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お世話になった方へ1年の感謝を込めて贈るお歳暮。毎年の恒例行事として根付いていますが、贈る時期は地域や慣習によって異なることをご存じでしょうか。
本記事では、お歳暮の意味や由来、地域別の時期の違い、贈る際の基本マナーまでをわかりやすく解説します。初めて贈る方はもちろん、毎年贈っている方も、相手に失礼のないお歳暮マナーを確認しておきましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
そもそも「お歳暮」とは?
「そもそもお歳暮って何?」「お中元とはどう違うの?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。まずは、お歳暮の意味や由来、お中元との違いを解説します。
お歳暮の意味や由来
お歳暮とは、日頃お世話になっている人へ、1年の感謝の気持ちを込めて年末に贈る贈り物のことです。もともと歳暮という言葉は年の暮れを意味し、昔は年末にお世話になった人のもとを訪ねて贈り物を渡す歳暮回り(せいぼまわり)という習慣がありました。
起源は、年の暮れにおこなわれていた御霊祭(みたままつり)と呼ばれる先祖供養の行事にさかのぼります。御霊祭では、先祖の霊を祀る(まつる)ためのお供え物を本家や実家に持参する習慣があり、それがやがて、お世話になった人へ贈り物を届ける風習へと変化していきました。現代では、職場の上司や取引先、親戚などに感謝を込めて贈る年末の挨拶として定着しています。
お中元との違い
お歳暮は、1年を通してお世話になった感謝の気持ちを込めて、年末に贈るものです。一方、お中元は7月〜8月にかけて、上半期のお礼として贈るものです。
どちらも感謝の気持ちを形にするという点では共通していますが、贈る時期や意味が異なります。お中元は半年間のお礼として7月~8月頃に、お歳暮は1年間のお礼として年末頃に贈ります。
お歳暮の時期はいつからいつまで?

お歳暮を贈る時期は、一般的に12月13日から12月20日までとされています。12月13日は正月事始めと呼ばれ、昔から年末年始の準備を始める日とされてきました。この日以降にお歳暮を贈る習慣が根付き、現代にも受け継がれています。
ただし、実際の贈答期間は地域によって異なります。例えば関東では12月初旬〜12月20日頃まで、沖縄では12月初旬〜12月25日頃までが一般的です。一方、関西や東北、北海道などでは12月10日〜12月20日頃までとされることが多く、全国一律ではありません。
中には、年末ぎりぎりの31日まで贈って良いとされる地域もあれば、反対に13日までとする地域もあります。こうした違いがあるため、お歳暮を贈る際は、相手の住む地域の慣習をあらかじめ確認しておくと安心です。判断に迷った場合は、一般的な目安である20日までに届くよう手配すれば、失礼にあたる心配はないでしょう。
お歳暮を贈る際のマナー
お歳暮は、感謝の気持ちを形にして届ける日本の大切な風習です。しかし、せっかく心を込めて贈っても、マナーを誤ると相手に気を遣わせたり、思わぬ失礼になってしまったりする場合があります。そうならないためにも、お歳暮を贈る際のマナーを把握しておきましょう。
相手の予定を確認しておく
お歳暮は、できるだけ相手が在宅しているときに届くように配慮することが大切です。不在時に届くと再配達の手配が必要になり、忙しい年末に余計な手間をかけさせてしまうことになります。
また、生鮮食品や冷蔵品などを贈る場合は、受け取りが遅れることで品質が落ちる恐れがあります。相手に余計な負担をかけず、気持ちよく受け取ってもらうためにも、事前に予定を確認し、確実に受け取れる日を指定して贈りましょう。
配送するときは送り状を添える
お歳暮を郵送で贈る場合は、品物とともに送り状を添えるのが一般的なマナーです。送り状には、日頃の感謝の気持ちや年末の挨拶を簡潔に記すことで、物を送るだけでは伝わりにくい思いを、しっかりと相手に伝えられます。特に年末は配送件数が増え、事務的な印象になりがちなため、ひと言でも自筆のメッセージや丁寧な挨拶文を添えると好印象です。
のし紙の選び方や書き方についても知っておこう
お歳暮を贈る際には、のし紙の選び方と表書きの書き方にも注意が必要です。お歳暮には、紅白の蝶結びの水引が描かれたのし紙を使用します。蝶結びは何度でも結び直せることから、「今後も変わらぬお付き合いを」という意味が込められており、季節の贈り物に適しています。
表書きは、水引の上段中央に「お歳暮」もしくは「御歳暮」と書き、下段には贈り主の氏名をフルネームで記載するのが一般的です。なお、部下や後輩などに贈る場合は、名字でも問題ないとされています。のし紙は贈り物の第一印象を左右する部分でもあるため、選び方と書き方は事前に押さえておきましょう。
お歳暮の相場を把握しておくことも大事
お歳暮の金額は、相手との関係性や贈る目的によって目安が変わるため、事前に相場を把握しておくことが大切です。一般的には、親戚や友人には3,000円〜5,000円程度、特にお世話になった方や取引先には5,000円〜10,000円程度が目安とされています。
相場を大きく超えると、相手に気を使わせたり、負担を感じさせてしまったりすることがあります。反対に、あまりに安価なものだと軽く受け取られてしまうかもしれません。相手との関係性やこれまでのやり取りを踏まえ、無理のない範囲で相応しい金額のものを選びましょう。
手渡しの場合は服装やタイミングに気をつける
相手の自宅などを訪問してお歳暮を渡す際は、貴重な時間をいただくことになります。訪問時間は必ず相手の都合を優先し、朝早い時間帯やお昼時、夕食の準備で慌ただしくなる夕方以降は避けるのが一般的です。
こちらから時間を伺う場合は、午前10時〜11時半、または午後1時半〜5時を目安として提案すると良いでしょう。そのうえで相手から別の時間を指定された場合は、柔軟に合わせることが大切です。
また、服装は1年の締めくくりとなる挨拶にふさわしい、清潔で落ち着いた装いを意識しましょう。ビジネス関係では、男性はスーツ、女性もスーツに準じた服装が無難です。プライベートの場合でもカジュアルすぎる格好は避け、男性はジャケット、女性はシンプルで清潔感のある服装で訪問しましょう。
相手が喪中のときはどうすればいい?
相手が喪中の場合でも、お歳暮を贈ってはいけないという決まりはありません。お歳暮はお祝い事ではなく、日頃の感謝を伝える贈り物であるためです。
ただし、故人が亡くなってから四十九日が過ぎるまでは忌中とされ、この期間は慶事を控えるのが一般的な習わしです。そのため、お歳暮を贈る場合は、四十九日が終わった忌明け後に届けるのが望ましいでしょう。
また、贈る際は水引やのしは避け、包装紙も紅白や金といった祝い事を想起させるものは避けるのが無難です。送り状の文面も「お祝い」や「お慶び」といった表現は使わず、「日頃の感謝を込めて」や「心ばかりの品ですが」など、落ち着いた言葉にするのが良いでしょう。
お歳暮が遅れてしまった場合の対処法
年末の忙しさや準備の遅れなどで、お歳暮の時期を過ぎてしまうこともあるでしょう。ここでは、お歳暮が遅れてしまった場合の対処法を紹介します。
御年賀(お年賀)として贈る

お歳暮の時期を過ぎても、松の内(一般的には1月7日まで、関西では1月15日まで)であれば御年賀(お年賀)として贈るのが一般的です。御年賀は新年の挨拶とともに日頃の感謝を伝える贈り物であり、お歳暮の代わりとして贈っても失礼にはあたりません。
表書きは紅白の蝶結びの水引を使い、上段に「御年賀」もしくは「お年賀」、下段に贈り主の氏名を記します。贈る際は郵送よりも、直接相手のお宅に訪問し、手渡しするのが一般的です。お歳暮の場合と同様、事前に相手の予定を確認し、訪問日時を決めておきましょう。
ただし、相手が喪中の場合は、新年を祝う意味を含むため御年賀は控えるのがマナーです。この場合は、松の内を過ぎてから、次に紹介する寒中見舞いとして贈ると良いでしょう。
寒中見舞いとして贈る
相手が喪中の場合や、お歳暮・御年賀の時期を過ぎてしまった場合は、寒中見舞いとして贈るのが一般的です。寒中見舞いとは、一年の中でも寒さが厳しい時期に、相手の健康や暮らしを気遣う気持ちを込めて贈る品のことです。目上の方には「寒中御伺い」とすると、より丁寧な印象になります。
贈る時期は、松の内明けから立春(2月4日頃)の前日までが目安です。関東では1月8日〜2月3日頃、その他の地域では、1月16日〜2月3日頃が一般的とされています。
まとめ
お歳暮は、1年の感謝を込めて贈る日本の大切な習慣です。一般的な時期は12月13日〜20日頃ですが、地域によっては期間が異なるため、相手の住む地域の慣習を確認して贈ることが大切です。贈る際は、相手の予定を確認し、送り状やのし紙、金額の相場、服装や渡し方などのマナーにも気を配りましょう。
時期を過ぎてしまった場合は、松の内までなら御年賀、それ以降は寒中見舞いとして感謝を伝えるのが適切です。相手が喪中の場合は、四十九日が過ぎた忌明け後に、水引やお祝いを連想させる色を避けた包装で贈ります。
お歳暮は単なる贈り物ではなく、相手との関係を深め、これからも良いお付き合いを続けるための大切な機会です。基本の時期とマナーを押さえ、相手に喜ばれる形で感謝の気持ちを届けましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
宮崎 千聖(みやざき ちさと)
FPライター。神戸大学経済学部卒業後、銀行の融資課にてローンの相談・手続きを担当した。退職後はライターとして、メガバンクや司法書士法人のオウンドメディアなどで記事を執筆。カードローンやクレジットカード、資産運用、債務整理など幅広いジャンルで執筆している。2級FP技能士、証券外務員一種
記事提供元:株式会社デジタルアイデンティティ