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生命保険料控除は所得税計算時の所得控除のひとつです。生命保険料控除によって、支払った生命保険料のうち一定額が所得から差し引かれ、その分所得税と住民税の負担が軽減されます。生命保険料控除の控除額は、保険会社から案内が来るので特に計算をする必要はありません。しかし複数の保険会社と契約していたり、2011年12月31日以前の保険契約と2012年1月1日以降の保険を契約していると少し計算が変わる場合があります。この記事では、生命保険料控除の限度額や計算方法についてわかりやすく解説しています。自分の生命保険料控除額がいくらか知りたい方はぜひ最後までお読みください。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
生命保険料控除とはどんな制度?
生命保険料控除とは15種類ある所得控除のひとつです。[参考1]
保険契約者が支払った保険料のうち一定額が生命保険料控除として所得から差し引かれると、その分所得税と住民税の負担が軽減されます。
仮に課税される所得が300万円の場合、所得税率は10%です。[参考2]
しかし、4万円分の生命保険料控除が認められた場合、所得は300万円-4万円=296万円となり、所得税は4,000円(4万円×10%)軽減されます。
なぜこうした生命保険料控除と言う仕組みがあるのでしょうか。
例えば、家族に万が一のことがあった場合、受給条件を満たせば遺族年金という国の公的年金が支給されます。しかし遺族年金を受給できる要件を満たしておらず遺族年金が受け取れない、あるいは受給はできたものの十分な遺族年金を受給できないケースがあるかもしれません。
遺族年金だけでは十分でない場合、民間の生命保険に加入して自助努力で補う必要があります。このように万が一のときの公的年金が十分でないときでも、民間の生命保険に加入して自助しやすいよう、生命保険料控除という税制優遇を用意して、国として生命保険の加入を奨励しているのです。[参考4]
なお、生命保険料控除は過去に改訂が行われています。2012年1月1日以降に契約をした生命保険契約は「新制度」が適用され、2011年12月31日以前の契約は、旧制度が適用となります。[参考4]
ただし、2011年12月31日以前に契約開始した生命保険であっても、2012年1月1日以降に更新または特約の中途付加をしていた場合は、新制度が適用されます。[参考5]
参考1:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」
参考2:国税庁「No.2260 所得税の税率」
参考3:国税庁「はじめての保険料控除(答え)」
参考4:公益財団法人生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」」
新旧制度の違いや限度額、対象となる保険の範囲
生命保険料控除の旧制度と新制度では主に以下の二つの違いがあります。
● 生命保険料控除の限度額
● 生命保険料控除の対象となる保険の範囲
新旧の生命保険料控除は、上限額と対象になる保険の範囲が異なる
生命保険料控除の「旧制度」には、人の生存や死亡に対して保険金が支払われる保険が対象となる「一般生命保険料控除」と、個人年金保険が対象となる「個人年金保険料控除」の二つがあります。[参考6]所得税の場合、控除額の上限はそれぞれ最大5万円ずつ、合計の控除額上限は最大10万円となります。また、住民税の場合は、控除額上限はそれぞれ最大3万5,000円、合計の控除額上限は最大7万円です。
一方「新制度」では、病気やケガの傷害などで保険金や給付金が支払われる、医療保険やがん保険、介護保険などを対象とした「介護医療保険料控除」が新たに追加されました。[参考7]
控除額上限は所得税の場合、「一般保険料控除」、「介護医療保険料控除」、「個人年金保険料控除」それぞれ最大4万円ずつで、合計の控除額上限は最大12万円となっています。また住民税の場合、それぞれ最大2万8,000千円、合計は旧制度とかわらず最大7万円です。
【旧制度と新制度の比較】[参考8]
<生命保険料控除額の計算方法(所得税)>
旧制度 | 新制度 | ||
年間払込保険料 | 控除額 | 年間払込保険料 | 控除額 |
2万5,000円以下 | 払込保険料全額 | 2万円以下 | 払込保険料全額 |
2万5,000円超~5万円以下 | (払込保険料×1/2)+1万2,500円 | 2万円超~4万円以下 | (払込保険料×1/2)+1万円 |
5万円超~10万円以下 | (払込保険料×1/4)+2万5,000円 | 4万円超~8万円以下 | (払込保険料×1/4)+2万円 |
10万円超 | 一律5万円 | 8万円超 | 一律4万円 |
<生命保険料控除額の計算方法(住民税)>
旧制度 | 新制度 | ||
年間払込保険料 | 控除額 | 年間払込保険料 | 控除額 |
1万5,000円以下 | 払込保険料全額 | 1万2,000円以下 | 払込保険料全額 |
1万5,000円超~4万円以下 | (払込保険料×1/2)+7,500円 | 1万2,000円超~3万2,000円以下 | (払込保険料×1/2)+6,000円 |
4万円超~7万円以下 | (払込保険料×1/4)+1万7,500円 | 3万2,000円超~5万6,000円以下 | (払込保険料×1/4)+1万4,000円 |
7万円超 | 一律3万5,000円 | 5万6,000円超 | 一律2万8,000円 |
<生命保険料控除額の限度額>
旧制度 | 新制度 | |||
所得税 | 住民税 | 所得税 | 住民税 | |
一般生命保険料控除 | 5万円 | 3万5千円 | 4万円 | 2万8,000円 |
個人年金保険料控除 | 5万円 | 3万5千円 | 4万円 | 2万8,000円 |
介護医療保険料控除 | ー | ー | 4万円 | 2万8,000円 |
控除額上限 | 10万円 | 7万円 | 12万円 | 7万円 |
参考6~8:公益財団法人生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」」
生命保険料控除額の計算方法!かんたんに控除額がわかるツールも紹介!
以下の保険に加入しているケースで生命保険料控除額と税負担がどれくらい軽減されるのか、フコク生命の商品を例に実際に計算してみましょう。
収入保障特約<逓減型>(2022)(保険料4,806円/月)と、定期保険特約(2022)(保険料2,560円/月)の保険料が一般生命保険料控除の対象となり、残り(保険料1万1,297円/月)は介護医療保険料控除の対象に該当します。
したがって、一般生命保険料は年間8万8,392円((4,806円+2,560円)×12 ヶ月 )、介護医療保険料は年間13万5,564円(1万1,297円×12ヶ月)ということになります。
2012年1月1日以降の生命保険契約の場合、年間保険料8万円超を超えているため、適用となる一般生命保険料控除額と介護医療保険料控除額は所得税でそれぞれ控除額上限の4万円が適用となり合計で8万円。住民税はそれぞれ控除額上限の2.8万円が適用となり、合計5.6万円です。
この場合、年収500万円で夫婦のみの世帯なら、所得税で4,100円、住民税で5,600円の税負担軽減効果があります。
実際に自分の場合は控除額がいくらになるのか知りたい方は、シミュレーションツールをご活用ください。
生命保険料控除を受ける方法は?
生命保険料控除を受ける方法は、会社員と、個人事業主で手続方法が異なります。ただ、いずれの場合も保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」が必要です。なお控除証明書は、保険会社によって異なりますがおおよそ10月上旬から10月下旬くらいまでにお手元に届きます。
会社員の方は会社に書類を提出するだけ
会社員の場合は、「保険料控除証明書」を「給与所得者の保険料控除申告書」に添付して、担当部署に提出すると年末調整で所得税の還付を受けられます。[参考9]
また住民税は翌年度、税額が軽減される形で反映されます。
参考9:国税庁「[手続名]給与所得者の保険料控除の申告」
自営業の方は確定申告で手続き
自営業の方は2月中旬から3月中旬に行う確定申告で、生命保険料控除額を含めて申告し、確定申告書に保険料控除証明書を添付して提出します。住民税は特に手続きをする必要はなく、確定申告の金額を元に算出されます。
まとめ
生命保険料控除は所得控除のひとつです。生命保険料控除の制度を利用すると、支払った保険料のうち一定額が所得から差し引かれ、その分所得税と住民税の負担を軽減できます。
生命保険料控除は2012年1月1日以降に契約をした場合は「新制度」、2011年12月31日以前に契約をした場合は「旧制度」が適用となり、控除上限額や控除となる保険の範囲が異なります。
生命保険料控除額は10月上旬から下旬に保険会社から送られてくる「控除証明書」に記載されています。ただ、複数の保険会社と契約していて控除額がわかりにくい場合は、保険会社で用意している控除額計算ツールなどを使ってみると良いでしょう。
フコク生命ご契約者さまで保険料控除について不明な点がある場合はこちらをご確認ください。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。
法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
監修:年友企画株式会社