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給料が30万円あれば生活しやすいと考える人も多いでしょう。しかし、月収30万円の場合、手取りは24万円程度です。生活できるかどうかは、手取りを基準に考えておきましょう。
本記事では、月収30万円の手取りやパターン別の生活レベル、将来に向けて備える方法を解説します。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
月収30万の手取りはいくら?
月収30万円といっても、給料日に30万円がそのまま振り込まれるわけではありません。手取り額(振り込まれる額)は30万円よりも少ない金額になります。手取りとは何か、どのようにして計算されるのかを知っておきましょう。
1. 手取り額
手取り額とは、毎月の給料日に実際に振り込まれる金額です。会社員の場合、給与として定められた金額をそのまま受け取れるわけではありません。給与からは税金や社会保険料が差し引きされるため、振込額は給与の額よりも少なくなります。
給与からいくら控除されるかは、収入や家族構成によって変わってきます。一般的には、給与の手取り額は、総支給額の75~85%程度になります。月収30万円の場合、手取り額は22.5万円~25.5万円くらいです。
月収30万円は年収にすると360万円となり、手取り年収は270万円~306万円となります。なお、実際には毎月の給与以外に、年2回程度ボーナスが支給されることが多いでしょう。ボーナスが出る場合には、年収はその分増えることになります。
2. 総支給額とは
総支給額とは会社から支払われる報酬の総額で、額面とも呼ばれます。総支給額は、基本給と手当を合わせた金額です。
基本給とは給与のベースとなる部分で、年齢や勤続年数によって変わります。手当とは基本給に上乗せして支払われる賃金で、時間外手当や通勤手当、役職手当などがあります。
3. 控除とは
控除とは差し引きされるお金を意味します。給与からの控除は、税金と社会保険料の大きく2つに分かれます。具体的には、以下のようなものになります。
- 所得税
- 住民税
- 厚生年金保険料
- 健康保険料
- 介護保険料(40歳以上の場合)
給与には所得税や住民税がかかりますが、自分で直接税金を納めるのではなく、会社が給与から差し引いて納める仕組みになっています。また、社会保険に加入すると社会保険料の負担が発生しますが、社会保険料も給与から控除されます。
一般労働者の平均年収と比較すると?
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、民間の事業所に1年間勤務した給与所得者の平均年収は460万円です。男女別にみると、男性569万円、女性316万円となっています。[参考1]
月収30万円・ボーナスなしの年収360万円は、一般労働者の平均年収を下回ります。ただし、女性の場合には平均年収よりやや多めです。
なお、上述の平均年収にはパート・アルバイトの人も含まれています。正社員のみの平均年収は530万円となっており、男性594万円、女性413万円です。正社員で年収360万円という金額は、女性でも平均年収以下の年収となります。[参考1]
参考1:国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」
月収30万の場合の生活レベル
ここからは、月収30万円と仮定した場合のパターン別の生活レベルを考えてみます。生活レベルは手取りを基準に考える必要があります。ここでは総支給額の80%である24万円を手取りと仮定し、消費支出は総務省の「2023年度 家計調査(家計収支編)」の金額を引用します。
1. 一人暮らしの場合
単身勤労者世帯の消費支出は、平均で1ヵ月あたり18万2,114円です。消費支出とは税金や社会保険料を除いた生活費のことです。内訳は次のとおりです。[参考2]
項目 | 金額 |
食料 | 4万3,617円 |
住居 | 3万1,527円 |
光熱・水道 | 1万1,489円 |
家具・家事用品 | 5,163円 |
被服及び履物 | 5,173円 |
保険医療 | 6,580円 |
交通・通信 | 2万6,266円 |
教育 | 4円 |
教養娯楽 | 2万1,458円 |
その他 | 3万837円 |
合計 | 18万2,114円 |
月収30万円(手取り24万円)で生活費が月18万円程度なら、毎月の収支は約6万円プラスになります。生活にも多少ゆとりがあり、貯金もできるでしょう。
なお、消費支出には住居費(家賃)も含まれていますが、持ち家等で家賃がかかっていない人もいるため、平均値は約3万円となっています。つまり、月18万円で生活できるのは、家賃が3万円以下の場合です。賃貸暮らしで家賃の負担がもっと大きければ、生活の余裕もなくなってしまうでしょう。
参考2:総務省「2023年度 家計調査(家計収支編)」第2表
2. 実家暮らしの場合
実家暮らしの場合、食費や光熱・水道費、住居費、家具・家事用品費などは自分で払わなくてすみます。月収30万円(手取り24万円)から実家暮らしでもかかる支出「被服及び履物」「保険医療」「交通・通信」「教育」「教養娯楽」「その他」の合計費用約9万円を差し引くと約15万円が残ります。実家に毎月5万円入れたとしても10万円程度余ることになります。かなりゆとりがあり、貯金もしやすいでしょう。
3. 夫婦・同棲している場合
一方のみが働いて月収30万円の場合を考えてみます。なお、ここでは手取り24万円のまま計算しますが、結婚している場合には配偶者控除が受けられるため手取りが多少増えます。
二人以上の勤労者世帯のうち「夫婦のみの世帯」の消費支出の平均は月30万8,825円です。[参考3]一方のみが働いていて月収30万円なら、平均的な生活をしても月々の収支が約7万円マイナスになってしまいます。月収30万円で二人暮らしなら、かなり生活レベルを落とさなければなりません。
パートナーも働いていれば、生活レベルを上げることはできます。ただし、パートやアルバイトの収入では厳しいため、二人とも正社員で働いた方がよいでしょう。
参考3:総務省「2023年度 家計調査(家計収支編)」第3-6表
4. 子どもがいる場合
二人以上の勤労者世帯のうち、「夫婦のみの世帯または夫婦と未婚の子どもがいる世帯」の消費支出の平均は月32万6,720円です。[参考3]未婚の子どもがいる世帯も加えると、生活費の平均額は月2万円近く増えることがわかります。
月収30万円で子どもがいれば、共働きでないとかなり生活は厳しくなるでしょう。正社員で共働きしている場合でも、出産前後は産休・育休・時短勤務で収入が減ってしまいます。月収30万円で出産・育児を考えているなら、マネープランをよく考えておく必要があります。
参考3:総務省「2023年度 家計調査(家計収支編)」第3-6表
月収30万で車や家は買える?
月収30万円でもローンを組んで車や家の購入はできますが、借入できる金額には上限があります。上限ギリギリまで借りてしまうと、返済の負担が大きくなり、生活を圧迫してしまうリスクもあります。ローンを組むにあたっては、無理なく返済できる金額か考えて予算を立てる必要があります。
マイカーローンの場合、一般的に借入可能額は年収の25~35%程度です。月収30万円で年収360万円の場合、上限は126万円くらいと考えておきましょう。
住宅ローンの借入可能額は一般的に年収の5~7倍程度といわれています。月収30万円なら2,520万円程度まで借入できる可能性はあります。車や家を購入する場合は、金利を極力抑えるために頭金をできるだけ多くして、借入額を抑えるのがおすすめです。
収入を増やすため・備えるためにできること
月収30万円では余裕のある生活をするのは難しくなっています。今は生活できていても、想定外の事態が起こったら、生活に困ることも考えられます。収入を増やすことや、将来のための貯蓄をしておくことを考えましょう。
1. 転職を検討してみる
月収30万円をもっと高くするために、転職も検討してみましょう。自分の経験や実績をアピールすれば、今よりも年収の水準が高い会社や業界に転職できるかもしれません。転職を成功させるには、自分の強みを分析し、客観的に評価することが必要です。求められるスキルを磨くことで、転職市場における競争力も高まります。情報収集や転職市場でのトレンド把握は欠かせません。今後のキャリアパスを設計した上で、転職活動をおこないましょう。
2. 副業を考えてみる
月収30万円だけでなくプラスの定期収入を得るために、副業をする選択もあります。副業をすれば、転職することなく、空いている時間を有効活用してお金を稼ぐことができます。例えば、ライティング、デザイン、翻訳などのスキルがある人は、自分で仕事を請け負って副業ができるでしょう。また趣味を活かして教室を始めるような副業もあります。今は、インターネットを利用して手軽に仕事の依頼を受けたり、オンラインでセミナーをおこなったりすることができます。家にいながら低コストで始められる副業も多くあるでしょう。また、仕事の合間に単発や短期間でアルバイトをするのも収入を増やす手段の一つです。
ただし副業は会社で禁止されている場合もあります。始める前に、就業規則を確認してから取り組みましょう。
3. 新NISAやiDeCo、個人年金保険を活用する
月収30万円でも手元に資金があるなら、資産運用により将来に向けて備えることも考えてみましょう。新NISAやiDeCoを活用すれば、税制優遇を受けながら資産運用ができます。
新NISAにはつみたて投資枠と成長投資枠がありますが、始めやすいのはつみたて投資枠です。毎月少額の積み立てでも、長期的に続けることでリスクを抑えながらお金を増やせます。また、途中でお金が必要になった場合は売却することもできるので安心して始めやすいです。一方、iDeCoは老後資金の準備に特化した制度です。60歳以降にならないと引き出しができないため、確実に老後資金を貯められます。目的に応じた制度を活用して、将来のために備えましょう。
新NISAやiDeCoで毎月どれくらい積み立てたらいいかわからない人は、「【新NISA】いよいよ新NISA開始!47都道府県、新NISAにいくら投資する?」「【iDeCo】47都道府県、iDeCoを活用しているのはどこ?月々の掛金は?」で都道府県別の平均積立額を紹介していますので、こちらを参考にしてください。
新NISAでもiDeCoでも投資する場合、運用の成果が良ければ資金が増えますが、元本が減ってしまうリスクもあります。資金の全額を投資に回してしまうと、損失が出たときマネープランに影響が出てしまいます。特に、子どもがいる場合にはある程度安全性の高い資産を保有しておきたいものです。資産形成の一つの手段として、個人年金保険の活用も検討してみましょう。
個人年金保険は、主に老後資金を準備するための保険です。払い込んだ保険料の総額を上回る金額を受け取れるため、資産形成の用途にも使えます。受け取り時期を子どもの大学入学に合わせれば、教育資金にも活用できるでしょう。
将来を見据えて資産を備えておくためには
将来にわたって安心して暮らすには、リスクを想定した対策も考えておかなければなりません。資産を守るために備えておきたいことを説明します。
1. 生活防衛資金を用意しておく
毎月の生活費を確保しておくだけでは、不測の事態が起こったときに対処できません。病気やケガ、災害などで生活費が不足した場合に備えて、生活防衛資金を用意しておきましょう。
生活防衛資金の世帯タイプ別の具体的な金額の目安や貯め方を知りたい方は、「生活防衛資金とは?金額の目安や貯め方のポイントを紹介」を読んでみてください。
2. 保険の見直しや加入を検討する
起こるかどうかわからない万一の事態のために、多くの金額を貯蓄しておくのは現実的ではありません。リスクに備えるためには、保険を活用するのが賢い方法です。万一の際に残された家族を守るための生命保険や、入院・手術の際に給付金が受け取れる医療保険などを活用しましょう。
死亡保障や医療保障の必要性や金額は、ライフスタイルによって変わります。保障を用意していない場合には、新たに保険に加入することを検討しましょう。既に加入している保険がある場合には保障内容や保険金額は適切か、定期的に見直してみることが大切です。
フコク生命ではライフスタイルに合わせた保障を用意できる各種の保険を用意しています。詳しく知りたい方は、資料請求ページから資料請求の上、ご検討ください。
まとめ
給料からは税金や社会保険料が控除されます。月収30万円の場合、手取りは24万円くらいになります。一人暮らしならそれほど困らないかもしれませんが、家族が増えると生活が厳しくなってしまうでしょう。
毎月の収入からは、生活費を確保するだけでなく、貯蓄もしておく必要があります。生活防衛資金を用意した上で、将来のライフイベントのための貯蓄をしておきましょう。預貯金だけでなく、投資も活用すれば効率よく資産形成できます。
さらに将来のリスクに備えるには、保険という選択肢もあります。必要かつ十分な保障を用意するために、保険の見直しをすることをおすすめします。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
森本 由紀(もりもと ゆき)
行政書士、FPライター。法律事務所で経験を積んだ後、独立。クライアントの生活設計や子育てについてのアドバイス、気持ちを整理するためのカウンセリングに力を入れている。FPとして、各種サイトで法律・マネー記事やコラムの執筆・監修も担当。AFP(日本FP協会認定)、2級FP技能士、行政書士
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ