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個人事業主が引越しする場合、納税地の変更の有無や、自宅兼事務所にしているかどうかで、手続きや経費計上の方法が異なります。
知らずに引越しすると、後のトラブルの原因になる可能性がありますので、引越しの状況に応じて必要な手続きをチェックしておきましょう。
この記事では、個人事業主が引越しで気を付けるべきポイントや、引越しの際に必要な手続きと届出について解説します。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
※フコク生命では税理相談は請け負っておりませんので、確定申告や経費計上等の税理処理については税理士等にご確認ください。
個人事業主が引越す際に気を付けるポイントは?
個人事業主が引越す際に注意すべきポイントを3つご紹介します。
1. 納税地が変わるかどうか
新たに事業を開始したとき、管轄の税務署にて「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。[参考1]
開業届出には納税地を記載する項目があり、「住所地」「居住地」「事業所等」のいずれかを選択した上で、それぞれの住所を記載するしくみになっています。
そのため、自宅や事業所の引越しにともない、開業届の納税地に変更が生じる場合は、再び個人事業の開業届を提出しなければなりません。
また、所得税などの税金を納める場所が変わりますので、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」を前住所の管轄税務署に提出する必要があります。[参考2]
一方、引越しはするけれど、納税地は変わらないという場合は、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」は不要です。
たとえば、もともと事務所を納税地にしていて、自宅兼事務所から自宅のみ引越すことになる場合などが該当します。
ただし、個人事業の開業・廃業等届出書には、納税地以外の住所地・事業所等を記載する項目がありますので、納税地が変わらない場合でも、新たな引越し先である自宅の住所を記載した開業届を提出する必要があります。
また、引越し先が県外や市街地の場合、事業所で使用している固定電話の番号が変更になります。
その場合、所轄の年金事務所にて、「健康保険・厚生年金保険事業所関係変更(訂正)届」を提出します。[参考3]
参考1:国税庁「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
参考2:国税庁「[手続名]所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出手続」
参考3:日本年金機構「事業主の変更や事業所に関する事項の変更があったときの手続き」
2. 自宅と事業所が同じ場合、経費計上できるのは「事務所が占める割合」
事業所の引越しにかかる費用は、経費として計上できる可能性があります。
計上例として、引越し業者への支払いは「雑費」、荷造りに使った段ボール箱などの費用は「荷造運賃」、引越し先の物件に支払った礼金などは「地代家賃」などがあります。
一般的に、経費として計上できるのは、あくまで事業に関連する引越しの部分とされています。
たとえば自宅兼事務所を丸ごと引越しした場合、半分は私的な引越しになりますので、引越し費用は自宅と事務所で按分する必要があるでしょう。
なお、自宅兼事務所から、事務所部分のみを引越す場合は、引越しにかかった費用のすべてを経費とできる場合があります。
3. 従業員を雇っているか、そうでないかで手続きの種類が異なる
従業員を雇っている場合、所轄税務署にて「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を提出する必要があります。[参考4]
引越しによって「給与支払事務所」を移転した場合は、所轄の税務署にて再び同じ届出を提出しなければなりません。
また、常時5人以上の従業員を使用する事業所や、厚生労働大臣の認可を受けて健康保険・厚生年金保険の適用を受けた事業所 [参考5]は、「健康保険・厚生年金保険適用事務所 名称/所在地変更(訂正)届」を管轄の年金事務所に提出する必要があります。[参考6]
参考4:国税庁「[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」
参考5:日本年金機構「適用事務所と被保険者」
参考6:日本年金機構「適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄内の場合)の手続き」
個人事業主が引越す際に必要な手続き
個人事業主が引越す際に必要な手続きを、納税地が変わらない場合と変わる場合の2パターンに分けて説明します。
納税地が変わらない場合
納税地が変わらない場合に必要な手続きは、「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」です。
開業届は、引越しがあった日から1ヵ月以内に、納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。[参考7]
届出書は税務署の窓口にあるほか、国税庁のHPからもダウンロードして使用することが可能です。
参考7:国税庁「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
納税地が変わる場合
納税地が変わる場合は、「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」に加え、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」の提出が必要になります。
国税庁のHPなどから書式を入手し、必要事項を記載して、引越し前の事務所等の所在地の所轄税務署に提出します。
届出の期限は特に設けられていませんが、届出書の提出があった日以後に納税地が変更されますので、なるべく早めに手続きしましょう。[参考8]
参考8:国税庁「[手続名]所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出手続」
引越しの際に必要な届出一覧
個人事業主が引越す際に必要となる届出を一覧にまとめました。
引越しの状況に応じて必要な手続きが異なりますので、事前に確認しておきましょう。
税金関連の手続き
引越し手続きのうち、税金関連のものを3つご紹介します。
1. 所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出手続
引越しにあたり、以下いずれかに該当する場合に行う手続きです。[参考9]
- 引越し等によって納税地に異動があった場合
- 住所を有する方が、その住所地に代えて居住地を納税地とする場合
- 住所または居所を有する方が、その住所地または居所地に代えて事業所等の所在地を納税地とする場合
- 居所地または事業所等の所在地を納税地としていた方が、その納税地に代えて住所地を納税地とする場合
届出書は税務署の窓口や、国税庁HPからダウンロードして入手できます。
手数料は不要で、異動・変更前の納税地を所轄する税務署長に届出書を提出すればOKです。
届出書と共に本人確認書類を提示するか、あるいは写しを添付します。
参考9:国税庁「[手続名]所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出手続」
2. 個人事業の開業・廃業等届出署
新たに事業を開始したときや、事業所の新設・増設・移転・廃止したときに行う手続きです。
移転の事実があった日から1ヵ月以内に、個人事業の開業・廃業等届出書を、納税地を所轄する税務署長に提出します。[参考10]
手数料は不要で、届出書と共に本人確認書類を提示するか、あるいは写しを添付します。
参考10:国税庁「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
従業員を雇用し、給与を支払っている者が、事務所等を開設・移転・廃止した場合に行う手続きです。
所轄税務署の窓口または国税庁HPで入手した書面に必要事項を記載し、引越しのあった日から1ヵ月以内に所轄の税務署に提出します。[参考11]
なお、事務所の移転にともなって「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出した場合、この手続きは不要となります。
参考11:国税庁「[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」
税金以外の手続き
個人事業主の引越しにともなう税金関連以外の手続きを2つご紹介します。
1. 健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届
同一の年金事務所の管轄地域内で所在地を変更する場合に行う手続きです。
引越しの事実が発生してから5日以内に、管轄の年金事務所にて、住民票のコピーを添えて届出書を提出します。[参考12]
参考12:日本年金機構「適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄内の場合)の手続き」
2. 健康保険・厚生年金保険事業所関係変更(訂正)届
引越しにともない、事業所の連絡先電話番号に変更があった場合に行う手続きです。
引越しの事実があった日から5日以内に、管轄の年金事務所にて届出書を提出します。[参考13]
参考13:日本年金機構「事業主の変更や事業所に関する事項の変更があったときの手続き」
まとめ
個人事業主が引越す場合に必要な手続きは、納税地変更の有無や、従業員の有無などによって異なります。
自分の引越しではどのような手続きが必要なのか、事前にきちんと確認し、引越し後は速やかに手続きを済ませられるようにするのがベストです。
なお、事務所の引越にかかった費用の経費計上についても確認しておきましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
記事提供元:株式会社ぱむ