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ゲームには子どもの能力を高めたり、交流を広めたりする効果が期待される一方で、依存やトラブルの原因になる恐れもあります。
そのため、子どもとゲームをどう付き合わせたら良いのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ゲームが子どもに与える影響について、メリットとデメリットの両面から解説します。子どもにゲームをさせる際に決めておきたいことや注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
子どものインターネット・ゲーム機の利用の現状
こども家庭庁が実施した「令和5年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、満10歳から満17歳までの青少年の98.7%がインターネットを利用していると回答。その利用目的として、動画視聴の93.6%に次いでゲーム利用が85.5%と非常に高い割合となっており、さらにインターネットを利用する機器として、ゲーム機からが66.7%を占めています。 [参考1]
ゲームは多くの子どもにとって身近な存在であり、生活の一部といっても過言ではないでしょう。
参考1:こども家庭庁「「令和5年度青少年のインターネット利用環境実態調査」報告書」
ゲームが子どもに与えるメリット
ゲームが子どもに与える主なメリットには、次のようなものがあります。
1.やる気や集中力を高めることに繋がる
ゲームは、楽しみながら、やる気と集中力を育むことができます。試行錯誤を繰り返し、攻略法を見つける過程で達成感や成功体験を積み重ね、「やる気」が刺激されます。クリア条件を満たすために必要な情報収集、戦略構築、操作を通して自然と「集中力」も身につきます。
さらにオンラインゲームでの競争は「集中力」を一層高め、目標達成への意欲を駆り立てます。
2.さまざまな視点から物事を考えられるようになる
ゲームでは自分の判断や行動の結果が、勝敗などの形で即座にフィードバックされます。負けてしまった場合には、どうすれば勝てたのか、そのときの判断や行動を振り返り、すぐに別の方法を試すことが可能です。
このように、ゲームを通じて短期間にトライアンドエラーを繰り返すことで、失敗から学び、さまざま視点から物事を考える力が養われるでしょう。
3.想像力や洞察力、問題解決力が身につく
ゲームは対戦相手の行動を予測し、限られた情報で勝利への道を模索する過程で、子どもは想像力、洞察力、問題解決力といった重要なスキルを自然に身につけることができます。
ゲーム内での挑戦や成功体験を通じ、子どもの自信を高め、日常生活でもこれらの能力が応用できるようになるかもしれません。
4.楽しみながら学べる
ゲームは、子どもにとって遊びであり、学習ツールでもあります。
例えば、歴史シミュレーションゲームでは、歴史上の事件や人物、英語学習ゲームでは、自然な会話表現や単語。さらに科学実験ゲームでは、科学の原理や法則など楽しみながら学ぶことができます。
またゲームは学科に限らず、好奇心や探求心を刺激するさまざまなテーマがあるので、子どもの視野を広げます。さらにゲームを繰り返しプレイしたり、フィードバックを受けたりすることで学習効果も高まります。
5.認知能力の向上に繋がる
因果関係は明らかになっていませんが、ゲームが子どもの認知能力を向上させる可能性を示唆する研究もあります。
例えばアメリカ・バーモント大学のバーダー・チャーラニ氏らの研究では、テレビゲームを1日3時間以上する子どもはしない子どもに比べ、短期的な記憶力と行動抑制のテストの成績が良いという結果が出ています。また、別の研究では、ゲームが視覚的な処理能力や注意力の向上、ワーキングメモリ(情報を一時的に記憶しておく能力)の強化につながることが示唆されています。
6.さまざまな人とコミュニケーションが図れる
ゲーム好きな最近の子どもがよく遊んでいるのは、ユーザー同士がインターネット上でつながってプレーするオンラインゲームです。オンラインゲームには、国内のみならず、世界各国から老若男女が参加しており、チャットなどでコミュニケーションが図れます。
公園に集まって一緒にサッカーやドッヂボールをするように、オンラインゲームが交流の場となっており、コミュニケーション能力が養われる場が多様化していることが伺えます。
ゲームが子どもに与えるデメリット
ゲームは子どもにとって良いことばかりではありません。ゲームが子どもに与える主なデメリットに、次のようなものがあります。
1.依存してしまう恐れがある
ゲームはその楽しさゆえ、依存してしまう恐れがあります。
人は楽しさや喜びを感じたとき、脳内ではドーパミンと呼ばれる神経伝達物質(快楽物質)が分泌されます。このドーパミンの効果が切れるとゲームをしたい欲求が高まり、欲求が満たされないと焦りや不安といった不快感へと変わっていきます。
ゲームをすれば一時的に欲求は満たされますが、次第に慣れが生じて同じ刺激(快楽)では満足できなくなっていきます。そうなると脳はより強い刺激を求めて身体に指示を出すようになり、ゲームがやめられない状態に陥ってしまうのです。[参考2]
参考2:大西クリニック「ネット依存(ゲーム障害)の原因 ①ネット依存(ゲーム障害、スマホ依存)に陥る脳のメカニズム」
2.健康や学業、人間関係に悪影響を及ぼす恐れがある
ゲームをするために睡眠や勉強、家族や友達と接する時間が減り、健康や学業、人間関係などに悪影響を及ぼす事例も報告されています。[参考3]
ゲーム依存(ゲーム障害)に陥ると、日常の生活や活動よりもゲームを優先するようになり、日常生活や健康状態、人間関係に問題が起きてもゲームをやめられなくなってしまうのです。[参考4]
参考3:総務省「ネット依存による健康被害」
参考4:厚生労働省「第2回ゲーム依存症対策関係者連絡会議」
3.運動不足や運動能力の低下を招く恐れがある
ゲームは基本的に室内遊びであり、ほとんど身体を動かすことがありません。そのため、ゲームばかりしていると運動不足になりやすく、運動能力の低下を招く恐れがあります。[参考5]
参考5:厚生省心身障害研究報告書「生活環境が子供の健康に及ぼす影響に関する研究/テレビ、テレビゲームの子どもへの影響に関する研究概況」p.59
4.偏った考え方になってしまう恐れがある
ゲームにのめり込むことで、ゲームの設定をそのまま正しいことだと思い込み、「これはこうあるべきだ」と偏った考え方になってしまう恐れがあります。
現実社会の考え方や常識とゲームとの間にずれが生じることで、社会との関わりが面倒になったり人間不信になったりして、うつ病やひきこもりの原因にもなりかねません。
5.オンラインゲームはさまざまなリスクをともなう
オンラインゲームでは、高額な利用料を請求されたり、アイテムを購入するために子どもが無断で課金を繰り返したりといった、お金のトラブルが多く発生しています。[参考6]
また、個人情報の流出や、メッセージ・音声でのやりとりなどを通じて詐欺被害にあったり、人間関係のトラブルに巻き込まれたりするケースもあります。[参考7]
いろんな人と交流できる点はオンラインゲームのメリットです。しかし、素性の知れない相手に個人情報などを教えないよう、十分に注意しなければなりません。
参考6:消費者庁「オンラインゲームトラブル」
参考7:総務省「上手にネットと付き合おう!~安心・安全なインターネット利用ガイド~」
子どもがゲームをする前の決め事や教えておくべきこと
子どもにゲームをさせる前に子どもと話し合いの時間を持ち、あらかじめ次のようなルールを決めておきましょう。ゲームをするときのマナーやトラブル時の対応を教えておくことも大切です。
1.ゲームをする時間をある程度決めておく
ゲームはやろうと思えば何時間でもできてしまい、長時間プレーし続けることでゲーム依存に陥るリスクが高まります。
この対策として、「1日1時間まで」「夜10時以降はプレーしない」「宿題を済ませてからする」など、ゲームをして良い条件や時間帯を決めておきましょう。
2.ゲームに使う金額はいくらまでなのか決めておく
課金することで有利に進められるゲームもありますが、なるべくお金をかけたくないのが親の考えでしょう。
課金を認める場合には、「月〇〇円まで」「お小遣いの範囲内で」のように、使ってよい金額の上限を決めておきましょう。
子どもが親に無断で課金できないよう、ペアレンタルコントロール機能※を活用する、端末からクレジットカードの情報を削除する、親のアカウントを共有しないなどの対策を講じておくことも大切です。
※ペアレンタルコントロール機能…子どもの端末の使い方や使用頻度・時間などを親が指定・管理できる機能
3.ゲームをやる場所を決めておく
ゲームのやりすぎや無断課金などを防ぐには、「リビングでやる」「親のいるところでやる」のように、ゲームをやってよい場所を決めておくことも有効な方法です。
端末や充電器をリビングに置くなど、なるべく親の目が届くところでゲームをやる環境をつくると良いでしょう。
4.ゲームをするときのマナーについて教えておく
オンラインゲーム上でも、あいさつや言葉遣いなどの基本的なマナーを守るのは現実の世界と変わりません。顔が見えないからといって、相手が嫌がることをしてはいけないこともしっかり伝えておきましょう。
また、友達の家に行ってゲームをするときは、大声を出さない、暴れない、散らかさない、あまり遅くなりすぎないなど、おうちの方や近隣の方に迷惑をかけないように伝えることも大切です。きちんとあいさつをする、お礼をいうなど、基本的な礼節も忘れないように話しておきましょう。
5.トラブルがあった際にはすぐに相談すると約束しておく
トラブルがあったときは自分でなんとかしようとせず、すぐに親に相談するよう子どもと約束しておきましょう。
親であればすぐに解決できる問題でも、放置して時間が経ってしまったり、子どもだけで対応してしまったりすると問題が悪化し、トラブルが拡大してしまう恐れがあります。そのことを子どもにしっかり教えておくことが大切です。
子どもにゲームをさせる際のポイントや注意点
子どもにゲームをさせる際やルールを決める際は、次のようなポイントに注意しましょう。
1.決め事は子どもと話し合って決める
ゲームに関する決め事は親がすべて決めてしまうのではなく、子どもと話し合って決めましょう。
親が決めたルールを強制すると反発が生じやすく、ルールを守らなかったり、隠れてゲームをするようになったりする可能性が高くなります。子どもが自分で決めたルールなら納得感があり、子どもがちゃんと守れる現実的なルールを設定しやすくなります。
2.ゲームの時間はきっちり決めなくても良い
ルールを設定する際はあまりきっちり決めず、守りやすいルールを設定することが大切です。
例えば、土日は2時間(寝る1時間前終了)、RPGは2時間、お手伝いしたら30分延長、宿題が終わったら1時間など、曜日やゲームの種類、ご褒美の要素を踏まえたルールを作るのが効果的です。また、「親の声で10分以内に終了」、タイマーが鳴ったら終了など、キリよく終わらせるルールも決めておきましょう。
こうしたルールを守ることで、ゲームは、子どもにとって貴重な遊びであると共に規則正しい生活習慣を学ぶ場にもなるのです。
3.むやみに怒らず理由をしっかりと聞く
子どもがルールを守れなかったからといって、頭ごなしに怒るのは好ましくありません。なぜルールを守れなかったのかちゃんと理由を聞き、冷静に対処しましょう。
ルールを守れなかったからといって、いきなりゲーム禁止のようなペナルティを課すのも逆効果。子どもも納得がいかず、反発しやすくなります。そうならないよう、ルールを決めるときに、守れなかったときのペナルティもセットで決めておきましょう。ペナルティも子どもと話し合い、同意のうえで設定します。
まとめ
ゲームは依存やトラブルの原因になることもありますが、うまく利用すればさまざまなメリットも期待できます。
子どもとゲームをうまく付き合わせていくためには、あらかじめルールやペナルティを決めておきましょう。ルールやペナルティは子どもが納得して自発的に守れるように、子どもと話し合って決めるのがポイントです。親がすべて決めて強制するのは避けましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
竹国弘城(たけくに ひろき)
独立系FP、RAPPORT Consulting Office代表。証券会社、生損保代理店での勤務を経て独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自分のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうためのサポートを行う。1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®、証券外務員一種、宅地建物取引士
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ