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子どもの頃、お正月のお年玉を楽しみにしていた方は多いのではないでしょうか。大人になると今度は子どもにあげる番がやってきます。そこで知っておきたいのが、お年玉の相場やマナーです。
この記事では、お年玉の年齢別の相場やお年玉の正しい入れ方、お札の折り方をはじめとするマナーについて解説します。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
お年玉の由来
お年玉の由来は諸説ありますが、「年神様(歳神様)の魂(玉)」からきているという説が有力です。
昔の人々は祖先の霊が田や山の神となり、正月には年神様として家々を訪れ、子孫の繁栄や幸せをもたらしてくれるものと考えていました。年神様をお迎えするために丸餅(鏡餅)を供える風習が生まれ、年神様をお送りした後には、そのお餅を家長が家族に分け与えるのが慣わしでした。このお餅は年神様の魂が宿る「年神魂」と呼ばれ、それが変化して「お年玉(御年魂)」となったのです。
もとはお餅だったお年玉が現在のようなお金に変わっていったのは、昭和30〜40年代の高度経済成長期の頃。会社勤めで給料をもらう人が増えたり、家で餅をついて供える家庭が減ったりした影響といわれています。
お札の折り方や入れ方
お年玉を渡すときにはマナーがあります。正しいお札の折り方、袋への入れ方を押さえておきましょう。
1.お札の折り方
お年玉はポチ袋に新札を入れて渡すのが基本です。そのとき、お札は三つ折りにします。四つ折りは、四が死(し)を連想させる忌み数のため避けましょう。
三つ折りにするときは、肖像の描かれている表面を上にして、左から3分の1を内側へ折り、その上に被せるように右から3分の1を折ります。
2.ポチ袋の入れ方
三つ折りにしたお札は、上側が袋の上側(口側)に、折り込んだ右側が袋の表側にくるように入れます。
このように入れるのは、受け取った相手がお札を開きやすく、いくら入っているかすぐにわかるようにするための配慮です。
3.長封筒の入れ方
お札を折らずに入る長封筒を使う場合には、お札を折らず、肖像画が描かれた表側が袋の表側にくるように、お札の右端(肖像側)が袋の上側(口側)にくるように入れます。
複数枚入れる場合や硬貨の入れ方
お札を複数枚入れる場合や硬貨を入れる場合にもマナーがあります。
1.複数枚入れる場合
お札を複数枚入れる場合は、お札を同じ向きに重ねて、1枚の場合と同じように折りましょう。
お年玉は袋がふんわりと膨らんでいるほうが、福々しく、縁起が良いと考えられています。そのため、袋が膨らんで多少不格好になっても構いません。膨らみを持たせるように、あえてお札をふんわりと折っても良いでしょう。
「折り目正しく」という意味を込めて、お札をきっちり折る場合もあります。どちらが良い悪いはなく、どちらも正しい方法です。
2.硬貨を入れる場合
幼い子どもにお年玉をあげる場合など、硬貨を入れることもあります。その場合には、硬貨の表面を袋の表側に向けて入れましょう。硬貨の表面は、大きく絵柄が描かれているほうです。
お年玉を入れるポチ袋や長封筒への書き方
お年玉を入れるポチ袋や長封筒には、渡す相手の名前と自分の名前を書くのがマナーです。
渡す相手の名前は袋の表面の左上、自分の名前は袋の裏面の左下に書きましょう。名前を書く場所のある袋を使う場合は、それにあわせます。
表面に「お年玉」と印刷されていない袋を使う場合は、自分で「お年玉」と書き加えてください。
なお、お年玉は目上から目下へ渡すものとされています。そのため上司など目上の方の子どもに渡す場合には、表書きを「お年玉」ではなく「図書料」や「文具料」などにするのがマナーとされています。目上の方の子どもにもお年玉を渡す可能性のある方は、「お年玉」と印刷されていないポチ袋を用意しておくと安心です。
渡す相手への気持ちを込めて、「〇〇さんにとって良い一年になりますように」といったメッセージ書くのも良いでしょう。
お年玉の相場はどれくらい?
お年玉をいくら渡せば良いのかも気になる点ではないでしょうか。お年玉の金額にはいくらにすべきという決まりはありませんが、渡す相手の年齢や関係性によって変えるのが一般的です。
株式会社インテージが実施した「2024年お年玉調査」によると、渡す相手の学齢別で最も多かったお年玉の金額はそれぞれ以下のようになっています。[参考1]
- 小学生未満……1,000円未満(44.9%)
- 小学1〜3年生……1,000円超〜3,000円(50.3%)
- 小学4〜6年生……1,000円超〜3,000円(40.9%)
- 中学生……3,000円超〜5,000円(49.1%)
- 高校生……5,000円超〜10,000円(48.8%)
- 大学生・専門学校生・短大生……5,000円超〜10,000円(67.7%)
いくら渡せば良いか迷うときは、渡す相手の年齢の相場を目安に、渡す相手との関係性なども考慮して金額を決めると良いでしょう。
ただし、相場はあくまで目安に過ぎません。親族間で金額の取り決めがあればそれに従う、自分の子どもがもらう金額とのバランスを考えて渡す金額を調整するなど、各自の状況に応じた金額にすることが大切です。
参考1:インテージ 2023年12月27日公開記事をもとに作成
お年玉に関する疑問やマナーについて
お年玉に関するそのほかのマナーを紹介します。気になる疑問もここで解消しておきましょう。
1.新札がない場合はどうすればいい?
お年玉はご祝儀と同じように新札で用意するのが基本です。しかし、新札に両替するのを忘れていた、お年玉を渡す相手が増えて新札が足りなくなってしまうといったケースもあるでしょう。
そのようなときは、なるべくシワや折れ目の少ないきれいなお札を選んで使うようにします。手渡すときに、新札が用意できなかったことを詫びる一言を添えると、より丁寧です。
2.ポチ袋がない場合はどう渡せばいい?
偶然居合わせた親戚や友人の子どもにお年玉を渡すことになった場合など、ポチ袋を用意していないこともあるでしょう。そのようなケースでも、現金をそのまま渡すのは好ましくありません。
年末年始にはほとんどのコンビニでポチ袋を売っているため、近くにコンビニがあれば購入できます。それも難しい場合は、コピー紙や包装紙などなるべくきれいな紙に包んで渡すようにしましょう。ポチ袋が用意できなかったことを詫びる一言を添えるとより丁寧です。
既製品のポチ袋をあえて使わず、折り紙や和紙などを使って手作りするのも良いでしょう。
3.お年玉はいつからいつまであげればいい?
お年玉は、幼稚園(3〜5歳)頃から高校または大学を卒業するまで(就職するまで)あげるケースが多いようです。
とはいえ、お年玉をいつからいつまであげるのか、明確な決まりはありません。0歳からお年玉をあげる方もいれば、社会人にお年玉をあげる方もいます。
各家庭の方針や親族間での取り決めなどがある場合は、それに合わせましょう。子どもの親と親しい間柄であれば、あらかじめ話し合って決めておくのが確実です。
4.お盆玉を渡すべき?
お盆玉は、必ず渡さなければならないものではありません。とはいえ、自分の子どもがもらったり、親族間で贈り合ったりしている場合には渡したほうが良いでしょう。
お盆玉とは、親族が集まる機会の多いお盆に、お年玉と同じように子どもたちにお金を渡すものです。
お盆に子どもにお小遣いを渡す習慣は以前からありましたが、お盆玉と呼ばれるようになったのは最近のこと。
お盆に子どもにお小遣いを渡す習慣は、江戸時代に東北地方で始まった「お盆小遣い」が由来といわれています。
5.避けるべき金額はある?
死(し)を連想させる「4」や、苦(く)を連想させる「9」がつく金額は避けましょう。
6.お年玉は郵送しても大丈夫?
お年玉を手渡しできない場合は、郵送することも可能です。
ただし、普通郵便やレターパック、宅配便で現金を送ることは法律で禁止されているため、必ず「現金書留」を利用してください。
7.キャッシュレスでお年玉を渡すのはあり?
現金で渡すことにこだわらないなら、口座振込やスマホのキャッシュレス決済(送金サービス)などを利用してお年玉を渡しても構いません。
ただし、現状ではお年玉を現金でもらいたい方が大多数を占めている点に注意が必要です。あくまで、あげる側ともらう側の双方がキャッシュレスに抵抗がない場合や、直接手渡しできない場合の選択肢と考えましょう。
さまざまな場面でキャッシュレス化が進んでおり、今後はキャッシュレスのお年玉が一般的になってくるかもしれません。
8.子どもがいない方からもらった場合の対応は?
お年玉のお返しは基本的に必要ありません。子どもと一緒に感謝の気持ちをしっかりと伝えることが大切です。
毎年お年玉をもらっていて申し訳なく感じる場合は、「お年賀」として手土産を渡す、お中元やお歳暮などを贈る、食事をごちそうするなどの形でお返しをするのも良いでしょう。
まとめ
お年玉には、お札の折り方や袋への入れ方、避けるべき金額などのマナーがあります。あまり堅苦しく考える必要はありませんが、失礼のないように、基本的なマナーは押さえておきましょう。
子どもにとってお年玉は、目上の人に対する礼儀を学んだり、お金について考えたりする良い機会です。この機会に、子どもと一緒にお金の使い方や大切さについて話してみてはいかがでしょうか。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
竹国弘城(たけくに ひろき)
独立系FP、RAPPORT Consulting Office代表。証券会社、生損保代理店での勤務を経て独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自分のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうためのサポートを行う。1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®、証券外務員一種、宅地建物取引士
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ