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勤務先に退職金制度がなく、老後資金に不安を感じているという方もいるかもしれません。
今回は、退職金が無い会社の割合、社員と会社双方のメリット・デメリット、将来の備えや対策などを詳しく解説します。退職金制度がある会社に勤務していても受け取れない場合についても触れますので、ぜひ参考にしてください。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
退職金制度が無い会社はどれくらい?
まずは、厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」から退職金制度が無い会社はどれくらいあるのか見てみましょう。
退職金制度有無、企業割合[参考1]
企業規模 | あり | なし |
令和5年調査計 | 74.9% | 24.8% |
1,000人以上 | 90.1% | 8.8% |
300~999人 | 88.8% | 11.1% |
100~299人 | 84.7% | 15.1% |
30~99人 | 70.1% | 29.5% |
全体では退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合が74.9%です。これに対し、退職給付の無い企業の割合は24.8%ですので、「国内企業の約4分の1の会社には退職金制度を設定していない」ということになります。また、企業規模が小さいほど、退職金制度が無い割合が高くなっていることもわかります。
参考1:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」
退職金制度が無いのは違法ではない?
結論から言えば、会社に退職金制度が無くても違法ではありません。国家公務員などの場合は「国家公務員退職手当法」にて該当する職員への退職金の支払いが定められています。[参考2]しかし民間企業では、退職金制度は福利厚生の一部であり、導入するかどうかは各企業の就業規則内で決定されるものとなっています。そのため会社の就業規則に退職金制度の記載がある場合、退職金は法的に賃金の1つに該当しますが、記載が無い場合は会社側に退職金の支払いの義務はなく、違法にもなりません。[参考3]
参考2:e-gov「国家公務員退職手当法」
参考3:厚生労働省「労働条件に関する総合情報サイト」
退職金が無い場合のメリット
勤めている会社に退職金制度が無い場合、一般的なイメージとして将来の資金面で不安を感じる方もいるかもしれませんが、実は次のようなメリットがあります。
1. 給与や賞与が高めに設定されていることが多い
退職金制度を設けていない企業では、退職金の代わりとして、毎月の給与や賞与に上乗せされる形で支給されることが多いです。これにより現役時代の収入が増えることになりますので、生活水準を上げたり、自身で資産運用したりする機会が増え、柔軟な資金活用が可能になります。また、若いうちから多くの収入を得られることで、ライフプランの選択肢が広がるでしょう。
2. 老後の資金計画が立てやすい
退職金への期待や依存がなくなるため、より現実的な資産形成や老後設計が可能です。あらかじめ退職金を想定しない分、毎月の収入をベースに将来の資金計画を立てていくことになりますが、逆に言えば個人のライフスタイルやリスク許容度に応じた資金運用がしやすくなるでしょう。
3. 税金関連の手続きが不要
退職金は一時所得として確定申告が必要になる場合が多いです。手続きにより退職所得控除を受けることが出来る一方で、手続きが面倒という方もいるでしょう。その点、退職金がなく給与や賞与が高めに設定されている場合は、通常の給与所得控除のみで済みます。結果として、退職時の煩雑な処理を避け、より円滑に次のステップに進むことができます。
退職金が無い場合のデメリット
一方で、勤めている会社に退職金制度が無い場合のデメリットとしては、主に次の2つが挙げられるでしょう。
1. 老後資産形成を自身で用意する必要がある
通常、退職金は大きな一時金として支給されるため、老後の生活費や医療費、余暇活動の資金として活用される場合が多いです。退職金が無い場合は、現役時代から投資や貯蓄を積極的におこない、老後の生活に必要な資金を自力で用意していく必要があります。メリットとして「老後の資金計画が立てやすい」ことを挙げましたが、一方で資産形成を自主的に始める必要があり、デメリットに感じる人もいるでしょう。
2. 万が一の備えをしておく必要がある
退職金は、失業時や病気で働けなくなった際のセーフティネットとしての役割も担います。そのため退職金が無い場合は、そういった不測の事態に備えて何らかの手段で緊急用資金を確保するなど、自身で安全対策を講じる必要があります。特に、収入が途絶えた際の生活費を確保しておくことが重要です。
会社側のメリット・デメリット
では、退職金制度が無い場合に会社側が得られるメリット・デメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。
退職金制度が無い場合の会社側のメリット
- コスト削減につながる
退職金制度を設けないことで、会社側としては運用にかかる人件費や積立金などのコストを削減でき、その手間や手続きにかかる時間も省けます。 - 雇用管理の柔軟性がアップする
従業員が入退社する際にも大きな資金を準備する必要がなくなるため、人材の採用・削減についても必要な時にスムーズにおこなうことができます。 - 資源の再投資が可能になる
退職金に充てるはずだった資金を社員教育や設備投資として使うことができ、企業力の上昇につなげることが可能です。
退職金制度が無い場合の会社側のデメリット
- 従業員のモチベーションが低下する
退職金制度が無い場合、従業員にとっては長期的に勤務するメリットが少ないと感じ、就業意欲の低下につながることもあります。 - 優秀な人材の流出の可能性がある
長期的に勤務するメリットが少ないため転職してしまうなど、優秀な人材が流出するリスクが高まります。 - 企業の税負担アップの可能性がある
退職金制度に関する税制優遇措置が受けられないため、企業の税負担が増える可能性があります。
退職金制度がある会社に勤務していても受け取れない場合もある
退職金制度の有無については、前述のとおり社員と会社の双方にそれぞれメリット・デメリットがあります。そこで、退職金制度のある会社を選ぶ方も多いかもしれません。しかし「退職金制度がある会社に勤務していたつもりが、いざ退職となった際に退職金が受け取れなかった」という場合もありますので注意しましょう。こちらでは次の2つのケースをご紹介します。
1. 勤続年数が規定に達していない
退職金制度がある企業では、一般的に退職金を受け取るための最低勤続年数が設定されています。例えば「3年以上勤務」といった条件があり、それに満たない場合は支給対象外となります。これは、長期間勤務など会社への貢献度や帰属意識を考慮した制度設計によるものです。このように、勤続年数が規定に達していないと退職金を受け取れない場合があります。
2. 雇用形態によって支給されない場合がある
退職金制度は、必ずしもすべての雇用形態の労働者に適用されるわけではありません。正社員に対しては退職金が支給される企業でも、契約社員やアルバイト、パートタイマーといった非正規社員には支給されない場合もあります。
但し、近年は働き方改革の流れで、非正規雇用者にも支給する企業が増えつつあります。自分の雇用形態に退職金制度が適用されているか、しっかり確認しておきましょう。
退職金が無い場合の将来の備えや対策について
こちらでは、退職金制度が無い会社に勤めている方へ、将来に備えるためのおすすめな対策を4つご紹介します。できそうなものから、ぜひ始めてみてはいかがでしょうか。
1. 個人年金保険を利用する
個人年金保険は、老後の生活資金を計画的に準備できる保険商品です。毎月一定額を保険会社に支払い、積立期間終了後に年金として受け取ることができます。受取時期や期間を自由に設定でき、死亡保障も付いているのが特徴です。また、支払った保険料の一部が所得控除の対象となりますので、税制上のメリットもあります。長期契約であることが多いので、自分のライフプランに合った商品を選びましょう。
個人年金保険についてご興味のある方はフコク生命の商品「個人年金保険 みらいプラス」もぜひご覧ください。
2. iDeCoや新NISAを活用する
税制優遇を受けられるiDeCo(個人型確定拠出年金)や新NISA(少額投資非課税制度)を活用して、資産運用をしていくのもおすすめです。
iDeCoは、自分で設定した掛金を積み立て、投資信託などの運用商品を自分で選び運用し、掛金と運用益を加算した金額を将来年金として受け取ることができる任意の年金制度です。掛金は全額所得控除となり、運用益も非課税で再投資が可能で、将来の受取時も大きな控除を受けることができます。年金の受給年齢まで掛金を強制的に積み立てていくことになり、退職金の代わりに長期的にしっかりと準備しておきたい方におすすめです。
新NISAも投資信託などの運用益が非課税となる投資用税制優遇制度ですが、少額から始めることができ、いつでも資金を引き出せるのが魅力です。また、18歳以上であればiDeCoのように65歳未満までなど、投資できる期間に制限がないのもメリットでしょう。以上のことから新NISAは、無理なくできる範囲で退職金の代わりに準備しておきたい方におすすめです。
双方ともに投資ですので、リスクもあることをぜひ認識したうえで、退職金の代わりに将来に備えて準備することをおすすめします。
投資についてさらに詳しく知りたいという方は「【新NISA】いよいよ新NISA開始!47都道府県、新NISAにいくら投資する?」や「【iDeCo】47都道府県、iDeCoを活用しているのはどこ?月々の掛金は?」もぜひ参考にしてみてください。
3. 退職金制度がある会社に転職する
将来の退職金に不安がある場合、退職金制度のある会社への転職も1つの方法でしょう。特に中堅・大手企業では充実した退職金制度を設けているところが多い傾向があります。但し、転職する際は退職金制度の有無だけでなく、その内容や条件も確認することが大切です。例えば、退職金の支給基準、受給開始年齢や時期、さらには早期退職となった際の対応など、万一の際に慌てることがないよう事前に確認しておきましょう。
4. 副業を考えてみる
勤務先に退職金制度が無く、副業が認められている場合、副業を検討するのも1つの方法です。副業は現職の収入にプラスして、将来に備えて資産を増やしていける有効な手段となるでしょう。
副業を探す方法はさまざまありますが、できるだけリスクを抑えて、長期的に続けていける副業を選ぶことをおすすめします。そこでこれまでの経験や知識、趣味や特技を活かしてみてはいかがでしょうか。例えば営業経験があれば営業代行やコンサルタント、写真撮影が趣味であれば写真撮影講師やカメラマンなど、副業で収入を得られるチャンスにつながります。
また、新しいスキルや資格の取得により、自身のキャリアチェンジにつなげるのであれば、ずっと憧れていたWebデザイナーやプログラマーを目指してみる、などの副業もあるでしょう。
退職金の代わりとして副業を始める際は、将来的に安定した収入につながるかどうかという点を重視することも大切です。まずはインターネットで気になる副業の情報を集めてみて、興味のあるものがあればオンラインプラットフォームなどを活用して、リスクを最小限に抑えてテストとして始めてみることをおすすめします。
まとめ
退職金制度が無い企業は全体の約25%で、特に小規模企業ほどその割合が高くなっています。民間の企業では、退職金制度は福利厚生として企業が自主的に設定するものです。制度の有無は各企業の就業規則によりますので、退職金制度が無くても違法ではありません。
退職金が無い場合のメリットは、給与や賞与が高めに設定されることが多く、現役時代の収入が増える点です。一方デメリットは、老後資産形成や不測の事態への備えを自身でおこなう必要がある点だといえるでしょう。企業にとってはコスト削減が可能ですが、社員の雇用維持意欲が低下する可能性もあります。
対策としては、個人年金保険への加入、iDeCoや新NISAの活用による資産形成、退職金制度がある企業への転職、副業による収入増加などが挙げられます。いずれも長期的な視点で計画的に取り組むことが重要だといえるでしょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
是枝花名子(これえだ かなこ)
FPライター。大学卒業後、大手生命保険会社にて法人営業を担当。住宅ローンの繰り上げ返済、子どもの教育資金や老後資金作りを極めるため、改めてFP技能士を取得。専門知識と主婦目線を活かした記事執筆が好評を呼び、現在は主にメガバンク、大手不動産サイト等にて保険・不動産・翻訳ライターとして活動中。2級FP技能士
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ