つわりで仕事を休んでも大丈夫?活用できる制度や休む際のポイント・注意点

つわりで仕事を休んでも大丈夫?活用できる制度や休む際のポイント・注意点

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妊娠しながら仕事を続けている方は、つわりで体調が悪くなり、業務をこなすのがつらく仕事を休みたいと思うこともあるでしょう。しかし「つわりは病気じゃないから」と思い、休職しても良いかわからないという方も多いかもしれません。

この記事では、つわりでの休職について知りたい方へ、活用できる制度や方法、職場への伝え方の例、休職する際のポイントや注意点、つわりで辛さや不安を感じた時の対処法などをご紹介します。これからつわりが始まるかもしれない、今まさにつわりで辛いという方はぜひ参考にしてください。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

つわりで仕事を休んでも大丈夫?

つわりの重さは個人差があり、程度や症状によっては今まで通りの通勤や勤務体制がつらくなるなど難しい場合もあります。このような時は、勤務体制の変更や休職を職場へ願い出ることが可能です。

つわりで仕事を休むことは、決して悪いことではありません。逆に無理をしてしまうと身体に良くないだけでなく、急なお休みで職場が混乱する可能性もあります。つわりがつらくて通勤や勤務が難しい場合は、「休職で迷惑をかける」と考えずに、医師や会社へ相談したうえで休職も検討しましょう。

つわりはいつから始まる?

つわりがつらくて仕事を休む可能性があるのは、妊娠中のどのあたりの時期なのでしょうか。また、つわりでは実際にどのような症状が現れるのでしょうか。

つわりは妊娠4週~9週頃に現れ始める妊娠初期の症状です。具体的には食欲不振、吐き気、胃の不快感、胃痛、嘔吐、臭いに敏感になる、ひどい眠気などの症状が時間を問わず現れます。吐き気で食べ物が食べられなくなってしまう「吐きづわり」、空腹を感じると気持ち悪くなってしまう「食べづわり」など、症状は人それぞれです。

一般的につわりは8~13週(妊娠3ヵ月初期~4ヶ月半ば)にピークを迎え、15週(妊娠4ヵ月後半)には落ち着いてくるといわれています。また中には、つわりをほとんど感じない方、妊娠中期となる22週(妊娠6ヵ月後半)まで続く方もいるなど、重さや期間にも個人差があります。

つまり、「つわりで仕事をお休みする可能性も人によってそれぞれ異なる」と考えておきましょう。

つわりで休みたい時に活用できる制度や方法

妊娠の可能性がある、妊娠が判明したばかりという方は、つわりが始まった時のことを予想して、職場環境をどのように過ごすか考えておくことが大切です。よく知られる「産前休業」は、産前6週間(双子など多胎妊娠の場合は14週間)前からでないと申請・取得できません。[参考1]

それまでの間、つわりで休みたい時に活用できる制度や方法は、主に次の3つがあります。

つわりで休みたい時に活用できる制度・方法

  • 母性健康管理指導事項連絡カード
  • 傷病休暇
  • つわり休暇

では、それぞれ詳しく説明していきましょう。

参考1:厚生労働省「2.労働基準法における母性保護規定

1.母性健康管理指導事項連絡カード

妊産婦定期健診で医師から体調の悪さに対する指導を受けた場合、医師に「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」[参考2]へ詳細を記入してもらい、勤務先に以下のような勤務の軽減措置を申し出ることができます。

  • 妊娠中の通勤緩和(時差通勤、勤務時間の短縮など)
  • 妊娠中の休憩への善処(時間の延長、休憩回数の増加など)
  • 妊娠中または出産後の症状に対する措置(作業の制限、休業など)

これらは男女雇用機会均等法で定められている制度です。[参考3]従業員から申し出があった場合には、会社は適切に対処しなければなりません。つわりによる勤務体制の変更や休業が必要なことを会社に的確に伝えるためにも、母健連絡カードを活用しましょう。ちなみに母健連絡カードは診断書と同等に扱われるものですので、別途診断書は不要です。[参考4]

参考2:一般財団法人 女性労働協会(厚生労働省委託)「妊娠出産・母性健康管理サポート
参考3:厚生労働省「働く女性の母性健康管理措置、母性保護規定について
参考4:一般財団法人 女性労働協会(厚生労働省委託)「母健連絡カードを使って休業を申請。診断書も必要?

2.傷病休暇

傷病休暇とは、病気やケガのために会社を休む際に取得できる休暇です。
つわりは病気ではありませんが、妊娠悪阻(にんしんおそ)などに発展したり、切迫流産の恐れが出たりした場合には、病気や治療が必要であると解釈されるのが一般的です。

つわりによる体調不良が病気として取り扱われる場合は、診療や治療費も健康保険が適用されることになります。連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかった場合には、会社の健康保険組合より傷病手当金が支給される可能性もあります。[参考5]

但し、傷病休暇扱いとするかは会社によりますので、事前に会社の総務課などに確認しておくと安心でしょう。

参考5:全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)

3.つわり休暇

中にはつわりによる体調不良に特化した「つわり休暇」を設定している会社もあります。たとえば、1日単位、14日以内など利用限度が設けられているようです。つわり休暇の制度の内容は会社によって異なりますので、こちらも事前に確認しておくと良いでしょう。

つわりで休みたい時の伝え方

上司や同僚に妊娠報告をすでにしている場合は、つわりで仕事を休みたい旨を電話やメールで伝えましょう。どちらの場合でも、始業時間の前に伝えることが大切です。

【伝える相手:上司の場合】
「おはようございます。〇〇です。つわりによる体調不良のため、本日はお休みをいただきたいのですが可能でしょうか?取引先△様との打ち合わせの件につきましては、□さんに引き継ぎをお願いしようと考えています。
急なお願いで申し訳ございません。ご迷惑をお掛けしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

追記:明日以降の体調につきましても不明です…。」

【伝える相手:同僚の場合】
「□さん、お疲れ様です。忙しいときに私事で恐縮ですが、つわりによる体調不良で、今日は仕事に行くのが難しい状態です。
急なお願いで申し訳ありませんが、本日の打ち合わせ(取引先△様)について、□さんにお願いしたいのですが、スケジュールを確保していただくことは可能でしょうか?もし難しい場合には、先方へ打ち合わせ延期の連絡をこちらから入れます。

急なお願いで申し訳ありません。ご迷惑をお掛けしますが、どうぞよろしくお願いします。」

業務内容にもよりますが、上司のみでも良い場合や、業務を引き継ぐ人のみといったケースもあるでしょう。必ずしも同僚や職場の人全員に伝える必要はありません。

つわりで休む際のポイントや注意点

こちらでは、つわりで仕事を休む際に気まずくならないためにもぜひ気をつけておきたいことを4つご紹介します。

つわりで休む際のポイントや注意点

  • 業務の引き継ぎを行えるようにしておく
  • 休む前・復帰した後は感謝を伝える
  • 症状を詳しく伝えてみる
  • 無理につわりであることを伝えなくても良い

1.業務の引き継ぎを行えるようにしておく

つわりの期間は体調が不安定ですので、急な早退や欠勤、休職となった場合に備えて、業務の代役を同僚に引き継げるようにしておくことが大切です。特に自分一人で担当している業務がある場合は、普段から誰が引き継いでも困らないようにしておくことをおすすめします。

業務の引き継ぎは、口頭で伝えるよりも書面で準備しておいたほうが、引き継ぎを任された人も把握しやすいでしょう。

2.休む前・復帰した後は感謝を伝える

自分が休んだ分の業務は、他の誰かが負担してくれることになります。これは当たり前のことではなく、「何かあった際にはお互いさま」という善意の気持ちがあってこその周囲からのフォローだということを忘れないようにしましょう。

こういった周囲からのフォローに対して、休む前はもちろんのこと、復帰した後も感謝の気持ちを伝えることが大切です。

3.症状を詳しく伝えてみる

妊娠が判明したら、まずは上司への妊娠報告は早めに済ませておくと、休みや早退の際に連絡がしやすくなります。しかし、つわりといっても症状はさまざまですし、特に未経験の場合や男性にはその辛さが想像できない方もいるかもしれません。

つわりで仕事を休む場合、特に直属の上司へは具体的な症状を伝えてみたほうが理解を得られやすいでしょう。

4.同僚には無理につわりであることを伝えなくても良い

つわりの症状は人それぞれのため理解してもらえない可能性もあること、母体も赤ちゃんもまだまだ不安定なため残念な結果になってしまう可能性もゼロではないことを考えると、つわりで休むことを伝えるのに抵抗を感じる方もいるでしょう。

このような場合、同僚やチーム全体へはつわりであることを無理に伝えず「体調不良で休ませて欲しい」といった伝え方もあります。同僚やチーム全体への妊娠報告は安定期に入ってからおこなう方も多いです。

つわりで辛い・不安な時の対処法

つわりは症状や長さなどが人それぞれであり、同じ人でも一人目と二人目の妊娠では違うこともあるため、どのような症状がいつまで続くのか不安に感じるものです。そんなつわりで辛さや不安を感じる時は、次のような方法で誰かに聞いてもらうのがおすすめです。

つわりで感じる辛さ・不安への対処法

  • 先輩ママに相談してみる
  • 家族と話してみる
  • パートナーに相談してみる
  • 相談サイトや情報サイトを活用してみる

1.先輩ママに相談してみる

つわりによる体調不良へ感じる不安について、まずは経験者に相談してみるのがベターでしょう。出産や休職の経験を持つ先輩ママに相談してみることで、今後やってくる体調の変化や、いつつわりが終わったかなど情報を得ることができます。つわりの症状や長さは人それぞれではありますが、少しでも情報があることで、未知の世界に感じているつわりの不安を減らすことができるでしょう。

2.パートナーに相談してみる

パートナーは、今後ずっと協力し合っていくチームメイトです。つわりで辛い時は家事をお願いしたり、妊娠初期で不安な時は妊婦健診へ同行してもらったりなど、大いに頼りにしましょう。

「異性だから、つわりの辛さを想像してもらえないかも」と感じる方もいるかもしれません。しかし、これから妊娠中期・後期・産後とどんどん体調が変化していきますので、その時々でパートナーからの協力は欠かせないものになっていきます。そのため、早いうちからパートナーに相談して、体調や環境の変化に慣れていってもらうのがベターでしょう。

3.家族と話してみる

パートナーが多忙であるなど、なかなか相談できないケースもあるでしょう。そんな時は家族に相談してみるという方法もあります。近隣に親や姉妹が住んでいる場合は、家事や病院への付き添いをお願いしましょう。遠方に住んでいる場合には、電話で不安を聞いてもらいましょう。身体と心はつながっていますので、「大変だね、早く終わると良いね」など少しでも共感してもらうことで、つわりの辛さが一瞬だけでも和らぐことがあります。

4.相談サイトや情報サイトを活用してみる

辛いつわりへの不安は、妊娠相談サイトや情報サイトを活用してみるのもおすすめです。つわりに関する経験者談や対処法などを見ることができます。

まとめ

つわりがつらく、通勤や勤務が難しいと感じる方は多いと思います。中には退職まで考えてしまう方もいるかもしれません。そんな時は「休職で迷惑をかける」と考えず、ご紹介したような制度や方法を活用して医師や会社へ相談したうえで、必要であれば、まずは休職を検討してみてはいかがでしょうか

つわりで休職する際は、業務の引き継ぎの準備を抜かりなくしておくこと、休職の前後では感謝をきちんと伝えることが大切です。休職の理由については、上司には症状を詳しく伝えるのがベターでしょう。まだ安定期に入る前であることから、同僚には無理につわりであることを伝えなくても良いかもしれません。

つわりで辛さや不安を感じた時には、信頼できる周囲の人に相談してみましょう。同じような経験を持つ先輩ママからの助言は、つわりを乗り切るヒントをもらえるのではないでしょうか。妊娠・出産に関する相談サイトや情報サイトもぜひ活用してみましょう。

どうしてもつわりがひどく、制度の活用や休職が難しい場合には、退職も視野に入れたほうが良い場合もあります。無理のない範囲で母子ともに健康に過ごせる環境を目指しましょう。

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記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ