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内閣府の令和4年版高齢社会白書によると、65歳以上で一人暮らしをしている高齢者の割合は男性が15.0%、女性が22.1%となっています。[参考1]
この先、65歳以上の一人暮らしはさらに増加していくことが予想されます。
親が高齢になったら、一緒に同居すべきか悩む方も多いかもしれません。親との同居にはさまざまなメリットがありますが、同居以外の選択肢も残しておくことが大切です。
この記事では、親と同居するメリットやデメリット、親との同居が決まったときに注意したいポイントを解説します。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
参考1:内閣府「令和4年版高齢社会白書(第1章 高齢化の状況第1節 3)」
親と同居する選択をした人の理由
親が高齢になると、健康状態が悪化したり、介護が必要になったりします。そのため、高齢の親を心配して同居を選択する方も少なくありません。
国土交通省の統計によると、親との同居理由で「緊急の事態が心配だから」「介護・老後のため」と回答した人は、合わせて半数を超えています。[参考2]
同居理由 | 割合(複数回答) |
緊急の事態が心配だから | 23.8% |
子育て支援のため | 14.9% |
介護・老後のため | 28.9% |
田舎・故郷に愛着があるから | 8.1% |
都会で生活したいから | 3.5% |
家業の継承や手伝いのため | 8.3% |
気軽に顔を見に行ったり、話し相手になったりできるから | 18.0% |
住宅賃貸等の特典や援助があるから | 1.7% |
とくに理由はない | 44.9% |
わからない | 0.4% |
その他 | 4.1% |
また、子育ての支援など、将来の資金を確保するために親と一緒に暮らす人もいます。後の項目で紹介するとおり、高齢の親と同居すれば、住宅支援制度などの特典や援助を受けることが可能です。
参考2:国土交通省「既婚者とその親との住まい方-「近居」を中心とした実態と将来意向-」p7
親と同居しない選択をした人の理由
一方、親と同居しない選択をする人の理由として、以下のような例があります。
- 相手に気を使いながら生活をしたくない
- 生活環境が変わることに抵抗がある
親と同居している人のなかには、お互いの性格や生活習慣が合わず、同居生活を苦痛に感じてしまう人もいます。また、親の介護や看護が必要になった場合、生活環境が大きく変化することも知っておきましょう。
例えば、仕事と介護を両立できなくなり、介護離職をしてしまう方もいるかもしれません。特に義理の親との同居は、さまざまな問題が表面化しやすいため、親との同居を決断する前にメリットやデメリットをしっかりと比較しましょう。
親と同居するメリット
親と同居することに抵抗があって、踏み切れない方もいるかもしれません。無理に同居することはありませんが、決断する前にメリットを知っておくことも1つの方法です。
親と同居するメリットは以下の5つです。
生活費の節約ができる
親と同居すれば、家賃や水道光熱費、食費などの生活費を折半し、出費を抑えられます。また、親が自分自身で生計を立てられない場合は扶養に入れ、所得税や住民税の控除を受けたり、会社から扶養手当を受け取ったりすることも可能です。
家事の分担ができる
親がまだ動ける場合は、掃除や洗濯、料理などの家事を分担することもできます。家事と仕事の両立が難しいと感じている方は、同居することで親のサポートを受けることも可能です。
ただし、親が高齢になってくると、体への負担が大きい作業は率先して引き受けるなど、役割分担の内容を考え直す必要があります。
体調や健康を把握しやすい
高齢の親と同居することで、健康状態や体調の変化を間近で把握できます。高齢者の一人暮らしのリスクに「孤独死」があります。令和2年の統計では、東京23区内だけで4,238人の高齢者が自宅で亡くなっています。[参考3]
親と同居することで、未然に孤独死を防止することが可能です。
参考3:内閣府「令和4年版高齢社会白書(第1章 高齢化の状況 第2節 3)」
出産や育児で助けてもらえる
出産を控えた方や育児中の方は、親が元気であれば、子育て・家事を分担できることもメリットでしょう。例えば、仕事をしている日中は親に育児を任せることで、仕事と育児の両立も可能です。
すでに子育てを経験した親の視点で、役に立つアドバイスをもらうこともできます。
自治体によっては補助が活用できる
自治体によっては、親と同居することで補助金や助成金を受けられる場合があります。[参考4][参考5][参考6]
自治体 | 支援制度 |
松戸市 | 三世代同居等住宅取得支援 |
宗像市 | 三世代同居住宅支援補助制度 |
神戸市 | こうべぐらし応援補助金 |
特に親との同居をきっかけとして家を建てたり、住み替えをしたりする場合は、お住まいの地域の支援制度を調べましょう。
参考4:松戸市「三世代同居等住宅取得支援~子育て世帯の住宅取得を応援します~」
参考5:ムナカタに住む「三世代同居住宅支援補助制度」
参考6:神戸市「親・子世帯の近居・同居を応援」
親と同居するデメリット
一方、親と同居するデメリットは以下の3つです。
介護や病気によって負担がかかる可能性がある
親の健康状態が悪化したり、要支援・要介護の認定を受けたりすると、生活上のサポートが必要になります。
内閣府によると、65〜74歳の要介護状態の割合は2.9%なのに対し、75歳以上では23.1%と大幅に増加します。[参考7]
高齢の親と同居する場合は、将来の介護をどうするか考えておく必要があります。
参考7:内閣府「令和4年版高齢社会白書(第1章 高齢化の状況 第2節 2)」
ストレスになることがある
離れて暮らしていた間に、お互いの生活の時間帯や習慣が大きく変わっています。そのため、高齢の親と生活習慣が合わなかったり、性格や価値観が合わなかったりして、同居がストレスになる場合があります。
特に実の親ではなく、義理の親と同居する場合は、生活面のすれ違いに注意が必要です。
金銭感覚がズレる可能性がある
親と生活費を折半すれば、以前よりも自由にお金を使えるようになります。生活費の節約ができることはメリットですが、それによって金銭感覚がズレないように気をつける必要があります。
親と同居するとなったときに注意すべきこと
親との同居が決まったら、まずはお互いの生活習慣を把握しましょう。また、お金に関するルール決めや、過度な干渉を避けるために適度な距離を保つことも大切です。
親と同居するときに注意したいことを3つ紹介します。
お互いの生活習慣を把握しておく
同居のストレスは、親との生活リズムの違いから生まれます。特に把握しておきたいのが、起床時間と就寝時間です。
例えば、起床時間や就寝時間が違うと、食事のタイミングが合わず、一日に何度も食事の用意をする必要があります。朝食や昼食は各自で用意をするなど、生活リズムに合わせてルールを決めましょう。
お金に関するルール決めをしておく
お金に関するルール決めも必要です。例えば、生活費を折半する場合は、親と子どもでどれくらい分担するのか、しっかり話し合って決めましょう。
お金に関するトラブルは非常に多いため、事前にしっかりとすり合わせを行うことが大切です。
干渉しすぎないよう適度な距離を保つ
親との同居生活を成功させるためのポイントは、適度な距離を保つことです。お互いにあまり干渉しすぎないよう、ときには「見て見ぬふり」も大切です。
親との同居をきっかけとして家を建てる場合は、別々の個室を用意するなど、プライベートな空間を確保しましょう。
親と同居するためのポイント
親との同居で後悔しないため、まずはしっかりと話し合うことが大切です。親と一緒に暮らすデメリットを理解しつつ、同居のストレスを発散する方法を見つけておきましょう。
また、親が認知症にかかったり、要介護度が上がったりした場合に備えて、同居以外の選択肢を残しておくことが大切です。
しっかりと話し合って決める
まずは同居をするかどうか、親やパートナー、兄弟姉妹と話し合って決めましょう。親と一緒に暮らすことについて合意が得られたら、同居に当たってのルールやお金の問題について決めていきます。
同居のデメリットを理解しておく
先に述べたように、親との同居はメリットだけではありません。家事の分担や生活費の折半ができるため同居を決めたものの、他の理由で同居生活が苦しくなってしまうこともあります。
親と一緒に暮らすデメリットを理解しつつ同居生活が必ずしもうまくいくわけではないことを前提として準備を進めましょう。
ストレスを発散する方法を見つけておく
「義理の親と意見が合わない」「慣れない共同生活で、お互いに気を遣ってしまう」など、親との同居生活はストレスがつきものです。ストレスを発散する方法を見つけておきましょう。
例えば、外出の機会を増やしたり、新しい趣味を始めたりと、ストレスの発散方法は人によってさまざまです。ストレスの原因を根本的に解決するのは難しいため、ストレスを溜め込みにくい生活習慣を身につけましょう。
同居以外の選択肢も残しておく
親との同居生活がうまくいかなかったときのため、同居以外の選択肢も残しておくことが大切です。例えば、同居が難しい場合は、親と子どもが互いの家を行き来可能な、近距離に住む「近居」も検討しましょう。
また、親が認知症にかかったり、要介護度が上がったりした場合は、グループホームや特別養護老人ホームなど、施設介護サービスを利用する方法もあります。同居以外の選択肢を考えておくことで、同居生活のストレス軽減につながります。
まとめ
親との同居には、メリットだけでなくデメリットもあります。介護の負担や同居のストレスなど、親と一緒に暮らすデメリットも理解しつつ、親やパートナーを交えてしっかりと話し合うことが大切です。
お互いの生活習慣を把握したり、お金に関するルールを決めたりすることで、同居に関するトラブルを防止できます。どうしても同居できなくなった場合に備えて、同居以外の選択肢を残しておくことも大切です。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。 法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ