自営業者は住宅ローンを組める?審査のポイントと落ちたときの対処法

自営業者は住宅ローンを組める?審査のポイントと落ちたときの対処法

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自営業者は会社員や公務員に比べて、住宅ローンの審査が厳しい傾向にあると言われています。

この記事では、自営業者はなぜ住宅ローンが通りにくいのか、その理由について金融機関の立場も含めてご紹介します。また、審査に落ちてしまった場合の対策についても解説します。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。 法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

自営業者は住宅ローンが通りにくい?

自営業者は公務員や会社員に比べて住宅ローンの審査が通りにくいと言われています。

自営業者はその事業内容によっては毎年の収入が安定しにくく、金融機関から不安に思われやすいからです。そのため住宅ローンにおいては、安定的に収入を得ている会社員や公務員などの方が金融機関の審査は通りやすい傾向があると言われています。

■住宅ローンの審査で確認されるポイント

金融機関はさまざまな観点で審査をしていますが、最も重要なポイントは「本人が今後長期間にわたって住宅ローンを返済していける能力があるか」という点に尽きます。

その点を踏まえ、金融機関が住宅ローンの審査で確認するポイントを2つご紹介します。

一見、自営業の方とは関係ない内容に見えるものもありますが、金融機関がどこを見ているのかという視点でまずは参考にしてください。

1.安定した収入があるか?

金融機関は、住宅ローンの審査において「本人に安定した収入があるか」を重視します。具体的には、「勤務先の情報」や「本人の属性」で判断をする傾向があります。

【勤務先の情報】

  • 勤務先は創業何年位か
  • 勤務先はどれくらいの人数(規模)か
  • 勤務先は上場企業か、中小企業か

金融機関は貸したお金が返済されないことを最も恐れています。

たとえば、会社が倒産してしまい本人に収入がなくなれば住宅ローンの返済が滞ってしまうリスクがあります。そのため、金融機関は勤務先の情報を重視するのです。

【本人の属性】

属性とは一般的には以下のような情報です。

  • 年収
  • 勤続年数
  • 勤務形態(正社員か派遣など)

本人の属性を金融機関が重視する理由は、勤務先の情報の場合と同じです。

年収が高い人は住宅ローンの返済が滞る可能性が比較的低く、勤続年数が長い人は収入が安定している傾向にあり、正社員は解雇されにくい、と考えられます。

このような理由によって、住宅ローンの審査においては会社員や公務員は高評価になるのです。

2.返済負担率は基準以下か?

返済負担率とは、年収のうち年間の返済額が占める割合のことです。金融機関が定めている返済負担率の基準を超える融資は、審査がかなり難しい傾向にあります。

なお、返済負担率は以下のような計算式で算出されます。

(年間返済額÷本人の年収)×100=返済負担率  

【利息を含めた毎月の返済額が12.5万円の場合の返済負担率の計算例】
※元利均等返済方式の場合
【事例】年間返済額150万円(月12.5万円) 年収500万円の場合 (150万円÷500万円)×100=返済負担率は30%  

金融機関によって、基準はさまざまですが、一般的な返済負担率の基準は以下の通りです。

以下の表で例をあげると、仮に年収100万円以上300万円未満の方は返済負担率が20%を超える金額の住宅ローンの利用は難しくなります。

年収返済負担率
100万円以上300万円未満20%以下
300万円以上450万円未満30%以下
450万円以上600万円未満35%以下
600万円以上40%以下

住宅ローンの審査が通らないパターン3選

1.信用情報に傷がある

金融機関は住宅ローンを利用する人の返済状況を重視します。

具体的には自動車ローンやクレジットカード、カードローンなどを利用していて、過去に滞納や債務整理をしたような場合、住宅ローンの利用は難しい可能性が高いです。

過去のローン利用履歴は、個人の信用情報としてJICC、CIC、全国銀行個人情報センターなどの信用情報機関に保管されています。金融機関はこれらの信用情報を共有して、確認をすることができるのです。

もし、住宅ローンを利用する前に不安なときは、割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関のサイトなどで、自身の信用情報を調べることができます(有料です)。

また、自営業の場合は年金や健康保険などの社会保険料や税金の滞納があった場合も、住宅ローンの審査が通りにくくなる要因となります。

2.他にもローンがある

先に述べた返済負担率は、住宅ローン以外にすでに自動車ローンや教育ローンなどの借入がある場合は、その影響を受けるので注意が必要です。

先ほどの事例に、自動車ローンの返済が年間100万円残っていた場合、以下のような計算になります。

(年間返済額÷本人の年収)×100=返済負担率  

【利息を含めた毎月の返済額が12.5万円の場合の返済負担率の計算例】
※元利均等返済方式の場合
【事例】年間返済額150万円(月12.5万円)+自動車ローン100万円 年収500万円の場合 (250万円÷500万円)×100=返済負担率は50%

この場合は、自動車ローンを一括返済するか借入額希望額を下げる、もしくは住宅ローンをあきらめることになります。

3.業績が不調

自営業者は事業の業績が年収に直結しているので、業績が不調な場合は住宅ローンの審査に通らない可能性があります。

金融機関は、安定した所得があることを好みます。

そのため、業績が良くても1期だけでは不十分で、目安としては3期、業績好調な時期が連続していることが住宅ローンを利用できる要件となります。

住宅ローンの審査で落ちてしまったときの対処法は?

住宅ローンの審査に落ちてしまった場合は、少し違う観点で利用できる方法がないか考えていきましょう。

具体的には、少し規模の小さい地銀や信用金庫に相談する方法、フラット35を利用する方法、不動産担保投資ローンを利用する方法の3つです。

それぞれ詳しく解説していきます。

1.地元の銀行や信用金庫などにも相談を

住宅ローンは、大手都市銀行や地方の有力地銀でと思われる方が多いかもしれませんが、審査に落ちてしまったときは、少し規模の小さい地銀や信用金庫にも相談してみましょう。既にこれらの金融機関と取引がある場合は、審査が通りやすい可能性があります。

全く伝手がない場合は、飛び込みよりも知り合いの経営者や事業主を通じて金融機関の担当者を紹介してもらった方が、若干ですが可能性は高まります。

2.事業者に強いフラット35の検討

民間の金融機関の住宅ローンの審査に落ちてしまった場合は、住宅金融支援機構と提携しているフラット35を検討してみましょう。

民間の金融機関では、3期分の所得が黒字であることが必要ですが、住宅金融支援機構の「フラット35ホームページ」によると、フラット35は直近1期分のみの所得で審査をしてくれます。昨年度から業績が急に回復した、または開業から3年経過していない自営業者でも住宅ローンを利用できる可能性があります。

・フラット35のメリット

フラット35は、返済期間中に住宅ローンの金利が変わることはありません。そのため、金利上昇局面では有利で、返済計画も立てやすいです。

・フラット35のデメリット

デメリットの1つは、返済期間中の金利が変わらないため、世の中の住宅ローン金利が下がっている局面では、損をしてしまうことです。

2つめは、フラット35を利用するためには、物件が一定の要件を満たしている必要があることです。要件を満たしていることを証明する「適合証明書」を取得する必要があり、数万円の費用がかかります。

・フラット35の注意点

住宅ローンを利用している間に本人に万が一の事があった場合、ローンの未返済分がゼロになる「団体信用生命保険(団信)」という生命保険があり、一般的な金融機関の住宅ローンでは強制加入になることが多い保険です。

しかしフラット35の場合、団信への加入は任意です。

もし加入しない場合、その保険料分の費用は抑えることができますが、ローン返済中に万一の事があったとき、残った家族は一家の大黒柱を失い、住宅ローンの返済は残るという事になります。

フラット35でローンを組むときは、団信に加入する、または団信と同等の生命保険に加入することを検討しましょう。

3.不動産担保ローンの検討

不動産担保ローンは、住宅ローンの審査とは少し審査のポイントが異なります。住宅ローンが本人の安定収入を重視するのに対し、不動産担保ローンは、購入する不動産の担保価値と毎月の収支で判断する傾向があるため、住宅ローンの審査に落ちてしまった自営業者は、試してみる価値はあります。

住宅ローンに落ちた自営業者でも加入できる可能性はありますが、金利がやや高く、頭金を多めに用意する必要があるため、住宅購入に必要な初期投資が大きくなる傾向があります。

自営業が住宅ローンを申請する際に必要な手続き

自営業が住宅ローンを申請する際に必要な手続きには、どのようなものがあるでしょうか?

民間金融機関の「住宅ローン」、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している「フラット35」、「不動産担保ローン」のケースに分けてご紹介します。

■住宅ローンの審査に必要な書類・手続き

自営業者の方が住宅ローン融資の審査に必要な書類と手続きの流れです。

なおこちらは一例であり、金融機関によって異なりますのでご注意ください。

本人確認書類収入を証明するもの物件の審査に関する書類(土地・建物を新たに購入する場合)
・運転免許証
・パスポート
・顔写真付きの公的証明書
・健康保険証  
・確定申告の控え(2年分)
※税務署の受付印が必要、(e-taxは受理したデータや受理がわかる領収書)
・所得税の納税証明書(2年分)
・売買契約書
・重要事項説明書
・工事請負契約書、
 見積書
・建築確認済証
・建物図面
・平面図
・配置図
・立面図
・土地全部事項証明書
 (登記簿謄本)
・土地の公図、
 地積測量図
・土地固定資産税評価証明書  

住宅ローン融資までの流れは以下の通りです。仮審査の申込から借入までで1ヵ月ほどの期間がかかります。

  1. 仮審査
  2. 仮審査結果の報告
  3. 本審査
  4. 住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約)
  5. 融資実行

■フラット35の申請に必要な書類・手続き

次に自営業者がフラット35を利用するときの必要な書類と手続きの流れです。

本人確認書類収入を証明するもの物件の審査に関する書類
(必須書類)
・健康保険証(両面)
・住民票原本(発行3ヵ月以内)
・運転免許証(両面)

(運転免許証がない場合)
・パスポート
・住民基本台帳(両面)
・個人番号カード

(外国籍の場合)
・特別永住者証明書(両面)
・在留期限内の在留カード(両面)
・確定申告の控え
※税務署の受付印が必要、(e-taxは受理したデータや受理がわかる領収書)
・所得税の納税証明書
・売買契約書
・重要事項説明書
・工事請負契約書
・敷地の登記事項全部証明書(土地)(発行後3ヵ月以内のもの)
・建物の登記事項全部証明書(建物)(発行後3ヵ月以内のもの)
・建築確認申請書
・建築確認済証または、建築確認通知書
・住宅地図
・配置図、平面図
・土地の公図  

フラット35融資までの流れは以下の通りです。

  1. 申込
  2. 仮審査結果の報告
  3. 中間現場検査の申請・合格
  4. 施工現場検査の申請・合格(適合証明申請・適合証明書の交付)
  5. 住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約)
  6. 融資実行

■不動産担保ローンに必要な書類・手続き

次に自営業者が不動産担保ローンを利用するときの必要な書類と手続きの流れです。

本人確認書類収入を証明するもの申込関係書類

・運転免許証
・個人番号カードの写し
・健康保険証
・住民票(世帯全員)  
・確定申告書全ページ(直近2年分)
・納税証明書(直近2年分)
・不動産担保ローン借入申込書 兼 保証委託申込書 兼 個人情報の取扱いに関する同意書

不動産担保ローン融資までの流れは以下の通りです。

  1. 仮申込
  2. 事前審査
  3. 本申込
  4. 本審査
  5. 融資実行

まとめ

自営業者は収入が安定しないと見なされる可能性があり、正社員や公務員に比べると審査が厳しい傾向があります。

金融機関が住宅ローンの審査で重視するのは、安定した属性(年収、会社規模、勤続年数)と、返済負担率、そして本人の信用情報などです。

住宅ローンの審査に落ちてしまった場合は、地元の規模の小さい銀行や信用金庫に相談してみましょう。また、フラット35や不動産担保ローンを利用する方法もあります。

自営業者の住宅ローンの審査は会社員や公務員と比較すると通りにくい傾向にあると言われていますが、仮に審査におちても、マイホームを諦めるには早いです。理想のくらしを手に入れるために、今回ご紹介した方法も参考にしてみてください。

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。 法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

【執筆者】

ファイナンシャルプランナー
金子 賢司(かねこ けんじ)

個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、毎年約100件のセミナー講師なども務めるファイナンシャルプランナー。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。CFP、日本FP協会幹事。