帝王切開での出産費用は?自然分娩となにが違う?

帝王切開での出産費用は?自然分娩となにが違う?

出産費用は健康保険がきかず出産育児一時金などで賄うため、帝王切開の費用も健康保険がきかないと思っている方は多いのではないでしょうか。

しかし、帝王切開での出産は健康保険の対象になり、さらに民間の医療保険が使える可能性も高いです。

この記事では、費用面を中心に帝王切開と自然分娩の違い、公的補助制度や民間の保険について詳しく解説していきます。

難産になったとしてもせめて費用面では安心できるよう、出産前に確認しておいてほしい内容です。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

帝王切開での出産は増加している

帝王切開とは、子宮を切開することによって胎児を取り出す出産方法です。

要するに、お腹を切って赤ちゃんを取り出すことになります。

帝王切開による出産は、近年増加しています。

厚生労働省の発表によると、出産件数に占める帝王切開の割合は、1984年度は10%程度でした。しかし、2014年度は2倍以上の24.8%で、4件に1件が帝王切開によって出産をしていることがわかります。

そのため、出産を控えている方は事前に帝王切開の概要や費用について知っておくことをおすすめします。

では、どのようなケースで帝王切開になるのでしょうか。

帝王切開になる事例

出産が帝王切開になる代表的な事例は以下の通りです。

  • 双子や三つ子など多胎妊娠
  • 逆子
  • 前置胎盤
  • 児頭骨盤不均衡
  • 妊娠高血圧症候群

双子や三つ子、逆子の場合には帝王切開になりやすくなります。

また、胎盤が通常より低い位置に形成される前置胎盤の場合も出血のリスクが非常に高く、母子の命に関わることが多くなることから帝王切開になるケースが多いです。

さらに、胎児の頭と骨盤のサイズがあっていない児頭骨盤不均衡や、妊娠20週目以降に高血圧の症状が現れる妊娠高血圧症候群でも帝王切開になる可能性が高くなります。

帝王切開が事前に予定されているケース以外にも、最初は自然分娩を予定していたものの、母子の状況によって緊急で帝王切開になるケースもあります。

帝王切開と自然分娩の違い

帝王切開と自然分娩は、子宮を切開するかどうか以外にも様々な違いがあります。

具体的には以下の2つで大きな違いがあります。

  • 入院期間
  • 出産費用

自然分娩の入院期間は出産翌日から4日間程度です。さらに、経過が良好であれば出産5時間程度で歩行ができ、12時間でシャワーも浴びることができるので、自然分娩の場合の入院期間はそれほど長くなることはありません。

一方、帝王切開の場合の入院期間は1週間程度です。

もちろん、経過を見ながら入院期間も変わってきますが、自然分娩より長い期間入院をしなければならない可能性が高いです。

また費用面においても、自然分娩であれば40〜60万円程度の費用ですが、帝王切開の場合には、手術や投薬が必要になるので自然分娩よりも20万円程度は高くなり、入院が長引く場合などは合計100万円以上の費用がかかってしまうこともあります。

【図1】帝王切開の手術費用

帝王切開の手術費用

[出典] 厚生労働省:医科診療報酬点数表(2020年)をもとに株式会社ぱむ作成

これだけの高額な費用を自分で用意することができないときは、帝王切開によって出産することはできないのでしょうか。

そのようなことはありません。

帝王切開の場合には自然分娩よりも多くの公的補助制度を活用することができます。

帝王切開で受けられる公的補助制度

まず、帝王切開による出産には健康保険が適用されます。

健康保険適用となることによって自己負担額が3割になるため、帝王切開にかかる費用は3割分だけ用意すればいいことになります。

さらに、出産には健康保険などから以下のような公的補助制度が用意されており、帝王切開でも利用することができます。

  • 出産育児一時金
  • 出産手当金
  • 高額療養費制度
  • 傷病手当金
  • 医療費控除
  • 育児休業給付金
  • 医療費助成制度

上記のうち、出産育児一時金は42万円が、出産手当金と傷病手当金は出産・育児によって働けなくなった間の生活費が健康保険から支給されます。

高額療養費制度とは、月の医療費(出産費用以外も含む)が一定の金額を超えた場合に、その超過分の医療費を返還してもらえる制度です。

医療費控除は、1年間の医療費(出産費用以外も含む)が10万円を超える場合、確定申告によって所得税の一部を返還してもらうことができます。

また、地方自治体によっては医療費助成制度が用意されています。

医療費助成制度の中身は地方自治体によって異なります。

医療費が無料になったり、商品券が配られる自治体も存在します。

詳しくは地方自治体の健康課などに問い合せてみてください。

このような公的制度を利用することによって、自然分娩よりも費用がかかる帝王切開においても自己負担を大きく減らすことが可能です。

民間の医療保険の対象となる場合も

帝王切開は健康保険が適用される医療行為であるため、民間の医療保険の給付金支払対象にもなります。

そのため民間の医療保険に入っていれば、帝王切開や切迫早産などいわゆる異常分娩のときには給付金支払給付の対象になることもあります。その場合、手術の一時金や入院日額だけでなく、差額ベッド代なども支給されることがあります。

出産前に、ご自身の医療保険の内容を確認しておきましょう。

妊娠はこれからという方は、異常分娩にも対応した医療保険に加入しておくことをおすすめします。(保険会社によって妊娠中は保険に加入できない場合もあります。余裕を持って保険の検討をしておくことをおすすめします。)

帝王切開手術を受けたことによる一時金や入院日数に応じた給付金を受け取ることができる保険がほとんどです。

前述したように、帝王切開の割合は非常に高まっているため、医療保険に加入することによって病気やケガに備えるだけでなく、出産に備えることもできます。

まとめ

帝王切開の割合は非常に増えており、今や出産の4件に1件が帝王切開です。

帝王切開は通常の分娩よりも10〜20万円程度多く費用がかかり、場合によっては100万円以上になってしまうこともあります。

しかし、健康保険が適用されるため、自己負担の割合は3割です。

出産育児一時金などの公的な補助を受けることもできるので、自己資金をそれほど用意しなくても出産費用を賄うことができるでしょう。

また、帝王切開は民間の医療保険の対象にもなるので、出産前に医療保険に加入しておくと安心です。

すでに医療保険に加入しているという方は、帝王切開による出産でどの程度の保障を受けることができるのか、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

記事提供元:株式会社ぱむ