年金の制度改正で、2022年4月から何が変わる?

年金の制度改正で、2022年4月から何が変わる?
                 

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私たちの老後のくらしを支える基盤となる年金制度は、時代の流れやニーズを踏まえ、これまで何度か見直しが行われてきました。

そして今回、新たに「年金制度改正法」が成立し、2022年4月から順次施行することが決まっています。

新たな年金制度の改正により、何がどのように変わるのでしょうか。

この記事では、年金制度改正法の概要と、2022年4月から変化するポイント、働き方にもたらす影響などについて解説します。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

年金制度改正法とは?

年金制度改正法は、2020年(令和2年)5月29日に成立し、同年6月5日に公布された法律です。

正式名称を「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」といい、2022年(令和4年)4月から順次施行される予定となっています。

今回の年金制度改正法のねらいは、より多くの人が、より長く、多様な形で働く社会へと変化する現代において、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図ることです。

現代日本では少子化の影響で生産年齢人口が年々減少し、働き手不足が深刻化しています。

一方で、健康寿命は年々延びており、リタイア後のセカンドライフ期間が長期化していることから、高齢者の経済基盤をより強化させることが大きな課題となっています。

そこで政府では、少子高齢化が進む現代日本が抱える課題を解決するために多様な働き方の推進を目指していますが、現行の年金制度のままでは「最大でも70歳までしか受給開始時期を繰り下げられない」「受給資格取得後の被保険者期間が年金額に即時反映されない」など、時代のニーズに合わない矛盾が発生するという新たな課題を抱えることになります。

今回の年金制度改正法は、そんな現行の年金制度の矛盾や問題を解消し、時代のニーズに合った制度に変えることを目的としています。

年金制度改正法で何が変わる?ポイントは?

今回の年金制度改正法によって変わるポイントは、大きく分けて4つあります。

ここでは、厚生労働省の「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」をもとに、年金制度改正法によって変わることと、その概要について解説します。

①被用者保険の適用拡大

2016年10月以降、特定適用事業所で働くパート・アルバイトなどの短時間労働者は、一定の要件(週の所定労働時間が20時間以上、雇用期間見込みが1年間以上、月額賃金88,000円以上、学生ではない)を満たすことで、厚生年金や健康保険に加入できるようになりました。

しかし、ここでいう「特定適用事業所」とは、短時間労働者を除く被保険者の総数が常時500人を超える事業者のことで、実質的に大企業で働いている方にしか適用されないという課題を抱えていました。

今回の年金制度改正法により、健康保険・厚生年金保険の適用対象とすべき事業所の要件が変更され、2022年10月には常時雇用する被保険者の総数が100人超、その2年後にあたる2024年10月からは50人超へと段階的に引き下げられることになります。

また、「雇用期間見込み1年以上」という要件も「雇用期間見込み2ヵ月超」に緩和されることにより、パートやアルバイトとして働く人も、年金の上乗せ支給を受けられる厚生年金保険に加入しやすくなります。

参考:日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大

②在職中の年金受給の在り方の見直し

現行制度では、厚生年金の受給権を取得した(65歳に到達した)後にも引き続き就労した場合、その受給権取得後の被保険者期間が年金額に反映されるのは、資格喪失時(退職時・70歳到達時)となっています。

しかし、今回の年金制度改正法により、受給権取得後~資格喪失時までの被保険者期間は、退職を待たずに反映される仕組みになりました。

また、現行制度では、60~64歳までの就労者について、賃金等と年金受給額の合計が月額28万円を超えると、超過した分の年金支給がストップされるという決まりがありました。

年金制度改正法の施行後は、年金支給が停止される要件が「月額28万円」から「月額47万円」に緩和されます。

これまで月額28万円の壁に阻まれて年金の支給が停止されていた方も、年金制度改正法の施行後は年金を満額受け取れる可能性があります。

③受給開始時期の選択肢の拡大

年金の支給開始時期は原則として65歳ですが、本人からの申し出があれば、60~64歳で繰上げ受給したり、逆に66歳~70歳に繰下げ受給したりすることが可能となっています。

2022年4月以降は、年金を繰下げ受給できる時期が5年延び、75歳まで延長されます。

繰下げ受給を行うと、延びた分(1ヵ月あたり0.7%)だけ受給額が増額されるため、受給開始時期を75歳まで延ばせば、働けなくなった後に受け取れる年金を充実させることができます。

④確定拠出年金の加入可能要件の見直し等

企業型DCや、個人型DC(以下iDeCo)といった私的年金は、より豊かな生活を送るために公的年金の上乗せの給付を保障する制度です。

現行制度では企業型DCは65歳未満、iDeCoは60歳未満までが加入要件となっていますが、2022年4月に年金制度改正法が施行された後は、それぞれの加入要件について、企業型DCは70歳未満、iDeCoは国民年金の被保険者であれば加入できるようになります。

また、受給開始時期も選択肢が拡大され、60歳から75歳までの間で選択できるようになります。

働き方が変わる?年金制度改正法の影響とは

年金制度改正法が施行されると、働く人はもちろん、労働者を雇う企業側にも影響があります。

具体的にどのような変化・影響が現れるのか、労働者側と企業側の2つに分けて解説します。

労働者側への影響

年金制度改正法が施行されると、まず短時間労働者や高齢者の働き方の選択肢が大幅に増えます。

家事や育児で忙しい女性や、体力や筋力が衰える高齢者は、働ける時間に制約があるため、パートやアルバイトをして収入を得ているという人も多いですが、現行の制度では被保険者が常時500人を超える大手企業でなければ、短時間労働者が厚生年金や健康保険などの被用者保険に加入することはできませんでした。

そのため、被用者保険への加入を希望する場合、

具体的には、
1.大企業で週20時間以上働き、賃金月額を8.8万円以上得る
2.中小企業でフルタイムで働く、あるいは所定労働時間・日数を正規職員の4分の3以上にする
のいずれかに当てはまる必要がありました。

しかし、年金制度改正法によって厚生年金保険を含む被用者保険の適用が拡大されれば、パート・アルバイトとして働きながら厚生年金に加入しやすくなるため、自分のライフスタイルに適した働き方を選べるようになります。

また、今回の年金制度改正法によって在職中の年金受給の在り方や、年金の受給開始時期、確定拠出年金の加入可能要件がそれぞれ見直されることにより、老後の資金を作るための手段が増加・充実します。

現代日本では、老後生活を送るためには2,000万円の備えが必要とされる「老後2,000万円問題」に不安を感じる方も多いですが、今回の改正によって老後の資金づくりへの不安や課題が軽減される可能性があります。

企業側への影響

厚生年金保険や健康保険を含む被用者保険では、保険料は従業員と事業所が折半する仕組みになっているため、年金制度改正法によって短時間労働者の厚生年金加入者が増えたり、被保険者期間が延びたりすると、企業側の保険料負担が大きくなります。

一方で、被用者保険に加入できるという強みをアピールできるようになり、女性や高齢者からの求人応募が増えて働き手不足を解消できる可能性があります。

新たな人材の獲得だけでなく、優秀な人材を長く雇用できるという利点もあり、生産性の向上や企業の成長・発展を見込めるようになります。

まとめ

「人生100年時代」といわれる現代日本では、定年退職後に控えている長いセカンドライフに必要な資金をいかに確保するかが大きな課題となっています。

2022年4月より年金制度改正法が順次施行されると、パートやアルバイトの人でも被用者保険に入りやすくなったり、老後の資金づくりの手段やプロセスの選択肢が増えたりと、働く側にさまざまな影響がもたらされます。

今回の年金制度改正法は、「自分のライフスタイルに合わせて働きたいけれど、それだと被用者保険に加入できない」「働かなくなった後の年金を充実させたい」といった、現代日本ならではの悩みやニーズを反映した内容となっていますので、これまで現行の年金制度がネックで働き方を制限されてきた方も、自分に合った方法で老後の資金づくりに取り組めるようになるでしょう。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

記事提供元:株式会社ぱむ