、方針を決める際は、保護者の意見だけでなく、子どもの個性や考えも尊重すべきでしょう。願書に記載する場合は、無理に作り上げるのではなく、日頃の子どもの様子をよく観察し、その子に合った内容を書くことが大切です。
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※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
馬場正裕(ばば まさひろ)
FPライター。ファイナンシャル・プランナーとして、各種サイトでマネー記事やコラムの執筆を担当した。消費者金融や外貨預金、家計管理、不動産関連の記事を執筆。FPとしての知識を生かした記事執筆の活動を行っている。2級FP技能士
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ