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「いざというとき、入院費用はどれくらいかかるのかわからない」と不安に感じている方は、実は多いのではないでしょうか。
この記事では、入院費用の項目から、高額療養費制度など入院時の自己負担額を抑える方法まで解説していきます。万一の際に治療に専念できるよう、必要な資金の準備に役立ててください。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
入院費用や入院日数の平均はどれくらい?
入院費用や入院日数の平均はどれくらいなのでしょうか。生命保険文化センターがおこなった「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」のデータで見てみましょう。
1. 入院日数の平均
過去5年間で入院経験がある方の、直近の入院における入院日数の平均は「17.7日」という調査結果が出ています。もっとも多いのは「5~7日(27.5%)」、次いで「8~14日(24.1%)」となっています。また、年齢別で見ると、5~7日の短期入院では20~40代(20代 38.6%、30代 40.4%、40代 35.7%)、31~60日の長期入院では70代(10.5%)が多いことがわかります。[参考2]
理由として、20~40代については病気やケガで入院した場合でも回復力が高いため、短期間で治療が終了することや、医療技術の進歩、社会復帰への意識が高いことが背景にあることが伺えます。
一方、70代については、加齢にともなう慢性疾患の増加や身体機能の低下、そして介護と医療の複合的なニーズが影響し、回復に時間がかかりやすいことが主な要因であると考えられます。
直近の入院時の入院日数(年齢別)[参考1]
5日未満 | 5~7日 | 8~14日 | 15~30日 | 31~60日 | 61日以上 | 平均入院日数 | |
20代 | 20.5% | 38.6% | 15.9% | 13.6% | 6.8% | 4.5% | 18.0日 |
30代 | 22.8% | 40.4% | 19.3% | 10.5% | 5.3% | 1.8% | 12.1日 |
40代 | 19.4% | 35.7% | 26.5% | 12.2% | 2.0% | 4.1% | 15.1日 |
50代 | 24.2% | 28.9% | 21.9% | 18.8% | 4.7% | 1.6% | 14.7日 |
60代 | 21.1% | 23.9% | 25.6% | 18.3% | 5.6% | 5.6% | 18.8日 |
70代 | 16.4% | 21.6% | 25.8% | 21.3% | 10.5% | 4.5% | 20.5日 |
全体 | 19.8% | 27.5% | 24.1% | 17.8% | 6.8% | 4.0% | 17.7日 |
参考1:公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
2. 入院費用の目安
入院費用は入院日数によって大きく異なりますが、全日数の平均で見ると、1回の入院でかかる自己負担費用は平均で「19.8万円」です。また、1日あたりの自己負担費用の平均は「2万700円」となっています。[参考2]
1回の入院でかかる自己負担費用の平均19.8万円を超え、20万円以上の入院費がかかった方は30.4%です。つまり入院患者のおよそ3.3人に1人が入院費用を20万円以上負担していることを考えると、突然の入院に備えておくことが大切だといえるでしょう。
直近の入院時の自己負担費用(全日数の平均)[参考2]
5万円未満 | 9.4% |
5~10万円未満 | 26.5% |
10~20万円未満 | 33.7% |
20~30万円未満 | 11.5% |
30~50万円未満 | 10.1% |
50~100万円未満 | 5.8% |
100万円以上 | 3.0% |
全体平均 | 19.8万円 |
入院時の1日あたりの自己負担費用
5,000円未満 | 13.8% |
5,000~7,000円未満 | 8.8% |
7,000~1万円未満 | 11.5% |
1万~1.5万円未満 | 23.3% |
1.5万~2万円未満 | 7.9% |
2万~3万円未満 | 16.0% |
3万~4万円未満 | 5.5% |
4万円以上 | 13.2% |
全体平均 | 2万700円 |
参考2:公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
入院した際にかかる費用にはどんなものがある?

ケガや病気で入院となった際にかかる費用には、ベースとなる入院基本料に加え、他にもさまざまなものが含まれています。万一に備え、入院費用の内訳についても把握しておきましょう。
- 入院基本料
- 診察費用・治療費用
- 差額ベッド代
- 先進医療費
- 自由診療費
- 食事代
- 生活するための消耗品
- 入院中のサポート費用
- 交通費
1. 入院基本料
入院基本料は、医療施設の利用にかかる費用で、主に医学的管理料や看護料、病棟管理料が含まれます。[参考3]基本的に健康保険が適用されるため、一般的な自己負担の割合は3割で、これに入院日数を乗じて算出されます。この入院基本料は病院の規模や地域、設備や看護体制、病室の種類などによって異なります。
参考3:厚生労働省 中央社会保険医療協議会「入院基本料について」
2. 診察費用・治療費用
診察費用や治療費用は、入院中に受ける医師の診察や治療にかかる費用です。こちらには検査や手術、投薬、リハビリ指導なども含まれます。具体的な費用はケガや病気の種類、治療内容によって大きく異なります。検査や手術などをおこなう場合は高額になる可能性があります。こちらも基本的に健康保険が適用されるため、一般的な自己負担の割合は3割です。
3. 差額ベッド代
差額ベッド代は、個室や特別室を利用する場合に発生する追加費用です。通常は健康保険の適用外ですので、全額自己負担となります。病院や部屋のグレードによって価格は異なりますが、1日あたりの差額ベッド代の平均は「6,714円」となっています。[参考4]
参考4:厚生労働省 中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況(令和5年7月現在)」
4. 先進医療費
先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた治療のことです。例えば、がん治療における陽子線治療などが挙げられます。この先進医療に関わる技術料(先進医療費)は健康保険の適用外のため、全額自己負担となります。ただし、その際の診察、検査、投薬、入院など通常の治療と共通する部分の費用については保険の適用となりますので、一般的な自己負担の割合は3割です。[参考5]
参考5:厚生労働省「先進医療の概要について」
5. 自由診療費
自由診療費とは、健康保険の適用外となる診察や治療にかかる費用です。美容医療やインプラント、海外の新薬を用いた治療などは、一般的に自由診療に該当します。自由診療費は治療内容や病院によって異なるだけでなく、全額自己負担となります。
6. 食事代
食事代は、入院中に提供される食事にかかる費用で、入院基本料とは別途で支払います。食事代の自己負担額は、一般所得者の場合で1食あたり490円です(全国一律)。[参考6]一日あたりの食事代は「1,470円」が目安となるでしょう。
参考6:厚生労働省 保険局「入院時の食費について」
7. 生活するための消耗品費
入院中にかかる消耗品費として、パジャマ、タオル、洗面用具、ティッシュなど紙製品のほか、ベッド脇に設置されているテレビの視聴料金、着替えのクリーニング代などがかかる場合があります。これらは全て自己負担となります。
8. 入院中のサポート費用
お子さんや介護を必要とする家族がいるにも関わらず、入院せざるを得ないケースもあるでしょう。このような場合、入院する方に代わって家族の生活を支えることが必要になる場合があります。このような場合、入院する方に代わって、ベビーシッターやヘルパーなどの費用が発生する可能性もあるのです。
9. 交通費
入院中の家族の訪問や、入退院時でかかる交通費についても、忘れがちな出費として挙げられます。特に遠方の病院に入院する場合には、交通費が大きな負担となることがあります。自家用車を利用する場合は、ガソリン代や駐車場代も忘れずに予算に入れておきましょう。
入院費用の自己負担額を抑える方法

入院となった場合にはさまざまな費用がかかります。さらに、長期入院となる場合には費用が高額になる可能性もあります。しかし、次のような制度や方法を活用することで、自己負担額を抑えることができます。事前に情報を集め、制度の利用条件や手続き方法をしっかり把握しておきましょう。
1. 高額療養費制度
高額療養費制度とは、1ヵ月の保険適用分の医療費(食事代や差額ベッド代は除く)が上限額を超えた場合に、その超過分が支給される公的制度です。年齢や所得によって自己負担上限額が設定されていて、申請が承認されれば3ヵ月程度で超過分が還付されます。または、加入している保険組合などから「認定証」の交付を受け、窓口で提示すれば、限度額を超える分の窓口での支払いは不要になります。[参考7]
生命保険文化センターが2022年におこなった調査によると、入院した方の約6割が実際に高額療養費制度を利用しています。[参考8]入院費用が上限額を超える場合には、ぜひ活用したい制度です。ただし、現役世代の保険料負担を軽減させることを目的に、1ヵ月あたりの負担上限額の見直しが発表されています。入院する可能性がある方は、最新情報を確認しましょう。
参考7:厚生労働省「高額な外来診療を受ける皆さまへ」
参考8:公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
2. 高額医療費貸付制度
高額医療費貸付制度とは、無利子で国や健康保険組合から入院費用など医療費の一部の貸付が受けられる制度です。
高額療養費制度の利用申請を退院後におこなう方は、窓口では入院費用の自己負担分の全額を一旦支払う必要があります。ここで医療費の支払いが難しい場合には、無利子の高額医療費貸付制度を利用できることがあります。例えば、協会けんぽでは、高額療養費支給見込額の8割相当額を無利子で借りられます。[参考9]
貸付金の水準や制度を利用できるかどうかは、加入している公的医療保険によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
参考9:全国健康保険協会(協会けんぽ)「高額医療費貸付制度」
3. 付加給付制度
付加給付制度とは、加入している健康保険組合が独自に設定している給付制度です。高額療養給付制度とは別に、例えば差額ベッド代といった入院費用の一部を追加で給付してくれるものです。各健康保険組合によって条件や給付内容は異なります。入院費用の軽減を考える際には、自身がどのような付加給付を受けられるのか、事前に確認しておくとよいでしょう。
4. 一部負担金減免制度
一部負担金減免制度とは、災害や失業など、特別な事情により経済的に困窮している世帯に対して、入院費用の自己負担額が減額または免除される制度です。自治体が実施していることが多く、住民票のある市区町村で申請が可能です。入院費用が心配な方は、事前にこちらの制度を確認しておくことをおすすめします。
5. 無料低額診療事業
無料低額診療事業とは、生活保護を受けている世帯など医療費の支払いが困難な方を対象に、無料または低額な料金で診療を受けられる制度です。この制度を利用できる医療機関は限られていますが、入院費用の自己負担を大きく軽減することができます。利用要件を知りたい方は、お住まいの地域の役所に相談してみることをおすすめします。
6. 医療費控除
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告をおこなうことで所得税の一部が還付される制度です。入院費用などの大きな出費があった年に利用すれば、納税額を減らすことができます。控除額は支払った医療費から保険金などで補填される金額を引いたものになりますので注意しましょう。入院費用の自己負担額を少しでも回収するためには、領収書を保管しておくことが鍵となります。
7. 傷病手当金
傷病手当金とは、病気やケガで会社を休み、十分な収入を得られない場合に健康保険組合から支給される給付金です。給与の約3分の2の金額が最長で1年6ヵ月間支給されますので、収入を補うものとして、入院費用の負担軽減に役立ちます。
傷病手当金の支給は会社員や公務員が対象となります。詳細は加入している健康保険組合にお問い合わせください。
入院する前に備えておくためのポイント
突然の入院は、精神的にも経済的にも大きな負担となります。入院費用の備えとしてすぐにでも始めておきたいのは「加入している保険の見直し」と「貯蓄」です。では、1つずつ詳しく説明していきましょう。
1. 自分が入っている保険の保障内容、保険金の請求ができそうかを確認しておく
入院に備える上で、まず自分が加入している保険の保障内容をしっかりと確認することが重要です。入院時の自己負担を軽減するため、保険でどの程度カバーされるのか理解しておく必要があります。具体的には、日額いくらの給付が受けられるのか、特定の疾病に対する上限が設定されているかなどを確認しましょう。また、保険金の請求手続きについても事前にチェックして、すぐに手続きが取れるよう準備しておくことが大切です。突然の入院でも慌てず、計画的に保険を活用するためにも、日頃から情報を整理しておきましょう。
2. 貯蓄をしておく
生命保険文化センターの調査によると、直近の入院時の自己負担費用や逸失収入(ケガや病気にならなければ本来得られたはずの収入)の充当手段で最も多かったのは「生命保険」で、次に「預貯金」という結果が出ています。[参考10]入院時は、治療費だけでなく、差額ベッド代や生活費など、予想以上の支出が発生する可能性があります。万が一に備え、普段からある程度の預貯金を確保しておくことが重要です。
将来を見据え、計画的に貯蓄をすることが、安心して医療を受けられる環境づくりにつながります。
貯蓄方法についてもっと詳しく知りたい方は「貯蓄はいくら必要?年代・年収別の平均額や貯蓄方法・ポイントについて徹底解説」や「1年間で貯金100万円を目指す!メリットや貯金の方法、ポイントを紹介」もぜひ参考にしてください。
参考10:公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
まとめ
入院費用は、入院日数や治療内容によって大きく変動し、平均では1回の入院で約20万円の自己負担が発生します。入院基本料や診察費用などのほか、差額ベッド代や先進医療費など保険適用外の費用が発生することもあります。高額療養費制度や医療費控除など、ご紹介した制度や方法を活用して、できるだけ自己負担額を抑えましょう。
また、入院という突然の出費に備えるため、日頃から貯蓄で備えることはもちろん、貯蓄でまかなえないものや不測の事態に備えて、保険の保障内容を確認しておきましょう。
さらに、健康なうちに保険の見直しをしておくのもおすすめです。フコク生命の医療保険「ワイド・プロテクト」や、就業不能保障特約「はたらくささえプラス」の活用で、入院費用と入院中の生活費の両方に備えることができます。入院時に関する金銭的な不安を感じている方は検討してみてはいかがでしょうか。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
是枝花名子(これえだ かなこ)
FPライター。大学卒業後、大手生命保険会社にて法人営業を担当。住宅ローンの繰り上げ返済、子どもの教育資金や老後資金作りを極めるため、改めてFP技能士を取得。専門知識と主婦目線を活かした記事執筆が好評を呼び、現在は主にメガバンク、大手不動産サイト等にて保険・不動産・翻訳ライターとして活動中。2級FP技能士
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ